2018年03月31日
●2018年3月の鑑賞記録
3/4
くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質@東京ステーションギャラリー
素材別に分類し、それらの建築的役割への適用を紹介する視点から構成された、建築家隈研吾の作品展。その物語は発見に満ち、鑑賞者に「考え、試し、継続する」ことの楽しさを教えます。
2017年12月24日
●2017年12月の鑑賞記録
12/1-2
Dogo Onsen Main Building, one of the oldest hotspring spot in Japan.
12/21
◎STAR WARS The Last Jedi with MX4D !
The story plot is perfectly composed as the intersection of old and new saga. And the Moving Effects of MX4D ! Their combination take us to the truely Fantastic Experience !
12/22
marimekko spirit exhitbition@gallery A4
Power of Color, Pattern, and Design. Plus, Spacial Configuration of sauna and tea house.
2017年11月30日
●2017年11月の鑑賞記録
11/3
◎上原コレクション名品選@上原美術館
上原仏教美術館と上原近代美術館。二つの美術館が一つになり、上原美術館が誕生。最大の見どころは、柔らかな光の膜に包まれたホワイエを過ぎて、展示室に至る一連の空間体験。正面に露出展示、その両翼に二重に拡散された光が満ちる展示ケース。
仏教館
空間リニューアルを手がけた尾崎氏が描いたホワイエと展示室のスケッチ。ホワイエの光天井、展示室の正面露出展示と両翼の二重光拡散展示ケースのイメージ。運営側が用意した必要空間条件に空間イメージが重なり、今回の空間づくりが始まった。
ホワイエ。いくら目を凝らしても判別することができない、完璧な拡散光で満ちる巨大な折上天井。その光で満たされた室内は、どこまでも光が回り込み、明るい。人工の光環境とは信じられない。
回廊。目的地へと空間をつなぐ通路は、構成はシンプルに、床面は大胆に。アカシア材の木目が大きくうねり、浸透性ワックスを塗った仕上げが、柔らかな静謐性をもたらす。空間演出として、とても成功している。
そして、展示室へと至る。正面の露出展示と相対し、左右に目を向けると、明るいベージュで背面と下面を、濃いダークグレーで両側面を抑えた展示ケース。二重に拡散されたLED照明光が回り込み、明確な影のない空間。仏像照明の一つの回答と思える。
近代館
こちらは西洋絵画の個人コレクション。邸宅で寛ぎながら、絵画を鑑賞する醍醐味。ゴッホ、ピカソ、マティス、モネ。どれもこれもがマスターワーク。シンプルに素材を選択し、最善の構成を導き出す設計アプローチが素晴らしい。
近代館ラウンジ。個人邸宅のリビングをイメージしたであろう空間の右手には伊豆の絶景が広がる。まさに完璧な設計。唯一の欠点は、最寄りの鉄道駅から車で15分離れた立地で、来客が寛ぐカフェが全くないこと。これは空間の成り立ちにも関係がある。
右手が仏教館増築部、真ん中が仏教館既設部、左手が近代館。これらに相対して寺があり、節分時に豆まきイベントを行う広場的スペースを囲む立地。なんと、これまで仏教館と近代館は別法人運営だったため、相互間に柵とゲートで仕切られていた。それが今回のリニューアルを機に一つに統一され、入館料も一本化。副題の通り、ー印象派の絵画から平安の仏像、写経までーを鑑賞できる空間が誕生した。滞在時間が伸びることで、鑑賞者のお腹のケアをどうするか?次の課題はこの点に尽きる。
11/4
〇ブレードランナー2049
巨大なゲイシャ映像の前を飛ぶスピナー、エッチングワークの極致のようなタイレル社本社、フレアの炎上、酸の雨。強烈な退廃未来像を提示した前作から35年経って、続編が公開されるとは嬉しい驚き。前作はリアルタイムでは観ていない。劇場で観たのはディレクターズカット版が初めて。インターナショナル版のTV放送はその前に観ていたけれども、特撮面の強烈なビジュアルインパクトばかりが印象に残って、ストーリーは地味だし、結末はよく分からなかった。
今回はストーリーが分かり易く、デッカードの物語を完結させつつ、ブレードランナー自体の世界観を拡張する構成も上手くできていた。ストーリーの地味さも違和感ない。前作と今作をつなぐ3本の短編もとてもよく出来ていて、前作ファンへのサービスは満点。
集客は残念ながら噂通りの大苦戦。渋味を増した世界観と、地味かつ続編ストーリーで、新規層を呼び込むのは難しそう。前作リスペクトが強く、前作から35年経った実世界変化の反映が弱いため、現代の延長上(に思える)未来というインパクトが弱いと感じました。
11/5
〇古代アンデス文明展@国立科学博物館
5回に渡って開催されてきた古代アンデス文明展の集大成、9文明をダイジェストで紹介する。ユーモアたっぷりに見える造形から感じられる、生と死の境界の曖昧さ。黄金伝説に満ちた文明でありながら、略奪し尽くされて黄金の出土品はほとんどない現実。親子連れやカップルでにぎわう館内自体が人類史の展示に思える。
11/7
〇長沢芦雪展@愛知県美術館
無量寺仏間から飛び出し来てくる猫トラと龍のど迫力!照明も素晴らしく、再現展示を極めた感あり。各章満遍なく佳作が揃い、全編が見どころ。愛県美25周年かつ、1年半の休館前最終展として、掉尾を飾るにふさわしい展示。平日開館前から行列ができて、入りも上々。
〇国宝展@京都国立博物館
70minutes Waiting Line for National Treasure Exhibition at Kyoto National Museum on Weekday Afternoon.
〇末法/APOCALYPSE@細見美術館
〇HIRAKATA T-SITE
designed as the Cafe and Bookstore Complex, i.e., Latest Urban Living. I grew up around this area, especially my kindergarden is a minute walk from here. This change is really Unbelievable !
11/8
House of Nihonbashi by Tadao Ando.
11/23
〇Leandro Erlich Seeing and Believing@Mori Art Museum
Jumping from Window! Exhibit is filled with Wonder!
White KITTE, Beautiful Color Changes of Christmas Tree !
Peninsula Tokyo "The Lobby". Not wide enough, but comfortable enough way as the space use.
11/25
〇Atsuhiko Misawa's Animal House@The Shoto Museum of Art.
Five artist's collaboration is too much dense as the exhibition, but really attractive as the live art space. I love it !
葛飾八幡宮 千本公孫樹 ライトアップ&ジャズ・ライブ
2017年10月31日
●2017年10月の鑑賞記録
10/1
窓学10周年記念 窓展「窓から見える世界」@スパイラル
吹抜けに設置されたレアンドロ・エルリッヒ《Window and Ladder - Too Late to Ask for Help》はとても見栄えする。
それ以外はギミック倒れな感じで、「ニッチな視点から掘り下げて、面白さの鉱脈に至る」ことを期待させるけれども、そこまでは到達しなかったように思えた。
10/4
驚異の超絶技巧!@三井記念美術館
2014年開催の「超絶技巧!明治工芸の粋」に現代アートを加えた続編。自在置物の動画も増えて、パワーアップ!なのだけれども、明治vs現代を期待しすぎて少々肩透かし。冒頭と終盤に現代も並べて、本編はあくまで明治。前回との重複作もあり、鮮度は落ちる。
10/7
〇特別展「運慶」@東京国立博物館
運慶仏&その後継仏を一堂に集めたall about UNKEI 展。ひたすら像を林立させる割り切りの良さが素敵。口をへの字に結ぶ不動様や表情豊かな十二神将。可愛らしい鹿に犬。出前一丁&廊下に立ってなさい罰ゲーム的な鬼。既に4重人垣状態で落ち着いて観ることは叶いませんが、夜店をそぞろ歩くような楽しさに満ちた展示は必見。
10/15
〇日本の家展@東京国立近代美術館
1945年以降の建築と暮らしを13の系譜で辿る。正確には、序章的3章と、建築家が時々の社会と向き合い設計した住宅を、批評的視点から分類する10章の2段構成。中身は建築雑誌のダイジェストのようで、系譜というほどでは?と思える。新規映像が良かった。
系譜3. プロトタイプと大量生産。建築家とメーカーの結論として、建築家がつくるべきは「批評性を持つ特殊解」としつつ、箱の家と無印良品の関係を追記する。建築家のアイデアがマスプロダクトに反映されて一矢報いた?上手く使われてる?そこが気になる
系譜8. 感覚的な空間/中山英之 O邸。ジオラマのような模型とイメージスケッチの数々。どんなシーンを作ろうか、ワクワクする気持ちが伝わってくる。プロセスを楽しむプレゼンが上手。
系譜9. 町家:まちをつくる家/安藤忠雄 住吉の長屋。の向こうに、系譜10.すきまの再構築/西沢立衛 森山邸。見る分には素晴らしいが、住むのは大変そう。でも、それが豊かさに繋がるのかも。
系譜11. さまざまな軽さ/長谷川豪 経堂の住宅。外観のシンプルかつ厳格さと、意外に柔軟に暮らす映像の対比が良かった。
◎安藤忠雄展@国立新美術館
新美開館10周年を記念した、初の建築展。オーディオガイドも安藤さんで、光の教会の原寸再現等、サービス精神満点。人の入りも上々。内容は、バブル期にセゾン美術館等でバンバン開催された安藤展のアップデート版+超スパルタな部分をサラッと流した感じ。図面が最大の見所。
10/22
パリ♡グラフィック展@三菱一号館美術館
19世紀末パリ、版画・ポスターがアートへと発展する。その軌跡を、ファン・ゴッホ美術館と三菱一号館美術館のコレクションを通して辿る。当時の音楽を流し、ロートレック、ヴュイヤール、ヴァロットンらの作品を観つつ、当時のパリを散策するような前半展示が素敵。ボナールのファクシミリ本を、ページをめくって鑑賞できるのも良い。
2017年09月30日
●2017年9月の鑑賞記録
9/18
Times Square is so crowed as usual.
My hotel is just 3 minutes walk from Times Square. And its room is compact but very comfort.
9/19
MOMA.
Zaha's drawing next to Rousseau's Painting at MoMA 5th floor.
Frank Lloyd Wright at 150 Unpacking the Archive at MoMA 3rd floor.
Beautiful garden court at MoMA.
Zaha's building, along with the High Line.
Broadway Musical "Phantom of the Opera".
9/20
Statue of Literty.
World Trade Center Transportation Hub by Santiago Calatrava. Space like a cathedral.
9/21
Central Park Run.
Bryant Park.
Tonight Musical "Wicked".
9/22
Higgins hall at Pratt Institute.
Pratt Library in the Brooklyn Campus. 23 years has passed.
Whitney Museum of Anerican Art.
Exterior Stair, extended to the Sky !
Sky Restaurant, open to Hudson River.
The Metropolitan Museum of Art.
Museum open until 21:00 on Friday, but its cafeteria is closed…
9/23
Beautiful Morning, at Central Park !
2017年08月31日
●2017年8月の鑑賞記録
8/27
ジャコメッティ展@国立新美術館
会期終盤の週末でまずまずの入り。テーマを示して個別の解説は最小限な構成がスマート。空間と屹立する針金のような造形が作り出す緊張感が鑑賞の醍醐味と思うものの、混むとテーマパーク状態なのが悩ましい。
2017年07月31日
●2017年7月の鑑賞記録
7/11
〇レオナルド×ミケランジェロ展 ブロガー内覧会
超絶素描対決に始まり、ミケランジェロの全身彫刻「十字架を持つキリスト」で終わる。キリスト像は撮影可!(混雑状況で制限される可能性あり)
7/25
金沢21世紀美術館
Looking up from the Bottom of Leandro Erlich' s Swimming Pool.
Collection Exhibition 2 "Undying Life"
7/28
◎奈良美智 for better or worth@豊田市美術館
作家が長い学生時代を過ごした長久手からほど近い、豊田市での開催。世界の美術シーンで活躍し、30年目の卒業制作を試みる。代表作ばかりが揃い、今後も続く創作活動の、この瞬間でしか体験できない、渾身の展覧会。
導入部には、作家が子供の頃読んでいた絵本、学生時代に影響を受けた本、雑誌、画集等が並ぶ。反対側には、高校時代までに聴いたレコードジャケットがズラリと並び、音楽が流れる。若き日の作家と出会い、会場へ。
1階は初期作品。《花をあげよう》正面顔が2人に分裂。《Dead Flower》橙と緑の瞳、ナイフ、血、ランプ。《長い長い長い夜》1点だけ他より高く設置して、ポッと灯がともるよう。描き直し、つぎはぎ、荒い筆跡。
《ハートに火をつけて》立体のインパクト!正面少し歪んだバランスが、絵画の繊細さそのまま。その3方を囲むように絵画展示。ここでも《Twins I,II》が輝かんばかりに上方にポップアップ。
2階は立体。濃紺の壁、黒幕の天井空間に浮かぶ《Lonely Moon》、佇む《Rising Moon》。中には、作家の好きなものに埋め尽くされた創作現場。入場は4人まで。3階へと上がる階段の近くに瞬く星。
2017年06月30日
●2017年6月の鑑賞記録
6/4
大エルミタージュ美術館展@森アーツセンターギャラリー
ヨーロッパ各国を巡るように展示を巡り、オールドマスターに触れる。展示後半はやや手狭。印象に残るのは、美しいマリア様、可愛いマリア様、子供マリア様。展示が平坦なのか、自分の観方が片寄っているのか。ちょっと気になりました。
マーベル展@東京シティビュー
今や年中ヒーロー団体戦をやっているイメージの、マーベル。その系譜を解説しつつ、今後の展開をプロモーション。派手で大味な展望台スペースと内容がマッチしてていい感じ。NYを背景にしたスパイダーマンのPR映像が意外と良くて、そこが人気の秘密?とか思った。
6/6
熱田神宮
見事なまでに鬱蒼とした緑。
宮きしめん、いただきます。
6/9
呉市海事歴史博物館
通称「大和ミュージアム」。1/10で再現された戦艦「大和」を中心に、ゼロ戦、潜水艦等の実物展示と、充実した歴史パネル展示が並ぶ。映画「この世界の片隅に」を観て、その舞台に興味が湧いたので訪問。各国がブロック経済化を強める背景解説が現在と重なる。
海上自衛隊呉資料館
潜水艦を丸ごと陸に上げた突飛な外観、通称「てつのくじら館」。潜水艦の狭さ、海中を航行する危険さが良く分かった。
6/9-10
有馬温泉
有頂天家族2を観て、そうだ、有馬温泉に行こうと思い立ちました。
岩盤深くのひび割れから湧き出る泉源を中心に、度重なる天災、人災による荒廃から復活してきた有馬温泉。温泉って面白い。
6/18
〇レオナルド・ダ・ヴィンチ×ミケランジェロ展@三菱一号館美術館
イタリアルネサンス二大巨匠の名品素描を鑑賞する夢の企画展。冒頭の《〈レダと白鳥〉の頭部のための習作》、《少女の頭部/〈岩窟の聖母〉の天使のための習作》が並ぶ様は、まさに「神のごとし」。その大きさにもビックリ。
素描の性格上、作品は小品が主で、全70点と数も多くはないけれども、本物に触れる喜びは何物にも変えられない。彫刻を造るようにの描くミケランジェロと、彫刻に見えるように描くダ・ヴィンチの違いがよく分かる。
終盤の《月桂樹の冠をかぶった男性の横顔》で再びグッと熱量が増し、《十字架を持つキリスト》でエンディングを飾るはずであったろう構成は、最終作の未着というハプニングだけれども、そこも含めて、イタリアらしい展示。
2017年05月31日
●2017年5月の鑑賞記録
5/1
〇木×仏像@大阪市立美術館
飛鳥仏《菩薩立像》の正面のみの造形、《試みの大仏》のどっしりとした造形、《宝誌和尚立像》の割れ顔と丸太のような後ろ姿。クス→カヤ→ヒノキと材料の変遷。一木造→割矧造→寄木造と製作手法の変遷。仏像という木の造形を軸にした時間旅行。
塑像心木すらも一木造、内刳の実見、御衣木加持の実痕跡、寄木造仏像の製作中頭部。いかに木から仏像が誕生するか?ここまで細部に迫る展示を観たことがない。
どう観ても女神像だろうと突っ込みそうな《伝聖徳太子座像》、片足を上げて踊ってるような《蔵王権現立像》。人々を救おうと基本は前のめり、しかし中にはまっすぐ立ったり、後ろに反ったりがよく分かる360°鑑賞。そんなツッコミ鑑賞も楽しい。
そして見え隠れする快慶の存在。天王寺からJR奈良まで大和路快速で33分!快慶展@奈良博は目の前だ!(そこから2kmちょっと歩きますが…)
◎特別展「快慶」@奈良国立博物館
第1章 後白河院との出会い。入って左手に快慶最古の作例《弥勒菩薩立像》、右手に醍醐寺《弥勒菩薩座像》。若き日の作例と言いつつ、金泥の肌に切金紋様も残る状態の良さは、仏様が顕現したよう。妙法院《後白河法皇像》。絵巻マニアに続き、こちらでも大活躍。
悲田院《阿弥陀如来座像》。薄衣をまとう、柔らかな造形に見惚れる。勝龍寺《菩薩立像》。若々しくはりのある体躯に、思わず「美しい」と声がでる。清水寺《千手観音坐像》。奥院の秘仏だそうで、こんなところにも快慶。手広い。
第2章 飛躍の舞台へー東大寺再興ー。浄土寺《重源上人坐像》。俊乗堂像のうつし。上手い。金剛峰寺《広目天、多聞天》。東大寺大仏殿四天王像のひな型か。極端に下を見下ろす視線は説得力あり。東大寺《僧形八幡神坐像》。あまりに精気があり、おそろしい。
第4章 勧進の形ー結縁合力による造像ー。遺迎院《阿弥陀如来立像》。1万2千人の結縁で造られた像。権力だけでなく、新興宗教とも結びつく。運慶の工房と合わせれば、クラーナハを思わせる。八葉蓮華寺《阿弥陀如来立像》。大阪と奈良の県境にある快慶像。手広い。
第5章 御願を担うー朝廷・門跡寺院の造像ー、第6章 霊像の再生ー長谷寺本尊再興ー。最大の後ろ盾、重源を失ってなお、快慶の活躍は続く。長谷寺《十一面観音像》は失われたが、その同材を用いた長快《十一面観音立像》から、その姿が偲ばれる。圧巻の展示でした。
東大寺 南大門 金剛力士立像
快慶たちが復興した仁王像が、そのまま今も立っているというのは、本当にすごいことだ。
5/2
法隆寺西院 金堂、五重塔
ノコギリのない時代に、大木を割って、斫って、削って材を揃え、建てた。その建物が今も建っているのは、もう奇跡としか言いようがない。確かに、木肌が小さく波打ってる気がする。
20年ぶりくらいに金堂の中を観て、その保存状態の良さにビックリ。今回はパピリオⅡ持参なので、細部までくっきり。奈良博の金堂展でも観ているけれど、やはり元の場所で観るほうが断然いい。壁画が焼けたのは本当に残念。
法隆寺東院 夢殿
救世観音像を初めて観た。聖徳太子の等身と伝わるその姿は、金色の姿に、髭を生やしたおじさん顔。長らく秘仏として観ること叶わなかった時代を経て、こうして観られて嬉しい。
中宮寺 本堂
菩薩半跏像。当初は彩色され、装身具があったとは知りませんでした。黒塗りの仏様だと思っていました。天寿国曼荼羅繍帳。オリジナルの絹糸の寿命が尽きかけているという解説に、経た時間の長さを思う。
法隆寺 大宝蔵院
あまりに多くの飛鳥、奈良時代の金銅仏、塑像仏、木造仏、様々な工芸品(それもとても状態のいいモノ)が並ぶので、現世と過去のバランスがなんかおかしい。百済観音の細身のプロポーションは確かに魅力的だけれども、それ以上に時間が捻じ曲がったような雰囲気にビックリ。
〇特別展覧会 海北友松@京都国立博物館
60歳代から頭角を現し、宮家、天皇にも認められた絵師。その生涯を、狩野派時代の作品や海北家伝来資料から若き日を探り、活躍期の絵画へと通観することで、浮かび上がらせる。京博にしかできないであろう、ポスト桃山絵画史に新たな一ページを加える展覧会。
第一章 絵師・友松の始まり、第ニ章 交流の軌跡。狩野派時代の絵画に見られる友松の特徴、海北家伝来図書から浮かび上がる交友関係と気質。限られた資料から専門家が若き日の友松像を提示する。孫が書いた履歴って、当然誇張があるんだろうなあ…
第三章 飛躍の一歩、第四章 友松の晴れ舞台。支援者幽斎のつてで建仁寺塔頭の襖絵、屏風を手がけ、友松へと覚醒。それが評価されて大方丈障壁画《雲龍図》へ。薄暗い日本家屋に浮かぶ龍は、さぞ恐ろしかっただろう。スロースタートな展示も、いよいよエンジン全開。
第五章 友松人気の高まり、第六章 八条宮智仁親王との出会い。《野馬図屏風》の見事な袋馬描写。《扇面貼付屏風》金地の浜に打つ波、詩的に舞う扇。クライアントの求めに応じて、墨から金碧に。友松世界が加速する。
第7章 横溢する個性、第8章 画龍の名手・友松。《花卉図屏風》右隻に牡丹、左隻に春の花。金地に写実的な花が舞う画面は華やかで美しい。そして暗闇に浮かぶ《雲龍図屏風》。待ってました、これぞ桃山絵画、これぞ友松!
第九章 墨技を楽しむ、第十章 豊かな詩情。墨技で一息入れて、《月下渓流図屏風》。展示室奥面に二隻並べる置き方は、松林図屏風を思わせる。たっぷりの余白、霧に浮かぶ景色、ところどころの彩色。その詩情溢れる情景に見惚れる。友松物語の美しいエンディング。
展示も建物も素晴しいですが、両者のマッチングは今ひとつ。展示空間中央に設置された端正で美しい階段通路と視線の通る空間構成が、鑑賞の集中力を削ぐ。1階では特別展の動線が仏像展示で分断される。せっかくの見せ場の前に、集中力がブツ切り。もったいない。
5/3
WOLS@川村記念美術館
写真、ドローイング、油絵を通して、作家の凝視する眼差しが迫ってくる。観ているのは絵なのか、病んだ心なのか。何を観ているのか分からず混乱するが、とても心に残る。研究所敷地内のツツジ山開放中。新緑もきれい。
5/5
The First Monday in May@Bunkamura
METキュレーター アンドリュー・ボルトンが企画する《China:Through The Looking Glass》。その緊迫感高まる舞台裏を追い、メットガラの華麗な映像で締める。タフで美しい世界。
5/7
いちはらアート×ミックス2017
Carsten Nicolai: Parallax@市原湖畔美術館。白黒の光と音と振動の組合せは、見応え、聞き応えたっぷり。
アートハウスあそうばらの谷 鈴木ヒラク"道路"。養老渓谷の新緑、古い家屋の中にピカピカと光り、かつ陰影の美。
月出工舎。土の造形と、倒木を利用した舞台。
内田未来楽校。地域の人たちが、売却の危機にあった市原市最後の木造校舎を、保存・活用している施設。地域協働の作品も場にぴったり。その在り方自体が文字通り、未来楽校。
市原市の山側には行ったことがなかったので、いろいろな場所を回れて楽しかったです。アクセスの悪さもあり、集客は苦戦しているようですが、次回があると良いですね。
5/12
〇ブリューゲル「バベルの塔」展@東京都美術館
宗教から民衆への画題の変化、ボスからブリューゲルへの絵画の継承進化。そして《バベルの塔》。閉館10分前、6重の人垣を少しずつ前進しながら鑑賞。思ったよりもずっと美しい画面に感動。ひしめき合いながらの鑑賞が、絵の中の民衆のようでした。
5/21
美女と野獣@シネマイクスピアリ
エマ・ワトソンの黄色のドレスを観て、俄然観る気に。主題歌が流れ、背景が回転するシーンの美しさに感動し、パリの追加エピソードに涙を流す。悪事を1人に背負わせ、みんな仲良しのハッピーエンド。力技に押し切られた気がしつつも、満足。
5/26
みんなのカフェ&ショップ『キタノスミス』@太田市美術館・図書館
開架図書とソファのある図書館が居心地良い。
2017年04月30日
●2017年4月の鑑賞記録
4/9
〇並河靖之 七宝展@東京都庭園美術館
明治期超絶技巧系頂点の一つ、並河七宝の初回顧展@アール・デコ建築、旧朝香宮邸+庭園。物と場の組合せ自体が素晴らしい。購入したてのパピリオⅡ双眼鏡を持参して、じっくり鑑賞。館を出て、眼前に広がる桜までもが鑑賞体験の一部に思えて、満喫。
4/10
〇藤本壮介『都市、姿、風景、パブリックスペース、多様なスケール、あり方、関わり方』@国際文化会館
以前から話を聴いてみたかった建築家藤本壮介の講演会。生まれ育った北海道の自然と、学生時代を過ごした東京の街路空間。一見対極にある両者を、空間体験において意外と似ていると捉え、建築と社会との接点について語ることを試みる。サーペンタインパビリオンにおける建築を再定義する試み。東京の住宅における小ささを豊かさに転換する試み。パリのポリテクニクにおける止まり木のある空間。モンペリエの集合住宅のバルコニーをたくさん付けることによる生活の積層などなど。本当に楽しそうに話をする藤本さんと、パネリスト:小林正美さんと藤村龍至さんの鋭いツッコミも楽しかった。満開の桜の庭園、モダン建築の白眉 国際文化会館というロケーションも最高!
4/12
太田市美術館・図書館
建築家平田晃久設計の話題作。ぐるぐるスロープの本の迷宮を巡り、テラスへと出て新しい丘から街を眺める。その空間体験はとても楽しい。TSUTAYA的な図書館をコアに、カフェ・美術館・屋上庭園をスロープでつなぐコンセプト。複数の箱を並べて街を作り、全体を里山的な外観にまとめる。太田駅前の歩行者アクティビティ再生の起点になるか。評価はこれから。
4/21
特別展「茶の湯」@東京国立博物館 夜間開館
冒頭の牧谿《観音猿鶴図》に目を奪われ、後に続く名品オンパレードをひたすら鑑賞する。照明が画一的なせいか、モノによって映える映えないの差が感じられるのは残念だけれども、これだけの名品展観経験自体がとても貴重。光悦、仁清の艶やかさが素敵。
4/22
◎絵巻マニア列伝@サントリー美術館
横長書式に、絵と言葉で物語を紡ぐ絵巻。その名品の数々を、歴代有力マニアたちの視点と、収集と製作の記録から通観する展覧会。三条西実隆も感動した《玄奘三蔵絵》、《春日権現験記絵》を同じく観、感動する。時空を超えた体験が何より素晴らしい。
〇ファッションとアート 麗しき東西の交流展 ミニ鑑賞会@横浜美術館
衣装をまとったマネキンが闊歩する展示空間は、観て楽しかった。特に第3章のランプ・ソファと組み合わせたセット空間が素敵。
2017年03月31日
●2017年3月の鑑賞記録
3/3
◎竹中大工道具館
槍鉋と手斧で法隆寺を建てた驚き。唐招提寺屋根升斗栱の巨大さと、力の流れの美しさ。スケルトン茶室の原寸教科書的な分かり易さと、繊細さ。原寸継手を分解、組み立てることで、その複雑かつ精度の高い仕組みにビックリ。あっという間に時間切れで、再訪を期す。
ソードアート・オンライン ―オーディナル・スケール―
TVシリーズは観て、原作は未読。TVで観たかったアクションシーンが、美麗にダイナミックに展開するビジュアル面はとても素晴らしい!ラスボス戦最後の一撃のカットインは感動的。その反面、VRの後にARという技術進化の逆をいくような舞台設定、すでに無敵の主人公が終盤まで本気を出さないよう配慮されたような展開とサブキャラクターの動機。ネットゲーマーではない自分には、没入し辛く感じました。
3/4
〇ザ・コレクション@藤田美術館
建替え前、最後の展示。
今回はとにかく名品を見せる。大きい物が多く数を置けないため、前期後期でほとんど入れ替える。共通は曜変天目茶碗、金銅密教法具、玄奘三蔵絵(場面替あり)の3点のみ。前後期見れば、国宝9点は全て見られる。重文は51のうち14点。
〇台北 國立故宮博物院―北宋汝窯青磁水仙盆@大阪市立東洋陶磁美術館
神品至宝「青磁無紋水仙盆」を筆頭に、北宋女窯4点+景徳鎮官窯1点が来日。東洋陶磁所蔵の1点を加えた、水仙盆オールスター展。二度目はないかも。同時開催の「宋磁の美」でも「飛青磁花生」、「油滴天目茶碗」、「木葉天目茶碗」等がズラリと並び、本当に名品のオンパレード状態。名品とはこういうものだと、とにかく観る、観る、観るという感じ。
3/11
「君の名は。」展@松屋銀座
新海監督のインタビュー映像と設定資料を淡々と見せる構成。新海監督の目の下のクマがすごい。安藤作画監督の仕事っぷりもすごい。最後のRADWIMPSの歌詞コーナーの音楽が聴こえないのもすごい。
3/12
〇ミュシャ展@国立新美術館
スラブ叙事詩。色彩と明暗の美しさを背景に、群像と英雄と祈りが紡ぎ出す壮大な物語。音声ガイドを聴くことで、背景の読み込みもバッチリ!。あっという間に90分経っていました。大作を一堂に展示できる、新美の巨大な展示空間も大活躍!
3/16
アートフェア東京2017@東京国際フォーラム
S12ギャラリー玉英。野口哲哉さんのおじさんフィギュアと飄々したと話しっぷりが大人気。お向かいのS08香染美術。上根祐馬展 飛天の造形も良い。S14松本松栄堂。蕭白画が眼福。人通りが多く当たらないかドキドキ。N49靖雅堂 夏目美術店の村上裕二✖️ウルトラマン「恒点観測員304号、ウルトラセブン」。遠目からでも目を惹く、赤い勇姿がカッコイイ。おじさんホイホイかと思いきや、若い女性にも大人気。
3/25
内海聖史「遠くの絵画」@YCC Gallery
抽象絵画による空間アプローチ。柱を囲むように3方壁を建てた展示空間は想像以上に小さく、中心となる位置に柱があり、鑑賞には必ずしも向かない。じっと観ていると、小さな星々を散りばめた空間が立ち上がってくる気がして、興味深い。
3/30
蘇る!孤高の神絵師 渡辺省亭@加島美術
カフェのある美術館ナイト@6次元
『カフェのある美術館 (青い日記帳監修) 』の編集裏話から、青森、十和田と本書未掲載の美術館&カフェの紹介。十和田の美術に目覚めちゃったシャッター商店街店主さん、ご当地B級グルメのバラ焼きを経て、海外編へ。参加者はアートクラスターよりカフェクラスターの方が多かったようで、アウェイ感あふれる会場でした。
3/31
大英自然史博物館展@国立科学博物館
世界が秘密に満ちていた時代に、その秘密を解き明かさんと挑んだ先人たちの挑戦と成果の記録。そして、その挑戦はこれからも続く。
来客層は、子供連れとカップルと個人が1/3づつといった感じ。特に目立つのは、目を輝かせる子供たち。さすが科博の展示と思いました。
2017年02月28日
●2017年2月の鑑賞記録
2/4
◎この世界の片隅に
のんさんの素晴らしい演技と、緻密な考証下に紡がれる情景。主人公のすずさんと一緒に、第二次大戦下の広島・呉で、日常を楽しみ、空襲におびえ、大切なものを失ってなお、生き続ける日々を共有する。大きめに描かれた手の表情豊かな仕草もかわいい。
2/9
◎青い日記帳×オルセーのナビ派展 ブロガー特別内覧会
「分かったような、分からないような。でも、とても魅力ある作品が集まっている。そんな展示だと思います。」
2/24
◎リニューアル記念 特別名品展@MOA美術館
ロビーに入ると、正面に山景が飛び込んでくる。斜め右を向くと、足元が透明なベンチソファ越しに海景が広がる。そして展示室へ。
展示室1。柳橋図屏風を露出展示で見せてから、佐竹本三十六歌仙切等の重文がズラリ。ゴン、ゴンと展示ケースに額をぶつける音が続く。ガラスが本当に見えないので、あると知っていても初めはぶつかってしまう。
展示室2。中心に据えられた黒漆喰のボリュームが、空間に秩序と豊かさをもたらす。その中に、野々村仁清《色絵藤花文》が浮かび上がる。ただ、美を観るために削ぎ落とされた空間。尾形光琳《紅白梅図屏風》。MOA所蔵品は撮影可能 の配慮が嬉しい。
展示室3。MOA美人画オールスターズ。特に《湯女図》が素敵。黒漆喰壁による空間秩序と質感が、鑑賞体験を豊かにする。
2階に降りて、展示室4。ここから仏像ゾーン。階段から続く空間シークエンスがやたらカッコイイ。そして噂の屋久杉材の免震装置が登場。
展示室5の途中で名品展が終わり、杉本博司展が始まる。《加速する仏》。加速の果てに押し寄せる仏の大軍団。《海景-ATAMI》。うーん。全編に通じて、美への没入感と、うまいこと言いくるめられてる疑念が交錯してしまう。
というわけで、杉本博司と榊田倫之の空間造作に酔いしれました。今回はリニューアル空間お披露目のオールスター展示でしたが、この空間の真価は次回展でこそ映えそう。山中常盤物語絵巻をこの空間で観るのがとても楽しみです。
2/25
〇オルセーのナビ派展@三菱一号館美術館
2回目の鑑賞。ナビ派の始まりをしっかり見せて、それからテーマ毎に分かれるので、表現が幅広くても混乱せずに見られる。何より、良い作品が揃っているので、観て楽しい。リピートが楽しい展示。
〇It's a Sony展 Goodbye Sony Building, Hello Sony Park Part-2@Sony Building
銀座超一等地の建物を解体して公園に!という企業メッセージは素敵。しかし「街並みの美学」の体現ともいうべきスキップフロアがなくなる喪失感はその比ではない。
〇カフェのある美術館 監修 青い日記帳
読了。カフェのある美術館、文学館等を25件紹介。私が行ったことのある美術館等が18、カフェが9。なんと勿体無いことを!と愕然。読むと『美術館』に行きたくなるのは、監修者の愛情♡の賜物。
2017年01月31日
●2017年1月の鑑賞記録
1/3
博物館に初もうで@東京国立博物館
花鳥図屏風の上へ吹き上げるような描写にめでたさを感じつつ、特集展示、松林図屏風、若冲、応挙等を見て回りました。1階で戦隊ポーズを決める十二神将様にほっこり。薬師様不在なので羽を伸ばしているよう。年始の行事として定着しましたね。
1/7
〇小田野直武と秋田蘭画@サントリー美術館
冒頭に登場人物紹介と居住地マップ。平賀源内、解体新書、西洋博物図譜、南蘋派とエピソードを積み重ねて、第4章から本編。精緻さと独特な遠近構図が冴える!展覧会に重ねて直武の生きた時代を描く構成が素晴らしい。
松林山人「牡丹図鑑」の素晴らしい描写。「博物大名ネットワーク」の中心、細川重賢は絵師を抱えず自ら描いたのか?とか、「曙山は大変な癇癪持ち」の記述に直武の苦労を感じたり。同時代絵師、応挙・若冲の客演も嬉しい。サブキャラクターが魅力的な展示。
1/9
拝啓ルノワール先生@三菱一号館美術館
梅原龍三郎のテキストを通して見る、後期ルノワールを中心とする19世紀初頭の西洋絵画展。寄託品を含めた美術館コレクションを中核としつつ、新たな視点を提示する構成が上手い。最終章で前期と過渡期ルノワールも見せるバランスが良かった。
〇岩佐又兵衛と源氏絵@出光美術館
又兵衛以前として土佐派の俯瞰的かつ精緻な画帖→又兵衛による単画面の革新性→工房による複数画面への取り組み→源氏物語解説+土佐派と又兵衛派の54帖屏風揃い踏み→そして冒頭へ。無限ループのように時間あるだけ見続けてしまう内容と構成の上手さ。
1/14
クラーナハ@国立西洋美術館
再訪。《ヴィーナス》ツリ目の顔立ちにS字のポーズ、薄いヴェールの魅惑。ちらり。《ホロフェルネスの首を持つユディト》精緻な描写と美麗な彩色。冷たい視線とコロリと転がる男の生首。鼻の下を伸ばしたり、冷たく睨まれたり。様々な誘惑を堪能。
1/28
〇春日大社 千年の至宝@東京国立博物館 平成館
第1章 神鹿の杜。『春日厨子』の鹿の眼、森川杜園『神鹿』のプニッとした感じが可愛い。
第2章 平安の正倉院。蒔絵弓、金地螺鈿毛抜形太刀等の古神宝の数々。普段観ること叶わない再現本殿。そして、春日権現顕記絵。見どころ目白押し!
第3章 春日信仰をめぐる美的世界。御堂関白記をはじめとする要人参拝の記録と、春日宮曼荼羅のバリエーション。
以降、武具、芸能、式年造替。空撮映像に映る、往時そのままの伽藍と背後の御蓋山から立ち上る霧が、権現顕記そのままで何より素晴らしい。
1/29
〇火焔型土器のデザインと機能@國學院大学博物館
有名な火焔型土器を中心に、火焔土器様式を紹介。主役は内面のオコゲ。炭素窒素同位体比に基づき、『食品の煮炊きに使った』『地域によって煮たものが異なる』と推論。用途と形状から、縄文人の心情を想い、デザインへと至る。
2016年12月29日
●2016年12月の鑑賞記録
12/3
若冲の京都@京都市美術館
花鳥、人物、風景、吉祥。若冲画をテーマ別に並べる構成。同一構図の多い画は人気があったのだろうか、背景の小さな差異は注文主の意向だろうか、この絵はちょっと怪しいのではと、若冲のいた京都に想いを馳せる。墨絵中心の、余白の楽しい展示。
〇高麗仏画 世にも美しきみほとけたち@泉屋博古館
仏画でありながら、リラックスしたポーズをとり、たまにポートレートのようにカメラ目線をおくる高麗のほとけさまたち。その荘厳かつ繊細な美しさにひきこまれる。復元模写とその制作過程の紹介も効果的。
12/10
市川市国府台遺跡第187号地点見学会
関東ローム層の上に残った、弥生時代から平安時代(1,700〜1,100年前)の竪穴住居跡と土器。表土から1mちょっと下に古代の暮らしの痕跡があるなんて驚き。近所のイベント感覚で人が集まってました。
◎トラフ展 インサイド・アウト@ギャラリー・間
ギャラリーを飛び出し建物全体に散りばった100の思考の断片。3F会場に一歩踏み入れた瞬間に始まる冒険の旅、手にはガイドマップ。4Fはミニチュア鉄道から眺める会場ムービー。視点の切替が鮮やか。めちゃくちゃ楽しい。12/11まで!
神戸智行展ーLifeー@ギャラリー広田美術
箔・絵具・和紙が織りなす繊細な面表現。亀、蛙、蝸牛、蜥蜴、蝶、蜻蛉などの小さな生き物たち。目を凝らすと、蟻、ダンゴムシなどのさらに小さな生き物たち。生き物がワサワサ蠢く美しい世界。
12/11
神戸智行さんのアートワーク@フォーシーズンズホテル京都
1Fロビーから少し奥まったエレベーターホールにあります。中心から広がって行く構図、華麗な技法、息づく生命。大画面でみる神戸作品は良いな〜とじっくり観ました。タイトルは《ゆきみまど》だったような…
12/18
東京ディズニーシー
やはりディズニー納めに行かねばと奮起したものの、クリスマスの1週間前なのに、まさかの日付指定入園日。ファーストパスも出足早く、9時過ぎにしてすでに終戦モード。お茶・お昼をはさみつつノンビリ過ごすことに。、ジニーのマジックランプシアターを観て、エレクトリックレールウェイを往復して、センター・オブ・ジ・アースに乗って、パーフェクト・クリスマスをチラリと眺めて、15時過ぎに早々に退散。
〇ローグワン
結末からのリバースエンジニアリングは完璧。その範囲内ギリギリで盛りに盛った映像は迫力十分。特にクライマックスは涙涙。若い層がエピソード4を観るきっかけになると良いですね。と、もっともらしいことを呟きつつ、TDS&SWでディズニー漬けの1日でした。
12/27
〇北斎の帰還@すみだ北斎美術館
北斎が生まれ、住み続けた地に建つアルミパネルの箱。切込みと斜め壁による空間操作で街に溶け込む。階段がない展示階へのアクセスは、土地大きさと機能要求のアンバランスからくるのだろう。街の拡張として建物を計画する例として素晴らしいと思う。
内部は展示スペース、図書室、講座室等多機能。どこも手狭だけれども、狭小住宅のようでかえって独自性がでてたりするのだろうか。ただ、常設展示はダイジェストすぎて、近くに江戸博があるのだし、なくても良いのではと思った。
特別展。「隅田川両岸景色図巻」橋の賑わい、両岸の名所、舟の影を落としつつ静かに流れる水面の様が素敵。状態の良い錦絵の数々も眼福。「すみだの北斎」が感じられて良かった。
2016年11月30日
●2016年11月の鑑賞記録
11/5
◎速水御舟の全貌@山種美術館
冒頭《鍋島の皿に柘榴》の精緻さ、前回は平塚に出ていた《樹木》の艶かしさと対面。《翠苔緑芝》の写実的かつ幻想的な画面、《名樹散椿》の左下に流れ落ちるような描写に魅入る。そして《炎舞》。不動の炎が立ち上がり、円に蛾が呑まれていく。決定版の展覧会。
11/19
荒木愛展[I SPY Ⅱ]@画廊くにまつ青山
[I SPI Ⅰ]から2年半。時間が経ち、季節が変わり、面構成の試みが増え、鳥たちが変わらず可愛らしい。岩絵具ならではの質感ある画面は、観る楽しみに満ちてます。
11/23
◎円山応挙「写生」を超えて@根津美術館
第一章は藤花図屏風と雪松図屏風の揃い踏み。精緻さと大胆な簡略化を自在に駆使して描い出す、リアルで神々しい世界。第二章は若き日の模写や写生帳。第三章は七難七福図巻全三巻。過去の手本から学ぶ真面目さと、卓越した描写力。堪能しました。
2016年10月31日
●2016年10月の鑑賞記録
10/2
〇あいちトリエンナーレ2016@東岡崎会場
石原邸
柴田眞里子さんの陶器。繊細な影を落とす作品を、あえて触って棚から棚へと移す展示。その薄く軽い質感におそるおそる触れる。
先ほどの触れる展示の隣は、土壁の納戸に瓦を積み、その中に白箱を挿入して陶器を見せる。質感対比の美が、心に届く。来て良かった。
東岡崎駅に降り立った時点で漂う、濃厚な昭和の香り。家康公ゆかりの地としてのプライドと、老朽化を隠せない現状。積み重ねた時間と現代アートががっぷり組んで、ねっとりとした体感経験が記憶に刻まれる。
あいちトリエンナーレ2016@豊橋会場
水上ビル ラウラ・リマの展示
老朽化した4階建ビルの一角を全階+屋上まで金網で囲って鳥カゴ化。100羽の小鳥が飛び回る中を、1度に10人のひとが入って散策する。鳥天国に観客は大興奮。
新幹線停車駅として綺麗に整備された駅周り会場は、清潔に漂白された表層。そこから鉛直に延びる旧市街側?会場はその裏層に見える。バラツキつつも、前者だけで完結せず後者もしっかり見せる。さらには、鳥の視点から人間を見せる。
名古屋会場の鉱石粉末の花柄神殿、岡崎会場の江戸の遺産と昭和の空気、豊橋会場の新旧の混交。3つの点をつなぐことで今の「あいち」を浮かび上がらせる構成は、トリエンナーレならではのデコボコ感とスケール感があって、楽しい経験でした。
10/3
〇春日大社の国宝@春日大社 国宝殿
展示室 神垣
漆黒の通路の先に榊。壁に質感、天井はルーバー状。左に折れると水盤《神奈備》。正面に回って腰を下ろし、天井に広がる水紋を眺める。進むと、糸で編んだスクリーンに色味ある光が移ろう《春日》。聖地と現代をつなぐアート。
鼉太鼓ホール
ここのみ撮影可。色鮮やかな王朝文化が肌で感じられるようなスケール、色彩、細工、映像に包まれる。振り返ると、外の建物(トイレ、ロッカー、自販機)も軸線を振って景色として美しい。
2階展示室
展示のほとんどが国宝。金物が金無垢と判明した金地螺鈿毛抜形太刀の輝き!藤原家プリンスの解説と、春日権現験記(複製)の鳥居と太刀が描かれた場面を添える構成があまりに素晴らしくて涙が出ました。文字通り、光り輝く展示。
10/8
◎鈴木其一展 第3期@サントリー美術館
いよいよ夏秋草渓流図屏風と風神雷神図襖が登場、日曜美術館効果で人出も増して、盛り上がってきた。渓流の鮮やかな青、琳派4代継承の構図等見応えたっぷり。惜しむらくは、美術館の箱が小さいので、絵の大きさと迫力を堰き止める。根津で観たい。
10/22
クラーナハ展@国立西洋美術館
ルカス・クラーナハ(父)の宮廷画家、商業画家、工房経営者としての活動の軌跡を6章構成で紹介。版画展開、幅広い顧客層、後世への影響等、多角的に作家像を造形。5章「誘惑する絵」のユディト、サロメが並ぶ空間が精緻かつ濃密で抜群の見応え。
10/30
◎鈴木其一展 第5期@サントリー美術館
1,1,3,5期と4回目の鑑賞。太田記念から来た扇子群が5期を彩る。正確な輪郭描写とサラッとした着色の組合せに描写精度の高さを、大輪の朝顔が円弧を描く様に構成力の凄さを感じる。其一が琳派を超えているという評は的を射ている。本日最終日!
2016年09月30日
●2016年9月の鑑賞記録
9/2-3
あいちトリエンナーレ2016@名古屋会場
愛知芸術文化センター
展示をくぐり、白い回廊を経て、たどり着く。息をのむほど美しい。
名古屋市美術館
木陰でポケモンGo!、広場でダンスパフォーマンスの練習。様々なアクティビティが交錯する白川公園。その一角で現代アートの祭典"虹のキャラバン"を観る。暑いけど気持ち良い。
旧明治屋栄ビル
インスタレーションと映像展示と取り壊し前の古いビル。妙に落ち着いて長居。
中央広小路ビル
気持ち良さそ〜。
長者町会場
前回に比べて会場数が大幅に減った印象。活性化が進んで空きビルがなくなった?会場内の景色と、窓から見える街の景色との対比が魅力。
損保ジャパン
本展の顔とも云うべき大巻伸嗣のもう1つの展示。暗闇の中の光のうねり?よく分からなかった。
とても美しい部分がある一方で、ただ主張を言ってるだけでアート?と思えるもの、ローカルな活動報告等が混ざりあう。「虹のキャラヴァン」とは上手いテーマ設定。ただ、全体の印象はやや散漫。残り2会場に愛知独特の濃厚性を期待。
会場巡りをしている年齢層。過半数がおじさん。次いで若者のカップル。そして女性の印象。2010のときは圧倒的に若者が多いと感じたので、意外な感じ。アート巡りはおじさんの趣味として定着したのかな?
9/10
◎鈴木其一展@サントリー美術館
4階は師、兄弟子の作品から、其一様式、弟子たちの作品。3階に降りて、其一作品がずらりと並ぶ。外周から紹介して、写実的でありながら幻想的な其一ワールドを満喫。恒例の展示替えリストを眺めつつ再訪を期します。経歴に不明点が多いのも意外。
9/18
〇君の名は。
冒頭の彗星、男女の入れ替わり劇、田舎と都会それぞれの美しさ。映像美とスケール大きなラブストーリーの名手、新海監督が描く、すれ違いを繰り返す古典系な出会い劇。クライマックスシーンの迫力、途中から涙が止まらないせつなさ。感涙しました。
9/19
松島瑞巌寺と伊達政宗@三井記念美術館
展示室1から2へと続く宝石箱のような島型展示では、伊達政宗の見事な書と歌の才に驚き、展示室4では33年に一度しか開帳されない秘仏五大明王像をありがたく鑑賞。盛り沢山な二本立て仙台名品展を、特徴ある箱で観る楽しみ。
〇平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち@東京国立博物館 本館 特別5室
高天井かつ2階バルコニーが裳階に見える、方形に近い平面の特別5室。重文仏19体にぐるりと囲まれ、その中心に十一面観音菩薩坐像が鎮座する様は、荘厳そのもの。何度となく場内を回り、入口に戻っては像を見上げる。その背面上方に映る甲賀の景色も効果的。
9/25
クリスチャン・ボルタンスキー@東京都庭園美術館
アールデコ装飾の調度品を観ながらに亡霊の声を聴き、麦わらの匂いに包まれて遥か彼方の風鈴の音を聴く。豊島で聴いた心臓音と、作家インタビューが合わさって、さらに時空間が広がる。目に見える情報を遥かに凌ぐ体験をする。
宇宙と芸術展@森美術館
曼荼羅、かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ。時間と視点を手掛かりに、宇宙を芸術から捉える、森美らしいチャレンジングな企画展。博覧会としては2014年の宇宙博@幕張メッセがあるので、展覧会として何が見られれるか?と楽しみに出かけたけれど、やや散漫な感じ。
ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち@国立新美術館
素晴らしい企画展が続く、日伊国交樹立150周年記念の一環。ティツィアーノ「聖母子」を観た後、空間をたっぷりとって現れる、「受胎告知」の神々しさが何より素晴らしい。作品数は少なめで、展覧会としてのボリュームは今一つ。
2016年08月31日
●2016年8月の鑑賞記録
8/11
シン・ゴジラ
レイトショーで鑑賞。2時間を一気呵成に見せる緻密な構成と、バリエーション豊かな特撮シーン。徹底的にリアルな画面造り。虚構が現実に迫る怖さが感じられて画面に釘付けでした。意外だったのはスカイツリーを壊さなかったこと。高すぎて画面映えしなかった?
8/13
ミッフィー展@横浜赤レンガ倉庫1号館
シンプルな構成とミッフィーカラーの原画を中心に、60周年記念コラボ作品で構成したミッフィーを愛でる展示と、怒涛の物販。屋外では熱狂的なピカチュウイベント。飲食スペースには溢れんばかりの人人人。真夏の炎天下の2大キャラクター対決!
ジブリの大博覧会@六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー
憧れの猫バスに乗れる!それだけで満足。
空を舞う飛行装置群。発光し、昇降するゴリアテ。
8/21
子供とファッション@東京都庭園美術館
アールデコの館で、西洋子供服の歴史を、美麗な実物展示で辿る。子供服のデザイン要素が、大人の服に取り入れられていったという流れが意外で興味深い。ゆったりとした時間が流れる鑑賞体験が何より素晴らしい!
2016年07月31日
●2016年7月の鑑賞記録
7/10
〇S-HOUSE MUSEUM
妹島事務所初の木造2階建て3世帯住宅を、20年を経て改修した美術館。1階に各世帯個室と浴室、2階に共用LDKを配し、その四周に吹抜け回廊を回して、半透明ポリカ波板で包んだ箱。
アーティストを固定して毎年新作を加えながら変化していくとのことなので、まずは初訪問。白い空間にアートワークが映える。特に加藤泉さんの作品と木製ルーバーと窓からの風景の組合せがカッコイイ。
この建物は、吹抜け回廊を半透明ポリカ波板の外皮と採光調節用木製ルーバーの内皮で包んだ環境装置。20年間家として使い、これからは美術館として使う。残したいと思う気持ちが名建築を生む。
美術館への改修にあたり、変えたのは1階和室に面した部位。以前は老夫婦用のキッチンがあったところを鑑賞者の休憩スペースに。他は外装のポリカ波板が黄色味を帯びていたので新しくした程度。
2階トイレはオープンスペースに白い筒状に配置(中にも作品展示あり)。2階のルーバー開閉が大変かと思いきや、基本的にこのままとのこと。写真映りは良いけれども、空調設計面は厳しい。
2016年06月30日
●2016年6月の鑑賞記録
6/12
カラバッジョ展@国立西洋美術館
あっという間に最終日。再訪せねばと滑り込み。バッカスをはじめとする見ごたえのある真筆の数々、古文書館の資料から漂う血生臭さと合わせて、記憶に残る素晴らしい展覧会でした。
6/18
新潮社写真部のネガ庫から@la kagu
個性豊かな作家さんたちのポートーレート集。奇人変人大集合という趣で、とても楽しく鑑賞。デートスポットから、近隣の夕涼みの場へと変化する la kaguの空間が何より素晴らしい。
la kagu からかもめブックスへ。本に触れることの楽しさを実感できる、充実の時間と空間。思わぬ本との出会いがあってビックリしました。
2016年05月31日
●2016年5月の鑑賞記録
5/3
ルノワール展@国立新美術館
導入は「猫と少年」の意外さ。肖像画、風景画ときて「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」。薄暗い場内に浮かび上がる、都会の喧騒、柔らかなスポッライト、恍惚の人たち。まさに傑作、素晴らしい!無難にまとめた構成も◎。
5/5
第55回NHK杯体操@代々木体育館
体操のNHK杯を観に原宿まで来ました。すごい人です。暑いです。内村航平選手の演技が目玉ですが、白井選手や市立船橋の選手にも期待。でも、いつ誰がどこで演技するか分からないので、TVで見た方が良いかも。がんばります。
第1ローテの床でひょっとしての予感を感じさせるも、あとは内村選手のオンステージ。第6ローテの鉄棒でダイナミックな回転の後に着地をピタリと止めて、場内大歓声。圧倒的なオールラウンダーぶりでした。
5/8
セイコーゴールデングランプリ陸上2016川崎
のどかなムードの中、熱戦が繰り広げられてます。A, S 席はSOLD OUT !
男子400mアナウンス中。場内手拍子!
男子やり投の熱戦が続きます。やり投げ後の槍を選手の元まで運ぶ車?がかわいいです。きゅん。
いよいよ男子100m。がんばれ〜!
ガトリンはえ〜!10:02!
5/19
前川國男展@岡山県立美術館
岡山芸術交流2016プレイベントとして、その3つの主会場の設計者、前川國男とその建物を紹介する。図面や写真をプリントした布地で区画して、所々に模型を配置する。壁には彼の言葉。
シンボリックな縦と横のマス。流れるような「一筆書き」空間構成。それは多方面アプローチを力任せに解くことが流行っている現代でも有効なのだろうか。イベントが盛り上がると良いですね。
天神山文化プラザ 設計前川國男[1962]
名前の通り、色々な市民団体が出入りしていて活気がある。開かれた広場としてのピロティ空間は、時間を経てなお健在に見える。その一方で、特徴的な外部階段は老朽化が進んで痛々しい。
日本工芸の100年@岡山市立オリエント美術館
荒らしたコンクリート肌で囲まれた吹抜け。落ちる光が劇的で美しい。その洞窟のような空間を囲むように展示室。東近美コレクションの巡回展を置いても、空間の個性があまりに強く、重苦しい。
5/21
美少女戦士セーラームーン展@六本木ヒルズ展望台 シティビュー内スカイギャラリー
怖いもの見たさに行ってみた。会場は95%以上若い女性、男性はオマケに少し。物販とカフェは80分待ち。会場を埋める熱気がすごかった。
六本木クロッシング2016展 僕の身体、あなたの声@森美術館
身体を扱うデリケートな展示。エンターテイメント性は低めに感じられる。山城大督さんの音と動きのあるインスタレーションが素敵だった。12面体スピーカーのフラットな音にも感動。
広重ビビッド@サントリー美術館
冒頭の〈阿波 鳴門の風波〉の緑の渦潮の描写と波線のボカシ。画面から伝わる瑞々しさに、一気に引き込まれる。六十予州名所図絵で日本遊覧を楽しみ、名所江戸百景で少し視点を変えた都内の景色を楽しむ。看板に偽りなし。
5/22
広重ビビッド@サントリー美術館を観た翌日に江戸川をランニング。名所江戸百景「鴻之台」に描かれた崖と川の元ネタはこの辺りかと思いを巡らす。こんな所も魅力。
2016年04月30日
●2016年4月の鑑賞記録
4/9
奥村土牛展@山種美術館
桜の季節に観る《醍醐》のピンクは幻想のように美しく、ぼやけた輪郭は少し湿った大気のよう。揺れる船中でスケッチをしたという《鳴門》の素晴らしい臨場感!《水蓮》の可愛らしさが最大の収穫。
4/10
オートクチュール展@三菱一号館美術館
オートクチュールの歴史を実作でたどる華やかな展示。入館者男女比 0.5:9.5。バレンシアガのドレスのシルエットと、デザイン画から現実へと着地するダイナミックさが素敵でした。
俺たちの国芳、わたしの国貞@Bunkamura ザ・ミュージアム
英雄物語、スター、怪異譚と現代文化の共通性と、人気絵師の対決構図で魅せる浮世絵再発見展。二人の画風の違いが分かり辛く、同じ大きさの画面が連続する構成が難。カタカナのルビは意味不明。
4/17
瀬戸内国際芸術祭 2016 春
最終日に滑り込みで犬島へ。
F-Art House 。モコモコスペースのモコモコ立体がかわいい。
石職人の家跡。周囲に馴染んで良い感じ感じ。ちょこんと置いてあるウサ耳チェアがかわいい。
犬島精錬所美術館。アプローチに仕掛けたミラーマジック、メイン展示、自然循環の空調。コミッションワークならではの絞り込んだ構成とシャープな造形が素晴らしい。
発電所跡。かつてあったものがなくなり、壁のみが残る。その存在感は意外なほど大きく、建物の躯体のみが仕上がった時のシンプルで力強い感じに似てる。
S邸/コンタクトレンズ。レンズの向こうの景色に、様々な大きさに反転されたパッチワークが嵌め込まれる。荒神さんの作品はいつも想像以上に面白い。
A邸/リフレクトゥ。こちらは花の造花のスクリーンの存在感が強くて、周囲の景色に溶け込むも言うより、花輪を掛ける感じ。
中の谷東屋。ラビットチェア5連!低い屋根は音響が面白いけれど、意外と寛げない。夏は日陰として重宝しそう。
C邸/エーテル。レーザービームのような水糸が強烈で、「島とアートと鑑賞者をつなぐ」というより独演会。ハンモックが気持ち良い。
I邸/プレーンミラー/リバース。フィルターとしての展示を挿入することで、周辺環境の豊かさが引き立つ。と感じます。
木陰で一休み。とても楽しい。
4/23
若冲展@東京都美術館
会期2日目、初週末の出足は絶好調。作品数少なめなガランとした空間に、鑑賞者がひしめく。見所はなんといっても、動植綵絵の全点展示。老松白鳳図のふわふわハートマークに再会して、目頭が熱くなりました。
手拭いの「入荷分は完売」と書いておきながら、「本日分が入荷しました〜」商法に、コロリとはまる。オペレーションが改善されたらしく、待ち時間は短かったです。
4/24
高島野十郎展@目黒区美術館
三鷹市美術ギャラリーの没後30年展から10年。前回は会場の狭さもあって、厳しい眼差し、ストイックな姿勢が印象に残ったけれども、今回は明るく伸びやかな風景画に目がいく。10年の再会が嬉しい。
メディチ家の至宝@東京都庭園美術館
メディチ家の栄華を辿りつつ邸内を回り、美しい新緑の緑に目を愉しませる。気候の良い季節の到来が何より嬉しい。
新館内のカフェ・ド・パレで自然光と庭園と美味しいランチ。
4/29
よみがえる仏の美@静嘉堂文庫美術館
運慶か?仏像と、若冲が参考にしたという釈迦三尊像と、曜変天目。緑豊かな緑地内の歩きはピクニック気分。帰りのバスに乗れずに駅まで歩く。楽しかった。
2016年03月31日
●2016年3月の鑑賞記録
3/5
村上隆の五百羅漢図展@森美術館
最終日前日に再訪。大画面を埋め尽くす驚くほどの密度と、磨き込まれた表層を再見。入場50分待ちの人出とひっきりないシャッター音が、展覧会というよりも観光地の賑わい。蕭白リスペクトの獅子がかわいい。
3/6
カラヴァッジョ展@国立西洋美術館
真筆11点を交えた全51点を、7つのテーマに分けて構成。冒頭の若い女占い師に騙されるボンボン、トカゲに噛まれて涙目の少年、ワイングラスを差し出す艶やかなバッカス。どれも現代的で魅力的。
各章の冒頭にカラバッジョ、続いて継承者たちの作品。割合は1:4。おっさんが画面を占める割合が高いので、合間に天使や女性主題の絵を挟んで中和する感じ。同じトーンの作品が続くので、構成はやや単調。どうルネッサンスを超えたのかがわからない。
間に挿入されるカラバッジョに関する取り調べの記録が、何より雄弁に彼の人となり、当時の空気を伝える。美化された天才像の創出を目指す展示とは一線を画す、人間臭くリアルな造形。モデルも若い人が多く、とても現代的なセンスが感じられる展示。必見。
ピクサー展@東京都現代美術館
コンセプトボード、模型、ストーリーボード等の手作業でビジュアルを確認しつつ、ストーリーを練り込んでいく過程。初期のショートフィルムと、ストーリーボードの世界を旅する特別映像。ワクワク感満載で大入り。
3/20
宮川香山展@サントリー美術館
冒頭に見所4点、前半に高浮彫陶器をたっぷり見せて、後半は釉下彩磁器の世界。過剰なまでの高浮彫表現への執着と、ガラス質の色彩美が好コントラスト。初代香山の極めた2つの世界を堪能。
3/21
「日本美術全集」講演会@丸ビル
全集完結を記念して、辻先生と山下先生が対談。特に両先生の見解が分かれるところがライブならでは。伝「源頼朝像」の製作時期、船木本「洛中洛外図」の又兵衛、光琳「紅白梅図屏風」の not 金箔。そして衝撃の「檜図屏風」〇〇発言!楽しかったです。
3/26
かざりー信仰と祭りのエネルギー@MIHO MUSEUM
辻館長退任記念展は辻美術史のキーワード「かざり」。仏教伝来、大仏造立、密教、荘厳、そして動物たち。細工の美しさ、込められた想いに目が届く構成が観て楽しい。
近江神宮
「ちはやふる」に感化されて訪問。
3/26
鉄道博物館@大宮
2016年02月28日
●2016年2月の鑑賞記録
2/21
レオナルド・ダ・ヴィンチー天才の挑戦@江戸東京博物館
人入り好調、ダ・ヴィンチブランド強し。『ダ・ヴィンチ伝説+数枚の真筆断片+1枚の真筆(部分のある)絵画』の構成。場内に散らばる天才の手跡を追う宝探し型展示。《糸巻きの聖母》待ち行列と鑑賞動線が交差することに閉口。
2/26-27
大阪食い倒れツアー
たこ焼き@わなか
イートインスペースが大人半分、近所の子供たち半分。駄菓子屋感覚で落ち着く。
長谷寺の名宝と十一面観音の信仰@あべのハルカス美術館
ズラリと並ぶ平安時代の十一面観音像の体躯、顔の差異が興味深い。難陀龍王立像、雨宝童子立像の造形、彩色を間近で観られるのが出色の魅力。屋外展望スペースで食べるクレープも美味しい。
天王寺から大阪上本町まで散歩。
重文の石舞台で鳩がくつろぐ昼下がり@四天王寺
お好み焼き@ゆかり
日本一長いらしい天神橋筋商店街を散歩。
やはりお好み焼きは関西の方が美味しい。
途中、 巫女喫茶の呼び込みを見ておどろく。
ポムポムプリンカフェ@大阪駅
おなか一杯になりながら、最後はキャラモノ。
店内は女性95%。おまけの男性5%。
パフェの見た目はかわいいけれども驚異の量と甘さ。
2016年01月31日
●2016年1月の鑑賞記録
1/16
フェルメールとレンブラント展@森アーツセンターギャラリー
17世紀オランダの新富裕層の台頭と画題の変遷を縦軸に、黄金時代を彩る画家たちの作品を紹介する。平坦な構成は観やすいと同時に薄味に感じられる。あの「水差しを持つ女」をこんなにゆっくりと見られるのは嬉しい誤算?
フォスター+パートナーズ展@東京シティビュー内スカイギャラリー
環境と建築との関係性を視野に入れて活動する設計活動の軌跡。消費されないデザイン、香港上海銀行の衝撃。センチュリータワー実見の興奮。あれから20年経って、その活動の全容を通観できる感動。眺望広がる空間との相性も良い。
1/26
ボッティチェリ展@東京都美術館
時代背景、師、弟子、そしてボッティチェリ。丁寧な時間軸構成と、天井の高い空間をゆったりと使った展示構成。ほぼ待ち時間のない鑑賞条件。満喫しました。
冒頭に『ラーマ家の東方三博士の来訪』。三博士に扮するメディチ家、自信に満ちたボッティチェリ。ポッライオーロ『竜と戦う大天使ミカエル』の眉間にしわ寄せる天使。『書物の聖母』の繊細な描写と、ラピスラズリ・金の彩色。往時の活気が感じられる。
1/30
村上隆のスーパーフラット・コレクション@横浜美術館
コレクションを通して作家の視線に迫る企画展。入口吹抜空間「彫刻の庭」の圧倒的なボリューム、終章「1950-2015」後半の濃密なアートバトルロワイアル。見応えあり。
個人的には奈良美智≪ハートに火をつけて≫が特に良かった。
2015年12月31日
●2015年12月の鑑賞記録
12/19
スター・ウォーズ/フォースの覚醒
涙が出ました。観を終わったら拍手してました。
12/31
黄金のファラオと大ピラミッド展@森アーツセンターギャラリー
年末年始開館がうれしい。ファラオとピラミッドに焦点を当てつつ、エジプト王朝の歴史を一気にみせる。黄金のマスク等の見所は最後の部屋に集まっていて、パネル解説と大判写真が展示の主体。後半がメイン。力尽きないよう注意。
肉筆浮世絵 美の競艶@上野の森美術館
肉筆の美人画に絞った贅沢な構成。菱川師宣「江戸風俗図巻」、歌川国長「女風俗通画帳」等の風俗描画が面白い。美の競艶と言いつつ歌磨呂を欠くとは残念と思っていたら、最後の暁斎の画技の冴え、清親の意外感にビックリ。
2015年11月30日
●2015年11月の鑑賞記録
11/7
鴻池朋子展「根源的暴力」@神奈川県民ホール
他者との対話を手がかりに作り出す、新たな鴻池ワールド。よりシンプルに、より深く心に届くように感じられる。圧巻。
横浜発おもしろい画家:中島清之―日本画の迷宮@横浜美術館
中島清之は「花の画家」中島千波の父であり、片岡球子が師と慕った人物でもあります。その系譜、多彩な展開を見せる作品群がありながら、一般には知られていない横浜由縁の画家を、地元の美術館が掘り起こす。単に「おもしろい」ですますのはもったいない、観て楽しい展示です。
2015年10月31日
●2015年10月の鑑賞記録
10/10
オスカー・ニーマイヤー展@東京都現代美術館
冒頭のUFOから降り立つ建築家映像から掴みはガッチリ。大胆な造形と繊細なガラスの箱による空間美に魅了される。吹抜を利用した模型展示はピクニック感覚。建築の楽しさを満喫できる展示。
10/30
村上隆展内覧会@森美術館
レセプション会場も展示室も大盛況。緻密な構成に磨き込まれた仕上り。壁面を埋め尽くす村上ワールドを背景に人々が行き交う、濃密な空間体験。
2015年09月30日
●2015年9月の鑑賞記録
9/5
画鬼・暁斎@三菱一号館美術館
幕末明治の売れっ子絵師・暁斎を、弟子であり一号館設計者のコンドルとの交流を絡めて紹介する。「鳥獣戯画 猫又と狸」、「風神雷神図」のユーモア+若干のグロテスクさある描写と構成がマイベスト。…コンドル必要だったかな。会期末の30分待ち。
9/6
東京ディズニーシー
街はすっかりハロウィーン仕様。
開園と同時に並んでゲットしたファストパスは18:55。すでに一日が終わった気分。
9/19
大塚国際美術館
大塚オーミ陶業の陶板絵画技術をコアとして、システィーナ礼拝堂を筆頭に世界中の絵画空間を原寸再現する美術館型ハイパーテーマパーク。その凄さは体験することでしか分からない。
テーマパークのハードは「実体験する美術教科書」。その一方でソフトたるランチ・カフェメニュー、参加型イベント等は「愛」と書いて「いやし」と読ませる等、けっこう柔らかく展開していて、工夫を感じます。
建物構成は山をくり抜いた地上3階、地下5階。斜行エレベーターのアクセスも含めて非常にダイナミック。内外に陶板絵画を多用して様々な箱庭を連続させる空間は、仮設性と耐久性が両立する不思議な公園的空間。
9/20
鳴門の渦潮
本当に緑色の渦が巻いていて感動!
9/21
白鳳展@奈良国立博物館
優美な線と柔らかな顔立ち。飛鳥と奈良の間に位置する白鳳の美を見尽くす企画展。黒地に白く光る薬師寺の月光菩薩様がカッコイイ!金銅仏小像の顔立ちの多様性に拡大する寺院建立の流れを感じ、薬師寺の月光菩薩様と聖観世音菩薩様の際立つ美しさに心を打たれる。
春日大社参拝所
2015年08月31日
●2015年8月の鑑賞記録
8/30
エリック・サティとその時代展@ Bunkamura
近代パリを背景に、音楽と絵画・彫刻との交流を示す企画展。会場にはサティの音楽が流れ、所縁の芸術家たちの作品、映像等が並ぶ。相互作用というほどの濃密さはないけれども、立体展示の試みとして見ておきたい。
藤田美術館の至宝@サントリー美術館
藤田美術館の誇る珠玉の名宝を、サントリー美術館の明るく美しい展示空間で愛でる夢の企画展。快慶作地蔵菩薩立像の彩色の美しさ、窯変天目茶碗の内外に広がる宇宙。構成はかなり大味だけれども、観る楽しみに溢れた展示体験。
2015年07月31日
●2015年7月の鑑賞記録
7/18
戦後日本住宅伝説@八王子市夢美術館
巡回展最後に滑り込み。冒頭の塔の家の原寸平面による身体感覚、スカイハウスのシステム変遷履歴、幻庵の内部映像を通しての有機的質感。写真と図面だけでは分からない発見があって良かった。おやつはアイスクリームでした。
レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展@東京富士美術館
「タヴォラ・ドーリア」の初公開を中心に、時代背景、ミケランジェロとのライバル関係等を交えて構成する企画展。戦闘絵構図におけるダ・ヴィンチの発明及び、後世への影響を検証する視点がスマート。オレンジジュース飲んだ。
7/20
フィンランドの画家、ヘレン・シャルフベック@東京藝術大学大学美術館
精神の健やかな快復を感じさせる「快復期」、作家としての自信を感じさせる「黒い背景の自画像」。精神の変遷を、優れた模写の描画力、多様に変化するタッチ等を交えながら紹介する構成が秀逸。
2015年05月31日
●2015年5月の鑑賞記録
5/1
パラソフィア
今回は点在する会場を巡回鑑賞。
大垣書店ショーウィンドウ
普通にショーウィンドウ。
森村泰昌「侍女たちは夜に蘇るⅠ〜Ⅷ」@京都文化博物館別館
夜のプラド美術館、ベラスケスの見えないカンバスをコアに繰り広げられる絵画の内外入れ替わり大夜会。森村扮するマルガリータが怖い。
アーノウト・ミック「異言」@京都芸術センター
彫刻のようなスクリーン配置群に投影される映像作品。複数の映像源、エスカレートしていく群衆。何分の作品が表示がなく、起結がよく分からない。
川村麻純「鳥の歌」@京都芸術センター
3人の語る台湾人と日本人の出会いとそれから。作家の編集を通して、事実なのかフィクションなのか良く分からないまま映像が流れる。去年行った台湾はひたすら美味しく楽しかったなーと場所だけ重ねる。
ピピロッティ・リスト「堀川ー不安は消滅する」@堀川団地会場
古びた団地、閉め切った窓、布団と天井に投影される映像。「空を舞うウェンディ」、「走馬灯のように巡る回顧」のような気がした。
スーザン・フィリップス「三つの歌」@鴨川デルタ
毎時00分と30分に2分43秒再生。どこからともなく聞こえてくる歌声にしばし耳を澄ませる。それより何より、デルタは夏のオアシス。気持ち良い。
ヘフナー/ザックス「Suujin Park」@河原町塩小路
宅地ごとにフェンスで覆われた異様な区画に現れた、廃材のオブジェ。立体庭園と呼ぶにはあまりに荒くて、来訪を拒絶されている気がする。
5/3
燕子花と紅白梅@根津美術館
光琳の二大代表作が並び立つ!宗達、光悦に辿る光琳デザインの参照元。小西家文書に辿る光琳デザイン推敲の軌跡。庭園の燕子花盛期に設定する会期。梅のMOAも合わせて、時間を超えて継承されてきた琳派を、現代へ大きく開くような展示。
5/30
大原美術館
初入館。印象派を中心に魅力ある絵が並ぶ本館はさすがの貫禄。伝統を上手く現代建築に取り入れた分館もとても良い。美術館の手本のような建物とコレクション。
2015年04月30日
●2015年4月の鑑賞記録
4/4
グエルチーノ展@国立西洋美術館
バロック画家の作り出す、劇的かつ平明な構図と光、美しい色彩。地震で大ダメージを受けた所蔵元の復興大使として、その世界が丸ごと西美に出展。「聖母子と雀」の陰影、「聖母被昇天」の空を見上げる構図が素晴らしい。
対抗宗教改革を背景に「キリストから鍵を受け取るペテロ」の構図が興味深い。西美のコレクションを絡めたグエルチーノとグイド・レーニのと対比も見ごたえあり。時間を経て、名作が再発見される。その瞬間に立ち会う醍醐味。
4/25
六本木アートナイト 2015
暖かい季節に開催になったので初参加。
キックオフセレモニー。ひかる!つながる!さんかする!はるはあけぼのー、どかん!
花火に願いを!wish your happyness !
4/29
たまらなくかわいいアート展@伊勢丹新宿店
去年「画廊くにまつ 青山」で観た荒木愛さんの新作を見に初日にGo!紫(ピンク?)地にボタンインコがいる画の世界が広がって、オモチ文鳥が仲間入り。これはかわいい!と思ったら、出品作全て完売とのこと。おめでとうございます。
4/30
バーネット・ニューマン-十字架の道行き-、日本美術の愉悦@MIHO MUSEUM
厳密な構成美とピッタリ呼応する八角形空間。
曾我蕭白「富士三保図屏風」の富士の雄大さと虹のファンタジー、円山応挙の精緻な美に見惚れる。何より静謐な鑑賞環境に満足。
桃山時代の狩野派ー永徳の後継者たちー@京都国立博物館
2007永徳、2010等伯、2013山楽、山雪。日本史上最大のバブル期を背景に繰り広げる京博大河展示最新作。英雄亡き後の逆境を生き抜き、盤石たる基盤を築いて次なる天才の登場へとつなぐ。もう、面白くてたまらない。
後継者 光信「四季花木図襖」繊細優美、優しい風が吹くよう。影武者 宗秀「扇面画帖」闊達な筆遣い。京狩野の祖 山楽「山水図襖」水平線と遠近粗密のメリハリ。前半は後継者たちの実力を紹介。ドラマさながらなキャラ付けが楽しい。
第4章 にぎわいを描く。初めて徳川に仕えた長信「花下遊楽図屏風」の活き活きとした描写。勝興寺「洛中洛外図屏風」の二条城を大きく描き、御所・豊広寺を控えめに描く構図。何より市井の活気に見入ってしまう。
クライマックスは探幽。わずか20代で描いた、二条城二の丸御殿「松に孔雀図壁貼付・襖」。横に長く伸びる松のスケール感は、見るものの度肝を抜く。文字通りの早熟の天才。永徳継承の物語は幕が降り、新たな物語が始まる。
音声ガイドは北村一輝。為政者、家来、画家と様々な役回りを熱演。個人的にはこれじゃない感があるけれども、戦国バサラに刀剣乱舞にとイケメン演出が大切な当世、多少過剰な悪ノリ感があった方が良いのかも。絵師対決シリーズはありだろうか。
2015年03月30日
●2015年3月の鑑賞記録
3/7
束芋 息花@ギャラリー小柳
骨と肉と花が混在するドローイング、曽根崎心中のお初と作家との往復書簡、マンションの一室を舞台に人と家具と月と松が主役を入れ替わりつつ演じる映像。非常に完成度の高い展示構成に魅了されました。
三木建 APPLE+@ギンザ・グラフィック・ギャラリー
「りんご」を題材に、色、形、言葉、素材。様々な角度からデザインアプローチ。カラフルでデザインの楽しさが高密度に詰まった空間自体が作品のよう。
狩野哲郎展@資生堂ギャラリー
様々な素材が散在する空間を、鳥が発見し、それらを認識してゆく。会場内は鳥のアクションをカメラに収めようとシャッターチャンスを待つ何人もの観客たち。その構図がなんとも不思議でユニーク。
3/8
『日本美術全集』刊行記念 文化講演会 仏の本様ー日本美術史の和と漢をめぐってー
講師は山本勉先生。平安時代前期の仏像表現を基準として、和と漢をキーワードに飛鳥時代から鎌倉時代まで語り抜ける!と思いきや、ラストスパートで黄檗宗まで。濃密な90分でした。
3/15
スサノオの到来@川村記念美術館
追放され、流浪し、英雄となる。エピソード豊富な神を核として、そのイメージの形成、変遷を追いつつ現代へ。佐々木誠の木彫の重厚さ、岡田真宏の色鉛筆の輝き。何よりも神話の時代か現代までを濃密に圧縮する構成に圧倒される。
大ニセモノ博覧会@国立歴史民俗博物館
単にホンモノかニセモノかの白黒論に止まらず、家の格として必要とされるモノ、手法はホンモノだけれど存在しないモノなど、両者の複雑な関係に迫る。一億円の重さ体験、博士の真贋解説、人魚の自撮りサービス等、エンターテイナーな造りも楽しい。
3/20
パラソフィア@京都市美術館
ツァイ・グオチャイ「京都ダ・ヴィンチ」
アナログロボットと子供達との合作とパゴダ。活気があって楽しい。
ウィリアム・ケントリッジ「セカンドハンド・リーディング」
アニメーションも魅力的だけれど、原画も魅力的。
倉智敬子+高橋悟「装飾と犯罪-SENSE/COMMON」
漂白された世界、(コトバの迷路)。美しい。
魔女の秘密展@大阪文化館・天保山
西洋魔女のイメージの変遷を時系列に沿って紹介する。テーマが非常に興味をひく一方で、構成は平坦かつ展示もボリューム不足気味。コラボメニューの仕掛け等もあるだけに、素材と調理の噛み合わせがもったいない。
目立たない入口。映像の音がダダ漏れで鑑賞に集中し辛いかつ、縦に分断された展示空間。パテ跡、釘頭が浮かんでる等、ローコスト感漂う仮設間仕切り。あまりに使いにくそうな現状が悲しい。
3/21
山口晃展@水戸芸術館
展示空間を風景として見せ、高低差ある動線で視線を立体交差、折り返して個別作品を鑑賞。館の空間特性を活かした構成が巧み。絵画、巨大な電柱、日本美術論、続きモノ連作等作品幅も豊富。満足度の高い展示でした。
アートフェア東京 2015@東京国際フォーラム
N66香染美術、動物たちの愛らしさ。N40アルテクラシカ、王様の抹茶コンセプトと彩り豊かな茶碗が刺激的。N29繭山龍泉堂、柔らかな照明に浮かび上がる陶俑が素敵。S39アラタニウラノ、歯ブラシ繊維タワーの驚き。
3/28
TANGE BY TANGE@ギャラリー間
建築家撮影のコンタクトシートを通して、その視線を追体験。縦、横、添景あり/なし。間延びする地面にバツをつけ、斜め構図に補正の赤枠を入れる。巨匠に少し親しみを感じる、ピンポイント企画展。
若冲と蕪村@サントリー美術館 第1期
同時代の二人の絵師を並列で捉え、関連什器、交友関係を並べることで、当時の世相を立体的に浮かび上がらせる。優品美品を揃える構成も目に楽しい。花見日和もあってか、大入り。
3/29
第34回佐倉朝日健康マラソン
ネットタイム3時間26分52秒で完走。暑さと強風でバテバテ&りきみランだったけれども、なんとか完走。
3/30
三溪園
はるうらら、桜に誘われてそぞろ歩き。絵になる景色。
2015年02月28日
●2月の鑑賞記録
2/4
ハピプラアート「江戸コードを読み解いて、東京のツボを知る」
北斎、広重の浮世絵を題材に、当時と現代の地図をナビにして、まるで観てきたかのように浮世絵語り。驚くほど保存状態の良いボストン美術館スポルディングコレクションのデジタルデータの面目躍如。とても新鮮な、江戸-東京散歩。
2/8
熱海ツアーその1 「旧日向家熱海別邸地下室」と「水/ガラス」
熱海ツアーその2 MOA美術館
◎熱海ツアーその3 特別展「燕子花と紅白梅 光琳アート 光琳と現代美術」@MOA美術館
もともとはMOA美術館で開催中の「光琳アート」を観に行こうというところから始まって、せっかく行くならブルーノ・タウト設計の「旧日向家熱海別邸地下室」も観たい、さらに隣接する隈研吾設計の「水/ガラス(海峯楼)」も予約すれば観られるらしいと話が広がって、総勢12人の濃密な日帰り熱海ツアーと相成りました。熱海を満喫!
2/22
ヒカリ展@国立科学博物館
最終日滑り込み。けっこうな人の入り。
ヒカリは波だという話から、可視光は波長の長い赤から短い紫まであって、その両延長上に赤外線、紫外線。さらに電磁波、X線などなど様々な種類があるという導入はとても分かりやすい。
太陽フレアが地球に降り注ぐ様や、そこからオーロラが生まれるという話もビジュアルイメージ豊かで興味惹かれる。特に人工オーロラマシーンは美しかった。
「光る花」は、蛍光タンパク質を持つプランクトンと、移植先の切り刻んだ花葉を混ぜるプロセスが意外と原始的で興味深かった。
「光る繭」の、卵に鉄針で穴を開けて、光る素を注射するプロセスも同じ。
最後の光格子時計の展示で、「重力が時間を歪める」という話と実証実験はSFのようで壮大な話だった。
ただ、ビデオに頼りすぎなのと、JAXA関連展示が多すぎて、本展のテーマがボケてしまうのが玉に瑕。
2/24
◎青い日記帳×ワシントン・ナショナル・ギャラリー展ブロガー特別内覧会@三菱一号館美術館
珠玉の「小さなフランス絵画」と19世紀末の歴史的建築物を復元した「小さな美術館」が作り出す、心地良い鑑賞体験が何より素晴らしい。作品はどれも粒ぞろい。必見の展示。
2/28
「バンクス花譜集」展@Bunkamura ザ・ミュージアム
キャプテンクックの5年に及ぶ世界一周旅行と、それに同行したジョセフ・バンクスが収集・制作指揮をした豪華植物図譜の紹介。その刊行は、旅行後200年を経た1980年代にようやく実現。美麗な図版の裏に展開する、壮大な物語に、しばし大航海時代の世界観に浸る。
2015年01月31日
●1月の鑑賞記録
1/2
博物館に初もうで@東京国立博物館
松林図屏風を始め、人気作は黒山の人だかり。絵を見るよりも人を見る感じが初もうで。応挙のトラがダントツにかわいい!
1/3
リー・ミンウェイとその関係展@森美術館
物腰柔らかなホストに導かれて紡がれる、柔らかな関係性。素材と色彩の選択も心地良く、参加していて楽しい。
1/4
○ホイッスラー展@横浜美術館
白いシンフォニーNo.2の鏡に映る顔、再起を期すファースト・ヴェニス・セットのこだわり、愛する妻と過ごした8年間の想い。絵の向こうに奥行きが感じられる。唯美的な作品は少なく、浮世絵との構図の関連性に多くを割く。施主の不在を狙ってデザインを変え、内覧会まで開催したというピーコックルーム。敵を作る優美な方法という、人を食った本タイトル。自分の興味に忠実で、ワガママな人だったのかなと想像が巡る。
1/17
FROZEN Fantasy Greeting@Tokyo Disney Land
昨年、世界中を席巻した"Let It Go"の勢いに乗って、冬の舞浜にアナ雪が登場。機械で粉雪を舞わせ、オラフとアナが魔法遊びをして、エルザの"Let It Go"をみんなで合唱。数分の寸劇ながら、満足感高し。ブームの力はすごい。午後から強風になったので夕方のプロジェクションマッピングは見送り。
1/24
○岡田美術館所蔵琳派名品展@日本橋三越
岡田美術館の誇る琳派コレクションが、日本橋三越で公開。宗達・本阿弥から光琳、抱一、其一。そして近代、現代へ。観たことのない名品がゴロゴロ並ぶ様は壮観。大味な構成と作品リストを用意しない対応が残念ながら、必見の催し物。
1/31
◎みちのくの仏像@東京国立博物館本館特別5室
鉈彫りの表面仕上げ、大きなお顔のプロポーション、都からの影響を思わせる圧倒的な存在感、円空の半立体的な平面表現、慶派の洗練された造り。様々な表現の集合が織りなす多様でシンプルな祈りの世界。貞観、東日本の二つの大震災を経た黒石寺薬師如来坐像の存在は奇跡というに相応しいと思えます。
2014年12月29日
●12月の鑑賞記録
12/5
日本国宝展@東京国立博物館平成館
国宝土偶勢揃いの豊穣な造形。
狩野永徳「琴棋書画図」の力強い描画。
「孔雀明王像」、雪舟等楊「天橋立図」と並ぶ写実の精華。
李迪「紅白芙蓉図」の神秘的な美。
法隆寺「広目天立像」、快慶「善財童子立像」と並ぶ、造形の多様性。
サイドメニュー充実の展覧会。
12/6
◎ティム・バートンの世界@森アーツセンターギャラリー
小品スケッチがズラリと並ぶ渦巻状スペース。動きのある線描、美しい色彩のカワイイキャラクターに釘付け。
ヘンゼルとグレーテル映像。結末にビックリ。
ヴィンセント映像の自閉っぷりも清々しい。満喫。
12/12
◎若冲ナイト@6次元
4.5畳間くらいの空間で、一人で若冲絵画4点と向かい合う。美術館で観るのとは全く違う親密な関係。墨の濃淡、瑞々しさ、紙面の傷も含めて、自然と目に入ってくる。そして浮かび上がる、波間を泳ぐ鯉の躍動感、鶴の脚の筆運び。眼福。
12/13, 12/20
○伊東豊雄展|台中メトロポリタンオペラハウスの軌跡 2005-2014@ギャラリー間
縦横無尽に洞窟空間が連続する超話題空間実現の記録。3階の模型群、中庭のモックアップ、4階の映像。横溢するパワーと情熱に圧倒される。 現場の3D映像に引き込まれる。早く実物が見たい。
12/20
濱中利信コレクション「ゴーリー・ライブラリー」@ヴァニラ画廊
ティム・バートンも影響を受けたというエドワード・ゴーリーの作品展。狭い会場にギッシリと、絵本の装丁を中心にゴーリーの世界を満喫。グッズの充実ぶりにビックリ。
12/21
エルメス「レザー・フォーエバー」@東京国立博物館表慶館
エルメスによるレザー押し展覧会。素材の手触り、匂い、風格。ズラリと並ぶバッグが壮観の一方で、ミニチュアが可愛らしい。エルメスは観て楽しむもの。いいですか、観て楽しむものです。
2014年11月30日
●11月の鑑賞記録
11/2
高野山の名宝 記念講演会II「高野山と運慶・快慶」講師:山本勉氏
高野山と仏像、運慶と快慶、八大童子像と運慶、四天王像・孔雀明王と快慶の4題を骨子に、間にタップリと蘊蓄を盛り込む。仏像の後補、人気、高野山と東大寺の深いつながり等、展示の視野が広がる。
○高野山の名宝@サントリー美術館
日本中世史有数のブランド、高野山with空海と、運慶・快慶の豪華共演。快慶四天王像が並び立つ4階、運慶八大童子が勢揃いする3階は、ガラスケースなし展示と相まって、正に慶派仏オンステージ。さらに今は亡き東大寺四天王像へと想いが広がる。孔雀明王坐像の孔雀、多聞天の顔面、八大童子の無彩色像2体といった後補部分についても解説がある方が親切かと思う。でも、慶派仏オンステージの迫力押しは、阿修羅展の阿修羅に迫るものがあって、素晴らしいと思った。
11/9
東京オリンピックと新幹線@江戸東京博物館
社会科資料集のように淡々と資料が並ぶ。新幹線の世代交代も興味深いが、今も輝きを失わない代々木体育館が素晴らしい。2020年の東京オリンピック、2027年のリニアモーターカーは、未来に何を残すだろう。
11/16
「知ろうとすること」早野龍五、糸井重里著
読了。3.11以降のTwitter上で定点のように読んだつぶやきの舞台裏、現実へのアクション、そしてマイナスからプラスへ。何も終わってはいないけれど、変わっていっていると実感する。138億歳の再生物質の話も楽しい。
11/22
○東山御物の美@三井記念美術館 第7週
伝徽宗「猫図」丸い体に可愛げのない顔、ちょこんと手足。徽宗「桃鳩図」鳩が枝に着地する瞬間、たわむお腹。伝徽宗「秋景山水・冬景山水図」墨絵の人物描写も巧み。この時代の名品は全て伝徽宗なのか?
11/26
東京ディズニーランド
荒天で人出少な目。パレードが中止で残念だけれども、通常よりはるかに待ち時間が短いので、屋内アトラクションを楽しむ。
バズ・ライトイヤーのアストロブラスター。シューティング系が好きなので、空いていることを幸いに、3回も挑戦。的にちっとも当たらないけれども、打ちまくる感覚とたまに当たったアクションが好き。
モンスターズ・インク"ライド&ゴーシーク!"。こちらも初挑戦。隠れているモンスターにライトを当てるという、ちょっとソフトなシューティング系。
ホーンテッドマンション。ティムバートンのキャラクターたちが館を乗っ取って、Xmas仕様に飾り付け!サンディクローズの高らかな笑い声と怪しげな館の雰囲気が素敵だった。今回のベストアトラクション。2回体験。
スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー。前回2回体験して、今回も2回体験。来年末はいよいよ新作が公開!ヴェーダー卿のフォース、AT-ATの巨大さ、ホスの雪原を再び体験。この臨場感は何度体験しても素晴らしい。
11/29
「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」内覧会@日本科学未来館
ウルトラテクロノロジスト集団による明るい未来像。
花と人、コントロールできないけれども共に生きる、そして永久に-Tokyo。素晴らしく美しい、今この瞬間にしか見えない光景。作品と一対一で向かい合って初めて美が伝わる。この点は変わらない。体験は拡張したのだろうか
Nirvana。デジタルで新たな生命を得た「若冲の象」が動いている。時間と空間が重なるような体験。
Light in Dark。「板野サーカス」オマージュの疾走感ある映像体験に引き込まれる。でも、デフォルメパースと平面的な空間構成って、相性悪い気もする。本家最新作?「楽園追放」には遠く及ばない。
「若冲」、「板野サーカス」、「子供とインタラクティブ性」といった強力なフックに確かに惹かれるけれども、全体的にはやや大味な技術デモに近い印象。少し前の未来感漂う、周辺の景色と似ている。
2014年10月31日
●10月の鑑賞記録
10/5
○東山御物の美@三井記念美術館 第1週
雪舟、等伯も学んだ美の規範。油滴天目の碗内に広がる輝きにうっとり。まさかの宮女図の登場にビックリ。屈輪文犀皮のハート形とクローバー形の混じった文様がキュート♡1、4、7週を通ってコンプを目指せ!
ナショナル ジオグラフィック 展@日本橋三越
ナショジオの表紙気分になれる、黄色いフレーム越しの記念撮影コーナーが楽しい。
10/19
オルセー美術館展@新美術館
会期末に滑り込み。マネに始まりマネに終わる間に印象派を並べる。「裸体」冒頭のセザンヌとラストの「ヴィーナスの誕生」の落差がすごい。「肖像」は有名画家の対抗戦のよう。「近代生活」のモネ「草上の昼食」は西洋版「切り・継ぐ」。
10/23
山梨知彦 講演@Archi Future 2014
「ナチュラル=しっくり感」を軸に、建築設計の実践紹介。神保町シアター発、木材会館、ソニー大崎、ホキ美術館経由、桐朋学園着。常にちょっと欲張りな内容設定を、整理された論点と構成で、ジェットコースターのように語り通す。
平田晃久 講演@Archi Future 2014
建築単体(人の意識した振る舞い)を超えて街全体から立ち上がってくる、生き物のようなうごめき。パスタにソースが絡まるように、絡まりしろとしての建築を目指しての試行の紹介。ソフトな語り口が子守唄のようで、寝落ち。
館知宏 講演@Archi Future 2014
一枚の紙を切らずに折る「折紙」。厚みをもって折れる「剛体折り」。一カ所動くと全体が動く。「ミウラ折り」を発展させて、連続的に変形。XY方向に柔らかく、Z方向に固い構造物を実現。折紙の背後に広がる幾何学にびっくり。
田川欣也 講演@Archi Future 2014
デザイン、エンジニアリング、インタンジブル、タンジブル。極端に高度化した能力でもって、4つの領域を回遊するように仕事をしていく。分業でなく、1人の作業領域を広げていく。そんなことをサラリという冒頭から、ビックリ。
10/25
○ザハ・ハディド@東京オペラシティ アートギャラリー
作品リスト兼マップを手掛かりに、壁面と島型展示台に並ぶドローイング、模型、映像を辿る。説明文は一切なく、エネルギーの奔流のような表現にひたすら向かい合う。アンビルト時代の濃密な作図、ブランド化後の驚異的な作品量。
2014年09月30日
●9月の鑑賞記録
9/12-15
台湾旅行
「大人の修学旅行」をコンセプトに、総勢9人で台湾旅行!
9/17
建築家ピエール・シャローとガラスの家 web内覧会@パナソニック汐留ミュージアム
学生のころに見た内観写真が記憶に残る「ガラスの家」。家具作家として活躍し、アールデコからモダンデザインへと変化し、そして新天地へ。建築家の足跡を、ポンピドゥ・センターコレクションの平面・立体を並べて辿ることで、彼の生きた時代が身近に感じられる気がした。
9/27
名画を切り、名器を継ぐ@根津美術館
「所有者の好みに合わせての切断、破損補修」から観る古美術展。貴重な古美術と、楽しむために手を加える大胆さの組合せが刺激的。佐竹本三十六歌仙絵の女性画を3枚揃えることを筆頭に、美麗なラインナップも魅力。
2014年08月31日
●8月の鑑賞記録
8/3
宇宙博2014@幕張メッセ
入館待ち1時間、鑑賞2時間半、物販30分の4時間コース。実物展示が何よりの魅力。マーキュリーの席の狭さ、月面車のメッシュタイヤ、アトランティスの計器盤。どれも大興奮。11:00〜14:00の間は昼食用に一度出て再入場可だけれども、再度入場者列に並ぶ必要あり。これが結構きつい。会場内ではウイダーインゼリーとアイスボックスの自販機と、あとは物販コーナーの菓子類。お昼は計画的に!
8/22
エヴァンゲリオン展@横浜そごう美術館
イメージを映像へと置き換えていくプロセスを、「人の手から生まれる」ことに焦点を当てて紹介する。形を探るように、複雑な形態を細い線のつなぎ合わせで捉えるレイアウト段階の絵に特に惹かれる。静かな館内でじっくり観られて嬉しい。
8/30
日本の美を極める@ホテルオークラ東京
前田青邨<みやまの四季>の傘形状と淡い色彩に詰め込まれた、花と鳥たちの愛らしさ。竹内栖鳳<河畔群鷺>の舟と老木に若枝を背景に対峙する鷺たちの静と動の迫力。花衣に身を包んで花見に興じる美人達と成園の訳アリ美人を両方見せるあたりが極み。
2014年07月31日
●7月の鑑賞記録
7/5
智積院大書院庭園、障壁画@智積院
智積院会館に宿泊。朝のお勤め後に庭園と障壁画を鑑賞。
7/21
○明日のジョー、の時代 内覧会@練馬区立美術館
漫画「明日のジョー」を縦軸に、そのグッズ・アニメ・同時代のアート作品を横軸にして1970年代を造形する。優しい眼差しのキャラクター、凄絶なストーリーと濃密な書き込み、暗く生々しい世相観。それらが作り出す濃密な雰囲気に圧される。
アニメから入ったので、原作の持つドロドロとした雰囲気は苦手で、作監金山明博の「クロスカウンター」が一番ピンとくる。そこから原作、そして同時代のアートへと視野を広げる。70年代から現代を照射する展覧会として、完成度高し。
○現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展@東京都近代美術館
優れた現代アートコレクションを紹介すると同時に、その経済的な側面にも焦点を当てる。コレクターの邸宅に作品が展示されている様を写した写真が点在し、アートのある日常が漂うのが良い。50億円ゲームも楽しい。必ず買いすぎるけど。
徒然草@サントリー美術館
前半は徒然草絵画の成立を紹介し、後半は徒然草絵巻から始まる海北友雪展。成立後100年ほども埋もれ、江戸時代になって広く読まれるようになったという経緯も興味深い。正直、展示としては少々疲れるけれども、古典文学が美術で楽しめるなんて、素晴らしい!
7/29
◎たよりない現実、この世界の在りか@資生堂ギャラリー
すごいインスタレーション、必見。
2014年06月30日
●6月の鑑賞記録
6/15
○南山城の古寺巡礼@京都国立博物館
京都南部、木津川沿いに点在する古寺を紹介。細部に渡る造りの美しい海住山寺の十一面観音、浄瑠璃寺の多聞天。素朴さを感じる禅定寺の文殊菩薩騎獅像の獅子、神童寺の日光、月光菩薩等。様々な盛衰を辿る、巡礼の旅。
京都国立博物館知新館(建設中)
水盤に突き出す、ガラスのエントランス。行燈状のロビー空間。大きな庇と細い柱、サッシ割付のリズム。法隆寺宝物館やトヨタ美術館を継承しつつ、何が変わるのか。「京へのいざない」は9/13から!
SANDWICH|ANTEROOM
今夜のお宿。専修学校を改装したホテル、アパート、ギャラリー、レストラン、バーのコンプレックス。ラフな空間作りが、何かが生まれそうな雰囲気を演出。展示は名和ファン向け?
6/16
海/フィルター
6/21
東京ディズニーランド
スターツアーズ、リニューアル後初体験。3D映像がサービス精神満載で大満足。
ワンス・アポン・ア・タイム。シンデレラ城をスクリーンに投影される、プロジェクションマッピングの圧倒的な映像美、物語性豊かな構成、光と炎のイリュージョン。場内大混雑ながらも、満足度200%の最新版夢と魔法の国。
6/27
◎台北国立故宮博物院-神品至宝-@東京国立博物館
夜間開館70分待ちとツイッターで見て、特5だけのつもりで列に並んだところ、実際には20分ちょっとで翠玉白菜前に到達。クルクル回る動線は上手い処理だけれども、鑑賞というより回遊魚な気分。時間がたっぷり余ったので、平成館へ。
白磁雲龍文高足杯の輝かんばかりの白さ、刺繍による岩山・海波の驚異的な面的表現、臙脂紅腕の色彩、藍地描金粉彩游魚文回転瓶の藍の器の内側に金魚が泳ぐギミックの美しさ。ましに眼福の展示でした。
2014年05月31日
●5月の鑑賞記録
5/4
トーベ・ヤンソン生誕100周年記念 MOOMIN!ムーミン展@松屋銀座
展示は原画中心のオーソドックスな構成。原作ファン向けかと思いきや、老若男女まんべんなく大人気でびっくり。あちらこちらから可愛い、可愛いの声が聞こえる。終盤でキャラクター原画が増えて、ジオラマ大撮影会、そして物販へ。むしろここからが本番。グッズの豊富さ、レジ列の長さ、展示を観てなお行列に並ぶ観客のタフさ。ムーミン人気おそるべし。
5/25
木梨憲武展×20@上野の森美術館
週末15時で入館券の購入30分待ち。色彩センスと誰からも好かれる人柄が重なって、広がる世界。手のひらを重ねる構図が好き。全体的には即興的な印象が強く、展示というよりTV的?女性には花シリーズが好評。
2014年04月30日
●4月の鑑賞記録
4/6
ラファエル前派展@森アーツセンターギャラリー
歴史・宗教といったテーマ別に、関連画家を網羅的に紹介。画家・モデルの相関関係解説が生々しい。混雑度は三重の人垣くらい。破られた誓い→マリアナ→オフィーリアと続く一画が一番混んでいて30分くらいかかる。
アンディ・ウォーホル展@森美術館
デザイナー時代の作品から、アーティストデビューのキャンベルスープ缶、マリリンのシルクスクリーンへと至る前半が魅力的。ファクトリーから有名人ポートレイトへと続く後半は、章がとんだように感じられる。館内は親子連れが多く、ほのぼのムード。
4/12
浅田真央23歳の軌跡@日本橋高島屋
幼少時からソチ五輪、世界選手権までの写真パネル、衣装、メダルがズラリ。姉との写真も。後半のソチ五輪フリーの映像に涙腺が緩む。出口のCMスポンサーの多さにびっくり。
4/19
◎山の神仏@大阪市立美術館
厨子入天川諸尊像のSD仏像群が可愛い。聖徳太子・二王子立像の太子像の眼力が迫力。那智参詣曼荼羅図の祝祭的空間描写が楽しげ。熊野速玉大神坐像の堂々たる威圧感。
東大寺@あべのハルカス美術館
天空に浮かぶ「国宝を展示できる箱」の開館記念展。近鉄らしく奈良をプッシュ。鮮明な絵巻物と、生気に満ちた高僧たちの像がずらりと並び、妙に生々しく感じられる。展望台の人気に負けてるけれど、今後に期待。
アンドレアス・グルスキー展@国立国際美術館
圧倒的な情報量と、幾何学的な美。対象が何なのか分からない混乱。作品リスト片手に、観客はオリエンテーリング気分。駆け足鑑賞になって残念。
4/25
○光琳を慕う 中村芳中@千葉市美術館
太い輪郭線、にょろりとした外形、垂らし込まれた色面。指頭画で場を賑わす人気者のイメージが浮かぶ。琳派の巨匠光琳を前座に据えて、その後継者たちを紹介。そして芳中登場!芳中が愛されたほのぼの江戸時代に触れる好企画!
4/26
◎超絶技巧!明治工芸の粋 web特別鑑賞会@三井記念美術館
重厚な空間+最新照明で観る「明治工芸の粋」は、本当に光り輝いて美しい。わずか30年ほどで衰退し、忘れ去られた作品群が、現代を機に再発見されていく。目に焼き付けるようにして観た。
4/27
バルテュス展@東京都美術館
早熟な青年期から、少女と官能性の登場。田舎の日々を経て、モチーフの発展へ。節子夫人が登場して、写真展示で幕。脚と、首筋から腕にかけての描写の美しさ。本人と夫人とのグラビアのような美しい写真が印象に残る。
2014年03月31日
●3月の鑑賞記録
3/6
アートフェア東京2014 プレビュー@東京国際フォーラム
今年は例年にも増して、場内が「売れてる!」という熱気で包まれている印象。
展示としては繭山龍泉堂のあたたかなブース空間が素敵でした。
3/20
観音の里の祈りとくらし展 ブロガー内覧会@藝大美術館
二度の合併を経て十二万都市へと拡大した長浜市。賤ヶ岳、黒田官兵衛等戦国イメージに加えて、観音の里の側面をアピール。村落共同体に守られてきた平安仏18体を出展。
藝大コレクション展-春の名品選- ブロガー内覧会@藝大美術館
絵因果教を筆頭に、山楽、光琳、蕭白と続く日本画展示が眼福。特に曾我蕭白「群仙図屏風」に描かれた孔雀の怪鳥っぷりがインパクト大。
3/21, 29
荒木 愛 個展 [ I SPY ]@画廊くにまつ 青山
岩絵具のきらめき、紙の重なり、写生を通して得られる形象。これらピースを、身近な出来事の糸で紡ぐ画面と空間。少し離して設置されたタイトルプレートを読むと、世界が少し深化する。
2014年02月28日
●2月の鑑賞記録
2/1
世紀の日本画(前期)@東京都美術館
小林古径「竹取物語」。波の粒子感と煌めきの存在感。
平山郁夫「祇園精舎」。画面の厚みと、彫刻のように彫り込む手法。
奥村土牛「閑日」。シンブルな構図と色彩の美しさ。
構成は大味ですが、実物を観ることに発見のある展示でした。
2/15
○ザ・ビューティフル@三菱一号館美術館
19世紀後半の英国で起こった前衛美術表現を、当時のデザインを商業ブランドとして再生した箱で回顧する。平面から空間、利益へ。多面構成を小部屋が連続する箱へと落とし込む。二重の入れ子構造。
2/22
◎ウィリアム・ケントリッジ《時間の抵抗》@元・立誠小学校 講堂
圧巻。作家の紡ぐ時間軸に取り込まれるような圧倒的な映像、音響、立体体験。
2/23
東大寺の歴史と美術@東大寺ミュージアム
平安の木造千手観音像、その両脇侍に天平の塑像日光・月光菩薩像を配した彫刻展示が中心。コンパクトながら見応えあり。
2014年01月27日
●1月の鑑賞記録
1/4
○山口晃展@館林美術館
「画業ほぼ総覧」の副題通りの内容。新作がやや弱いことや、図録が3月なこともいつも通り。ゆったりした空間で、大好きな百貨店図を観られて嬉しい。挿絵原画も横浜で観た時よりも落ち着いて観られて良かった。
六本木クロッシング2013@森美術館
クロッシング=現代アートの最前線を横断的かつ挑発的に切り取ると思っていたけれど、何が何やらで一分で分かる解説ページのお世話に。悪ノリのようにも見えるし、とりあえずは「見た」というところで保留。それもダウトに含まれる?
1/12
白山陶器ショールーム@表参道
ピンクの平茶碗がかわいい。ご飯が美味しくなりそう。
arte classica@表参道
使い手に愛されたであろう江戸時代の茶碗。ピンク系の塗り壁質感を中心にまとめたモダンな空間。
サンドイッチ展@GYRE
メインはビーズシリーズの製作現場。斜めに固定された鹿の剥製に取り付け中のビーズ群。生々しい迫力がある。他は映像ブースが二つと、小型の作品や作品の断片等。ビジュアルインパクト的に面白い。
1/13
高校サッカー決勝戦@国立霞ヶ丘陸上競技場
後半残り10分からのまさかの同点、延長戦へ。まさかの大逆転!
1/16
○南部鉄器展@パナソニック汐留ミュージアム
通路状空間に沿って南部鉄器の歴史を辿り、その先に広がる広間的空間に現代の取り組みを並べる。素材感・細工といった視点から、色彩・空間造形へと視野も拡張する。カラーポットシリーズの鮮やかな色彩、四方釜<路>の鋭敏な造形感覚。時空間の呼応が観て楽しい。
1/19
川瀬巴水展@千葉市美術館
大正・昭和期の風景を木版画で描いた川瀬巴水の個展。その活動を三期に区切り、版画と写生帳を時系列順に並べて39年間の画業を辿る。新しい版画を目指す取り組みと、「芝増上寺」「馬込の月」が最も売れたという現実。巴水はどう捉えていたのだろうか。
1/25
○内藤廣 アタマの現場@ギャラリー間
三つの大型プロジェクトの巨大模型と断詳。内藤所長の本棚と机の再現。二つのアプローチをコアにして、力の流れが美しい内藤建築の創作現場に迫る。質量ともに見応えあり。
2013年12月29日
●12月の鑑賞記録
12/1
関東大学対抗戦 早稲田大学vs明治大学@東京国立競技場
建替えで話題の国立競技場に、ユーミンのノーサイドでお別れを。ただの対抗戦に何万人も集客する、伝統の一戦の底力にびっくり。
12/14
吉岡徳仁-クリスタライズ@東京都現代美術館
ガラスのベンチ《ウォーターブロック》。
クリスタルプリズムの集積《虹の教会》。
「徳仁」ブランドをコアに、素材と詩的ストーリーが織り成すイメージ拡張型展示。空間的な魅力に違和感を感じつつも、なんとなくすごそうなイメージに包まれる。
うさぎスマッシュ@東京都現代美術館
スプツニ子!《ムーンウォーク☆マシン、セレナの一歩》。月面探査を夢見る少女の短編映像。ハイヒールの足跡を刻印するセンスが可愛い。
同上。空想と技術溢れる月面探査機と対を成す、生活観溢れるコクピット。
都現美恒例の、領域横断型未来イメージ集積展示。レアンドロ・エルリッヒ《ロスト・ガーデン》等、魅力的な展示もあるものの、全体としては散漫な印象。うさみみオーディオガイドが一番印象に残りました。
12/17
「年忘れ!山愚痴屋感謝祭」@紀伊国屋サザンシアター
二つの展覧会に文筆(小林秀雄賞受賞!)にトークショーに大忙しの山口晃画伯が、4年ぶりに年忘れイベント出演!一層磨きのかかった爽やかな毒舌と、会場を埋める観客層の多様化に画伯の確かな足跡を感じました。
12/29
○スヌーピー展@森アーツセンターギャラリー
作者シュルツに焦点を当てる前半とコミックに焦点を当てる後半。客の財布に焦点を当てる後半の後半。各章にピーナッツのエピソードを丁寧に配置。シュルツとスポーツの関わりを展示した章はぬくもりを感じる木の壁にしたのが◎。
2013年11月30日
●11月の鑑賞記録
11/17
サウンド・プラネタリウム@銀座ソニービル8F OPUS
ソニーのハイレゾ音源とメガスター大平さんのプラネタリウムコラボ企画。天井が低い空間に強引に満天の空を投影するので、ちょっと窮屈なところもあるけれど、銀座散歩の息抜きに最適な素敵企画。
11/20
○ターナー展「ブロガーイベントwith スペシャルトーク」@東京都美術館
見応えある大作がズラリと並び、創作の息遣いを感じられる絵の具、スケッチブック。実験的表現といった舞台裏も合わせて公開。ターナーの画業を初期から晩年まで通して通観できる、またとない機会。
11/23
○天上の舞 飛天の美@サントリー美術館
スィースィーと軽やかに舞う飛天。その源流をインド、中国、朝鮮と辿り日本へ。三階に下りると鳳凰堂の飛天が華やかに舞い踊る。その細やかな作りと、躍動感にうっとり。飛天は屈んで観るのがオススメです。ぷかぷか浮いてるお地蔵さん(たぶん)も可愛くてよろしい。模刻像をペタペタさわって結縁できるのもありがたや~。
2013年10月31日
●10月の鑑賞記録
10/5
日産アートアワード2013 ファイナリスト展覧会@BankART Studio NYK
宮永愛子の詩情豊かなナフタリン作品、西野達の大仕掛けかつ洒落っ気あるインスタレーション等、現代アートの力作が並ぶ。ただ、唐突の始まった感のある日産アートアワード自体の位置付けが良く分からない。今年は現代アートとあるので、来年は別のジャンルを取り上げるのか?
「横山大観展」夜間特別鑑賞会@横浜美術館
明快な章構成と人物像に焦点を当てる狙いがピタリとあって、若き日の大観と愉快な仲間たちとの日々が浮かび上がる。画家山口晃さんが本展の主役6人の肖像画を描いているのも、見所の一つ。
10/20
京都 洛中洛外図と障壁画の美@東京国立博物館 平成館
「京都でも見ることのできない京都」をキャッチフレーズに、「洛中洛外図屏風」勢揃い&VR画像+「竜安寺障壁画」&石庭4K映像+「二条城障壁画」で構成されたお宝&ハイテク展示。展示数が少ないせいか、意外とガランと感じられる場内。街の喧騒や熱気をどう伝えるか、もう一工夫欲しかった。
10/27
○国宝 興福寺仏頭展@東京藝術大学大学美術館
第3展示室のズラリと並ぶ表情豊かな十二神将像、その奥に鎮座する興福寺仏頭。その展示は迫力十分。第2展示室の板彫十二神将像も全面を一度に観られて嬉しい。
10/30
○劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語
まさかの公開第一週興行収入1位という報を見て、ネタバレ前に観ねばと急遽劇場へ。ファンが見たかった、魔法少女戦隊が活躍する前半と、世界の秘密を解き明かす後半。そして物語構造を大きく開くクライマックス。「完全新作」の謳い文句どおりの充実した内容でした。
2013年09月30日
●9月の鑑賞記録
9/7
○浮世絵 Floating World 第3期@三菱一号館美術館
カフェ1894で富士山フロートを飲んで、展示へ。山、川、橋、桜、往来。繰り返し描かれる風景の中を、江戸から明治へと時間が流れる。記録としての浮世絵。丘蒸気が走った新橋にほど近い、三菱一号館の好展示。
9/28
◎竹内栖鳳展@東京国立近代美術館
金地に薄墨のライオン、雪原に表情豊かな雀の書き分け、驟雨に煙る山水、物語性を感じさせるラフなタッチ。上手い、可愛い、カッコ良い。目に楽しい展示。宴席でおねえちゃんに頼まれて描いたような猫とネズミが飲んでる絵が可愛い。
ミケランジェロ展 天才の軌跡@国立西洋美術館
手紙、小さなスケッチのような素描、実物大陶板壁画、4K映像、美麗な素描数点、小さな彫刻数点。見所は後者の二つだけれど、印象に残るのは陶板と4K映像。内容はとても寂しい。
秋の特別展示@東京国立博物館 本館
夏から秋にかけての草花虫の変化を抱一の屏風と絵巻物で辿る。実際の季節と連動した展示が情感を高める。鳥の描写だけやや硬く見えるのは筆者が別だからなのだろうか。
2013年08月31日
●8月の鑑賞記録
8/11
和様の書@東京国立博物館 平成館
三跡、四大手鑑、天下人に、華麗な奉納経巻。東博お得意のお宝大集合、「書」バージョン。字であると同時、ビジュアルイメージ溢れる世界が拡がる。
8/24
エヴァンゲリオン展@松屋銀座
TVシリーズから最新劇場版、そして漫画版まで。これまでのエヴァシリーズの映像作りの側面を、企画書、絵コンテ、原画といったプロセスから見せる。すごい人出。ファンのメガネ率高すぎ。僕もですが。
8/30-9/1
グアム旅行
初めてのグアム、19年ぶりの海外旅行。弾丸だったけれども、良い気分転換になりました。ハイアットのサンデーブランチが素敵でした。
2013年07月31日
●7月の鑑賞記録
7/6
浮世絵 Floating World 第1期@三菱一号館美術館
時系列順に並べることで、清長の八頭身美人+柔らかな人物描写、歌麿の美人描写の魅力が引き立つ。当時の人も、二人の登場にそんな衝撃を受けたのだろう。館内冷えすぎ対策にストールの貸し出しがあるのも良かった。なにわ屋おきたかわいい。
プーシキン美術館展 夜間特別観覧会@横浜美術館
古典主義から20世紀まで、人物の描き方(捉え方)の変遷を辿る縦糸。コレクションの成り立ちを辿る横糸から構成。観る楽しみと通観する楽しみのグリコ型展示。
7/12
◎祇園祭@京都
建物が道路へと拡張したような山鉾のスケール感が面白い。異様なのに街に溶け込んで見える。建物から生えるような搭乗橋もカッコイイ。巨大ロボットが係留されているような構図がたまりません!
7/13
伊藤若冲の名品展@承天閣美術館
鹿苑寺大書院旧障壁画五十面全展示、2年ぶりの鑑賞。2016年の若冲生誕300年に向けての定点観測。
○遊び play@京都国立博物館
長沢芦雪「群猿・唐子図屏風」。黒々とした岩と赤い蔦の迫力ある描写が圧巻。猿や唐子の淡い描写との落差も凄い。円山応挙「唐子遊図襖」。見立て琴棋書画が可愛い。海北友松「琴棋書画図襖」。琴に肘をつきながら碁を打つ構図にビックリ。ちょっと緩い感じで楽しむ遊び全集。
7/14
◎OpenSky3.0@3331Arts Chiyoda
あのナウシカのメーヴェ実現プロジェクトに、遂にジェットエンジンを搭載した最終バージョンが登場!クイズに答えて、体重制限をクリアして、シュミレーター体験に大興奮(60kg以下の方ですが)。「あったら良いな」を実現するメディアアートの夢と可能性を満喫。
7/20
谷文晁@サントリー美術館
絵画と交遊の両面から作家像に迫る構成。描き方の多様さに目移りして観る方の視点が定まらず、鑑賞後の印象がぼんやり。それが作家の独自性ということかも知れないが、観る前にある程度予習が必要そう。ハードル高い展示に思える。
風立ちぬ
宮崎アニメ最新作。エリート技師が矛盾を抱えつつも葛藤を見せず、まっすぐに生きる物語。2時間超の長丁場があっという間の流石の構成力。エンジニアのエゴとプリンセスエスコートストーリーが爽快にまとまっていて、観劇後の満足感高し。しかし庶民との乖離は際立つ。
7/21
風立ちぬ原画展@池袋西武本店 西武ギャラリー
生き生きとしたキャラクター設定、手の温もりを感じさせるメカ設定、美しい背景設定。映画の感動が甦る。そして充実の物販コーナー。思いの外、見応えあり。人出も盛況。
深海4Dスクエア -夏の夜に浮かび上がる幻のダイオウイカ-@東京ミッドタウン キャノピー・スクエア
話題の技術、プロジェクションマッピングと話題の生物ダイオウイカのコラボ企画。話題性8割、中身2割な感じ。
7/27
第95回全国高等学校野球選手権記念大会 東東京大会 決勝
修徳高 vs 二松学舎大付高。強打堅守、熱闘神宮球場。
2013年06月30日
●6月の鑑賞記録
6/1
○「『もののあはれ』と日本の美@サントリー美術館
「もののあはれ」を縦軸にして、平安時代から近世までの美術を通観する。サントリー美術館お得意の、絵巻・屏風・工芸の優品を揃えた目に楽しい展示。後期に滑り込み鑑賞。
6/9
◎アントニオ・ロペス展@Bunkamura ザ・ミュージアム
写真に写るイメージ≠写実。眼に写るイメージをそのままカンバスに映し出す。そんなロペスワールドは魔術的とも思える。素描、絵画、彫刻の三点からのアプローチも立体的。
6/22
ハリー・ポッター展@森アーツセンターギャラリー
組分け帽の実演から始まる導入は期待感を高めるが、メインは映画の撮影に使われた衣装や小物の展示。ものすごい3D映像体験といったハイテク展示はなく少々肩透かし。集客と物販に力を集中した興行型展示。
2013年05月31日
●5月の鑑賞記録
5/4
山口晃展 付り澱エンナーレ~老若男女ご覧あれ~@横浜そごう美術館
ドナルド・キーン「私と20世紀のクロニクル」挿画の質と量に感涙。
ふと思いついてしまったアイデアを「澱エンナーレ」と称して披露する形式も面白い。サインを直感的に読み替える《解読》、《サウンドロゴ》、音と振動でボカシを再現する《リヒターシステム》、仰々しい装置が楽しい《よくある事さ》など。
《Tokio山水(東京圖2012)》は霧が広がって完成に近づいたような。。。
山口晃トークショー
「親鸞」「私と20世紀のクロニクル」挿画エピソード、澱エンナーレ、宣伝の3本立てのはずが、著作権の話からツイッター方向に脱線。「闇夜の石つぶて」は確かにと思った。
5/11
とら虎トラ@西宮市大谷記念美術館
阪神タイガースの歴史と、江戸時代以降の虎絵画の変遷を組合わせる。地域性と話題性の良いとこどりな構成。さらにトラ選挙でイベント性を高める。美しい庭園に面したロビーと合わせて、変化球がきれいに決まる。
◎狩野山楽・山雪展@京都国立博物館
永徳からの継承から始まり、若冲・応挙・蕭白への前ふりで終わる。大いなる時代の流れの中で、京狩野の濃厚な美の世界が花開く。かつての若冲展のように(観てませんが)、これからの10年の江戸絵画の流れを形作るであろう展示。本当にスゴイ内容と構成でした。
5/12
寺田克也ココ10年展@京都国際マンガミュージアム
パネル展示がメイン。チープな作りの構成にガッカリ。
○スケッチトラベル展@マンガミュージアム
スケッチブックが凄腕クリエーターの間を旅する。そのメルヘンチックなコンセプトの元に紡がれる、美麗なイラストの数々。原画の美しさに見蕩れる。
5/18
此処カラ@鈴木美術画廊
荒木愛「緋蜜Ⅱ」。初夏にスイカ!溢れる涼感に誘われて出かける。美味しそう。
同「followers」。オカメインコが8羽に増えて画面もにぎやかに。岩絵具の質感と色彩が素敵。
横尾奈美「阿」「吽」。愛らしいパンダの表情を並べて阿吽に見立てる構成が上手。
5/26
○夏目漱石の美術世界展@東京藝術大学大学美術館
漱石の文章に描写された絵画と文章を通して、創作世界の再現を試みる。漱石の時代の絵画がそのまま観られるところに、絵画の寿命の長さを感じる。漱石の目を通して、当時の世界を覗くよう。想像を上回る世界が見られて満足。企画力の高い展示。
○大神社展@東京国立博物館平成館
二回目。二度と観ることなないだろう神様のお姿、古神宝等を記憶に刻むように堪能。
2013年04月30日
●4月の鑑賞記録
4/2
円山応挙展(後期)@愛知県美術館
松に孔雀図襖。明けの青みある光が徐々に強くなって、孔雀の青味、松の緑味が感じられる。やがて日が暮れて赤みが増す中、孔雀は墨の黒に戻り、暗転する。そして再び日が昇る。調光がスムーズになって、これだけでも再訪する価値あり。
4/7
ルーベンス展@@Bunkamura ザ・ミュージアム
2回目の鑑賞。画家として政治家として父親としての成功物語に溜息。
奇跡のクラーク・コレクション展@三菱一号館美術館
2回目の鑑賞。粒揃いな色彩の共演。
4/13
○牧野邦夫展内覧会@練馬区立美術館
人や動物の幻視で埋め尽くされた世界を背景に、自画像、邪保、裸婦像といった題材が繰り返し描かれる。強烈な自己愛と内面世界への執心が画面に横溢する。特に二階の黒壁コーナーは濃い。
4/19
○【木材会館、ホキ美術館、ソニーシティ大崎を通して考えたこと】山梨知彦@日本建築家協会(JIA)建築家クラブ金曜の会 トークイベント
見事に満席の場内。「今、建築を生み出す技術に変革が起きようとしている」という前説。デジタルトレーシングペーパー=BIMを駆使して、パラメーターを切り捨てることなく設計する手法論から展開される近作3作の紹介。刺激に富んだ内容でした。
4/20
江戸の女子力@太田記念美術館
江戸時代でも女性は化粧•買い物、化粧•買い物。浮世絵の中で反物を広げて嬉しそうな顔をしている女性達は現代の原宿にいる買い物客の女性と同じですね。
4/23
◎「国宝 大神社展」ブロガー内覧会@東京国立博物館
その1、 その2→ 。神の成り立ちから、名宝、神像のオンパレードまで。何はともあれ上野にGo!
4/27
○貴婦人と一角獣展@新美術館
巨大なタピスリー6点を中心に据えた潔い構成。神秘的な貴婦人と一角獣とライオン、濃密な画面に点在するアクセサリー、小動物たちも楽しい。
○LOVE展@森美術館
アーデル・アービディーン「愛を確実にする52の方法」のインストールを試みました。うーん…OSが違うみたいです。
2013年03月31日
●3月の鑑賞記録
3/3
◎円山応挙展(前期)@愛知県美術館
大乗寺客殿の再現展示を筆頭に精選された作品群は観て楽しく、中国からの影響を実例で示す学術面もなるほどと腑に落ちる。二面構成がピシッと決まった完成度の高い企画展。
◎「円山応挙展」記念講演会「円山応挙 正統派の逆襲」
山下先生の大乗寺訪問記、作品を借りる時のエピソード、そして奇想派を煽ってきた者として、真打ち応挙再発見への願い。ユーモアと熱意とサービス精神が、本展を一層感慨深くする。意外なところで緒川たまきも登場。
3/9
◎『日本美術全集』刊行記念スペシャルトーク「若冲、プライスコレクション、奇想の系譜~それぞれの若冲体験~」
山下先生、プライス氏、狩野先生の豪華メンバーで送る、若冲再発見物語。山下先生の名司会の下、プライス氏の若冲との出会編リバイバル、狩野先生の2000年の若冲展の経緯、「若冲は旦那芸」等、興味深い話が目白押し。江戸絵画が一層好きになるひと時でした。
3/10
HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION@青海特設会場
パーツの組み方の工夫で、これからの暮らし方を提示する展示会。全く新しいビジョンやツールを目指すのではなく、地に足をつけながら前を向こうという姿勢が現代的。
○「あれから」@オーディトリウム渋谷
東日本大震災以前と以降を、東京吉祥寺の靴屋を主舞台に描く。一見変わりない日常と、確実に流れてゆく時間。変わったモノは何だろう。主人公が行動を起こすまでを、丁寧かつコンパクトにまとめて印象深い。
3/13
○ルーベンス展「ブロガー・スペシャルナイト」@Bunkamura ザ・ミュージアム
“ルーベンスのここがすごい!! TBS小林悠アナが宮澤学芸員に直撃取材”。バロックの巨匠ルーベンスに相応しい、華のある対談。ルーベンスは美術史に出てきた数少ない天才の一人。彼が作った流れの先にルノワールが乗っている。豊かで力があって、彼なしにバロックは語れない。
3/21
○アートフェア東京2013@東京国際フォーラム
現代アートのお祭企画、今年も開催。靖山画廊「神﨑泰志 木彫展」が今回のイチオシ。作品を丁寧に解説して下さった方が作家さんご本人と知ってビックリ。
3/22
○ラファエロ展@国立西洋美術館
「自画像」。ちょっとカメラ目線な美青年。作品だけでなく、自画像もよく売れたというのが当時のメディアの特徴。「大公の聖母」。バラ色の頬と伏した目が優雅で美しい傑作。いつかはシスティーナ礼拝堂に行きたい。
○歌舞伎|江戸の芝居小屋@サントリー美術館
ガラスケース前2重の人垣と、なかなかの人出。歌舞伎という題材とアートナイト効果?仮設舞台での萌芽期から、人気歌舞伎役者のブロマイドまで。六回に渡る展示替えもクライマックス!
G-Tokyo@ミッドタウン・ホール
池田学さんと伊庭靖子さんの近作が観られて嬉しい。
◎デザインあ展@21_21 DESIGN SIGHT
「あ」れ?、「あ」ら!の記念撮影から始まり、動く「あ」や「ごちゃまぜ文庫」といった体験型展示と「お寿司のいろいろ」といった美しい鑑賞型展示がほどよく混ざった構成が楽しい!
3/31
◎狩野山楽・山雪@京都国立博物館
永徳檜図屏風の続きから始まり、天球院での継承、長恨歌図巻の裏彩色に目を奪われ、極みの山雪ワールドに張り付く。京都限定39日間の必見展示!
2013年02月28日
●2月の鑑賞記録
2/2
手塚建築研究所オープンハウス「高床の家」
地上から半階持ち上げて視線と湿気をカット。長手に鉄骨大梁を架け、床下に空調装置とダクトをスッキリ収納。フレキシブルなワンルーム空間を移動収納で区画。カフェのようなシンプル空間。
西沢立衛「近作について」@ブリヂストン美術館
「場所」と「人」に応じて美術館の形が決まるという視点から、金沢21世紀美術館からルーブルランスまでの9つのプロジェクトを紹介。とても整理されていてわかりやすかったです。
2/3
DOMANI・明日展 @ 国立新美術館
文化庁芸術家在外研修制度の成果報告展。作家個展x12として観ると、塩田千春の記憶を結ぶ赤い糸が束なり、立ち上がる迫力が圧巻。池田学の卒制と新作を合わせて観られるのも嬉しい。
○日本の民家一九五五年@パナソニック汐留ミュージアム
白黒写真で捉えた、瓦屋根の連なり、茅葺屋根のボリューム変化、幾何学的な下層と有機的な屋根線の対比、荒々しい梁とガランとした内部空間。自由度の高い動線計画とあいまって、緩やかに全国行脚する。意欲的な企画展。
2/9
坂茂「社会貢献と作品づくりの両立を目指して」@ブリヂストン美術館
紙管、家具、ガラス総引戸、ピクチャーウィンドウ、ガラスシャッター、スオッチ本社ビル、木造燃え代設計、ポンピドーセンターメッツ分館、ハノーバー万博パビリオン。そして震災仮設住宅へ。超高速濃密な90分でした。
○ここに、建築は、可能か@TOTOギャラリー・間
三人の建築家と一人の写真家が「みんなの家」建設に取り組んだ記録。模索、敷地変更、収斂の3ステージを通して作られた膨大な数のスタディ模型が主役。上棟式でテラスから餅を振る舞う建築家たちの晴れ晴れとした笑顔が印象的。
2/11
中原淳一展@日本橋三越
生涯提案し続けた女性のスタイルブックを中心に、人形、間取りなど。膨大な作品を通して、作り手の熱意が伝わってくる。
2/13
◎青い日記帳×奇跡のクラーク・コレクション展“特別内覧会”@三菱一号館美術館
コレクター夫妻が自分たちの眼を信じて集めたコレクション。美しい色彩と明確な輪郭が印象に残る。空いてる時に絵と対話するように観たい。
2/16
隈研吾講演会「新しい歌舞伎座について」@サントリー美術館
論点を歌舞伎座の歴史と継承の物語に絞込み、明晰な語りで観客の心を掴んで新しい歌舞伎座へと誘う。見事な講演でした。
○歌舞伎|江戸の芝居小屋@サントリー美術館
風俗図屏風をズラリと並べて芝居小屋の変遷を辿る前半。浮世絵をズラリと並べて当時の人気役者と演目を紹介する後半。ハードとソフトの両面から歌舞伎の歴史を辿り、第五期歌舞伎座へとつなげる。屏風絵の優品を多数擁するサントリー美術館の面目躍如。
2/20
東京ディズニーシー
トイ・ストーリー・マニア!を狙って平日の開門前に待機するも、入園前にファストパス終了のアナウンス。学生が受験休みに入っていたのが痛かった?
2013年01月29日
●1月の鑑賞記録
1/2
博物館に初もうで@東京国立博物館 本館
2年ぶりに松林図屏風登場も、あまりの人出でまともに見られず。
◎東洋館リニューアルオープン@東京国立博物館 東洋館
曲線平面のガラスケースがとても意欲的。展示品の向こうにさらに空間が広がりつつ、とても観やすい。闇に浮かび上がる仏様の美しさに見惚れる。
1/6
はつ春 山愚痴屋感謝祭@代官山ヒルサイドプラザ
180人の会場がしっかりと埋まる、さすがの人気。トークも安心の面白さ。絵解きクイズの正解者には画伯の直筆お年玉がもらえるとあって頑張って考えたけれども、分からず。画伯の駄洒落センスは意外と難しい。
1/12
0号の世界展 -WINTER- @いつき美術画廊
荒木愛「蜜柑」。0号を縦に三点並べて展示。上から、黒地に上から見た蜜柑をポンと一つ、白地に複数の蜜柑がコロコロ、同左の反転。上の作品は、日の丸のようなシンボリックな構図と、蜜柑のデコボコした質感の組合せが面白い。輪郭を縁取る金色が、日輪の揺らめきのよう。真ん中の作品は、動きを感じさせる構図、間が面白い。その一方で、個々の蜜柑のラフな形態とボコボコした質感表現の組み合わせが平坦的に見える。
絵具の起伏と質感、金色の縁取り。印刷や画像では伝わらないモノとしての存在感。画面が小さい分カンバスの厚さが強調され、さながら立体作品のよう。
1/13
WEBイベント 2013年美術展を語る
WEB会議システムを用いて、出演者、視聴者双方向で美術展について語ろうという企画。いつも御世話になっているTakさん、はろるどさんが出演されて、新年早々お二人のご活躍っぷりを拝見。回線状態が今一つで何度か再ログインしましたが、実験的なイベントとしては十分機能していたと思います。お疲れ様でした!今後の発展にも期待。
EVANGERION 100.0@パルコミュージアム
これまで発売されたEVAグッズ、コラボ企画が時系列順に並び、最後にQ予告編。そして物販ブース。EVA展覧会でなく、EVAグッズ物販展。コアなグッズファン以外は有料企画として見る価値なしでは?
1/19
◎白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ@Bunkamura ザ・ミュージアム
一万点以上の書画を遺したといわれる白隠慧鶴。その中から大作を中心に、選りすぐりの100余点を集めた展示。ユーモア溢れる画面に親しみ、賛に込められた意の深さに少し触れて、見応え十分。
1/22
○MAMCナイト 会田誠 スペシャルギャラリートーク with 鶴田真由
鶴田真由さんの質問に会田誠さんが答えながら、展示を見て回る形式。好奇心に眼をクリクリッとさせながら低い声で質問する鶴田さんに、タジタジしながら答える会田さん。終盤の大作展示部屋で「題材は嫌いなはずなのに、絵としてみるととても美しく見える」という鶴田さんの締めに深くうなずきました。終始姿勢がとても美しかったです。
1/27
弥田俊男設計建築事務所オープンハウス「五角形の小さな接骨院」
弥田俊男設計建築事務所による内覧会。ラジアータパインの内装、斜めに切り上がる間仕切りと五角形プランとの呼応。木造二階建の改装でも、けっこうできるものだと感銘。
○エル・グレコ展@東京都美術館
クライマックスの大作「無原罪のお宿り」が圧巻。少ししゃがんで見上げると、飛翔する天使の羽、見上げる聖母、光の中の鳩、祝福する天上の天使たちが、劇的な空間を作り出す。天井がもう少し高いとさらに良かった。最後の「無原罪のお宿り」は例外として、他は男性と女性とで表情の書き方がだいぶ違うように見えました。男性はマッチョでも老人でも眼はクリクリとして可愛らしい。女性は蝋人形のような…。
2012年12月28日
●12月の鑑賞記録
12/2
維新の洋画家―川村清雄@江戸東京博物館
御庭番名門の家系に生まれ、幕末から明治初期を生きた油絵師の回顧展。「形見の直垂(虫干)」しか知らなかったけれども、徳川家を中心とした人物関係や、黒田派閥に居場所を追われる展開等、大河ドラマのようでした。
ブリヂストン美術館ナイト@ブリジストン美術館
東京都駅至近の名門美術館が、アートファンとの交流を深めるべく動き出した今年のトリを飾る企画。スライドによるブリジストン美術館黎明期の説明が良かった。ブリジストンvs三菱一号館学芸員対決等、企画意欲満々。詰め込みすぎで、内覧会は要らない気もしました。
12/8
巨匠たちの英国水彩画展@ Bunkamura ザ・ミュージアム
最終日前日、三重ほどの人垣。大気を感じさせる光の表現が印象的なターナーを始め、パステルのような表現等、多彩な題材と表現をサクサクと観ました。
リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝@国立新美術館
バロック・サロンの豪華空間にひたり、アメリングの赤ちゃんの寝顔に癒される。観た後の爽快感が気持ち良い展示でした。
12/9
◎『日本美術全集』発刊記念≪スペシャル対談≫「日本美術を体感する~若冲を中心に」
辻惟雄先生(MIHO MUSEUM館長・東京大学名誉教授)×山下裕二先生(明治学院大学教授)@丸ビルホール
「日本美術の歴史」発刊の際の辻惟雄先生×山下裕二先生の対談記録を後で読んで以来、是非ともライブで聞きたいと思っていたお二人の対談が遂に実現!本の売れないこの御時世に、全20巻の美術全集を刊行する版元の決断が素晴らしい。若冲が大フィーチャーされる江戸絵画の巻は、遂に奇想が天下を取った感あり。同時に、来年に愛知県美術館で大乗寺応挙襖絵完全再現展示の告知もあり、こちらも楽しみ。最終巻では会田誠、村上隆が大プッシュされ、現代美術作家が日本美術の歴史に連なっていることを示すという構想も期待大。三年半後の完結がとても楽しみ。
12/15
森と湖の国 フィンランド・デザイン展@サントリー美術館
日用品に宿る美を、時系列を縦軸に、美しいショーアップを横軸に構成された展示。建築家としても著名なアールト、息を呑むほど美しいシャンタレーリなどなど。日用品をオブジェ化したインスタレーションも美しい。
Gift in Bloom vol.4 展@銀座三越
荒木愛さんの展示を、作家さんに説明してもらいながら鑑賞。点描画タッチで生気ある果物画。白画面から削り出された、舞い散る蝉。御舟の炎舞を思わせる。そして、密度濃く構成された人物画。作家の過去作品から、来季への試行まで。飛躍を期待させる展示でした。
12/23
◎篠山紀信展 写真力@東京オペラシティ アートギャラリー
草間弥生と坂東玉三郎が並び立つ仁王門を潜り、It's a MAGIC! 軍団の右壁、それに負けない後藤久美子大増殖の左壁。凝縮された輝きの密度は、まさに SPECTACLE !。一瞬を平面に定着させる「写真」メディアの面目躍如!
メニーメニーミッフィープレミアム@池袋西武ギャラリー
明確なルールで構成されたミッフィーワールドは、ブルーナさんのプロフェッショナルワーク。更に、展示よりも圧倒的に滞在時間の長い物販。すごいパワー!
2012年11月26日
●11月の鑑賞記録
11/7
◎美術にぶるっ!@東京国立近代美術館 夜間特別観覧会
リニューアル近美お披露目展内覧会。スタイリッシュに再構成された名品コーナー。3F日本画コーナーのスツールが素敵。畳コーナーのまま実現して欲しかった。マイベストは福田平八郎「雨」。でも、第二部冒頭の原爆の瓦礫の焼け野原の映像で鑑賞気分は吹っ飛ぶ。先日出張で東北に行った際に見た、建物二階外壁に残る津波の跡が思い起こされて、言葉を失って見入る。
11/10
○日本の1970年代 1968-1982@埼玉県立近代美術館
「美術にぶるっ!第2部 実験場1950s」と合わせたように、こちらは1968-82を回顧。陰鬱な時代を抜けて明るい未来を示唆するように、1982年の広告で幕引き。その先にくるバブルとその崩壊、更にリーマンショック、東日本大震災をリアルタイムで経験した世代にとっては、なんとも複雑な気持ちを抱かせる展示。
11/11
◎須田悦弘展 公開制作@千葉市美術館
絶巧な木彫りの草花と、それを用いた空間インスタレーション。観るものを魅了して放さない須田さんの、待ちに待った個展。さらに公開制作。7階の江戸絵画の展示ケースも秀逸。
11/16
◎会田誠展 天才でごめんなさい 内覧会@森美術館
すごい人出。展示も過去の代表作から始まり、多方面への広がりを経て、渾身の新作、そして18禁部屋まで。個展とは思えない過剰なまでの濃密さに圧倒されました。
11/17
○山口晃 養林庵書院奉納襖絵@平等院
死者を乗せて極楽浄土へ向かう汽車。山口メカ細密描写!車窓から覗く、細かく書き分けられた乗客達。次の面に広がる洛中洛外図!京都駅から三途の川へと旅立つ人々。京博の横にそびえる方広寺大仏殿。画面右下には梅小路機関車庫のターンテーブルが!大満足! 外は見事な紅葉!
山口晃展 ~山口晃と申します 老若男女ご覧あれ~@美術館「えき」KYOTO
旧作絵画+挿絵+速筆壁画による、山口画伯関西顔見世展。超緻密に書き込まれた画面情報の濃厚さと、クスッとさせるセンスが心地良い。一方で、新作は挿絵原画中心なので少々もの足りない。期待の「Tokio山水」は、目で見る限り加筆なし。
◎ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q@TOHOシネマズ六本木ヒルズ
トップをねらえ2が始まったと思ったら、ナディアになって、ようやくQ。と思ったら、え、えー、えええっー!となって、あっという間に終劇。何が何やら。パンフレットを求める長蛇の列に並びつつ同行者に怒られた。
11/18
◎須田悦弘展 講演会@千葉市美術館
ようやく完成した須田展の図録をパラパラと見る。内容は千葉市美の展示風景+インタビュー+これまでの作品ダイジェスト。講演会はこの図録内容に沿った内容。黒い光沢表紙は指紋が付き易いけど、工芸的な趣があってカッコイイ。
11/23
◎第2回 図録放出会@BoConcept 新宿
「どうしてこの図録を持っていないのだろう。」と自然に手が伸びてしまう。世紀の展覧会「大琳派展」、4回観た「鳳凰と獅子」、ボスに振り回される解説が印象に残る「安宅英一の眼」の3冊購入。関係者の方々の熱意と軽やかなフットワークに尊敬と感謝。
11/24
坂田和實の40年@松濤美術館
布、貨幣、紙箱、木机等小道具が、古美術商の眼を通して同元化されて一同に会する。その強引な括りからくる違和感と、一見すると何か分からない品々を作品リストを手に読み解いていく快感。個性強い松濤の箱との取り合わせは、異種格闘技のよう。
棚田康司展@練馬区立美術館
細身で艶やかな人物彫刻が特徴的な棚田さんの作歴を、時系列に沿って4期に分けて分類。初期から近作まで、混在して展示。作風の変化を実体験できるのが魅力。スケッチと製作初期段階の木材も合わせて展示しているのも親切。
2012年11月06日
●9月、10月の鑑賞記録
9/2
○ドビュッシー 、音楽と美術 -印象派と象徴派のあいだで@ブリヂストン美術館
印象派とその絵画を通して、音楽家ドビュッシーを浮かび上がらせる企画展。目の前にある絵画を通して時代の雰囲気に触れる構成が巧み。でもちょっと難しい。
9/8
○奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている@横浜美術館
White Ghostの撮影コーナー、樅の子のロケットのようの造形、アクリル画の美しい色彩、きのこハウスのカラフルな色分け。どれも魅力的でした。
9/9
山本冬彦が選ぶ-珠玉の女性アーテイスト展
荒木愛さんのメロンを観に、駆け込み鑑賞。陶芸、ガラス、アニメチックなイラストまで、幅広い展示でした。作家さんが説明しようかどうしようかとウロウロしているのが初々しかった。
ドビッシーナイト@六次元
はろるどさんデビューおめでとう!
9/23
○住吉の居場所 オープンハウス
弥田俊男設計建築事務所設計によるマンションリノベーション。大胆かつ繊細に折り上げた天井。玄関からリビング、寝室、そして借景の公園の緑へと。流れるような空間構成が美しい。寝室のバルコニー側へ移設した浴室、アルミ削り出しの洗面台等細部も魅力的。
9/29
常設展@東京国立博物館本館
仏像展示が充実していると聞いて足を伸ばす。十二神将立像の凄みとユーモアのあるお姿が良かった。
9/30
○シャルダン展-静寂の巨匠@三菱一号館美術館
フランス静物・風景画の巨匠シャルダンの日本初個展。地味ながら堅実な作風と構成で、しっとりと心に残る展示。美術館の規模に見合った点数と展示方法が満足感を高める。
10/2
仙台メディアテーク
街に開いたガラススクリーン。巨樹の如く、床を貫通するガラスの柱。中から見ると、メッシュ状の鉄骨がかなりゴツイ。
10/7
波濤の会@松坂屋上野店美術画廊
荒木愛さんのスイカに念願の対面!ちょっとイラストちっくなタッチと食感をくすぐる構図と色彩がステキ。
10/26
◎田中一光とデザインの前後左右@21_21 DESIGN SIGHT
平面に定着された絵画・日常・芸能が、書斎・メインホール・側廊と続く見事な空間構成の中で躍動する!観ると元気になる展示でした。
○お伽草子-この国は物語にあふれている-(後期)@サントリー美術館
短編絵物語を通して、活き活きとした中世の人々の息づかいと想像力に触れる!登場率1割を超えるパワースポット清水寺は、この夏行ったばかり!ほっこり楽しい展示でした。
アラブ・エクスプレス展 アラブ美術の今を知る@森美術館
アラブのいくつかの断面の多角展示。映像多めの展示構成と、撮影可なため携帯片手にメールチェックしながら観る人が多い、往来型展示空間が独特。
2012年08月31日
●8月の鑑賞記録
8/5
心臓の音アーカイブ
◎豊島美術館
開館以来絶賛のコメントばかりを耳にする、話題の美術館をようやく訪問。丘をぐるりと廻り、眺望を楽しみ、アートスペースへと至り、カフェへと抜ける回遊動線。ガランと広がるコンクリートシェルの空間で、フルフルと身を震わせながら動く水滴たち。時間の経つのを忘れる詩的空間体験。
ピピロッティ・リスト
空の粒子
トムナフーリ
101歳の沈黙/100歳の手
あなたが愛するものは、あなたを泣かせもする
8/12
○バーン=ジョーンズ展@三菱一号館美術館
運命の車輪に巻かれ、ペルセウスの大活劇に息を呑み、眠り姫に見惚れる。画家の紡ぐ物語世界に没入する充実の展示。そして凍えるほど寒い展示室。真夏の昼の夢の如し。
STAR WARS In Concert
スターウォーズの映像を背景に、東京フィルハーモニー交響楽団によるサントラ演奏+アンソニー・ダニエルズによるナレーションからなるライブイベント。Blu-ray発売と合わせて、メモリアルイヤーを満喫。
8/18
◎館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技@東京都現代美術館
滅び行く「特撮」を、後世に伝えんと企画された展覧会。「特撮」という技術を、アートの歴史の一ページへと拡張する。更に過去のイコンの陳列だけでなく、現在持てる全ての力を注いで新作を製作し、そのメイキングと合わせて展示するという超前向きな姿勢。鮮やかな領域の飛躍がとにかく素晴らしかったです。
8/21
青い日記帳×レーピン展『ブロガー・スペシャルナイト』
8/23
◎おもしろびじゅつワンダーランド@サントリー美術館
来て、見て、感じて、驚いちゃって!夏休みの自由研究でやってきて、美術館ファンになる子供たち続出だったのではと思われる、真夏の玉手箱。
8/24
伏見稲荷
どこまでも続くよ千本鳥居。久しぶりに稲荷山周回を試みるも、途中で折り返し。怪しげに揺らめくロウソクの灯りが火災防止の観点からなくなっていて残念。
清水寺
去年の夜桜を観て以来の再訪。修学旅行生で混雑する普通の景色。清水の舞台が修理に入ってた。
ハイアットリージェンシー京都
スーパーポテトがラウンジデザインを手がけたのはずいぶん前だけれど、ようやく訪問。行き届いたサービスがさすが。
8/25
三十三間堂
千体の観音立像は圧巻。少しずつ違うのも面白い。
大出雲展@京都国立博物館
社殿48m案復元模型。出土した柱根から膨らませる古代史ミステリー。何度も倒壊したと伝わることから、実像はいかに?
2012年07月31日
●7月の鑑賞記録
7/7
◎風の丘葬祭場
光と影、素材と空間構成。「建築の詩学」を実体験。そしてその先に広がる公園。建築とランドスケープが融合した、新たな地平線を体験する至福のひととき。
キャナルシティ博多
思った以上に盛況。ライブに、山笠に、賑わっていました。
ホテル イル・パラッツォ
ちょっと苦しい立地にそそり立つ、石と鉄の艶やかな壁面。結婚式場としての活用等、運営も苦戦気味に見えるけれども、有機的な物質感はさすが。
◎アクロス福岡
バブルの遺産のようだった竣工から17年。ステップガーデンの植栽が生い茂り、オフィスビルと緑の段丘が融合した「ラピュタ」を思わせる空間へと成長。丘の上から見下ろす、段丘の緑と公園の緑がつながり、その先に福岡天神の街が広がる眺めが素晴らしい。時間と共に成長する、建築の一つの夢を実現中。
ネクサスワールド 百道
ランドマーク的な立地のマイケル・グレイブス棟に空室が目立って少々寂しい。住宅地としては高級住宅地として落ち着いた感じ。
幽霊 妖怪画大全集@福岡市博物館
夏の夜はみんな博物館に集まって、家庭冷房費を節約しよう!というわけで、常設展は無料。なかなか上手い節電対策。でも、あきれるほど広い吹抜け空間の空調費を考えると微妙な気も。有名な「漢委奴國王」の金印の本物があったり、映像解説だったりで充実した常設展示。
幽霊展は季節に合わせた上手い企画だと思うけれども、展示そのものは数が多い割りに今一つ。
7/8
ネクサスワールド 香椎
テーマパークのよう。
レム棟・コールハース棟。スロープ、素材、ボリュームがカッコ良い。
スティーブン・ホール棟。建築言語としての階段の処理、水を張った中庭(見えないけど)。素敵。
アイランドシティ中央公園 体験学習施設ぐりんぐりん
自由局面のコンクリートシェル+屋上緑化で、内外がシームレスにつながる人工大地を創出。温室という機能や屋上歩廊といった付加要素が妨げとなって、せっかくのシームレス感はそれほど実感できず。
7/15
◎スターバックスコーヒー太宰府天満宮表参道店
スタバが撮影スポットと化していてビックリ。「織る」ような空間のテクスチャー感が素敵。
太宰府天満宮
学問の神様兼雷神様として今でも慕われる道真様の本拠。学問のお守りをいただきました。
美のワンダーランド 十五人の京絵師@九州国立博物館
盧雪の雀と仔犬に萌え萌え。
山口晃トークショー「応挙こぼれ話」
ついに画伯追っかけで九博上陸。
7/22
エヴァンゲリヲンと日本刀@備前長船刀剣博物館
日本刀の産地で見せる、エヴァと伝統工芸のコラボ。モノの仕上がりはさすが。写真撮影可な展示もファンに優しい。ただ、展示方法と照明でずいぶんと損をしている感じ。どこか良い箱に巡回して欲しい。
◎奈義町現代美術館
津山駅からバスで行くこと40分ほど。小さな町の中心施設が集まる一角に建設された現代美術館+図書館。3人の美術作家による常設展示空間がそれぞれ特異な形状を持ち、ビジュアルインパクト絶大。実際に訪れてみると、図書館と一体化したプログラムということもあってか、日常の場として心地良い空間を形成しています。写真で見る印象を、良い意味で裏切られました。
7/28
◎イサムノグチ庭園美術館
彫刻家がてがけた、アトリエ、生活空間、ランドスケープ。古い蔵の中に鎮座するエナジーヴォイドの存在感。隣接する丘への傾斜、丘上からの眺望を彫刻庭園として取り込む空間構成。自然と彫刻と建築の境界が限りなく接する環境空間。
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
立体的に積み上げたアートの諸要素を自在に回遊する体験が、何度来ても楽しい。今回も時間切れで図書館部分が見られなかったのが残念。
7/29
掬月亭@栗林公園
消える雨戸が見たかったけれども、まだ雨戸が開いてなかった。
◎地中美術館
開館時刻に合わせて来たら、いきなり整理券配布で45分待ち。安藤建築のコンクリートの美しさ、マリアの神殿のような荘厳さ、タレルの奥行きの消失した空間体験。そして何より、柔らかな光に包まれたモネ作品の美しさ。空間が光の祝福に満ちているよう。
リーウーファン美術館
灼熱。。。
南寺
家プロジェクト、4年越しでようやくコンプリート。残るは銭湯。
2012年06月30日
●6月の鑑賞記録
6/2
日本橋 ~描かれたランドマークの400年~@江戸東京博物館
コレクション展だけれども、実際の土地とつながる点が面白かった。
6/3
レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想@Bunkamura ザ・ミュージアム
「ほつれ髪の女」登場。レオナルドの真筆は本当に美しい。構成も上手くて見応えあり。
呼吸する環礁-モルディブ・日本現代美術展@スパイラルガーデン
6/23
東京ディズニーランド
春は出遅れてあまり楽しめなかったので再訪。朝からビッグサンダーマウンテンに乗って、イースターパレード、エレクトリカルパレードまで満喫。
6/24
ベルリン国立美術館展@国立西洋美術館
紅型 琉球王朝のいろとかたち@サントリー美術館
6/30
マウリッツハイス美術館展@東京都美術館
前宣伝の力の入れようは今期断トツの一位。初日午前中の人出も物凄く、目標観客100万人もありそう。「真珠の耳飾りの少女」をモナリザの如く専用部屋に据え、精選された48点の作品を全6章に分けて、明快ゆったり展示。
祭@出光美術館
2012年05月31日
●5月の鑑賞記録
5/1
ワンピース展@森アーツセンターギャラリー
冒頭の映像と、エースとルフィの絆に絞った構成が良かった。
○大友克洋 GENGA展@3331 Arts Chiyoda
物凄い密度の原画。圧倒的。
5/5
MET Live Viewing マノン@新宿ピカデリー
5/11
◎蕭白ショック!!曾我蕭白と京の画家たち(後期)@千葉市美術館
前期が序章、後期が本編。朝田寺の唐獅子図と文化庁の群仙図屏風が並び、近江神宮の楼閣山水図が神々しく鎮座する。その向かい、松に孔雀図襖の墨の濃淡、松竹梅図襖の蕩けるような松肌、ヒョロリと伸びる梅枝。満足度200%!
5/12
◎大多喜町役場見学会
近代建築の名作を耐震改修しつつ、増築によって新しい庁舎として蘇えらせる、リノベーションの話題作。設計者千葉学氏のガイドによる見学ツアー。50年のときを経て対峙する旧棟と新棟、それぞれに凝らされた意匠、空間に見応えあり。時間の経過をきちんと形として蓄積継承している点が素晴らしかった。主催してくださった千葉県建築士会の方々に感謝。
5/13
ボストン美術館 日本美術の至宝@東京国立博物館 平成館
再訪。話題の蕭白「雲龍図」里帰り。大画面の迫力+愛嬌ある表情。胴がないのがちょっと寂しい。
ユベール・ロベール -時間の庭- @国立西洋美術館
廃墟の絵が延々と続いて、少々単調。
5/19
◎KATAGAMI STYLE @三菱一号館美術館
本来裏方の型紙が主役という思い切った構成。役者が変わったことで、ジャポニスムの影響がとても鮮明に目に飛び込んでくる。小部屋が続く館の構成ともマッチして、とても魅力的だった。
2012年04月30日
●4月の鑑賞記録
4/6
○望郷/山口晃展 TOKIO RE(I)MIX 山口晃トークショー@メゾンエルメス8階フォーラム
とてもアットホームで楽しいトークでした。安心の面白さ。
4/8
○ボストン美術館 日本美術の至宝@東京国立博物館 平成館
三条殿夜討の迫力と、蕭白の技量が素敵。
4/21
山口晃氏講演「セザンヌは山をどこから描くか」
4/26
望郷/山口晃展 TOKIO RE(I)MIX 「望郷 街の記憶」 山口 晃(アーチスト)×槻橋 修(建築家、神戸大学工学部准教授)@メゾンエルメス8階フォーラム
対談は外れが多いかも。。。
4/27
蕭白ショック!!曾我蕭白と京の画家たち(前期)@千葉市美術館
4/29
○毛利家の至宝 国宝・雪舟筆「山水長巻」@サントリー美術館
待望の山水長巻一挙公開!
ザ・リッツ・カールトン東京 タワーズグリル
4/30
KORIN展 国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」@根津美術館
燕子花図と八橋図、夢の競演。
ウォルトディズニー展@松屋銀座8階イベントスクエア
物販の充実ぶりがもの凄かった。展示も意外としっかりしていて興味深かった。
2012年03月31日
●2、3月の鑑賞記録
2/4
東洋陶磁の美@サントリー美術館
長谷川豪展「スタディとリアル」@TOTOギャラリー・間
展示だけでなく実際に建物を作るという試みに感銘。
2/5
イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに@森美術館
強烈なビジュアルイメージとは異なり、作品の作りは意外と荒い。実物を観てガッカリ。
2/11
さかざきちはるの世界展@芳澤ガーデンギャラリー
スイカペンギンにチーバ君。人気キャラクター作家さんの展示が千葉県市川市で開催!
市川市郭沫若記念館
2/12
生誕100年 ジャクソン・ポロック展@東京国立近代美術館
再現アトリエが縮小されていて残念。会場の天井高さの都合?
2/25
フェルメール光の王国展@フェルメールセンター銀座
展覧会仕立ての有料複製画即売会。お客さんが入っている現実に驚き。
2/26
G|tokyo|2012@森アーツセンターギャラリー
3/3
「フェルメールへの招待」出版記念パーティー
Takさん、おめでとー!
3/17
望郷/山口晃展 TOKIO REM(I)X@メゾンエルメス8階フォーラム
天井高さを活かした見事な立体「忘れじの電柱」、勾配床が観る緊張を産む「正しい、しかし間違えている」、鳥瞰時空大作「Tokio山水」。空間操作操作巧みな、素晴らしい仕上がり!作品が完成すれば完璧…
第46回レスポワール展 荒木愛個展@銀座スルガ台画廊
貝殻や歯など、小品をモチーフに画面構成した日本画展。パーッと世界が明るくなる気がした「mementos」が良かった。あと歯が並んだ作品。ムシ歯治療の記念にもらいますよね。
3/18
虎屋のお雛様@根津美術館
虎屋の仕出しケースや乾山の器まで再現する驚きのミニチュアワールド!
3/24、25
ホテルミラコスタ@東京ディズニーシー
夢の国の宿泊計画。半年かけてようやく実現。
2012年01月30日
●1月の鑑賞記録
1/2
博物館に初もうで@東京国立博物館
毎年恒例、年始は東博で始まる。今年の干支、龍の特別展示に、雪舟に、光琳。でも、一番の驚きは「清明上河図」の140分待ちの大行列。会期初日からの猛スパートに呆然。これは必見と早期の再訪を期す。
1/7
◎特別展「北京故宮博物院200選」@東京国立博物館平成館
開館90分前に門前に並んで、スムーズに入館。神品「清明上河図」の精緻かつ濃密な描写を堪能。。
◎建築、アートがつくりだす新しい環境 これからの"感じ"@東京都現代美術館
年をまたいで再訪。今回はロレックス・ラーニングセンターの映像をジックリと堪能。冒頭の巨大模型と、エンドの3D映像。アートと建築を同じ地平に並べ、構想と現実がファンタジックに融合する、身体感覚の拡張がとてもしっくりとくる展示だった。
1/8
○ザ・ベスト・オブ・山種コレクション【後期】@山種美術館
山﨑館長のギャラリートークの後、ジックリと展示を観る。日本画の素材、塗りといった専門知識、祖父山﨑種二氏と画家との交流エピソードといった人との交流を交えることで、絵画が構成、線、色彩という視覚情報から抜け出てきて、とても立体的に見えた。
1/15
脱ぐ絵画@東京国立近代美術館
モデルを継ぎ接ぎして理想美を描く黒田清輝《智・感・情》。強烈なデフォルメで偶像を破壊する(?)萬鉄五郎《裸体美人》。横向き、縦向きの意図するところ。エロも崇高も日常も同じ鍋に放り込んでグツグツ煮立てたような、濃厚でちょっと眩暈する展示だった。
1/21
○百椿図@根津美術館
寒椿の季節に、広い第一展示室で百椿図を見る。そしてNEZU CAFEでケーキセットを食べながら、雨に濡れた庭園の美しさを見渡す。立地と季節と環境装置とコレクションの合せ技。ゆっくりと流れる時間がとても良かった。
中川正子写真展「新世界」@valveat81
赤ちゃんの成長と、光と風と水の断片をコラージュ状に並べた展示。その前を見る視線と、若い赤ちゃん連れのカップルで盛況な館内が作り出す暖かい世界がとても印象的だった。
みんな大好き!ノンタン展@松屋銀座
子供たちの人気者「のんたん」の原画展。あっかんベのイタズラ心、サンタを探し回る夢いっぱいな話など、シンプルな楽しさ満載。途中から説教っぽくなるところに、キャラクターの寿命を感じる。でも始終一貫して子供を向く視線が良かった。
1/29
時空を越える本の旅@東洋文庫ミュージアム
去年開館した話題の美術館に初訪問。モリソン文庫の開架式展示を中心に、本に囲まれる感覚が嬉しい。知的好奇心が刺激される。中庭をはさんで対峙する、オリエントカフェで過ごすひと時も嬉しい。静かな時間が心地良い。
◎フェルメールからのラブレター展@Bunkamura ザ・ミュージアム
コミュニケーションを縦糸に、三点のフェルメール作品を横糸に紡ぐ17世紀オランダ絵画展。作品数は40点と少な目ながら、丁寧な章立てと全てが油彩画の華やかさでビジュアル的に映える。特にフェルメールからレンブラント派へと光の捉え方の変化が劇的な3章から4章にかけての展開が素晴らしい。
2011年12月30日
●12月の鑑賞記録
12/3
南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎@サントリー美術館
南蛮屏風という変り種に焦点を当てるコンセプトが、優品屏風を多く擁するサントリー美術館ならでは。
ドラゴンクエスト展@森アーツセンターギャラリー
ドラクエ展再訪。前回とは大違いの大混雑状態。でも鳥山明の原画の美しさ、堀井雄二のシステム設計の過程は興味深くじっくりと見た。次々回はワンピース展だそうで、その集客力は本展のさらに上をいきそう。でも展示というよりは展望台のアトラクションに近いかも。
12/10
◎建築、アートがつくりだす新しい環境@東京都現代美術館
原さんの講義をじっくり聴いていたら、最後のロレックスの映像が尻切れトンボに。藤本さんの住宅の映像はCGだと思ってたら、実景らしくてビックリ。荒神さんのコンタクト・レンズは、レンズの向こうの歪んだ景色が違和感なく溶け込んでいて不思議。名和さんのピクセルと並べて観たい。石上さんのガラスのシャボン玉は、フワリと浮いたガラス膜と、割れたガラスの対比が鮮烈。面白かったので、再訪を期します。
12/11
○長谷川等伯と狩野派@出光美術館
大判屏風絵をズラリと並べ、狩野派と等伯の歴史を辿る。一族として繁栄を築いた狩野派、一代で成り上がった等伯。同じ画題を取り上げながら、双方の相違を見せる構成に、彼らの対立と同時代性が浮かび上がる。
○神戸智行展 イノセント・ワールド@佐藤美術館
白基調の独特な石の質感。水辺の青。映像で飛び交う小さな虫たち。立体の屏風に止まるカタツムリ。金銀影絵の紅白梅。平面に止まらず、立体、映像と表現が広がり、神戸さんの小さな世界が現出する。
神戸智行展 イノセント・ワールド@広田美術
作家さん在廊で、何層にも紙を重ねる画法等、色々とお話をうかがえて良かった。
12/25
○ザ・ベスト・オブ・山種コレクション(前期)@山種美術館
冒頭の又兵衛「官女観菊図」から抱一、大観、栖鳳、松園。そししてチケットにも載っている松岡映丘「春光春衣」の華麗な色彩美。第二展示室には窮屈ながら速水御舟「名樹散椿」も登場。江戸絵画から近代日本画まで、優品をギュッと圧縮した命品展。1階のカフェ椿でのタイアップメニューも美味しい。作品数は多くないけれども、コンパクトな会場にピッタリマッチ。
12/30
歌川国芳展@森アーツセンターギャラリー
太田記念美術館に続く国芳展。多章に渡る構成で、武者絵、美人画、風景画、動物画、戯画等様々な角度から国芳の画業を立体的に浮かび上がらせる。その分、武者絵と動物絵に絞った太田の展示に比べて国芳のアクが薄まった感もあり。
2011年11月26日
●11月の鑑賞記録
11/5
◎酒井抱一と江戸琳派の全貌(後期)@千葉市美術館
父や兄の作品を並べて抱一誕生の背景を紹介し、代表作「夏秋草図屏風」「12ヶ月花鳥図」を経て、弟子たちの作品、特に鈴木其一にスポットを当てる。量質ともに充実した展示。琳派芸術@出光美術館で幕を開けた「酒井抱一生誕250年」琳派イヤーの掉尾を飾る。
11/6
◎メタボリズムの未来都市展@森美術館
メタボ展再訪。映像、模型、パネルを一つ一つ読み込んでいき、気がつくと5時間近くも会場に居たことにビックリ。メタボリズムを全面に謳う構成には疑問があるけれども、内容は盛り沢山でとても面白い。
11/13
○華麗なる<京蒔絵>@-三井家と象彦漆器-三井記念美術館
伝統工芸のパトロンとしての三井家。そして華麗なる蒔絵作品の数々。明確なテーマ設定と、贅を尽くした作品が調和が美しかった。
モーリス・ドニ@損保ジャパン東郷青児美術館
11/16
○内海聖史『シンプルなゲーム』@void+
シンプルな制約の下、絵を間近に体験する。写真映えするグラフィックパターンのような情報とは全く異なる、色という物質の力が浮かび上がる。その場でしか体験できない美しさに魅了される。
11/25
○内海聖史『シンプルなゲーム』 ギャラリートーク「内海聖史x小金沢智」@void+
建築が先に進んでいるのに、絵画が取り残されていないか?自分で獲得したい。何度でも獲得したい。「さくらのなかりせば」評の一行目に「美しい」と書いた。ギャラリーに入った2秒間、目だけになって欲しい。美しい形を作れば作るほど、言葉がなくなっていく。でも言葉にして解体していかないと精度が保てない。
2011年10月31日
●10月の鑑賞記録
10/8
○ドラゴンクエスト展@森アーツセンターギャラリー
ドラクエワールドの発展を辿りながら冒険の旅を楽しむ前半。ゲーム企画書から鳥山明のキャラクターデザインまで、ドラクエ制作の舞台裏を明かす後半。そしてグッズ紹介、ラストはルイーダの酒場で飲食。ゲームのギミックを活かした展示構成が楽しい。I、IIの頃の箱絵原画の小ささに驚き。鳥山明のデザインセンスが素晴らしい。
10/22
◎Be Magical ! @東京ディズニーシー
ジブリ、ドラクエときて、いよいよホンモノの夢の国へ。LEDが光るミッキー帽子を手に入れ、ミッキーデニッシュを食べ、タワーオブテラーの落下体験、ジーニー劇場の立体映像、Be Magical ! のアトラクション、インディジョーンズの冒険を経て、ファンタズミックまで。ミッキーが魔龍を一撃で焼き尽くす容赦なさ!堪能しました。
10/20
京都国際マンガミュージアム
出張の空き時間にちょっと寄り道。小学生の遠足スポットになっていてビックリ。サボリ感覚がくすぐられる立ち読み体験が懐かしい。進撃の巨人を少し読んで、その世界観に驚く。
10/29
◎モダン・アート、アメリカン@国立新美術館
印象派展に続く、名作で辿る絵画の歴史シリーズ第二弾。19世紀後半から第二次大戦後までのアメリカ絵画の歴史を辿ります。風景画からクローズアップ構図まで、オキーフが5点?まとめて観られるのが嬉しい。美しく深みのある色彩と、シンプルかつ意味ありげな構図に惹きこまれる。ホッパーの描く、一抹の寂しさを漂わせる都会の空気感も素晴らしい。エドワード・ブルース「パワー」の、マンハッタンのボリュームだけを表わす描写が、工業化エネルギーに満ちた近代を思わせる。作品個々のレベルは高いが、ボリューム的には少々もの足りない。
○アールデコの館@庭園美術館
改装休館前に駆け込み鑑賞。魚が泳ぐグリルカバー、天井から下がる果物造形の照明、ウィンターガーデンに射す光。美しい装飾と空間を堪能。さよならアールデコの館、また会う日まで。
○春日の風景@根津美術館
「春日の風景」に焦点を当てるピンポイント掘り下げ型展示。聖地「春日」を描く曼荼羅の変遷から始まり、工芸品、観光地としての春日と続く。そして「春日権現験記絵」。皇室の名宝展の時とは違う場面も展示されて、ストーリーを辿りながら観られる。根津美術館ならではの、空間性と調光性を活かした展示がステキ。
2011年09月30日
●9月の鑑賞記録
9/3
あこがれのヴェネチアン・グラス@サントリー美術館
早々に再訪。光の演出性に優れた展示空間と、ガラス展示の相性が抜群に良い。それにストーリー性が加わって、鬼に金棒な展示。
9/16
◎メタボリズムの未来都市展@森美術館
守備範囲を広くとった、エンターテイナーな構成。これから始まる4連続シンポジウムと合わせて、時代の熱気を追体験するのが楽しみ!
9/18
メタボリズムの未来都市展シンポジウム@森美術館
第1回「メタボリストが語るメタボリズム」
メタボリズムの当事者たちによる、過去の回顧。いずれ劣らぬ巨匠たちが、「メタボリズム」というキーワードで一瞬結成したドリームチームな趣き。今聞かなければ、二度とはないであろう顔ぶれと内容に感激。
第2回「メタボリズムという政治」
メタボリズムといいながら、実際にはメタボリズム・ネクサス(メタボリズム的なもの)という括りで構成した展覧会。そのトリックと同じように、政治と大見得を切りながら、一向に盛り上がりも収斂もしない議論。そして磯崎さんによるガルシア・マルケスを引き合いに出した一喝。現代的な視点からメタボリズムとその前後の建築史の再評価を行わんとする意欲が良かった。
9/19
○三鷹の森ジブリ美術館
待望のジブリ美術館初訪問。トトロが切符を切ってくれる偽入口から、フィルムを作る過程の展示、ねこバス、特別上映、お土産や「マンマユート」まで。ジブリワールドを満喫。レストランが意外と美味しくて良かった。井の頭公園を抜けて吉祥寺駅まで歩く立地も良かった。
2011年08月31日
●8月の鑑賞記録
8/13
◎あこがれのヴェネチアン・グラス@サントリー美術館
華麗なガラス細工の美しさを横糸に、その興隆、伝播、衰退、再生、現代へと時間軸の縦糸をつなぐ構成。技術書物、精巧な模倣作群、古典複製による復興、現代アートとしての表現。起伏のあるストーリーにぐいぐい引き込まれる。
8/15
立体曼荼羅展@東京国立博物館
20分待ちで入館。6層を超える人垣にじっと並びながら、空海筆「聾瞽指帰」で自分の名前探し。立体曼荼羅は違和感を感じつつヒーローアトラクションを楽しむ。4番打者を並べた重量打線はかなり大味。人人人な印象が残りました。
古代ギリシャ展@国立西洋美術館
円盤投げを始めとする、究極の肉体。丁寧かつドロドロとした風俗解説。神話と俗世が混交する力の入った構成。なんかすごかった。
○コクリコ坂から
空から男の子が降って来て始まるラブストーリー。瑞々しい生活描写の中、真っ直ぐに現実を見つめる二人の視線が駆け抜ける。観たあとの清涼感が素晴らしい!ストーリーは背景に押しやって、とにかくその一点集中が潔い!
8/21
もてなす悦び展@三菱一号館美術館
もてなすび再訪。ステキなポスターデザインや、cafe1894と合わせて、三菱一号館を楽しんだ。
8/27
GOOD DESIGN EXPO 2011
グッドデザインアワードの二次審査会を兼ねた展覧会。意外なほどに建築関係の出品が多いが、どれもこれも同じような文章と図版が並んで、何がグッドデザインなのかピンと来ない。
◎第三四回 隅田川花火大会
轟音、爆音。そして夜空に咲く大輪の華。身体全体で感じる、圧倒的な迫力。火に魅せられた。
8/28
東京の交通100年博@江戸東京博物館
屋外展示された路面電車が「三丁目の夕日」そのままで、記念写真を沢山撮った。
2011年08月01日
●7月の鑑賞記録
7/2
倉俣史朗とエットレ・ソットサス@21_21デザインサイト
オリベッティのタイプライター、ミス・ブランチ、ラピュタ。様々な名作プロダクトの実物を観られるのが魅力。同時に、それ以上の何かがあるとは思えない。よく出来た有料ショールームのようだった。
○鳳凰と獅子@サントリー美術館
若冲「旭日鳳凰図」の送別と、永徳「唐獅子図屏風」登場へ向けてのインターミッション。獅子の脇腹と背骨の浮き彫りが気になり、雪花の上品さを再認識、山楽「唐獅子図屏風」に期待感を高め、又兵衛の鳳凰を操る皇女、一蝶の滝に打たれる獅子に首をひねる。面白い。
7/3
肥前磁器の華@根津美術館。伊万里、柿右衛門、鍋島
個々の磁器の美しさと、「並べることに意味がある」と開き直って展示の美を前面に出す構成が意欲的。実用の美をガラスケースに押し込める矛盾に、上手い補助線を引いたと思う。
7/5
Summer Show 2011@西村画廊
三沢厚彦。大きな額装から小さな落書きまでドローイングを多数出展。立体は猫のみ。小林孝亘。大きなマスカットと小さな新作ドローイングが2点。画面に満ちる光がステキ。町田久美。2点。ちょっと画題が変わった?カプーアも一点。
○松尾高弘インタラクティブアート展@ポーラミュージアムアネックス
Aquatic Colors。観客の動作に反応し、無数のクラゲが浮遊する幻想的な空間体験が美しい。
White Rain。LED光の滴る「雨」の中を散策する。どちらも音楽が効果的で、とても癒される。
7/9
○恐竜展@科博
親子連れとカップルに大人気。一番人気はもちろんティラノvsトリケラトプス。夏休み前から大入り。
◎鳳凰と獅子@サントリー美術館
永徳「唐獅子図屏風」登場!設置位置の低い展示が迫力満点。屏風の巨大さ、二頭の獅子の視線が交差する濃密さ、豪華絢爛な画面作り。永徳展よりも、皇室の名宝展よりも断然良い。若冲「花鳥図押絵貼屏風」。フワフワした鳳凰の尾羽、松の枝などの筆捌きが見事!
7/11
○橋口五葉展@千葉市美術館
五葉といえば「髪を梳ける女」の緻密な描き込みと、色気ある女性像。でも今回の展示では、意外と硬い人物スケッチが多く並ぶ。その一方で、渓流(耶麻渓)等の美しい色彩と水流描写、スケッチブックの活き活きとしたイメージも点在する。作家像を掘り下げる意欲展。
○ワシントンナショナル・ギャラリー展@国立新美術館
ギャラリーの誇る常設9点の作品は、素晴らしい存在感。中でもマネ「鉄道」はひときわ目を惹く。カサットの表情豊かな子供たちも可愛らしい。ただ全体としてはコマが足りない感じ。去年のオルセー展を期待すると肩透かし感アリ。
7/16
○三鷹天命反転住宅 見学会
もう一つの住む形を実体験できるパビリオン。強固な立方と球形状。その中に設えられた人工楽園。
鳳凰と獅子@サントリー美術館
永徳「唐獅子図屏風」にお別れを。前期に若冲「旭日鳳凰図」、後期に本屏風を配することで、全期を通して楽しませていただきました。
○MIDTOWN RAINBOW@ミッドタウン・ガーデン
夜空に飛び交うレーザー光とミストが、涼を呼ぶ。鳳凰が舞うような演出がサントリーの展示と連動して感じられて好印象。ミストが子供たちに大人気で、イベント後にあちこちでバスタオルを巻いた姿が見られた。ミッドタウンの盆踊り。
7/18
○国芳展(後期)@太田記念美術館
待ちに待ってた、猫登場。猫文字等の柔軟な発想に驚かされる。スカイツリーも登場して、国芳エンターテイメントを堪能した。
◎シンセシス@東京都現代美術館
キャタリスト公開制作!そして驚きのサプライズライブ、ゆず登場!!「栄光の架橋」が響き渡る吹抜けは、現代アートが化学反応する夢空間!満足度200%を振り切る、最高にスタイリッシュ!ほんま、カッコよかった!
7/22
○鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星
宮崎アニメの中を、エドとアルが駆け抜ける!面白かったです。
7/23
○フェルメールからのラブレター展@京都市美術館
手紙を中心としたコミュニケーションから読み解くオランダ絵画。とはいえ、やはりホーホの中庭空間とか、ボルの右上から射す光に眼が行く。そして、フェルメール。青、赤、黄の豪華三点揃いを堪能。じっくり見られるのが嬉しい。
とはいえ、全43点というボリュームは鳴り物入り展示としては物足りない。青衣の女の色飛び気味にも見える画面、手紙を書く女の肌部のみのソフトフォーカスも気になる。修復でバランスを崩すこともあるのだろうか。
◎百獣の楽園 美術にすむ動物たち@京都国立博物館
間口を広く、娯楽性強く構成した、夏休み企画。なんだけど、そこは京博。羊は雪舟、牛は宗達、虎に至っては光琳のコミカル虎の横に、芦雪の超本気虎!解説も「生きた虎、芦雪の超絶技巧にしびれたい」とあり、もはやファンレターレベル。心底、楽しい!
7/25
○皇帝の愛したガラス@東京都庭園美術館
レースのような「フィルグリーナ」の意匠、2Fホールに広がる枝付燭台の非常に豪華なセット。かの「もてなすび」の皇帝版ともいえる内容と、庭園の美しさにうっとり。
7/30
○常設展@東京近代美術館
原田直次郎「騎龍観音」は東宝怪獣映画のきぐるみのようだと思う。
石本泰博「桂」の美しさを、近代絵画の中で再発見。畳と欄間が生み出す交差線、素材ごとに面分割したような外観写真、石畳のコラージュのような質感コンポジション。
7/31
山口 晃アーティスト・トーク@ヴァンジ彫刻庭園美術館
美しく着彩された「東海道 新風景」が楽しい。特にムーミン神社がお気に入り。トークは相変わらずの面白さ。画伯の巧みな話術に気持ち良く転がされて満足。
2011年06月26日
●6月の鑑賞記録
6/1
○ジパング展@日本橋高島屋
青山さんの刺繍画。黒地に銀糸がキラキラして、とても綺麗。種を明かしてもまだ不思議なアートの玉手箱。池田さんの仏陀。気が遠くなるほどの超絶細密画。その対角に三瀬さんの大迫力壁。その回りに棚田さんの不思議少女彫刻群。黄金の国に花咲く現代アート大興行。
6/4
○画家たちの二十歳の原点@平塚市美術館
二十歳前後という作画年齢を敷居にして、明治から現代までの日本絵画を通観する展示。長寿な大家から夭折の天才まで、その後の展開は様々なれど、画家のテキストには自負心が漲る。時代を超えて、一つの水平線で通観できることが何より素晴らしい。
◎五十嵐淳展 状態の構築@TOTOギャラリー・間
何もない宇宙に「状態を構築」するという宣言。そして宙に浮く木軸模型を覗き込んで、その小宇宙を一つ一つ体験する。周辺条件の解説をバッサリと切り捨て、矩形システムだけを見せる。かっこいいなあ!同名本では実空間を紹介していて、二度楽しい。
ジュングリン@池袋西武ギャラリー
脳が発火し「意識が動く瞬間」を発見するいうコピーがスマート。アイデアを紹介するスケッチもスマート。キレイで明快な映像展示もスマート。残念なのは作品数が6点と少なめなこと。展覧会というより、有料ショーウィンドウのようだった。
6/5
○ボストン美術館浮世絵名品展 錦絵の黄金時代―清長、歌麿、写楽@千葉市美術館
写楽展と同時期に開催されたのが効果絶大。絵の見え方がぜんぜん違う。清長のスラリとした美人、歌麿の精気あるエロさ。そして写楽のライバル、豊国の上手さと鳥文斎栄之のカッチリとした構図。わずか20年に焦点を当てることで、黄金期が濃厚に感じられた。
岡本秋暉とその師友@千葉市美術館
柏の誇る摘水軒コレクションを中心とした展示。樹に雉がとまっていたり、鶴が脚を揃えて屈んでいたり、鶏が異様に男前だったり。特徴ある構図と、華麗な極彩色に引き込まれた。嘴や羽の一部に用いられる赤も妙にエロチックで効果的。
6/10
◎名和晃平-シンセシス-@東京都現代美術館
現代アート最強のヒーローにしてヒロインが贈る、渾身の回遊型企画展。空間の変化に合わせて作品を替え、照明を替えて構成された回廊は、見応え十分。
6/12
写楽@東京国立博物館平成館
集客力のあるブランド「写楽」を前面に出し、写楽とその時代の浮世絵画家を紹介する超大型企画展。この展示を見ずして今年は語れない。
出品作品のラインナップも章構成も良いけれども、音声ガイドはかなり平坦。もう一歩踏み込む執念が欲しかった。
レンブラント 光の探求|闇の誘惑@国立西洋美術館
馬の向き、群衆の位置といった構図の推敲。和紙、ベェラムといった素材に応じて硬く柔らかく白く黒く変化する光。それらを見比べることで、彼の創作に立ち会っている気分でドキドキ。更に若いカップルで埋まる館内のアウェイ感がすごい。観られて本当に良かった。
6/18
◎森と芸術@東京都庭園美術館
驚くほどに精緻な劇場名場面点刻版画、明るい黄色が美しいゴーギャンの油彩画、想像と妄想が膨らむメルヘン画。ダイジェスト日本編のあとに美術館の庭園。多様な森の世界を紐解き、場所の利を最大限に活かした構成がとても良かった。
○歌川国芳展(前期)@太田記念美術館
猫大好きユーモアタップリの世界を観に行ったら、実は武者絵と妖怪が跳梁跋扈する江戸版少年ジャンプの世界だった。その躍動感と濃いキャラクター群に圧倒された。猫は後期。
五十嵐淳展 状態の構築@TOTOギャラリー・間
無から生成される状態群としての建築。かっこ良いなあ。
◎不滅のシンボル 鳳凰と獅子@サントリー美術館(前期)
「第6章 よみがえる鳳凰」が圧巻。中国から輸入されたイメージが、若冲「旭日鳳凰図」に結実する!その横に上品な雪花の鳳凰。向かいの探幽屏風には鳳凰の雛、蒔絵硯箱には鳳凰の卵まで!樹下鳥獣図の目が死んだ鳥たちは思い複雑。
6/19
○パウル・クレー おわらないアトリエ@東京国立近代美術館
創作の場、技法、特別な作品。三面からクレーの創作の秘密に迫る。その意欲はジグザグと空間を折り曲げる会場構成にも一貫している。高度に練り込まれた構成は、その是非は別として、記憶に残る。
○もてなす悦び展@三菱一号館美術館
「プロローグ あさがおの間」の爽やかな美しさに心を奪われる。「ジャポニスムの茶会」の再現テーブルセットの豪華さ、ズラリと並ぶティーカップの緻密な美しさもスゴイ。特に透かし彫りのティーカップ。邸宅型美術館の面目躍如。
6/25
大畑伸太郎 個展「生活」@ユカリアート・コンテンポラリー
ザックリとした色面で再構築される美しい光景。イメージに合わせて変容する人物。感性が透けるような存在感にとても心惹かれる。色面の粗さが産みだす、平面と立体の融合ギミックも魅力的。もうちょっと作品が見たい。
○青山悟 個展「芸術家は人生において6本の薔薇を真剣につくらねばならない」@ミヅマアートギャラリー
あまりに精緻で、想像を絶する手間をかけた刺繍の薔薇。その存在感は、種を明かしても解析できない手品。そして遭遇する6本目。暗闇の中で感覚を失い、薔薇だけが存在する。実際に見ることでしか体験できない、時空間型展示。
Art meets Life ~Kohei Nawa meets Seibu Shibuya~@渋谷西武
基本的に写真パネル展示だけれども、やたらカッコイイ。さすが現代アート最強のヒーローにして、ヒロイン。
◎花の画家 ルドゥーテ「美花選」展@Bunkamura ザ・ミュージアム
点刻彫版法、驚異の細密性と美麗な色彩に眼が釘付け。マドンナリリーを始め、白をあんなに美しく描くなんて感動。ピンクのロサ・ケンティフォリアを見て高島屋を連想する自分がちょっと残念。3時間でも足りない。ご利用は計画的に(>_<)。
2011年05月30日
●5月の鑑賞記録
5月はなんといってもレンブラントと写楽の東西版画対決。そして狩野一信畢生の大作「五百羅漢」。地震を乗り越えて開催されて、本当に良かった。
5/5
○アート好きによるアート好きのための図録放出回 Vol.1
関係者の方の行動力に脱帽。楽しませていただきました。
5/7
○国宝 燕子花図屏風 2011@根津美術館
今年は小雨の中、庭園を散策。人出も少なめで燕子花を満喫。来年こそは、八橋と燕子花を並べて観たい。
5/8
○香り かぐわしき名宝展(前期)@東京藝術大学大学美術館
大きな顔に風船のような胴体の「獅子香炉」。黒いマッスを宙に浮かせた「香時計」。香りと実用の接点にとても惹かれた。 速水御舟「夜梅」。マイクロテープを貼ったような明確な幹と、黒く滲む背景のグランデーション。透ける白い花弁。激ラブ。上村松園「楚蓮香之図」。ピンクの上衣に青いストライプ。逆手に持った扇の軽やかさ。美しい。
◎レンブラント 光の探求/闇の誘惑@国立西洋美術館
和紙等素材へのこだわり、版画のステート毎の大胆な変更。愛好家への需要喚起もあったろうけど、やはり全てをコントロールをしたいという強烈な欲求が作家を突き動かしたのだろう。そんな素顔を感じました。画面右上から射す光、その反対側からも補助光を当てて、ディテールは保持。柔らかな質感を産み出しつつ、画面密度も高める。あれは発明だろうか、観察に基づく発見だろうか。あるいは同時代性の産物か。とても興味を惹かれました。
5/14
◎写楽@東京国立博物館平成館
写楽誕生の背景を丁寧に辿る前半、歌舞伎演目ごとに作品を見せる後半。特に蔦重の吉原細見と歌麿のコンビネーション、豊国と写楽の同題材対決は見応えあり。まさに役者は揃った!北斎展に並ぶ空前絶後展!
○手塚治虫のブッダ展@東京国立博物館 本館特別5室
音声ガイドを借りて観た。漫画と仏像を観て、とってもわっかりやすーい!コンパクトな展示なのでダイジェストだけど、物語風味で面白かった。
◎五百羅漢展@江戸東京博物館
冒頭日常編の異様な密度と、色彩美と、精気漲る画面がとにかく魅力的。間近で見られる展示ケースの工夫も効果大!新勝寺の大作を照らす照明変化も効果的。一気呵成に観られる会場構成に、仕掛側の気合を感じた。
5/15
シュルレアリスム展@国立新美術館
法皇ブルトンの宣言から、その死まで。詩に触発された絵画、オブジェ、映像がズラリと並ぶ。詩が表現を導くのだなあと、オーディオガイドを借りてじっくり観た。教科書を淡々とめくりながら、内面世界を延々と彷徨った気分。
5/19
NIJIMASS@ギャラリーアートポイント
あおひーさんの個展。なぞなぞは面白いけど、モティーフとは別物に変化した作品をもっと見せて欲しかった。
5/22
◎あるべきようわ@資生堂ギャラリー
地下の参道。縦の光、渦巻く手水鉢、垂直な数珠。手摺を包む白布、垂れ下がる紐、薄く天を覆う透過膜。白い回廊の突き当たりに、塔が座する厨子。左に折れて、質感を残した白染の祭壇。その上に浮かぶ、聖なるガラス。光に誘われて段を登ると、均質な光のプレートの上で透明ガラスが驚くほど多様な表情に見せる。恍惚。ふと我に帰る。何を拝んでるんだっけ?透過膜の向こうに、雑然とした天井設備が見えてくる。現実の中に神殿が重なる。段取りの美が美しい。
夢に挑む コレクションの軌跡@サントリー美術館
蒔絵提重、薩摩切子 船形鉢、遊楽屏風、光悦茶碗。「生活の中の美」というコンセプトと優品展示に妄想心が刺激されまくり!新収蔵品も華やかで、とても素敵だった。
2011年05月06日
●4月の鑑賞記録
4/2
◎江戸の人物画-姿の美、力、奇@府中市美術館 (前期)
毎回毎回、新しい視点を開いて見せる企画力と、個人蔵を多く集めてそれらを色付ける構成力。そして観客を楽しませる仕掛けをタップリ盛り込む演出力。桜の季節に柔らかく射す光。あたたかい。
◎白洲正子 神と仏、自然への祈り(前期)@世田谷美術館
白洲正子の眼を通して観る仏様たち。好奇心に満ちた平明な文章が、目の前の景色を一変する。展覧会の醍醐味を堪能。
4/7
◎京都 2011 清水寺-産寧坂-円山公園-祇園
清水寺から四条まで夜桜巡り。歩くにはチョット長いかなーと思うも、桜の魅力に夢中になってあっという間。中でも円山公園の枝垂桜と花見の光景はひときわ印象的。
4/8
屏風「親鸞」@東本願寺
眼光鋭く何かを見据える鋭い青年として描かれる親鸞。迷い、期待、憧れ。様々な思いを抱いて繋がる人々。地震と放射能であっけなく崩れる世界に直面して、彼の生きた時代が身近に感じられる。
○法然 生涯と美術@京都国立博物館
人物像を知る資料が全然ないことを逆手にとって、絵伝として再構成された物語を辿る展示。全48巻の法然上人絵伝を主軸に、複数の別バージョン、所縁の仏像や宝物が彩を添える。ビジュアル情報豊富で、マンガを読む感じ。解説が何気に毒舌。
4/9
◎京都2011 醍醐寺-京都御所
醍醐から御所へ、桜巡りその2。三宝院の枝垂れには早かったけれども、境内と宝物館は満開から散り始め。「醍醐の花見」の栄華を今に伝える庭園が素晴らしい。そして京都御所の特別公開に滑り込み。平安時代から続くその空間は、王朝タイムカプセルそのもの。
4/15
◎三沢厚彦 Meet The Animals-ホームルーム@京都芸術センター
ギャラリーの白壁にスッと立つペガサス。教室の教壇に立つ白熊。和室の畳にそびえるように立つ鹿。みんなずっとそこにいたように馴染んでいる。横浜そごう、愛トリ、平塚のエントランス。僕が今まで観た中ではダントツで好きです。
4/16
○もうひとつの京都-モダニズム建築から見えてくるもの-@京都工芸繊維大学 美術工芸資料館
写真パネルと白模型で辿る、京都モダニズムの足跡。戦前の建物が、用途を替えながら今も現役な例が幾つも紹介されていて嬉しい。戦災を逃れたことも大きいのだろう。後半の主役は京都国際会館。そのあまりに異次元な存在感は、モダニズムという範疇を超越しているように思えた。
4/20
◎長沢芦雪 奇は新なり(前期)@ミホミュージアム
水墨画の動物たちが魅力的。師匠譲りのかわいい狗、ボケボケた味わいの蛙、牛、蛸、仕草の細かい雀、マンガな表現で時代を跳躍する猫トラ、スヤスヤと居眠りする虎、前脚で雲海を切り裂く龍。役者は揃った、あとは紅枝垂を待つ。
○親鸞展 生涯とゆかりの名宝@京都市美術館
法然展とうって変わって、こちらは真筆がドンドン登場。仏像に絵巻物に絵画とバラエティも豊か。けれども意外と人物像は浮かび上がらない。「飛雲閣襖絵」と狩野探幽「雲龍図」が観られて嬉しい。
4/23
○内海聖史「さくらのなかりせば」@ギャラリエアンドウ
緻密に描かれたピンクの点描が、桜の屏風絵のようでとても美しい。照明を落とすと夜桜の景に早変わり。「色」と「見え方」を、とても意識して作られた絵画体験。
◎Shuffle | シャッフル@白金アートコンプレックス
1F/コンクリートブロックと「根来」の対比。4F/長谷川等伯「四季柳図屏風」!不動明王半跏像の新旧対比。縦に並んだギャラリー群を横断して、古今アートをシャッフル!質、アイデア、見応え。三拍子揃った傑作。
4/24
東海道 新風景-山口晃と竹﨑和征@ヴァンジ彫刻庭園美術館
ようやくヴァンジ初訪問。アーティスト・トークショー目当てで、初日にGO。山口さんの作品は予想通り(?)白かったけれども、大作「階段遊楽圖」が出ていたのでバランスはとれた感じ。竹﨑さんは初見。通路空間を利用しての展示なので、決して恵まれた条件ではないけれども、それでも巧みな話術と竹崎さんとの掛け合いで場を盛り上げるのは流石。色は着くのだろうか。。。
母たちの神—比嘉康雄展@伊豆フォトミュージアム
こちらも初訪問。シャッフルの感動覚めやらぬ、新素材研究所(杉本博司+榊田倫之)による改装空間。エントランスと展示折り返し点に坪庭を配した構成は、美しく明快。その間に展示パネルを折り畳んで押し込んだ感じ。もうちょっと広さがあれば、より杉本さんらしい空間に仕上がっただろう。
4/25
◎フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 @Bunkamura ザ・ミュージアム
オランダ・フランドル絵画を五つのテーマから紹介。王侯貴族から富裕市民層へ。注文主の変化に合わせて、画題も変化。貴族を真似た画題あり、職業に因んだ画題あり。その多様性と柔軟性がとてもリアルで興味深い。さらに大航海時代を背景に、フェルメール「地理学者」を特別公開!とびきり美味しいオマケの付いた、一粒で二度美味しい展示。
●3月の鑑賞記録
3/2
◎平等院鳳凰堂、鳳翔館
浄土式庭園唯一の遺構、鳳凰堂。20年ぶりくらいの再訪。折りしも宇治関白頼道の命日だそうな。西方極楽浄土を再現した内部の壁画、運中供養菩薩。土門拳の夕景で有名な鳳凰。本当に奇跡のような建物。
鳳翔館、初訪問。鳳凰堂の再現CG、内部壁画再現コーナー。何より運中供養菩薩様たちが楽しそう!
3/13
○長沢芦雪 奇は新なり(前期)@ミホミュージアム
まだウォーミングアップな感じ。4/19からが本番?「山姥図」は対決展で、「虎図」は名古屋城でそれぞれ観たけれども、ないとやはり寂しい。深山に桜の咲く頃にまた来たい。
○薬師寺東塔
これから解体修理に入る東塔、10年のお別れ。
3/19
◎若冲水墨画の世界@承天閣美術館
館に入ると、立ち込めるお香。その匂いに癒される。鹿苑寺大書院旧障壁画。入口面とその先4部屋の全50面が勢揃い!展示の都合上、部屋順でなけれども、パズルの様に頭の中で空間をイメージしながら観るのは格別の楽しみ。若冲ファン必見!
○生誕100年 岡本太郎展@東京国立近代美術館
対決をテーマにした七番勝負。明快な構成、エネルギッシュな絵画、大きく目を見開いたパフォーマンス。一見エンターテイメントショーのような楽しい展示。個人的には太陽の塔がクライマックス。建築と対決して屋根をぶち破り、万博という場で原始を打ち出す。そして40年。大屋根は遠になく、ジェットコースターも撤去。塔は綺麗に修復されて燦然と輝く。消えたモノと残ったモノの対比が印象深かった。
3/27
◎建築家 白井晟一 精神と空間@パナソニック電工 汐留ミュージアム
虚白庵の濃密な思索空間に引き込まれ、親和銀行、原爆堂。気がつけば松濤美術館。ロビーのDVD映像で実空間体験を補って、とても濃密なひと時でした。
●2月の鑑賞記録
2/5
○琳派芸術 第1部 煌めく金の世界@出光美術館
俵屋工房を中心に、琳派の大家が客演する。伝宗達「月に秋草図屏風」の、月光に満ちて金色に輝く空間にゾクゾクした。「龍虎図」の、ゆるくドラえもん顔の虎に心を掴まれた。始祖宗達の創造性が光った。
生誕250年 酒井抱一 -琳派の華- (前期)@畠山記念館
一面を抱一で固め、対面は琳派大家の顔見せ。間に工芸をはさむ、手堅い構成。「四季花木図屏風」の、地色を活かした桜の幹の描写、「十二ヶ月花鳥図」の、美しい花と鳥の取合せ。抱一、萌え燃え展示。
○「日本画」の前衛 1938-1949@東京国立近代美術館
バウハウスの輸入から始まり、琳派の影響が見え隠れしつつ、様々な試み、時代の変遷を紹介して戦後の新たな出発で〆。個人的には、その因子が感じられる現代アート作品を最後に並べて、現代への継承を見たかったです。
2/6
筆墨精神@京都国立博物館
「今日、キョーハクする!」。典籍、名筆ザックザク。書の知識が皆無でも、意外と見応えあり。さすが京博。「山越阿弥陀図」。山より大きな阿弥陀様。その右手から伸びる五色の糸に導かれて、天国へGO!人生最期のイベントを荘厳する晴れ舞台。
TRANS COMPLEX - 情報技術時代の絵画@京都芸術センター
情報技術とインスタレーションの境界が揺らぐような視点が観られるのでは?と期待して訪問。実際の展示は思ったよりも堅実な印象でした。
2/7
◎立体曼荼羅@東寺講堂
運慶物語序章。本編は金沢文庫で公開中!
2/9
特別展ダ・ヴィンチ~モナリザ25の秘密~@日比谷公園
超細密撮影+解析で浮かび上がる往時のモナリザ像は意外性があって引き込まれた。ダヴィンチ手稿の再現展示はトンデモ内容もあったけれども、以外と充実していて見応えがあった。
2/13
◎酒井抱一生誕250年 琳派芸術 第2部 転生する美の世界@出光美術館
とにかく「八ツ橋図屏風」と「紅白梅図屏風」のダブル大作が圧巻。酒井抱一生誕250年と銘打つだけあって、主役は抱一。抑制の効いた展示空間と相まって、とても魅力的。
◎イメージの手ざわり展@横浜市民ギャラリーあざみ野
「イメージの手ざわり」をキーワードに、6組の作家の作品を展示。アートワークの展示だけでなく、作家とアートサポーターとのワークショップにも力を入れている。さらに展示室だけでなく、建物エントランスや階段にも作品が溢れ出ている。そういった手作り感、共有感、日常感を大切にした展示。
2/20
○TOKYO FRONTLINE@3331 Arts Chiyoda
アーツ千代田、初訪問。日本酒の利き酒コーナーがあるのが素敵。知り合いとバッタリ遭遇して、新聞紙のサイの前で語り合った。
奈良美智プリントワークス@六本木ヒルズ
奈良さんが中田隊長に力説してた。お二人を取り囲む観客で、ギャラリーが埋まってた。
G-tokyo 2011@森アーツセンターギャラリー
G-tokyoも初訪問。「アートを身近に」というフレーズと、差別化を図るような会場設定のギャップに戸惑った。スケジュールを詰め込みすぎて、既にグッタリ。
分岐展@ギャラリーモモ 六本木
「Roppongi α Art Week 2011」と称して、6つのギャラリーを巡るイベントの一環。六本木の回遊性が増えて嬉しい。
Mancy's Art Nights@Mancy's
浴室付き等、セレブ向け(?)カラオケボックスで繰り広げられる、アート展示即売会。奥まった会場設定と閉場間近な時間のせいか、ガラガラ。画廊スタッフの方のヒソヒソ話が反響して、観る気を削ぐ。
Tweet Me Love, Sputniko!@EYE OF GYRE
アーティストご本人も楽しそうにコスプレ?してて、趣味の合う友人達が集まったパーティー会場のよう。活気があって良かった。
2011年01月31日
●1月の鑑賞記録
1/2
博物館に初もうで@東京国立博物館
改装した漆工展示室、秋冬山水図、檜図屏風、風神雷神図屏風。話題豊富な新年企画。「古今和歌集(元永本)」の技巧を凝らしつつも上品な存在感が素晴らしかった。でも何より驚きは、「トーハク?」効果で大入り満員だったこと。新年早々、パスポートを購入するためにチケット売場でけっこう並びました。イメージ戦略による潜在顧客層の掘り起し、大成功。
1/8
アルブレヒト・デューラー版画・素描展@西洋美術館
Takさん企画のギャラリートーク特別版に参加させてもらい、学芸員さんの解説を聞きながら鑑賞。ドイツ絵画史におけるデューラーの位置づけから、作品の背景、見所まであっという間の1時間半でした。展示がずいぶんと違って見えました。どうもありがとうございました。
1/14
三瀬夏之介×池田学「現代アートの衝撃波一1973年生まれの新潮流」@紀伊國屋サザンシアター
去年の年末に観た池田学「焦点」にあまりに強く惹かれたので、トークショーにも行ってみました。なんとなく予想していましたが、何らかの論理を構築しようとする三瀬さんと、あっけらかんとした池田さんのキャラクターが噛み合わない。池田さんが三瀬さんを讃えた「いい声ですね!」が一番会場が沸いた瞬間でした。ファンのためのイベント。ツイッターTL上の絶賛の嵐がすごかった。
1/22
特別展「運慶 -中世密教と鎌倉幕府-」@神奈川県立金沢文庫
待ちに待った運慶展。初作の大日如来、最晩年の大威徳明王。風になびく衣装と彩色が美しい帝釈天。コンパクトかつ密度濃い展示でした。必見!金沢文庫は称名寺の境内奥。鴨、鳶、カワセミ。野鳥王国な境内散策も素敵。
2010年12月30日
●12月の鑑賞記録
12/2
○カンディンスキーと青騎士@三菱一号館美術館
カンディンスキーになる前のカンディンスキーから始まり、ミュンターと出会い、ムルナウを発見し、あのコンポジションシリーズが萌芽する。そして青騎士結成。章ごとに登場人物紹介があり、ドラマを観るような面白さのある展示でした。
12/4
伊庭靖子個展@MA2ギャラリー
空間に溶け込みつつしっかりとした存在感のあるマイクロワールド。意外と質感はザラザラ。
阪本トクロウ「けだるき一日生きるだけ」@アートフロントギャラリー
色々な阪本さんが観られてお得な展示。正面から道路を見上げた絵と、信号機の入った小品が好き。
バウハウス・テイスト バウハウス・キッチン展@汐留ミュージアム
見所は女性にスポットを当てた構成と、マイスターハウスのキッチン再現展示。小物入れいっぱいの作りがそれっぽい。
12/8
○池田学「焦点」@ミヅマアートギャラリー
超絶細密技巧と美しい色彩。ファンタジーと現実が混然とする世界。好青年なご本人。私的には無敵と思える内容でした。画集も購入しました。見開きクローズアップがふんだんに載っていて嬉しいです。
12/11
トランスフォーメーション@東京都現代美術館
マシュー・バーニーの映像を見つめる観客の異様な熱気に、新たな世界を観ました。
12/13
「Reflections」-現代アート新鋭作家13人展-@アートポイントギャラリー
あおひーさんの展示。確かに、そのうち来るかもしれない。と思えるくらいにレベルの高い展示でした。
12/25
○開館記念特別展@ホキ美術館
話題性のある造形と、美味しいレストランと、採算性を意識した計画。コレクションを広く見てもらいたいというオーナーの要望に見事に答えるプログラム。その分、内装グレードは抑えめ。その結果として、この立地で驚きの大入り状態。大成功だと思った。
ギッター・コレクション展@千葉市美術館
ゆるーい感じで、若冲?蕭伯?芦雪?と首を捻る。気楽に眺めるのが吉。
12/27
○江~姫たちの戦国~内覧会@江戸東京博物館
三人娘それぞれに章を割り振る構成が上手い。信長、秀吉、家康。激動の時代を背景に生き抜き、血を残す戦国絵巻を通して、空白の江像が浮かび上がる。最後の宮殿(くうでん)が、その存在の大きさを物語る!
12/28
○山口晃展~東京旅ノ介@三越銀座
5つの東京の景から日本橋三越へと至る、華麗なる山口商業画の世界。ガイドのお絵かきが登場して、のんびりムードの水景、あっと驚きの露電10系!エンターテイメント性の高い前半、旧作と写真でマッタリ気味の後半。楽しゅうございました。
2010年12月01日
●11月の鑑賞記録
11/3
ULTRA003 ノヴェンバー・サイド@スパイラル
05. 島田恒平(ギャラリー椿 / 東京)のイタ車、18. 杉田竜平(ギャラリーモモ / 東京)の緑の連作、19. 岩瀬幸子(日動コンテンポラリーアート / 東京)の一枚もの大作が良かった。ベストウォールは18に投票。オクトーバーサイドも観たかった。
○その名は蔦屋重三郎@サントリー美術館
吉原を拠点とし、そのガイドブック権益を独占する蔦重。黒地に赤のアクセントで統一された展示空間が、夜の街のエロチックさを感じさせてとても良い。経営基盤の強化、読者参加型企画で辣腕を振るう章立ても良い。後半、歌麿、写楽展はやや大味。
11/12
建築とITのフォーラム2010 環境建築 木材会館からバイオスキンへ@木材会館
話題作を次々に手がける山梨知彦さんの講演会。最後にホキ美術館の宣伝。内装も構造体も外装もスチール。絵はマグネットで壁に付いている。50mm径に45度首の振れるLED照明を納める。20-40灯で一枚を照らす。展示作に物故作家が一人もいない。整理された内容をアウトプットするマシーンのようだった。
11/16
◎山口晃 切り捨て御免トークショー@ミヅマアートギャラリー
アートブロガー「弐代目・青い日記帳」のTakさんが主催で、「山口晃展 いのち丸」を会場にして、作家ご本人のトークショーを開催。告知手段はTwitterで、USTREAMの実況あり。「アートと人と技術が有機反応する。そんな場に立ち会えるのではないか。」というワクワク感で一杯。
11/21
◎至高なる風景の輝き-バルビゾンからの贈りもの@府中市美術館
バルビゾン派の屋外写生と色彩の発見の喜びに満ちた1章。舞台を日本に移しつつ、その感動にオーバーラップする2章。人物に視点を移し、最後に集大成を見せて大団円。府中自慢の桜並木の晩秋の景も相まって、素晴らしく引き込まれる展示だった。木立、羊、麦藁、夕暮れ。叙情的なトーンを基調としながらも、さりげなく挿入されるクールベの鹿、野十郎のNY風景。その大気を切り裂くような厳しさがピリリと効いて良かった。
ドミニク・ペロー 都市というランドスケープ@オペラシティアートギャラリー
コンセプト、実現への置換、実現風景。会場自体をランドスケープに見立てた構成。処女作は刑務所のようだったと語るインタビュー映像が興味深い。そこからランドスケープへと鮮やかな飛翔。物質化の要は金属メッシュ。空間としてはザックリしてる。
収蔵品展 紙の上の競演@オペラシティアートギャラリー
伊庭さんのシルクスクリーンが3点出てます。トイレットペーパーと洗面台と椅子のクッション部のクローズアップ。純化することで豊穣さを引き出すような画面に、もう目が釘付け。MA2ギャラリーも行かなきゃ!
11/22
ラフェエル前派からウィリアム・モリスへ@横須賀美術館
横須賀美術館、初訪問。「海の広場」、「山の広場」、「美術館」という面構成。展示空間+レストラン+海と山という滞在型プログラム。「穴あき鉄の箱」と「ガラスの箱」の二重膜建築。東京湾と観音崎にはさまれた立地をさらに拡張する、立体回遊空間としての建築。
ドガ展@横浜美術館
素描を多用した構成から、ドガの観察眼が浮かび上がる。スポットを浴びるエトワールは美しいけどちっちゃい。クライマックスは「鍵穴からのぞく」裸婦の後ろ姿のオンパレード。都市の生態を生々しく描いた、浮世画家の軌跡という感じ。
11/23
○LLOVE@旧代官山iスタジオ
日本の建築家が空間を拡張するのに対して、オランダはの建築家は空間に異物化するアプローチに思えた。「泊まりたいか」という視線で観ることが新鮮でした。泊まってみたいと思ったのは302号室と307号室。泊まり方に一番興味が湧いたのが304号室。PVのように、ボールを転がしながら一晩過ごすのだろうか。
シェル美術賞展2010@代官山ヒルサイドフォーラム
ULTRA003で気になった小野さおりさんがグランプリに選ばれたとのことで観にいった。各作家一点ずつなので作家の世界観はそれほど感じられなかったが、全体的に若々しい雰囲気に満ちていた。
◎絵のなかに生きる 中・近世の風俗表現@根津美術館
庭園の紅葉が絶景。庭園内の茶室に明かりが灯り、活気づいているのも良い。その季節に風俗画のコレクション展を仕掛ける根津美術館の企画力はとても素敵。
2010年10月30日
●6-10月の鑑賞記録
6/6
大皇帝稜@橿原考古学研究所附属博物館
久々に訪れた畝傍山のふもと、時間の圧迫感を感じる立地。悠久の歴史を遡るような内容。展示空間ももう少し頑張って欲しかった。
○レゾナンス共鳴 人と響き合うアート@サントリーミュージアム[天保山]
ジャネット・カーディフの作品が圧巻。前方に海、右手にフンデルトヴァッサーの清掃工場、左手に赤字問題のWTCのある眺め。荘厳かつ美しく響き渡る宗教曲が、閉館間近な美術館の葬送曲に聴こえる。小泉明郎のフィクションに乗っ取られる過程、金氏徹平の大人気っぷりも印象的。祝祭でもコンセプト一辺倒でもなく、テーマと響き合う構成がとても魅力的。
○ルノワール - 伝統と革新@国立国際美術館
彩り豊かな肖像画から始めて、間に様々な側面を挟み、最後をイレーヌで締める綺麗にまとめた構成。X線分析は要らないので、もう少し職業装飾家としての仕事も観たかった。一番人気はもちろんイレーヌ嬢。他所の二倍は人垣が厚かった。
6/12
川喜田半泥子のすべて@三重県立美術館
蛙図(自画像)が良かった。不動の稲妻ひび割れもカッコイイ。洒脱でユーモアに富んだ見立てと、我が道を行く造形が力強い。県美の箱も重厚で魅力的。反面、展示方法が平坦+作品リストがないことにガッカリ。
田原市博物館の名品による渡辺崋山展@愛知県美術館
人物画、草稿、手控、風景画、自筆墓表。内容は充実しているけれどもボリュームは少ない。企画展スペースの半分を使っていて、残りは所蔵品展。入館料も所蔵品展扱いで500円。
7/11
◎束芋 断面の世代@国立国際美術館@国立国際美術館
湿気と精気ある線と色彩、不条理な変容というツール。えぐられた断面を観客が覗き込むことで関係性が生まれる立体パズル構成。緻密かつ独特な束芋ワールドを満喫。ループを描くような会場構成も良い。
ART OSAKA 2010@堂島ホテル
湿度の高さと会場の狭さに集中力低調。帝塚山ギャラリーの部屋全体を使ったインスタレーションの思い切りの良さ、gallery 21yo-jの青い絵の清涼感、アートコートギャラリーのシーラカンスの焼き物の緻密さが印象に残った。
印象派とモダンアート@サントリーミュージアム[天保山]
印象派、20世紀具象、20世紀実験的美術のコンパクトな3段構成。色彩、風景、平面を「いかに捉えるか」にピントがあっていて好印象。ルドンのステンドグラスの硬質な青と赤が美しい。
7/18
◎「フィギュアの系譜―土偶から海洋堂まで」、「村田蓮爾:rm drawing works」@京都国際マンガミュージアム
老若男女がマンガに読み耽る廊下、都市の坪庭のような校庭の居心地の良さは最高。こんな施設が増えてほしい。
「フィギュアの系譜 土偶から海洋堂まで」。他者としての人形から、自己の一部としてのコレクションアイテムへ。現在進行形のフィギュア論。マニアックな凄腕造形集団から、食玩の驚異的なクオリティでもって、世界へと飛躍するところが圧巻。
「村田蓮爾」。丸みのある女の子の線描とメカニカルな質感、美麗な彩色にうっとり。インクジェット出力の大判イラストがメインだけれども、柔らかなタッチの鉛筆下書きもあり。鉛筆とパソコンで世界を構築するってすごい!
小村雪岱の世界~知られざる天才画家の美意識と感性~@清水三年坂美術館
生存のエシックス@京都国立近代美術館
展覧会というより研究発表会。このハコはこんな用途にも使うのか。木の滑り台集合体の登頂は面白かった。
8/4
BASARA@スパイラルガーデン
深く心に引っかかるイベントだった。刺青のライブ感溢れるパフォーマンスといい、作家の個人興行という舞台設定といい、ドロリとした全体を流れる感覚といい。アートとサラリと括ることに、とても抵抗がある。「BASARA」という刀でもって、アートの現状に切り込むパフォーマンスという感じだろうか。そのキレに爽快感を感じた。
8/6
○ネイチャー・センス@森美術館
参考図書コーナーで桃山絵画展図録@京博、内藤礼写真集、成田亨「怪獣と美術」の三連冊に出会い、好きのツボを突かれすぎて悶絶した。展示では、血の滴りのようなセカンドインパクトと、空に据えた注射器が描く水紋が良かった。
○マン・レイ@国立新美術館
ニューヨーク、パリ、ロサンジェルス、そして再びニューヨーク。作家の足跡を時系列順に辿る縦糸。二箇所ある映像コーナー、技法解説、チェス盤といった創作活動の広がりを見せる横糸。ヒンヤリとした館内で20世紀前半の雰囲気に浸る気持ちの良いひととき。
8/15
高島野十郎と同時代作家展@柏市民ギャラリー
蒼い夜空に煌々と光る「満月」。「からすうり」の色彩と線描と構図の競演。逆光に浮かぶ草木が美しい「山の秋」。野十郎作品をまとめて観られる、嬉しいお盆イベントでした。
MASKS@千葉市美術館
様々な国、地域の仮面を揃えて、その造形バリエーションを楽しみつつ、背後にある祝祭、呪術、芸能を紐解く。奄美のおおらかな造形、仮面結社の白い鉄仮面、洗練の極みの小面などなど。夏休みの自由研究のようなで面白かった。
8/22
◎田中一村 新たなる全貌@千葉市美術館
少年時代の小憎らしいほど大人びた作品から始まって、千葉での農村風景、執拗に鳥を描くスケッチ。多彩な取り組みや、中央との断絶。若冲を彷彿させる花鳥画。そして奄美へ。現代視点から再構成された一村像は、驚きと興奮に満ちている。
8/29
○江戸絵画への視線@山種美術館
官女観菊図は照明が明るくて観やすかった。発熱の小さいLEDの恩恵なのだろうか。文晁の辛夷詩屋図の色彩はセザンヌのようで美しい。でも何より名樹散椿。うねる幹と、滝のような葉と花の生命感に見とれる。この絵と炎舞を観に、この先もこの館に通うだろう。
ベルギー王立図書館所蔵 ブリューゲル版画の世界 @Bunkamura ザ・ミュージアム
滑り込み鑑賞を狙って閉館1時間前に入館するも、3層の人垣の前に30分も持たずに撤退。人だけ観た気分。
9/3-4
◎あいちトリエンナーレ2010 都市の祝祭@納屋橋会場、愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、長者町会場
納屋橋会場。二つの作品が調整中。梅田さんの耳で観る光が、色彩豊かで良かった。でも音的にはやや不快。他は映像中心。もうちょっと直感的な刺激が欲しい。
愛知芸術文化センター。宮永愛子の消失へと至る時間を刻むような詩的な美しさがダントツ。ツァイ・グオチャンの躍動溢れる大画面と大胆な画面処理も見応えあり。ズリカ・ブアブデラの光の演出が綺麗。ここでしか出会えない体験を得られて良かった。
名古屋市美術館。オー・インファンの会期中燃えつづける線香作品が明快に面白い。ホアン・スーチエの電飾ファンとビニル袋のギミック群が蓮池を思わせて素敵。ツァイ・ミンリャンの白室、ベッド、TVの空間記号解体にさ迷う。島袋道浩の漁業美術の柔軟さとハッタリ力が楽しい。
長者町会場のフィナーレは、西野達作品。街のスケールに対抗する巨大さ、期間限定夜間のみの仮設性、通行人が思わず見上げるイベント性。都市の祝祭に相応しい。
9/18
○日本画と洋画のはざまで@山種美術館
第二展示室に入ると、空が目に飛び込んでくる。岸田劉生「道路と土手と塀」。異様にリアルな積石と土、強い陽射しを感じさせる電柱の影。その精気漲る画面は、近美で観たときとは全くの別物。こんなに凄い絵だったのかと、ただただ呆然と見入る。90度右を向くと、漆黒の闇。縦に落ちる光に造形された炎が静かに立ち登る。速水御舟「炎舞」。専用展示スペースで初披露。夏の空と闇。90度視線を移すだけで展開される二つの宇宙に視線は釘付け。
9/20
○アメリカ抽象絵画の巨匠 バーネット・ニューマン@川村記念美術館
ロスコルームの低い天井と巨大な色面が生み出す圧迫感と、滲み出るように浮かび上がる色輪が良かった。ニューマン展の白い崖の間から現れる「アンナの光」も美しい。ゆったりとスペースをとり、ソファを配して、アートと対話するに観られるのが何より良かった。
○上村松園(前期)@東京国立近代美術館
ガラスケース前に1~3層の人垣。淡々と時代順に作品を並べる展示形式と相まって、実物で観るカタログのよう。構図の変遷が辿れる、花がたみのスケッチが興味深かった。人物像やアトリエといったディテールも観たかった。
○ヘンリー・ムア@ブリヂストン美術館
余分を削いで削いで削ぎ落としたテーマと、豊饒な想像力による形態の変容。その過程を示すスケッチと、その先に結実する立体。月明かりに浮かぶストーンヘンジの黒光りする存在感も良い。コンパクトだけれども見応えのある展示。
○小泉淳作展@日本橋高島屋
蓮池越しに望む本坊大広間蓮池障壁画の写真にゾクゾク。吉野、又兵衛、本坊。三態の桜の圧倒的な美しさにうっとり。「己を無にして」挑んだという、平成の一画家の率直でどこかユーモア漂う一文にふむふむ。魅力的な展示。
9/24
田中一村 新たなる全貌@千葉市美術館
ちょっと肌寒い館内で、何度も登場する「秋色」の画面の暖かみが心地良い。閻魔大王の手土産は別格。館内は適度な人の入り。常にガラスケース最前線で観られた。
延々と続く試行と変遷の日々。しかし中々成功へは結びつかない。内心忸怩たる思いもあったろう。でも展示は淡々と飽くなき追求の軌跡を追う。それは一種の漂白かもしれないが、展覧会としてはとても観やすい。スケッチ、注文品、そして濃密な色面による複層ストーリー。さよなら一村。
10/3
◎モエレ沼公園
ガラスのピラミッド 。鋭利なエッジと水平の空間対比、白塗り煉瓦と円滑面と石積の素材コントラスト。
海の噴水。自然と幾何、大地と彫刻の競演!でも寒い。
10/9
○BIWAKO BIENNALE 2010 玉手箱 Magical World@近江八幡
近江商人の繁栄と水郷のまちで繰り広げられる現代アートの祭典 。
天籟宮。過去の上に立つ現代が心地良い。
森川穣 ことのは。光の中に草木のシルエット?
青木美歌。深海をイメージしたガラス細工のインスタレーションが美しい。
10/16
宮本武蔵 承伝 五輪書@羽田空港 Discovery Museum (永青文庫)
小さなスペースだけど、黒で統一された館内が良い感じ。空港の一画なので子供達が走り回ってたけど。隣の飲食ゾーンでは500種類の名作椅子に自由に腰掛けられるので、とても楽しい。羽田に行くときはオススメ。
10/22
○円山応挙 - 空間の創造@三井記念美術館
大乗寺襖絵の奥行を感じさせる画面が見応え十分。淀川両岸図巻は伏見、淀、男山と京阪電車に乗ってる気分。箱が小さいのでとても窮屈だけれども、予告編としては素晴らしい内容。本編はいつ?
山田純嗣展@不忍画廊
山田さんの展示を観るのは三回目。作家さんがおられたので、気になるところを色々と伺った。イメージが立体、写真、エッチング、ペイントと技法を重ねて獲得するリアルさ。かけた手間の分だけ、フィクションが現実に馴染んでいるようで不思議だった。
オラファー・エリアソン@ギャラリー小柳
21世紀美術館の展示を観ていれば、特に目新しいモノのない内容だった。
10/24
◎開府400年記念名古屋城特別展「武家と玄関 虎の美術」@名古屋城天守閣2階展示室
牧谿のタイガーマスクから始まって、海北友松の龍、山雪、探幽を経て、応挙の猫バス。その凶悪な可愛さを吸収し、本能のままに躍動する芦雪のネコトラに感極まる。トリは蕭白。ボストンの龍が観たい。予告編だけで本編を作ったような、濃密な展示だった。もうすんごい満足。
○尾張徳川家の名宝 -里帰りの名品を含めて- @徳川美術館
予想通り力尽きた。豊国祭礼図屏風の人物を覗き込んでいたら目が回った。
○変革のとき 桃山@名古屋市博物館
前半が聚楽第と天下人、中盤が南蛮屏風と輸出蒔絵、後半が光悦と焼き物。名古屋城、徳川美術館との重奏効果の下、光悦茶碗雨雲、時雨、サントリー美の南蛮屏風といった名品が並ぶ。
聚楽第に焦点を当てるのは良かった。伏見城が大きく描かれた洛中洛外屏風も良かった。後は永徳の檜図屏風か唐獅子があればいうことなしだったけれども。。。永徳が小さな扇絵一つと言うのは、ちょっと寂しかった。日本最大のバブル期の豪華絢爛さをもう少し観たかった。
◎名古屋開府400年記念・ミュージアムトライアングル
上記3館タイアップの割引企画。内容充実で満足感も高い。名古屋城の障壁画が市博物館にあったり、長篠合戦図と豊国祭礼図が徳川と市博の両方にあったり、応挙も徳川にもあったりで、展示の重なりが宝探しのようで面白かった。
10/27
山口晃 展「いのち丸」@ミヅマアートギャラリー
まんまと術中にはまりました。
2010年05月31日
●5月の鑑賞記録
5/3
◎国宝燕子花図屏風@根津美術館
金地に草花のコンポジション、垣根を使った構成の切替、呉服屋内観。それらが燕子花図でピタリと像を結ぶ。さらに大胆な構図を他2点で補強。仁清の立体絵画美が彩りを添える。明快で圧倒的な美の洪水に身を任せる至福のひととき。
◎ルーシー・リー展@国立新美術館
愛らしいピンク、深淵な青、透明感溢れる緑。口元を引き締める濃茶に、天に昇るスパイラル文。円熟期の華麗な世界に向けて収束するエンターテイメント。研究ノート、BBCインタビューのチャーミングな笑顔が華を添える。観客はみんな彼女のファンになるに違いない。
アーティスト・ファイル 2010@国立新美術館
O JUNさんの壁一面の原色系?ペイントの迫力と、斎藤ちさとさんの泡写真を覗き込む体験が印象的。全体としてはとても希薄に思える。
六本木クロッシング 2010@森美術館
宇治野宗輝の自動演奏マシーンが楽しい。加藤翼の共同作業の熱気が熱い。青山悟の暗闇に浮かぶメタリック刺繍が美しい。音声ガイドから流れるメッセージ性をとても強調する解説に違和感を覚えた。
5/4
○細川家の至宝@東京国立博物館平成館
前半は細川家列伝。幽斎、忠興といった本筋、ヒロインガラシャ婦人、武人武蔵と幅広い。文武が交差する古今伝授が最高潮。後半は永青文庫名品展。春草の黒き猫に和む。テーマが拡散気味でちょっと散漫。中世から現代まで続く名家のお宝展として、思いのほか楽しめた。
市井の山居/細川護熙展@メゾンエルメス8階フォーラム
ガラスの水流、苔むす露地、杉板の茶室。見立てによる空間構成と各所に配された茶器、絵画。どことなく漂う脱力感。とにかく細川家当主はめちゃくちゃ楽しそうだ。
5/5
○建築はどこにあるの?@東京国立近代美術館
中村竜治さんの、構造材を極細化して現れる霧のような存在感がすごい。中山大介さんの草原の中のピクニックイメージも素敵。インテリア的に思えるのは、パワーから繊細さへと、時代がシフトしてるのだろうか。
○マネとモダン・パリ@三菱一号館美術館
館長の愛するモネと、近代パリ大改造のダブルテーマを込めた、華々しい開館展。モリゾの黒、ブラン氏の青、ともに以前上野で観たときと全然違う。靴音が響き渡るフローリングがたまにきず。
5/9
等伯の足跡探訪、現代との接点、現代版利休inへうげものを含む現代アート@アートフェア京都。そして等伯展@京博へ。
大徳寺 真珠庵、玉林院、高桐院
飛躍の舞台かつ利休との接点、大徳寺三門。学習の足跡、曾我蛇足襖絵@真珠庵。内部と庭園が連続する空間体験@玉林院、高桐院。
きょう・せい 第2期@京都市立芸術大学ギャラリーKCUA
岡田真希人さんのインスタレーションがパワフルで綺麗だった。芳木真理絵さんのプリント積層作品はオープンスタジオのときの強烈な存在感を感じず。展示場所を選ぶタイプ?
トラフ展「inside out / outside in」@radlab.
新進気鋭建築家ユニットが、建築的手法でもって、アート、プロダクト領域を横断する。空気の器は切り込みを入れた円環紙を引っ張ることで造形する即興的な手法と、色彩が相まった美しさ。建どこ展に通じる軽やかさを感じる。
○アートフェア京都@ホテルモントレ京都4階客室
展示方法で児玉画廊、展示内容で小山登美夫ギャラリーが充実。帝塚山ギャラリーの住吉さんは一家に一台欲しい、ギャラリーMOMOの村田さんは新機軸、不忍画廊の山田さんのカエルはあまり光らなかった。でも10月の個展は楽しみ。そんなわけでとても楽しかった。
◎没後400年 特別展覧会 長谷川等伯@京都国立博物館
春信期を前段、狩野派との抗争と桃山絵画の精華を中段、水墨画から松林図を後段にすえた等伯一代記。400年前の遺構を題材に現代の価値観を反映、再構築した物語。かくして等伯は現代によみがえった。
5/16
◎伊藤若冲 アナザーワールド@静岡県立美術館
若冲絵画を水墨画と色彩画の融合と捉え、水墨画を中心に構成する展示。同時代の画家や未完成の表現を織り交ぜながら、融合到達点として仙人掌群鶏図を見せる展開がカッコイイ。細密美麗彩色画から始まった現代若冲再生物語は、象と鯨図屏風発見という大イベントを挟み、アナザーサイドを経て大団円を迎えた。
◎又兵衛絵巻と北斎・広重風景版画の名作@MOA美術館
浄瑠璃物語絵巻全12巻、一斉公開!息を呑むほどに華麗かつ緻密に描き込まれた邸内の様子、衣装、調度品。物語に沿って絵巻の中を旅する体験。過剰かつ圧倒的な美を満喫。
5/29
◎オルセー美術館展2010 [ポスト印象派]@国立新美術館
前半はエメラルドグリーンとスカイブルーの背景に浮かぶ、モネの光の渦、セザンヌのタッチ、ゴーギャンの色彩構成。後半は赤茶色の背景に溶け込む、ドニのミューズたち、モローのオルフェウスの凄絶な美しさ。娯楽型展示として断トツの内容と空間構成を堪能。
○奈良美智展 セラミック・ワークス@小山登美夫ギャラリー
White Riotの遠目に可愛く、近づくほどに牙剥き出しの狂気が漲る様に釘付け。森子やおたふくの下膨れた圧倒的な量感はパタリロのようだ。奈良さんの頭の中を覗き込むような幻想感と、イメージを具現化する手腕に惚れ惚れ。カワイイは凶器。
戸谷成雄 ミニマルバロックVI@シュウゴアーツ
チェンソーで刻まれた荒々しい造形と、板の形を残す輪郭。それらが整然と並び、静的かつ動的な独特の空間と化していた。
○アニッシュ・カプーア展@SCAI THE BATHHOUSE
一瞬で視覚を分解し、聴覚を狂わすステンレスミラーが一番。石と漆の質感の対比が美しいオブジェが二番。多彩な幻惑体験が楽しい。ロンドンのタワーが楽しみ。
阪本トクロウ展 まなざし@ギャラリー桜の木銀座
雲の上に広がる青空、木々のシルエット越しに霞む遠景、道路の夜景。画面に漂う空気感が好きな作家さん。今回は開放的と閉鎖的の二極に分かれた感じ。
2010年04月30日
●4月の鑑賞記録
3.5日の休日を、アート鑑賞とマラソンに注ぎ込んだ一月でした。
4/4
第13回四日市シティロードレース大会
10kmを41分41秒で完走。普段のランニングより20秒/kmほど早い。でもトップは32分台。ナンデスカソレハソラデモトンデルンデスカな気分。
4/11
吉野山 2010
世界遺産で修験道の聖地で花見の名所。信仰と享楽が同居する、混沌とした場のエネルギーが何より魅力。私的世界最強の桜の名所。
大遣唐使展@奈良国立博物館
冒頭、薬師寺聖観音菩薩立像の美しい腰回りにうっとり。真備、真成にスポットを当てる導入から、超絶技巧の携帯仏、吉備大臣入唐絵巻、驚きの照夜白図、命懸けで将来された三彩。息をつかせぬ怒涛の展示に見とれた。そして舞台は長安へ。石仏十一面観音の気品ある顔立ちとスラッとした立姿、石仏如来三尊像のくびれも美しい。第二展示室は駆け足で観たけど、メインはやっぱり第一展示室。ドラマ性の高い展示がとても魅力的。
4/18
志摩ロードパーティ ハーフマラソン2010
1時間35分4秒で完走。暑さとアップダウンでとても苦しかったけど、沿道の声援が多くて本当に嬉しかった。景色とあわせて、記憶に残る大会でした。
「小川芋銭と珊瑚会の画家たち」(前期)@愛知県美術館
愛県美と茨城県美のコレクションを組合せて、芋銭の幻想画と、芋銭を取り巻く人達の作品が淡々と並ぶ。小杉未醒と川端龍子が存在感あった。企画展の後に所蔵作品展が続くのだけれども、これが粒揃いで凄い。ピカソの向かいにクリムト、横に藤田。作品の発するオーラが桁違い。最後の大鵬大茶会の再現展示にウットリ。守一、芋銭、茶道具のコラボはたまりません。若冲六歌仙図の修復が待ち遠しい。
4/24
王者の華 牡丹@徳川美術館
オーソドックスな美から山雪の前衛、仁清の色彩とモノトーン、瑠璃地に白抜き。徳川園の牡丹と合わせて見応え最高!
ヤマザキマザック美術館
5階がフランス絵画、4階がアールヌーボー家具+ガラス。無料貸出の音声ガイドを聞きながら、アートに浸る至福のひと時。サロン風の内装も落ち着く。
2010年04月04日
●2月、3月の鑑賞記録
2/7
百草冬百種展 金沢から@百草
BRUTUSに安藤雅信さんの自邸が載っていたので興味が湧いた。設計は中村好文さん。百草はその横にある古民家を改装したギャラリー+中村好文さん設計のカフェ。カフェで玄米コーヒー豆乳ラテ+百草のおやつをいただきました。小さいながら居心地の良い場所でした。
山口晃 天井画@清安寺
木地に墨の質感が素敵で、思わず長居をしてしまいました。
2/13
睡蓮池のほとりにて モネと須田悦弘、伊藤存@大山崎山荘美術館
須田さんの睡蓮は最高に良いです。カーペットの白砂に黒板の水盤。写り込む睡蓮。新旧の建物が刺激しあって魅力を深める空間が素晴らしい。
京都オープンスタジオ2010 桂スタジオ、うんとこスタジオ、豆ハウス、AAS。作家さんのスタジオを展示会場として開放する意欲的な試み。VOCA展入賞者や、ギャラリーで展示をされている作家さんたちが参加されていて、とても魅力的でした。同道したlysanderさんが、iphoneをナビにして自転車で街中を疾走したのも良い思い出。
2/21
北宋汝窯青磁 考古発掘成果展@大阪市立東洋陶磁美術館
北宋汝窯青磁展はちょっと予習不足だった。安宅コレクションの迫力はさすが。陶片に描かれた青磁象眼文様の静かな躍動感と色彩が素敵。
絵画の森 ゼロ年代日本の地平から@国立国際美術館
花澤武夫「ゴールドベルク」の荒々しい緑、水流、水盤の構成がパワフル。加藤美佳「カナリア」の黒い瞳と光沢ある唇も現美で観るより素敵。池田光弘の橋の上に草原が乗る絵も幻想的で素敵。杉戸さんの幾何的な絵と、その反対側の絵の白い斜め線に惹かれる。大きく変化する00年代具象絵画の地平を探らんとする質、物量揃えた企画展。でもブースで小分けした閉鎖空間を「庭」とは呼ばないと思う。
森川穣「確かなこと」@京都芸術センター
時間の堆積をスリットから覗き込む。仕掛けが明快で宝探し気分が楽しい。貝殻が見つけられなかった。
2/27
あいちアートの森 豊田プロジェクト 知覚の扉II@喜楽亭
和風旅館のグリッド+時間の堆積と、現代アートのビビッドな感性がお互いを引き立てます。 庭には白梅と椿。
あいちアートの森 豊田プロジェクト 知覚の扉II@豊田市美術館
喜楽邸の時間の堆積に対して、こちらは建築家の構想力で和空間を構成。アートを通して二つの空間の共通点が鮮やかに浮かび上がる。カバコフの鏡に断片化される中庭の景色は都市のよう。歩くに合わせてピタリピタリとフレームインする景色は映画のよう。しかも周辺環境と接続している。豊田市美の空間構成は本当にすごい。
愛知県立芸術大学
「吉村順三展」で見ようと思って以来、幾星霜。ようやく巡礼。長大なボリュームが宙に浮く講義棟が背骨のよう。プレコン庇の外廊下を横軸に各棟が連結。リニアな構成は明快、歩行シークエンスは未消化にて退散
愛知県立芸術大学卒業・修了制作展@愛知県美術館ギャラリー
閉館30分前に飛び込んで、3秒ルール適用でサーッと観て回った。それでも目に飛び込んでくる作品があって、アートの力って凄いなと思った。油絵が面白かった。
3/6
没後10年 小倉遊亀展@兵庫県立美術館
才気煥発お絵かき大好き少女が、困難を乗り越え画家になるサクセスストーリー。戦後の精気溢れる女性像が素敵。長寿なところも素敵。人物画の次は静物画。陶器と花の組合せが好きなので見入ってしまった。結局2時間コースでした。
修二会おたいまつ@東大寺二月堂
大炎上する松明、どよめく境内、爆ぜる音、充満する煙の匂い。大迫力の炎のイベントに大満足。終了時に拍手で沸いた。
3/14
没後400年 特別展「長谷川等伯」@東京国立博物館平成館
一巡目。逆回り鑑賞で意外とゆっくり観られる。小品ガラスケース前は4層くらいの人混み。内容充実で観て楽しい。二巡目。大徳寺金毛閣の再現、桧原図屏風が特に良かった。三巡目。春信の精緻な筆遣いをじっくりと観る。加賀の絵仏師が上洛して狩野と競い、墨絵を極める一代記を堪能しました。
洛中洛外図屏風 舟木本@東京国立博物館ミュージアムシアター
期待のVRシアター。過去の京都町並俯瞰動画がいつ登場するか、今か今かと待つも、静止画中心だった。あれだけの人物を動かすわけにはいかないと分かってはいても、つい期待してしまう。
フランク・ブラングィン展@国立西洋美術館
オーソドックスなデザインスタイルから、強い日差しの下での鮮やかな色遣いへの変化。松方コレクションとの関わりから、共楽美術館の構想へ。練り込まれた会場構成と、共楽美術館を原寸で再現する展示方法。西美でしかできない展示を丁寧にやり遂げた、お手本のような展覧会。
所蔵水彩・素描展-松方コレクションとその後@国立西洋美術館
モロー水彩画の幻想的な美しさにうっとり。
ボルゲーゼ美術館展@東京都美術館
カラバッジョ「洗礼者ヨハネ」の鮮烈な赤が印象的。ラファエロ「一角獣を抱く貴婦人」のユニコーンはちょっと。。。ボッティチェリは印象に残ってない。。。
VOCA展2010@上野の森美術館
中谷ミチコの水の揺らぎのような見え方が素敵。ましもゆきの細密な書き込みも良い。
大哺乳類展@国立科学博物館
剥製と骨格の大物量展示は圧巻。鹿類の角のバリエーション、三大珍獣、ジャコウネズミの可愛いキャラバンまで。様々な角度から好奇心を刺激してくれます。後半のシートン動物記も絵とテキストの合わせ技が魅力的で、時間が足りないのが残念だった。
3/20
尾張徳川家の雛まつり@徳川美術館
等伯が参考にしたといわれる「洞庭秋月図」伝牧谿を観に出かけるも、出展されてなかった。犬人形の愛嬌のある顔立ちと、驚くほど大量の嫁入り道具のミニチュア群が印象に残った。
植物化石-5億年の記憶-@INAXギャラリー名古屋
石に刻印された葉脈のフィンガープリントが、美しいアートワークに見える。
3/28
歴史を彩る 教科書に載る名品@藤田美術館
素晴らしいコレクションは眼福の一言。曜変天目独り占め。
マイ・フェイバリット--とある美術の検索目録/所蔵品から@京都国立近代美術館
読み込みに少々手間がかかりますが、「観る」ことが「知的操作」のようで好奇心をかきたてられます。
2010年02月06日
●1月の鑑賞記録
謹んで新年のご挨拶申し上げます。
1/3
博物館に初もうで@東京国立博物館
国宝 土偶展@東京国立博物館
古代ガラスの発達 吹きガラスへの道@東京国立博物館
平常展@東京国立博物館
岸駒の虎カッコイイ!
土偶展は空いていればカッコイイ展示なのだろう。特5はせまかった。。。
志野茶碗の白い肌合い、正倉院宝物や宮女図の写し、古代ガラス、蜥蜴の彫刻。堪能しました。
北大路魯山人展@日本橋高島屋
食感を刺激する美しき器の数々は至上の眼福。焼き物、螺鈿、鉛の競演する壁画も魅力的。会場もコンパクトながら観やすい。作品リストがないことと、壁画に無造作に穿たれたネジが残念。
1/9
柴田是真の漆×絵@三井記念美術館
漆工芸の超絶技巧とキリリと締まった現代的なデザインセンスが、三井の古くて新しい箱にベストマッチ。絵画による世界観の広がりも素敵。エドソンコレクションの成立が近年なのがちょっとショック。
ルイス・バラガン邸をたずねる@ワタリウム
バラガン自邸を、オリジナル家具を使って、立体的に積み上げて再構成した感じ。光の採り入れ方も見所という解説でした。個人的には空間の広がりが感じ難くて、見辛かったです。
DOMANI・明日展2009@国立新美術館
伊庭靖子さんの絵画に再会できて嬉しかった。呉亜沙さんのNY留学絵日記が可愛らしい。高野浩子さんの木箱積層インスタレーションの迫力と、テラコッタ彫刻の愛らしさが素敵。個展が12個並んでいると捉えると、それぞれに魅力的。でも1x12=6な感じ。
清方ノスタルジア@サントリー美術館
情感豊かな画面を堪能しました。絵画と挿絵の境界ってどこにあるのだろう。
1/24
ARTのメリーゴーランド@岐阜県立美術館
吉本さんのタッチに和み、大巻さんに技を感じ、神戸さんの世界に浸る。けれども全体としてはタイトル負けしていると思いました。
あいちアートの森 堀川プロジェクト
インドアテニスクラブと東陽倉庫を観ました。空間を活かした展示形式と作家の活力の相乗効果がとても良い。
コトホギス フジイフランソワ@名古屋タカシマヤ
小品が良い。お茶ドウゾウ欲しかったなあ。
1/30
オラファー・エリアソン-あなたが出会うとき@金沢21世紀美術館
光、影、霧。空間と観客と展示が溶け合い、全体で一つの現象を作り上げる。確かに必見。ただし街中のようにザワザワしているので、光のファンタジーに陶酔しようと力むと素っ気ない。何人かで「わーきれーい」とかいいながら観ると、より楽しめる展示だと思います。
コレクション展「Shift-揺らぎの場」@金沢21世紀美術館
須田悦弘さんの「雑草」が観られて良かった。
椿絵名品展-あいおい損保コレクション-@金沢21世紀美術館
尾形光琳、岸田劉生、北大路魯山人。椿を通して名品が並ぶコレクション展。開放的なエリアソン展と180度反対の、閉鎖的なオーソドックスな展示。その落差に疲れました。
2009年12月21日
●11月12月の鑑賞記録
11/1
若冲ワンダーランド(第4期)@MIHO MUSEUM
4期はちょっと薄め。鳥獣花木図の色彩の美しさが印象に残る。稚拙な描写がモザイク画を意識したモノなら、若冲筆でいいかも。若冲=細密画の人にはそこが譲れないのだろう。
○日蓮と法華の名宝-華ひらく京都町衆文化-@京都国立博物館
等伯展の前振りと光悦の独演会だった。光悦の立正安国論がカッコイイ!等伯は仏画で来年をしっかりアピール。山楽の唐獅子が見られてちょっと嬉しい。
11/13
○皇室の名宝-日本美の華- 2期@東京国立博物館平成館
正倉院宝物と春日権現験記絵と蒙古襲来絵詞が観られる至福のひととき。
11/15
大本山光明寺と浄土教美術-法然上人八百年大御忌記念-@鎌倉国宝館
蒙古襲来絵詞に触発されて、いざ鎌倉。鎌倉国宝館の運慶。体の張りが感じられる素晴らしい造形。当麻曼陀羅のラストシーン、来迎図も素晴らしい。
◎内藤礼 すべての動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している@神奈川県立近代美術館 鎌倉館
花形に並べた豆電球の回廊。ガラスの内外を行き来する空間全体を使う構成。こんなことが出来るのは内藤さんだけ!と思える素晴らしい出来!天井から垂らしたビーズの糸、風になびくレースのリボン、そっと置かれた水の入ったガラス容器。ただそれだけで空間を支配する内藤さんってすごいと思った。
12/13
○躍動する魂のきらめき-日本の表現主義@松戸市立博物館
イケメン婆羅門、異様な存在感の舞妓、生命力溢れる芋銭。アクの強い表現が並ぶ絵画彫刻。「現代の夜明け」を控えて、最後の輝きを放つ装飾性豊かな建築。併設された博物館の歴史展示、虚無僧、梨も加わって、とてもユニークな展示空間に。
12/19
山口晃トークライブ 「年忘れ!山愚痴屋感謝祭・弐」@紀伊国屋サザンシアター
二年ぶり二回目のトークライブ。前回よりもお笑い度倍増、脱力感強め、ブラック感も強め。聞き所は「vsアンドー箱」。エンジンのかかった後半が時間切れ気味でもったいなかった。
2009年11月02日
●10月の鑑賞記録
10/3
速水御舟 -日本画への挑戦-@山種美術館
挑戦者としての側面にスポットを当てる構成に、新生山種の意欲が感じられます。ただ展示構想に箱の大きさがついていかない。名画を引いて見られないのはつらい。一連の御披露目展覧会が一段落してからが、美術サロンとしての真価を発揮しそう。
夢と追憶の江戸 -高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展- (前期)@三井記念美術館
重厚なガラスケースと絶品浮世絵のコラボレーション。ハイライトは第一、第二展示室。なんだけれども、陶磁器の名品を納める箱に浮世絵を並べるのはやはり違和感がある。
古代カルタゴとローマ展 きらめく地中海文明の至宝@大丸ミュージアム
カルタゴと聞くとハンニバルと思ってしまいますが、展示のメインはローマ都市として復興以降の遺品。モザイク画が良かった。でも最大の見所は六本木に設置されており、残念ながら足を伸ばせず。
○クリムト、シーレ ウィーン世紀末展@日本橋高島屋
保守から変革、そして近代へ。華麗なウィーンで繰り広げられる時代の大変換。さりげなくワーグナー、アドルフ・ロースといった建築家までカバーするところに絵画と建築の近さを感じ、嫉妬感を覚える。髙島屋の展覧会は本当にレベルが高い。
10/4
第2回 いすみ健康マラソン (ハーフマラソン)@千葉県いすみ市
今シーズン初戦。暑さとプレシーズン期間での開催に苦しみながらも、1時間36分4秒で完走。4分35秒/kmというペースは頑張ったと思うけれども、去年よりタイムが落ちている事実を受け止めるべき。スタート前にあった瀬古俊彦さんの挨拶が漫才で面白かった。
10/6
◎皇室の名宝-日本美の華- 1期 (前編)@東京国立博物館平成館
◎皇室の名宝-日本美の華- 1期 (後編)@東京国立博物館平成館
待望の伊藤若冲「動植綵絵」全点公開!まさかのブロガープレビュー開催!もう狂喜乱舞です。
◎国宝那智瀧図と自然の造形@根津美術館
存在感の全くないガラスに驚愕。庭園と既存建物を借景しつつ、高さにメリハリをつけた箱の構成が上手い。和とガラスの美空間。
メアリーブレア展@東京都現代美術館
会期延長した最終日に滑り込み。物販の行列にもうビックリ。展示室も人でいっぱい。どこからあんなに来るのだろう。異次元空間でした。
10/10
○聖地チベット展@上野の森美術館
ギロリと目を剥く薄衣の黄金仏。蓮マンダラの開閉ギミック。千手ある千手観音。バリエーション豊かな合体仏。踊る不動が並ぶ細密タンカ。高僧の頭蓋骨を使ったカパーラ。緑、オレンジ、青とカラフルな髪の毛。現代アートのようなパワフル、カラフル、インパクト。
○古代ローマ帝国の遺産@国立西洋美術館
きめ細かな白大理石の像がゆったりと並ぶ。カリアティドはけっこう逞しい。そりゃ柱だし。ミネルヴァ、ディオニュソスも美しい。ポンペイの壁画展示から伝わる暮らしぶりに溜め息。CG再現映像の出来が出色。美しい展覧会。
出たトコ次第のフリー・トーク 青柳館長とHASHI(橋村奉臣)@国立西洋美術館
HASHIさんの人なつっこい語り口と笑顔。青柳館長の飲兵衛口調。少し砕けた感じが良かった。「静止画なのに時間がある」という表現で詩、絵画、建築と並べたところ。ローマで一番重い罰は名を消すこと。などなど。面白かった。
10/11
Tokyo Visualist Symposium@BELLSALE原宿
鴻池さんのトーク。オペラシティー、霧島の映像と、展覧会を作る人の話。使い難い箱との格闘、自然を牛耳ることが次の課題。繊細で大胆な挑戦者。
名和さんのトーク。系統別に整理された作品群。写真一枚で魅力を伝える語り口。「意味の解体」といった言葉もきちんと肉付け。作家兼プロデューサー。
10/13
○国宝 青不動御開帳@青蓮院門跡
主役は庭園。巨大なクスノキが見事。青不動は炎が美しい。東博の照明で見てみたい。今回は展示でなく拝観。鐘の音色の美しさにに癒された。
◎生活の中の美 北大路魯山人展@何必館・京都現代美術館
魯山人の器に古木を敷いて枝を活ける。その空間美は超絶眼福。2階の花入、水を張った手桶。5階の散らし置いた書と器。B1階の右手3品。
◎名和晃平展「Transcode」@ギャラリーノマル
現象を切り取る鮮やかさは超一流。ピクセルに解体された画面、ドットの波に落ちる黒い影。大阪まで遠征した価値がありました。
10/23
◎皇室の名宝-日本美の華- 1期 (夜間鑑賞)@東京国立博物館平成館
LED照明に鮮やかに浮かび上がる「旭日鳳凰図」と「動植綵絵」は一生モノの思い出。厚盛り彩色美を極めた感のある前者。シンプルな構成から遊び心の台頭、平面構成の高密度化、そして時空間を超える立体構成へと変奏する後者。その美しさに涙が出た。
10/24
The Nike+ Human Race 10K
4分17秒/kmで10km完走。前日の自己新から 3秒/km 落ちたのは残念だけれど、頑張りました。
10/26
Art Point Selection Ⅳ@ギャラリーアートポイント
あおひーさんの展示。満を持しての色彩の世界。その先に想像の世界が広がる。物語性も感じられて楽しかった。イチオシは不思議版画調海岸。販売も好調だったそうで、次回が楽しみ!
10/27
◎興福寺国宝特別公開2009 -お堂でみる阿修羅-@興福寺
平日夕方鑑賞。仮金堂0分、北円堂20分の待ち時間。釈迦如来に睨みつけられ、バツ悪そうに立たされる阿修羅が見られるのは興福寺だけ!「随分とお堂を留守にしおって」という声が聞こえそうだった。北円堂は運慶一門の存在感が圧倒的。
◎第61回 正倉院展@奈良国立博物館
平日夕方鑑賞。待ち時間0分、展示室に10人もいない貸切状態。聖武天皇遺愛の刀子、大仏開眼会に用いられた伎楽面に奉納品の数々。それらが往時のままに眼前にあることは、何ものにも代えがたい喜び。頑張って足を延ばして本当に良かった。名宝展2期が楽しみ。
今月はなんといっても「皇室の名宝展」。先月の「若冲ワンダーランド」、今月の「正倉院展」をそれぞれ関連付けての1期、2期の展開は、たまらないものがあります。美の極みに触れる楽しみ。
2009年10月01日
●9月の鑑賞記録
9月の鑑賞記録です。
9/5
○特別展「染付 藍が彩るアジアの器」@東京都国立博物館平成館
伊万里と鍋島が良かった。水車紋大好き。平野コレクションの蜃気楼も構図と凹凸がバッチリ決まっていて良い。食卓を再現する展示も良かった。
特別展「伊勢神宮と神々の美術」@東京都国立博物館平成館
装飾太刀が美しかった。でも柄の上下に緋の糸で留めてあると解説にある朱鷺の羽がみつけられず。
アジアギャラリー@表慶館
とても観やすいダイジェスト版東洋館。
○平常展@東京国立博物館本館
浄瑠璃寺四天王にご対面!彩色が綺麗に残る美麗さに見とれた。仁清の壺の立体彩色の美しさも良い。伝雪舟の花鳥画も初対面。
9/12
○特別展「黄金の都シカン」@国立科学博物館
「魅力的な黄金文明の遺産」+「日本人研究者の研究の軌跡」という二本立ての構成。一日ブログ記者の恩恵にあずかって、満喫しました。
○トリノ・エジプト展@東京都美術館
イビの石棺とツタンカーメン像、そして死者の書。死後の復活を願う儀式と品々が、今も強く心惹かれる。
山口晃トークショー@丸善
エッセー漫画「すずしろ日記」出版記念。イケメンゆるキャラ画伯の日常にクスリ。サイン会で、ファンの方々の想いの深さにビックリ。ディープな世界だ。
ギャラリー椿コレクション展@ギャラリー椿
桑原弘明さんの小品が良い。まとまって見られる機会がないかな。鈴木亘彦さんの作品も好き。
◎杉本博司「Lighting Fields」@ギャラリー小柳
実験的技法をアートに昇華する審美眼が凄い。恐れ入りました。
9/21
○よみがえる浮世絵-うるわしき大正新版画展@江戸東京博物館
当時の写真パネルを並べて、時代の中に新版画を位置付ける展示が良かった。橋口五葉の探究心に惹かれた。
イタリア美術とナポレオン展@大丸ミュージアム・東京
ボッティチェリとナポレオン一族。
9/26
◎THE ハプスブルグ展@国立新美術館
イタリア、ドイツ、スペイン、オランダと国別にブースを分け、それぞれに代表画家を擁するスケール感が素晴らしい。ヨーロッパの覇者ハプスブルグ家を実感できる。
9/27
◎若冲ワンダーランド(第1期)@MIHO MUSEUM
新発見の屏風と個人蔵をズラリと並べ、まだ知らない若冲の世界が広がります。もう絶賛。次はいつ行こうかと算段してしまう。
○オクサスのほとりより@MIHO MUSEUM
紀元前の出土品の工芸レベルの高さに唖然呆然。金色の煌めき、細工の細かさ、壮大な時間軸の流れ。ペルシア絨毯もすごい。
○没後50年 北大路魯山人 美と食の巨匠が挑んだ世界@滋賀県立陶芸の森 陶芸館
「星岡茶寮」時代の実用の器に焦点を当ててます。実際に料理を盛った写真パネルも併置して、その美味しそうなこと、この上なし。
○琳派展XII 鈴木其一-江戸琳派の風雲児@細見美術館
個人蔵と合わせて、展示の8割以上が其一筆。残りは弟子たち。クローズアップの美から、様々な肉筆、美しい小品。淋派ファン必見!
「THE ハプスブルグ展」と「若冲ワンダーランド」が観られて幸せ。「Lighting Fields」の知覚的な驚きも良かった。
2009年09月02日
●8月の鑑賞記録
8月の鑑賞記録です。
8/1
大河原邦夫のメカデザイン ガンダム、ボトムズ、ダグラム@八王子夢美術館
時機を得た展示。見せ方にもう一工夫欲しかった。
◎機動戦士ガンダム30周年プロジェクト「ガンダム 緑の大地に立つ!」@お台場潮風公園
驚異の415万人動員!阿修羅をも超える現代の偶像。
○サマーウォーズ
大家族を中心に据える話作りが良かった。
8/16
栄光のオランダ絵画展@ホテルオークラ東京「アスコットホール」
「聖家族」が観られて良かった。
○花・華-日本・東洋美術に咲いた花-@大倉集古館
縮図から牡丹図まで。探幽の幅広さ。
◎髙島屋資料館所蔵名品展(前期)@泉屋博古館分館
奥の三枚揃い+龍子は圧巻。
○赤黒金銀緑青 前田正博の色絵@智美術館
空間と一体になった展示が良かった。特に茶色の違い棚に色とりどりの磁器が並ぶところ。
謎のデザイナー 小林かいちの世界@ニューオータニ美術館
耽美+グラフィックセンス。小さなカードばかりなのが残念。
8/22
ルネ・ラリック 華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ@国立新美術館
時代の変遷と並行しながら作風の変化を見せているのが良かった。全編褒めたたえる解説はイマイチ。時機に敏なプロデューサー像は平坦。
○光 松本陽子/野口里佳@国立新美術館
野口さんの展示は、白から黒に変転する空間演出と、闇に横一列に浮かぶ「太陽」シリーズが最高。新美の無機質な白箱に映えてた。
松本さんの展示は、ダイナミックなピンク、緑の画面が見応えあった。言葉できないタイプの作品。
○牧島如鳩展@三鷹市美術ギャラリー
二枚の弁財天が良かった。混沌というか信仰というか、濃い展示だった。
8/23
◎聖地寧波 日本仏教1300年の源流@奈良国立博物館新館
五百羅漢が見所。普段の生活から、空の龍に赤いビームを放つアクションまで。人でありながら超常の力を持つ五百羅漢の、起伏に富んだ世界。
○仏教美術の名品展@奈良国立博物館本館
室生寺金堂の十二神将がでていてラッキー。土門拳の写真で見たとおりの表情だった。
○内海聖史個展 ボイジャー@eN arts
個展三連作の最後は、アクセルを踏み込んだ構成。
○ART OSAKA 2009@堂島ホテル
メグミオギタのベッドシーツに横たわる一角がベスト。秋の個展が楽しみ。
堂島リバートリエンナーレ@堂島リバーフォーラム
直感的に面白く、その意味は深い。
8/29-30
◎大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2009
十日町地区
松之山地区
松代地区
大地に根ざした展示は必見としか言いようがない。現代美術ファンは絶対に行くべき。
2009年07月27日
●7月の鑑賞記録
7月の鑑賞記録です。
7/3
○SEVEN@西村画廊
会場を闊歩する、三沢さんの犬猫に惚れ惚れ
○内海聖史個展「色彩のこと」@スパイラルガーデン
大作「色彩の下」が円形吹抜けに映える!
◎奇想の王国 だまし絵展@Bunkamura ザ・ミュージアム
楽しさダントツの好企画
7/4
○写楽 幻の肉筆画@江戸東京博物館
キャッチーなタイトルと、充実した内容
7/5
○岸田劉生展(後期)@損保ジャパン東郷青児美術館
似顔絵だけで構成した展覧会
万華鏡の世界展@森美術館
会期最終日に行ったのは失敗だった
7/18
ゴーギャン展@東京国立近代美術館
時に暴力的な、色彩の構成美
所蔵作品展「近代日本の美術」(前期)@東京国立近代美術館
4階がおすすめ!
○日本の美・発見II やまと絵の譜(後期)@出光美術館
江戸から始める構成が、親しみやすくて上手い
○内海聖史展-千手-@GALERIE ANDO
天井近くに浮かぶ、色彩の輪
○鴻池朋子展 インタートラベラー 神話と遊ぶ人@東京オペラシティーアートギャラリー
フィクション世界を往還する能力が、白い空間に炸裂する
響きあう庭 東京オペラシティアートギャラリー収蔵品展@東京オペラシティーアートギャラリー
伊庭さんの、クローズアップ構図の絵にはりついた
7/19
○建築家坂倉準三展 モダニズムを生きる 人間、都市、空間@神奈川県立近代美術館 鎌倉館
存続の岐路に立つ建物で、モダニズムを問う
美術館はぼくらの宝箱@神奈川県立美術館 鎌倉別館
岸田劉生を訪ねて別館まで。松本俊介もたくさん
美術の中の動物たち(前期)@鎌倉国宝館
北斎の鷲に誘われて行ったら、後期だった
建築家坂倉準三展 モダニズムを住む 住宅、家具、デザイン@パナソニック電工 汐留ミュージアム
2部構成で、建築家の足跡を立体的に見せる
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(二回目)
マリは次作で巨大化して、ウルトラマンに変身するんじゃないかと思った
7/25
ル・コルビュジェと国立西洋美術館@国立西洋美術館
世界文化遺産登録目指して、アピール中!
常設展「中世末期から20世紀初頭にかけての西洋絵画とフランス近代彫刻」@国立西洋美術館
嬉しい、無料鑑賞日だった!クールベがマイベスト!
かたちは、うつる-国立西洋美術館所蔵版画展@国立西洋美術館
テーマ別に並べることで、版画の魅力を深める
池田光弘-漂う濃度-@シュウゴアーツ
阪本トクロウ展@キドプレス
佐伯洋江展@タカ・イシイギャラリー
井上有一展@小山登美夫ギャラリー
怒涛の清澄白河、現代アートめぐり
7/26
◎コレクションの誕生、成長、変容―藝大美術館所蔵品選―@東京藝術大学美術館
名作がズラリと並ぶ冒頭は夢見心地!
◎美しきアジアの玉手箱 シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展@サントリー美術館
鹿下絵和歌絵巻は必見!
○アイ・ウェイ・ウェイ展 何に因って?@森美術館
強固なコンセプトと、職人技の造形。写真撮影可もうれしい
2009年06月30日
●6月の鑑賞記録
6月の鑑賞記録です。
6/6
西野達「バレたらどうする」@ARATANIURANO
街中のパーツが、何食わぬ顔でギャラリーにある面白さ!
鈴木理策「WHITE」@ギャラリー小柳
見たことのない「白」。
日本の美と出会う-琳派・若冲・数寄の心-@日本橋高島屋
細見コレクション大盤振る舞い!
6/7
日本の美術館名品展(後期)@東京都美術館
入替が多く、新鮮な気持ちで楽しめた。
6/14
草間彌生展@高橋コレクション日比谷
高橋コレクション、日比谷に進出!
上村松園/美人画の粋@山種美術館
松園の美人画で感動のグランドフィナーレ。次は御舟だ!
6/20
東京ミッドタウンツアー
ツアーアテンダントの方が1時間かけてミッドタウンを案内してくれるツアー。料金1,500円とお値段もミッドタウン。特別な場所を観るわけではありませんが、現代アート彫刻や建物配置、モチーフ等の解説が意外と楽しい。旧防衛庁の桜の木の話も、さもありなん。
天地人-直江兼続とその時代-@サントリー美術館
一週間間違って、上杉本洛中洛外図屏風を見損ねた。NHK大河ドラマのプロモーションと化した4階展示にビックリ。
「光と空間」建築の美PARTⅧ@富士フィルムスクエア
オーソドックスな視点。
「骨」展@21_21 DESIGN SIGHT
旅客機のX線写真にビックリ。光るピアノも美しい。
6/27
タイの美しい布@千葉市美術館
古着屋に紛れ込んだような展示。スライドが良かった。
石井光楓-パリの青春@千葉市美術館
水彩画のとろけるチーズのようなタッチと色彩が美味しそう。
こんな作品あったよ@千葉市美術館
休館前の最後の展示。地域密着な展示が良かった。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
ありとあらゆる期待に応える、エンターテイメントな作り。次作が待ち遠しい。
6/28
MOTで見る夢@東京都現代美術館
奈良美智、加藤美佳、名和晃平の作品が作り出す結界。
L_B_S/名和晃平@メゾンエルメス
ガラスブロックの幾何模様がアクリルビーズに映り込んで印象的。
2009年05月31日
●5月の鑑賞記録
5月の鑑賞記録です。
5/4
「山水に遊ぶ-江戸絵画の風景250年」(後期B)@府中市美術館
前期の若冲、後期の蘆雪。通期で蕭白。見所満載、リピーター割引の配慮も嬉しい。図録完売の盛況で大成功では?
5/5
「熱狂の日」音楽祭2009 No.324ベルリン古楽アカデミー@東京国際フォーラム
「ラ・フォル・ジュルネ」デビュー!平床のホール(普段は会議室?)で演奏会という雰囲気はあまりなし。
「日本の美・発見I 水墨画の輝き-雪舟・等伯から鉄斎まで」@出光美術館
作品は凄いが、構成はちょっと雑?
5/6
「大和し美し」@千葉市美術館
全体を通して、二人の巨匠の交流を生き生きと描き出す。段違いの構成力。
5/22
「ルーブル美術館展 美の宮殿の子どもたち」@国立新美術館
ルーブル・アーカイブの魅力が詰まった展示。
「20 Klein Dytham Architecture」@GALLERY MA
カンバンとラウンジ。
「手塚治虫 未来へのメッセージ」@江戸東京博物館
ストーリーテラーであってこそ漫画家。
5/23
「パウルクレー東洋への旅」@千葉市美術館
研究論文の発表会。
雨の日に行ったら、巨大な室内置き除湿機が何台もうねりを上げていて、工場のようだった。
「江戸浮世絵巻」@千葉市美術館
広重の縦長の絵が良かった。
北斎展いつかやって下さい!期待してます!
「マークロスコ 瞑想する絵画」@川村記念美術館
ロスコファンは狂喜し、そうでない人にとっては?
絵よりも書簡が作家像を造形していた。
5/29
「neoteny japan」@上野の森美術館
1階の池田さんと、2階の小林さん。超絶技巧と確かな世界観の確立。
5/30
「スタートレック」
スピーディーで美しいジェットコースタームービー。
カークとスポックの交流をしっかりと描いているところが秀逸。
5/31
「国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア」@Bunkamura ザ・ミュージアム
イリヤ・レーピンにうっとり。一点の曇りのない幸せの形と、美青年。
「畠山記念館名品展 –季節の書画と茶道具- 」(後期)@畠山記念館
「林檎花図」伝趙昌。林檎シルエットに精緻な花。
「銹絵染付笹紋茶碗」尾形乾山。堅実な印象のある乾山らしい落ち着いた色合いと造形。
「三井家伝来 茶の湯の名品」(後期)@三井記念美術館
楽焼、光悦、仁清。
「六祖破経図」梁楷筆。何ともコミカルな、お経を破る老人の姿。締切に追われた漫画家が原稿と格闘しているようだ。
「マティスの時代」@ブリヂストン美術館
大好きなサロン型美術館。ブックレットが立派。
2009年04月30日
●4月の鑑賞記録
4月の鑑賞記録です。
4/3
「国宝 阿修羅展」@東京国立博物館平成館
スーパーブランド「阿修羅」、東京上陸。神々しい光に浮かび上がる様は末代までの語り草。「阿弥陀三尊像(伝橘夫人念持仏)」も必見。
4/4
麻生知子「家に帰る」@Gallery Jin
素朴で楽しい。今度は「家から出る」とかになるのかな。
「平泉~みちのくの浄土~」展@世田谷美術館
みちのくの仏さまは強烈なインパクト。
「アートフェア東京2009」@東京国際フォーラム、TOKIA
大畑伸太郎さんの個展は絶対に行こう。来年はどうなるのだろう。
4/5
「101TOKYO Contemporary Art Fair 2009」@UDX
うーん、高い。
「Young Artists Japan 2009」@デジタルハリウッド
あおひーさん、出展おめでとう。
やなぎみわ「マイ・グランドマザーズ」@東京都写真美術館
素晴らしいエンターテイメント。
大庭大介「The Light Field」@magical ARTROOM
さんざん迷って辿りついて、1分で出た。アートというより壁装飾に見えた。
4/18
「FRESH EXPAND」展トークショー@UBSL
「立ち上げ」、「拡張」と来て、次は「スター誕生」となるか?
4/25
「椿会2009 Trans-Figurative」@資生堂ギャラリー
売れっ子競演。華やかで好き。
4/26
「日本の美術名品展」@東京都美術館
作品は粒揃いだけれども地味。「ルーブル」、「阿修羅」に割って入って、上野トライアングルを形成して欲しい。
2009年03月31日
●3月後半の鑑賞記録
3月後半の鑑賞記録です。
3/18
「東本願寺の至宝」@日本橋高島屋8階ホール
円山応挙筆の襖絵三部作。特に「老梅図」の大きく回りこむように手前に伸びてくる枝が、枯れた筆捌きと相まって空間を感じさせる。
「寛政度用材運搬図屏風」。ビックリするような巨木を滝から落とし、川を下り、大勢で担ぐ。デフォルメの効いた画面構成が楽しい。
「彫刻//新時代 Vol.3 土屋仁応展」@日本橋高島屋美術画廊X
愛らしい子山羊と花のメインビジュアルが美しい。白くコートされたお菓子みたい。
3/20
「現代美術の展望-新しい平面の作家たち VOCA展」@上野の森美術館
高木こずえ「ground」。視覚情報の豊富さで刺激する。
三瀬夏之介「J」。佐藤美術館の異形さからはずいぶんと落ち着いて、普通に「絵」。
麻生知子「家」。素朴画というフレーズが思い浮かぶ、家の断面と平面が融合した画面。谷中で開催中の個展「家に帰る」と合わせてみると面白さ倍増という趣向も楽しい。
名和晃平。平面という前提を軽やかに揺さぶるクレバーな作り。
土古里@上野バンブーガーデン店で焼肉。上野駅を見下ろすカウンター席は狭いながらも気持ち良い。上手い作り。
3/21
「山水に遊ぶ-江戸絵画の風景250年」(前期)@府中市美術館
視覚的に楽しい。最後の若冲は嬉しいサプライズ。双六付図録を買ってしまった。
「薩摩焼~パリと篤姫を魅了した伝統の美~」@江戸東京博物館
豪華絢爛大好き。
「生誕170年記念 -揚州周延展-」@太田記念美術館
過ぎ去りし時代を懐かしむ絵の数々に、過去のものとなりつつある浮世絵の技法そのものが重なる。江戸から明治へと浮世絵の変遷を辿ることで、浮世絵の歴史に奥行を感じた。
「ミレーとバルビゾン派の画家たち」@青山ユニマット美術館
さよならユニマット。コレクションはどこに行くのだろう。
「第3回 shiseido art egg 小野耕石展 古き頃、月は水面の色を変えた」@SHIDEIDO GALLERY
インクを重ねることで生み出される1cmほどの柱(?)を無数に並べて生み出すビジュアルワーク。技法の独自性が凄いと思う。遠目にクレーの絵のようだと思った。
3/28
「掌9」@ラディウムーレントゲンヴェルケ
「手のひらに凝縮された世界」を見に行ったら、「お手頃な世界」が広がっていた。
興梠優護個展 「melting point」@CASHI
情欲と生肉。グロイ。
青木野江 「新作展」@ギャラリー・ハシモト
軽やかに天井から垂れ下がる(ように見える)鉄輪のカーテン。鉄が軽やかに変化することで空間が変容する。
山本桂輔 「起立」@小山登美夫ギャラリー
入口の花瓶(?)一つで目が釘付け。奥にチラリとのぞく巨大彫刻に引力の如く吸い寄せられる。毒々しい色彩と造形が異様な精気を放つ。アートの力を感じさせてくれる、パワフルな展示。
Holly Farrell "Home and Sea" @MEGUMI OGITA GALLERY
足ひれの黒が非常に豊かに描かれ、白いテーブルの上の白い陶器が質感豊かに登場する。存在感を大切にし、テカテカした表面処理で封をしたような絵。エルメスから程近い小さなスペースに、完成度の高い作品が並ぶ。場と絵の相性の良さを感じる。
内藤礼 「color beginning」@ギャラリー小柳
展覧会というよりもサロン。
シャネル・ピグマリオン・デイズ クラシックコンサート 「平野玲音」@CHANEL NEXUS HALL
シャネルが運営する無料コンサート。幸せな気分になれます。
「アンリ・シャルパンティエ銀座本店」にて一休み。至福の一時。
「アーティストファイル2009-現代の作家たち」@国立新美術館
「六本木アートナイト」の一環で、嬉しい無料開放。内容は。。。
「一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子」@サントリー美術館
スライドレクチャーの後、展覧会へ。細工の細かさと色彩に魅了される。
しかし、今月最大のイベントはこれでした。
2009年03月15日
●3月前半の鑑賞記録
3月前半の鑑賞記録です。
3/4
「土門拳の昭和」@日本橋三越本店 新館7階ギャラリー
表情豊か(に見える)仏様のクローズアップと、古寺巡礼。それと対を成す、「絶対非演出」に基づくドキュメント。自分にとって写真=土門拳であることを再認識。
「上村 松園・松篁・淳之 三代展」@日本橋高島屋8階ホール
三代と銘打つも、存在感は圧倒的に松園。素晴らしく線の美しい美人画の数々を堪能。その一方で「花がたみ」や「焔(下絵)」といった狂気への振れ幅も堪能。実質松柏美術館の出開帳に、他所からの出品作が華を添えた形。19:00以降の入館は半額の嬉しい配慮。
3/6
「国宝 三井寺展(後期)」@サントリー美術館
ついに「不動明王像(黄不動尊)」と御対面。保存状態の良さに驚くばかり。その姿を写した「不動明王立像(黄不動尊)」の出来栄えと状態の良さを改めて実感。文字通りの「秘仏開扉」に満足。大幅な展示替えに、見入ることしばしば。
3/7
「アジアとヨーロッパの肖像」@神奈川県立近代美術館 葉山
海へと突き出すレストラン、振り返って山を望む中庭の建物配置が良かった。
「山口蓬春と花鳥画の世界」@山口蓬春記念館
吉田五十八設計による新画室が何より素晴らしい。建具枠を斜めに切り落として壁との段差を数ミリに抑える納まり、細枠木建具でフルハイトのガラス引込戸を設計する大胆さ、天井照明を埋め込んで天井と一体化する配慮、収納扉引手を上下左右全通しの目地として壁と一体化するデザイン。配慮の行き届いた設計に応える水澤工務店の技。非常に痛み易いつくりを維持管理する運営側の意欲。庭には梅が咲き、鶯がさえずる。二階の旧画室廊下からは葉山の海が臨める。時の経つのを忘れてしまう、至福のひと時。
3/8
「茶の湯の美 出光美術館コレクションの至宝」@栃木県立美術館
ダイジェスト気味ながら、出光美術館の茶の湯コレクションが時代順に並ぶ。人もけっこう入っていて、固定ファンを持つ展示は強い。
3/14
「小杉放菴と大観-響きあう技とこころ」@出光美術館
酒飲みおじいちゃんが描くほのぼの世界。
「ポワレとフォルチュニィ」@東京都庭園美術館
「夜会」というテーマに基ずく、1階の展示が見事。
「プリーツプリーツ」の祖先のような「デルフォスドレス」を見て、ミヤケは装飾を廃したモダニズム建築のようなドレスだと思った。
「美人画展」@松岡美術館
松園の「春宵」が美しい。全体的にあっさりとした展示内容。展示室内も撮影可で、シャッター音があちこちで鳴っている。通路・ホールスペースにはみ出すように置かれる雛人形が、計画性の高い空間に馴染まない。美術館は成長し続けるソフトなので、空間の可変性と完成度の折り合いが難しい。
3/15
「伊庭靖子展」@神奈川県立近代美術館 鎌倉
写真のような精緻な筆致と、超クローズアップ構図。水分が弾けそうなオレンジゼリー(?)の「瑞々しさ」が素晴らしい。クッションの「柔らかさ」も魅力的。名詞がなくなって、形容詞だけが残るような絵。
「所蔵名品展 -国宝 紅白梅図屏風-」@MOA美術館
岩佐又兵衛と紅白梅図屏風を目当てに行ったら、濃厚な仏画展示(ほとんどが重文!)に圧倒された。紅白梅図屏風はかなり傷んでいる印象。又兵衛の美麗な絵巻、洒脱な墨絵と、満足度はとても高い。