2012年12月28日

●12月の鑑賞記録

 12/2
 維新の洋画家―川村清雄@江戸東京博物館
 御庭番名門の家系に生まれ、幕末から明治初期を生きた油絵師の回顧展。「形見の直垂(虫干)」しか知らなかったけれども、徳川家を中心とした人物関係や、黒田派閥に居場所を追われる展開等、大河ドラマのようでした。

 ブリヂストン美術館ナイト@ブリジストン美術館
 東京都駅至近の名門美術館が、アートファンとの交流を深めるべく動き出した今年のトリを飾る企画。スライドによるブリジストン美術館黎明期の説明が良かった。ブリジストンvs三菱一号館学芸員対決等、企画意欲満々。詰め込みすぎで、内覧会は要らない気もしました。

 12/8
 巨匠たちの英国水彩画展@ Bunkamura ザ・ミュージアム
 最終日前日、三重ほどの人垣。大気を感じさせる光の表現が印象的なターナーを始め、パステルのような表現等、多彩な題材と表現をサクサクと観ました。

 リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝@国立新美術館
 バロック・サロンの豪華空間にひたり、アメリングの赤ちゃんの寝顔に癒される。観た後の爽快感が気持ち良い展示でした。

 12/9
『日本美術全集』発刊記念≪スペシャル対談≫「日本美術を体感する~若冲を中心に」
 辻惟雄先生(MIHO MUSEUM館長・東京大学名誉教授)×山下裕二先生(明治学院大学教授)@丸ビルホール

 「日本美術の歴史」発刊の際の辻惟雄先生×山下裕二先生の対談記録を後で読んで以来、是非ともライブで聞きたいと思っていたお二人の対談が遂に実現!本の売れないこの御時世に、全20巻の美術全集を刊行する版元の決断が素晴らしい。若冲が大フィーチャーされる江戸絵画の巻は、遂に奇想が天下を取った感あり。同時に、来年に愛知県美術館で大乗寺応挙襖絵完全再現展示の告知もあり、こちらも楽しみ。最終巻では会田誠、村上隆が大プッシュされ、現代美術作家が日本美術の歴史に連なっていることを示すという構想も期待大。三年半後の完結がとても楽しみ。

 12/15
 森と湖の国 フィンランド・デザイン展@サントリー美術館
 日用品に宿る美を、時系列を縦軸に、美しいショーアップを横軸に構成された展示。建築家としても著名なアールト、息を呑むほど美しいシャンタレーリなどなど。日用品をオブジェ化したインスタレーションも美しい。

 Gift in Bloom vol.4 展@銀座三越
 荒木愛さんの展示を、作家さんに説明してもらいながら鑑賞。点描画タッチで生気ある果物画。白画面から削り出された、舞い散る蝉。御舟の炎舞を思わせる。そして、密度濃く構成された人物画。作家の過去作品から、来季への試行まで。飛躍を期待させる展示でした。

 12/23
篠山紀信展 写真力@東京オペラシティ アートギャラリー
 草間弥生と坂東玉三郎が並び立つ仁王門を潜り、It's a MAGIC! 軍団の右壁、それに負けない後藤久美子大増殖の左壁。凝縮された輝きの密度は、まさに SPECTACLE !。一瞬を平面に定着させる「写真」メディアの面目躍如!

 メニーメニーミッフィープレミアム@池袋西武ギャラリー
 明確なルールで構成されたミッフィーワールドは、ブルーナさんのプロフェッショナルワーク。更に、展示よりも圧倒的に滞在時間の長い物販。すごいパワー!

Posted by mizdesign at 00:42 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2012年11月26日

●11月の鑑賞記録

 11/7
美術にぶるっ!@東京国立近代美術館 夜間特別観覧会
 リニューアル近美お披露目展内覧会。スタイリッシュに再構成された名品コーナー。3F日本画コーナーのスツールが素敵。畳コーナーのまま実現して欲しかった。マイベストは福田平八郎「雨」。でも、第二部冒頭の原爆の瓦礫の焼け野原の映像で鑑賞気分は吹っ飛ぶ。先日出張で東北に行った際に見た、建物二階外壁に残る津波の跡が思い起こされて、言葉を失って見入る。

 11/10
日本の1970年代 1968-1982@埼玉県立近代美術館
 「美術にぶるっ!第2部 実験場1950s」と合わせたように、こちらは1968-82を回顧。陰鬱な時代を抜けて明るい未来を示唆するように、1982年の広告で幕引き。その先にくるバブルとその崩壊、更にリーマンショック、東日本大震災をリアルタイムで経験した世代にとっては、なんとも複雑な気持ちを抱かせる展示。

 11/11
須田悦弘展 公開制作@千葉市美術館
 絶巧な木彫りの草花と、それを用いた空間インスタレーション。観るものを魅了して放さない須田さんの、待ちに待った個展。さらに公開制作。7階の江戸絵画の展示ケースも秀逸。

 11/16
会田誠展 天才でごめんなさい 内覧会@森美術館
 すごい人出。展示も過去の代表作から始まり、多方面への広がりを経て、渾身の新作、そして18禁部屋まで。個展とは思えない過剰なまでの濃密さに圧倒されました。

 11/17
山口晃 養林庵書院奉納襖絵@平等院
 死者を乗せて極楽浄土へ向かう汽車。山口メカ細密描写!車窓から覗く、細かく書き分けられた乗客達。次の面に広がる洛中洛外図!京都駅から三途の川へと旅立つ人々。京博の横にそびえる方広寺大仏殿。画面右下には梅小路機関車庫のターンテーブルが!大満足! 外は見事な紅葉!

 山口晃展 ~山口晃と申します 老若男女ご覧あれ~@美術館「えき」KYOTO
 旧作絵画+挿絵+速筆壁画による、山口画伯関西顔見世展。超緻密に書き込まれた画面情報の濃厚さと、クスッとさせるセンスが心地良い。一方で、新作は挿絵原画中心なので少々もの足りない。期待の「Tokio山水」は、目で見る限り加筆なし。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q@TOHOシネマズ六本木ヒルズ
 トップをねらえ2が始まったと思ったら、ナディアになって、ようやくQ。と思ったら、え、えー、えええっー!となって、あっという間に終劇。何が何やら。パンフレットを求める長蛇の列に並びつつ同行者に怒られた。

 11/18
須田悦弘展 講演会@千葉市美術館
 ようやく完成した須田展の図録をパラパラと見る。内容は千葉市美の展示風景+インタビュー+これまでの作品ダイジェスト。講演会はこの図録内容に沿った内容。黒い光沢表紙は指紋が付き易いけど、工芸的な趣があってカッコイイ。

 11/23
第2回 図録放出会@BoConcept 新宿
 「どうしてこの図録を持っていないのだろう。」と自然に手が伸びてしまう。世紀の展覧会「大琳派展」、4回観た「鳳凰と獅子」、ボスに振り回される解説が印象に残る「安宅英一の眼」の3冊購入。関係者の方々の熱意と軽やかなフットワークに尊敬と感謝。

 11/24
 坂田和實の40年@松濤美術館
 布、貨幣、紙箱、木机等小道具が、古美術商の眼を通して同元化されて一同に会する。その強引な括りからくる違和感と、一見すると何か分からない品々を作品リストを手に読み解いていく快感。個性強い松濤の箱との取り合わせは、異種格闘技のよう。

 棚田康司展@練馬区立美術館
 細身で艶やかな人物彫刻が特徴的な棚田さんの作歴を、時系列に沿って4期に分けて分類。初期から近作まで、混在して展示。作風の変化を実体験できるのが魅力。スケッチと製作初期段階の木材も合わせて展示しているのも親切。

Posted by mizdesign at 07:06 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2012年11月06日

●9月、10月の鑑賞記録

 9/2
ドビュッシー 、音楽と美術 -印象派と象徴派のあいだで@ブリヂストン美術館
 印象派とその絵画を通して、音楽家ドビュッシーを浮かび上がらせる企画展。目の前にある絵画を通して時代の雰囲気に触れる構成が巧み。でもちょっと難しい。

 9/8
奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている@横浜美術館
 White Ghostの撮影コーナー、樅の子のロケットのようの造形、アクリル画の美しい色彩、きのこハウスのカラフルな色分け。どれも魅力的でした。

 9/9
 山本冬彦が選ぶ-珠玉の女性アーテイスト展
 荒木愛さんのメロンを観に、駆け込み鑑賞。陶芸、ガラス、アニメチックなイラストまで、幅広い展示でした。作家さんが説明しようかどうしようかとウロウロしているのが初々しかった。

 ドビッシーナイト@六次元
 はろるどさんデビューおめでとう!

 9/23
住吉の居場所 オープンハウス
 弥田俊男設計建築事務所設計によるマンションリノベーション。大胆かつ繊細に折り上げた天井。玄関からリビング、寝室、そして借景の公園の緑へと。流れるような空間構成が美しい。寝室のバルコニー側へ移設した浴室、アルミ削り出しの洗面台等細部も魅力的。

 9/29
 常設展@東京国立博物館本館
 仏像展示が充実していると聞いて足を伸ばす。十二神将立像の凄みとユーモアのあるお姿が良かった。

 9/30
シャルダン展-静寂の巨匠@三菱一号館美術館
 フランス静物・風景画の巨匠シャルダンの日本初個展。地味ながら堅実な作風と構成で、しっとりと心に残る展示。美術館の規模に見合った点数と展示方法が満足感を高める。

 10/7
 波濤の会@松坂屋上野店美術画廊
 荒木愛さんのスイカに念願の対面!ちょっとイラストちっくなタッチと食感をくすぐる構図と色彩がステキ。

 10/26
田中一光とデザインの前後左右@21_21 DESIGN SIGHT
 平面に定着された絵画・日常・芸能が、書斎・メインホール・側廊と続く見事な空間構成の中で躍動する!観ると元気になる展示でした。

お伽草子-この国は物語にあふれている-(後期)@サントリー美術館
 短編絵物語を通して、活き活きとした中世の人々の息づかいと想像力に触れる!登場率1割を超えるパワースポット清水寺は、この夏行ったばかり!ほっこり楽しい展示でした。

 アラブ・エクスプレス展 アラブ美術の今を知る@森美術館
 アラブのいくつかの断面の多角展示。映像多めの展示構成と、撮影可なため携帯片手にメールチェックしながら観る人が多い、往来型展示空間が独特。

Posted by mizdesign at 06:00 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2012年08月31日

●8月の鑑賞記録

 8/5
 心臓の音アーカイブ

豊島美術館
 開館以来絶賛のコメントばかりを耳にする、話題の美術館をようやく訪問。丘をぐるりと廻り、眺望を楽しみ、アートスペースへと至り、カフェへと抜ける回遊動線。ガランと広がるコンクリートシェルの空間で、フルフルと身を震わせながら動く水滴たち。時間の経つのを忘れる詩的空間体験。

 ピピロッティ・リスト

 空の粒子

 トムナフーリ

 101歳の沈黙/100歳の手

 あなたが愛するものは、あなたを泣かせもする

 8/12
バーン=ジョーンズ展@三菱一号館美術館
 運命の車輪に巻かれ、ペルセウスの大活劇に息を呑み、眠り姫に見惚れる。画家の紡ぐ物語世界に没入する充実の展示。そして凍えるほど寒い展示室。真夏の昼の夢の如し。

 STAR WARS In Concert
 スターウォーズの映像を背景に、東京フィルハーモニー交響楽団によるサントラ演奏+アンソニー・ダニエルズによるナレーションからなるライブイベント。Blu-ray発売と合わせて、メモリアルイヤーを満喫。

 8/18
館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技@東京都現代美術館
 滅び行く「特撮」を、後世に伝えんと企画された展覧会。「特撮」という技術を、アートの歴史の一ページへと拡張する。更に過去のイコンの陳列だけでなく、現在持てる全ての力を注いで新作を製作し、そのメイキングと合わせて展示するという超前向きな姿勢。鮮やかな領域の飛躍がとにかく素晴らしかったです。

 8/21
 青い日記帳×レーピン展『ブロガー・スペシャルナイト』

 8/23
おもしろびじゅつワンダーランド@サントリー美術館
 来て、見て、感じて、驚いちゃって!夏休みの自由研究でやってきて、美術館ファンになる子供たち続出だったのではと思われる、真夏の玉手箱。

 8/24
 伏見稲荷
 どこまでも続くよ千本鳥居。久しぶりに稲荷山周回を試みるも、途中で折り返し。怪しげに揺らめくロウソクの灯りが火災防止の観点からなくなっていて残念。

 清水寺
 去年の夜桜を観て以来の再訪。修学旅行生で混雑する普通の景色。清水の舞台が修理に入ってた。

 ハイアットリージェンシー京都
 スーパーポテトがラウンジデザインを手がけたのはずいぶん前だけれど、ようやく訪問。行き届いたサービスがさすが。

 8/25
 三十三間堂
 千体の観音立像は圧巻。少しずつ違うのも面白い。

 大出雲展@京都国立博物館
 社殿48m案復元模型。出土した柱根から膨らませる古代史ミステリー。何度も倒壊したと伝わることから、実像はいかに?

Posted by mizdesign at 23:58 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2012年07月31日

●7月の鑑賞記録

 7/7
風の丘葬祭場
 光と影、素材と空間構成。「建築の詩学」を実体験。そしてその先に広がる公園。建築とランドスケープが融合した、新たな地平線を体験する至福のひととき。

 キャナルシティ博多
 思った以上に盛況。ライブに、山笠に、賑わっていました。

 ホテル イル・パラッツォ
 ちょっと苦しい立地にそそり立つ、石と鉄の艶やかな壁面。結婚式場としての活用等、運営も苦戦気味に見えるけれども、有機的な物質感はさすが。

アクロス福岡
 バブルの遺産のようだった竣工から17年。ステップガーデンの植栽が生い茂り、オフィスビルと緑の段丘が融合した「ラピュタ」を思わせる空間へと成長。丘の上から見下ろす、段丘の緑と公園の緑がつながり、その先に福岡天神の街が広がる眺めが素晴らしい。時間と共に成長する、建築の一つの夢を実現中。

 ネクサスワールド 百道
 ランドマーク的な立地のマイケル・グレイブス棟に空室が目立って少々寂しい。住宅地としては高級住宅地として落ち着いた感じ。

 幽霊 妖怪画大全集@福岡市博物館
 夏の夜はみんな博物館に集まって、家庭冷房費を節約しよう!というわけで、常設展は無料。なかなか上手い節電対策。でも、あきれるほど広い吹抜け空間の空調費を考えると微妙な気も。有名な「漢委奴國王」の金印の本物があったり、映像解説だったりで充実した常設展示。
 幽霊展は季節に合わせた上手い企画だと思うけれども、展示そのものは数が多い割りに今一つ。

 7/8
 ネクサスワールド 香椎
 テーマパークのよう。
 レム棟・コールハース棟。スロープ、素材、ボリュームがカッコ良い。
 スティーブン・ホール棟。建築言語としての階段の処理、水を張った中庭(見えないけど)。素敵。

 アイランドシティ中央公園 体験学習施設ぐりんぐりん
 自由局面のコンクリートシェル+屋上緑化で、内外がシームレスにつながる人工大地を創出。温室という機能や屋上歩廊といった付加要素が妨げとなって、せっかくのシームレス感はそれほど実感できず。

 7/15
スターバックスコーヒー太宰府天満宮表参道店
 スタバが撮影スポットと化していてビックリ。「織る」ような空間のテクスチャー感が素敵。

 太宰府天満宮
 学問の神様兼雷神様として今でも慕われる道真様の本拠。学問のお守りをいただきました。

 美のワンダーランド 十五人の京絵師@九州国立博物館
 盧雪の雀と仔犬に萌え萌え。
 山口晃トークショー「応挙こぼれ話」
 ついに画伯追っかけで九博上陸。

 7/22
 エヴァンゲリヲンと日本刀@備前長船刀剣博物館
 日本刀の産地で見せる、エヴァと伝統工芸のコラボ。モノの仕上がりはさすが。写真撮影可な展示もファンに優しい。ただ、展示方法と照明でずいぶんと損をしている感じ。どこか良い箱に巡回して欲しい。

奈義町現代美術館
 津山駅からバスで行くこと40分ほど。小さな町の中心施設が集まる一角に建設された現代美術館+図書館。3人の美術作家による常設展示空間がそれぞれ特異な形状を持ち、ビジュアルインパクト絶大。実際に訪れてみると、図書館と一体化したプログラムということもあってか、日常の場として心地良い空間を形成しています。写真で見る印象を、良い意味で裏切られました。

 7/28
イサムノグチ庭園美術館
 彫刻家がてがけた、アトリエ、生活空間、ランドスケープ。古い蔵の中に鎮座するエナジーヴォイドの存在感。隣接する丘への傾斜、丘上からの眺望を彫刻庭園として取り込む空間構成。自然と彫刻と建築の境界が限りなく接する環境空間。

 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
 立体的に積み上げたアートの諸要素を自在に回遊する体験が、何度来ても楽しい。今回も時間切れで図書館部分が見られなかったのが残念。

 7/29
 掬月亭@栗林公園
 消える雨戸が見たかったけれども、まだ雨戸が開いてなかった。

地中美術館
 開館時刻に合わせて来たら、いきなり整理券配布で45分待ち。安藤建築のコンクリートの美しさ、マリアの神殿のような荘厳さ、タレルの奥行きの消失した空間体験。そして何より、柔らかな光に包まれたモネ作品の美しさ。空間が光の祝福に満ちているよう。

 リーウーファン美術館
 灼熱。。。

 南寺
 家プロジェクト、4年越しでようやくコンプリート。残るは銭湯。

Posted by mizdesign at 23:45 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2012年06月30日

●6月の鑑賞記録

 6/2
 日本橋 ~描かれたランドマークの400年~@江戸東京博物館
 コレクション展だけれども、実際の土地とつながる点が面白かった。

 6/3
 レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想@Bunkamura ザ・ミュージアム
 「ほつれ髪の女」登場。レオナルドの真筆は本当に美しい。構成も上手くて見応えあり。

 呼吸する環礁-モルディブ・日本現代美術展@スパイラルガーデン

 6/23
 東京ディズニーランド
 春は出遅れてあまり楽しめなかったので再訪。朝からビッグサンダーマウンテンに乗って、イースターパレード、エレクトリカルパレードまで満喫。

 6/24
 ベルリン国立美術館展@国立西洋美術館

 紅型 琉球王朝のいろとかたち@サントリー美術館

 6/30
 マウリッツハイス美術館展@東京都美術館
 前宣伝の力の入れようは今期断トツの一位。初日午前中の人出も物凄く、目標観客100万人もありそう。「真珠の耳飾りの少女」をモナリザの如く専用部屋に据え、精選された48点の作品を全6章に分けて、明快ゆったり展示。

 祭@出光美術館
 

Posted by mizdesign at 23:08 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2012年05月31日

●5月の鑑賞記録

 5/1
 ワンピース展@森アーツセンターギャラリー
 冒頭の映像と、エースとルフィの絆に絞った構成が良かった。

大友克洋 GENGA展@3331 Arts Chiyoda
 物凄い密度の原画。圧倒的。

 5/5
 MET Live Viewing マノン@新宿ピカデリー

 5/11
蕭白ショック!!曾我蕭白と京の画家たち(後期)@千葉市美術館
 前期が序章、後期が本編。朝田寺の唐獅子図と文化庁の群仙図屏風が並び、近江神宮の楼閣山水図が神々しく鎮座する。その向かい、松に孔雀図襖の墨の濃淡、松竹梅図襖の蕩けるような松肌、ヒョロリと伸びる梅枝。満足度200%!

 5/12
大多喜町役場見学会
 近代建築の名作を耐震改修しつつ、増築によって新しい庁舎として蘇えらせる、リノベーションの話題作。設計者千葉学氏のガイドによる見学ツアー。50年のときを経て対峙する旧棟と新棟、それぞれに凝らされた意匠、空間に見応えあり。時間の経過をきちんと形として蓄積継承している点が素晴らしかった。主催してくださった千葉県建築士会の方々に感謝。

 5/13
 ボストン美術館 日本美術の至宝@東京国立博物館 平成館
 再訪。話題の蕭白「雲龍図」里帰り。大画面の迫力+愛嬌ある表情。胴がないのがちょっと寂しい。
 ユベール・ロベール -時間の庭- @国立西洋美術館
 廃墟の絵が延々と続いて、少々単調。

 5/19
KATAGAMI STYLE @三菱一号館美術館
 本来裏方の型紙が主役という思い切った構成。役者が変わったことで、ジャポニスムの影響がとても鮮明に目に飛び込んでくる。小部屋が続く館の構成ともマッチして、とても魅力的だった。

Posted by mizdesign at 23:23 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2012年04月30日

●4月の鑑賞記録

 4/6
望郷/山口晃展 TOKIO RE(I)MIX 山口晃トークショー@メゾンエルメス8階フォーラム
 とてもアットホームで楽しいトークでした。安心の面白さ。

 4/8
ボストン美術館 日本美術の至宝@東京国立博物館 平成館
 三条殿夜討の迫力と、蕭白の技量が素敵。

 4/21
 山口晃氏講演「セザンヌは山をどこから描くか」

セザンヌ-パリとプロヴァンス@国立新美術館

 4/26
 望郷/山口晃展 TOKIO RE(I)MIX 「望郷 街の記憶」 山口 晃(アーチスト)×槻橋 修(建築家、神戸大学工学部准教授)@メゾンエルメス8階フォーラム
 対談は外れが多いかも。。。

 4/27
 蕭白ショック!!曾我蕭白と京の画家たち(前期)@千葉市美術館

 4/29
毛利家の至宝 国宝・雪舟筆「山水長巻」@サントリー美術館
 待望の山水長巻一挙公開!

 ザ・リッツ・カールトン東京 タワーズグリル

 4/30
 KORIN展 国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」@根津美術館
 燕子花図と八橋図、夢の競演。

 ウォルトディズニー展@松屋銀座8階イベントスクエア
 物販の充実ぶりがもの凄かった。展示も意外としっかりしていて興味深かった。

Posted by mizdesign at 23:03 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2012年03月31日

●2、3月の鑑賞記録

 2/4
 東洋陶磁の美@サントリー美術館

 長谷川豪展「スタディとリアル」@TOTOギャラリー・間
 展示だけでなく実際に建物を作るという試みに感銘。

 2/5
 イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに@森美術館
 強烈なビジュアルイメージとは異なり、作品の作りは意外と荒い。実物を観てガッカリ。

 2/11
 さかざきちはるの世界展@芳澤ガーデンギャラリー
 スイカペンギンにチーバ君。人気キャラクター作家さんの展示が千葉県市川市で開催!

 市川市郭沫若記念館

 2/12
 生誕100年 ジャクソン・ポロック展@東京国立近代美術館
 再現アトリエが縮小されていて残念。会場の天井高さの都合?

 2/25
 フェルメール光の王国展@フェルメールセンター銀座
 展覧会仕立ての有料複製画即売会。お客さんが入っている現実に驚き。

 2/26
 G|tokyo|2012@森アーツセンターギャラリー

 3/3
 「フェルメールへの招待」出版記念パーティー
 Takさん、おめでとー!

 3/17
 望郷/山口晃展 TOKIO REM(I)X@メゾンエルメス8階フォーラム
 天井高さを活かした見事な立体「忘れじの電柱」、勾配床が観る緊張を産む「正しい、しかし間違えている」、鳥瞰時空大作「Tokio山水」。空間操作操作巧みな、素晴らしい仕上がり!作品が完成すれば完璧…

 第46回レスポワール展 荒木愛個展@銀座スルガ台画廊
 貝殻や歯など、小品をモチーフに画面構成した日本画展。パーッと世界が明るくなる気がした「mementos」が良かった。あと歯が並んだ作品。ムシ歯治療の記念にもらいますよね。

 3/18
 虎屋のお雛様@根津美術館
 虎屋の仕出しケースや乾山の器まで再現する驚きのミニチュアワールド!

 3/24、25
 ホテルミラコスタ@東京ディズニーシー
 夢の国の宿泊計画。半年かけてようやく実現。

 3/30
 あなたに見せたい絵があります@ブリジストン美術館

 3/31
 Shuffle II@ART FAIR TOKYO 2012

Posted by mizdesign at 23:25 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2012年01月30日

●1月の鑑賞記録

 1/2
 博物館に初もうで@東京国立博物館
 毎年恒例、年始は東博で始まる。今年の干支、龍の特別展示に、雪舟に、光琳。でも、一番の驚きは「清明上河図」の140分待ちの大行列。会期初日からの猛スパートに呆然。これは必見と早期の再訪を期す。

 1/7
特別展「北京故宮博物院200選」@東京国立博物館平成館
 開館90分前に門前に並んで、スムーズに入館。神品「清明上河図」の精緻かつ濃密な描写を堪能。。

建築、アートがつくりだす新しい環境 これからの"感じ"@東京都現代美術館
 年をまたいで再訪。今回はロレックス・ラーニングセンターの映像をジックリと堪能。冒頭の巨大模型と、エンドの3D映像。アートと建築を同じ地平に並べ、構想と現実がファンタジックに融合する、身体感覚の拡張がとてもしっくりとくる展示だった。

 1/8
ザ・ベスト・オブ・山種コレクション【後期】@山種美術館
 山﨑館長のギャラリートークの後、ジックリと展示を観る。日本画の素材、塗りといった専門知識、祖父山﨑種二氏と画家との交流エピソードといった人との交流を交えることで、絵画が構成、線、色彩という視覚情報から抜け出てきて、とても立体的に見えた。

 1/15
 脱ぐ絵画@東京国立近代美術館
 モデルを継ぎ接ぎして理想美を描く黒田清輝《智・感・情》。強烈なデフォルメで偶像を破壊する(?)萬鉄五郎《裸体美人》。横向き、縦向きの意図するところ。エロも崇高も日常も同じ鍋に放り込んでグツグツ煮立てたような、濃厚でちょっと眩暈する展示だった。

 1/21
百椿図@根津美術館
 寒椿の季節に、広い第一展示室で百椿図を見る。そしてNEZU CAFEでケーキセットを食べながら、雨に濡れた庭園の美しさを見渡す。立地と季節と環境装置とコレクションの合せ技。ゆっくりと流れる時間がとても良かった。

 中川正子写真展「新世界」@valveat81
 赤ちゃんの成長と、光と風と水の断片をコラージュ状に並べた展示。その前を見る視線と、若い赤ちゃん連れのカップルで盛況な館内が作り出す暖かい世界がとても印象的だった。

 みんな大好き!ノンタン展@松屋銀座
 子供たちの人気者「のんたん」の原画展。あっかんベのイタズラ心、サンタを探し回る夢いっぱいな話など、シンプルな楽しさ満載。途中から説教っぽくなるところに、キャラクターの寿命を感じる。でも始終一貫して子供を向く視線が良かった。
 
 1/29
 時空を越える本の旅@東洋文庫ミュージアム
 去年開館した話題の美術館に初訪問。モリソン文庫の開架式展示を中心に、本に囲まれる感覚が嬉しい。知的好奇心が刺激される。中庭をはさんで対峙する、オリエントカフェで過ごすひと時も嬉しい。静かな時間が心地良い。

フェルメールからのラブレター展@Bunkamura ザ・ミュージアム
 コミュニケーションを縦糸に、三点のフェルメール作品を横糸に紡ぐ17世紀オランダ絵画展。作品数は40点と少な目ながら、丁寧な章立てと全てが油彩画の華やかさでビジュアル的に映える。特にフェルメールからレンブラント派へと光の捉え方の変化が劇的な3章から4章にかけての展開が素晴らしい。

Posted by mizdesign at 22:22 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2011年12月30日

●12月の鑑賞記録

 12/3
 南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎@サントリー美術館
 南蛮屏風という変り種に焦点を当てるコンセプトが、優品屏風を多く擁するサントリー美術館ならでは。

 ドラゴンクエスト展@森アーツセンターギャラリー
 ドラクエ展再訪。前回とは大違いの大混雑状態。でも鳥山明の原画の美しさ、堀井雄二のシステム設計の過程は興味深くじっくりと見た。次々回はワンピース展だそうで、その集客力は本展のさらに上をいきそう。でも展示というよりは展望台のアトラクションに近いかも。

 12/10
建築、アートがつくりだす新しい環境@東京都現代美術館
 原さんの講義をじっくり聴いていたら、最後のロレックスの映像が尻切れトンボに。藤本さんの住宅の映像はCGだと思ってたら、実景らしくてビックリ。荒神さんのコンタクト・レンズは、レンズの向こうの歪んだ景色が違和感なく溶け込んでいて不思議。名和さんのピクセルと並べて観たい。石上さんのガラスのシャボン玉は、フワリと浮いたガラス膜と、割れたガラスの対比が鮮烈。面白かったので、再訪を期します。

 12/11
長谷川等伯と狩野派@出光美術館
 大判屏風絵をズラリと並べ、狩野派と等伯の歴史を辿る。一族として繁栄を築いた狩野派、一代で成り上がった等伯。同じ画題を取り上げながら、双方の相違を見せる構成に、彼らの対立と同時代性が浮かび上がる。

神戸智行展 イノセント・ワールド@佐藤美術館
 白基調の独特な石の質感。水辺の青。映像で飛び交う小さな虫たち。立体の屏風に止まるカタツムリ。金銀影絵の紅白梅。平面に止まらず、立体、映像と表現が広がり、神戸さんの小さな世界が現出する。

 神戸智行展 イノセント・ワールド@広田美術
 作家さん在廊で、何層にも紙を重ねる画法等、色々とお話をうかがえて良かった。

 12/25
ザ・ベスト・オブ・山種コレクション(前期)@山種美術館
 冒頭の又兵衛「官女観菊図」から抱一、大観、栖鳳、松園。そししてチケットにも載っている松岡映丘「春光春衣」の華麗な色彩美。第二展示室には窮屈ながら速水御舟「名樹散椿」も登場。江戸絵画から近代日本画まで、優品をギュッと圧縮した命品展。1階のカフェ椿でのタイアップメニューも美味しい。作品数は多くないけれども、コンパクトな会場にピッタリマッチ。

 12/30
 歌川国芳展@森アーツセンターギャラリー
 太田記念美術館に続く国芳展。多章に渡る構成で、武者絵、美人画、風景画、動物画、戯画等様々な角度から国芳の画業を立体的に浮かび上がらせる。その分、武者絵と動物絵に絞った太田の展示に比べて国芳のアクが薄まった感もあり。

Posted by mizdesign at 23:54 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2011年11月26日

●11月の鑑賞記録

 11/5
酒井抱一と江戸琳派の全貌(後期)@千葉市美術館
 父や兄の作品を並べて抱一誕生の背景を紹介し、代表作「夏秋草図屏風」「12ヶ月花鳥図」を経て、弟子たちの作品、特に鈴木其一にスポットを当てる。量質ともに充実した展示。琳派芸術@出光美術館で幕を開けた「酒井抱一生誕250年」琳派イヤーの掉尾を飾る。

 11/6
メタボリズムの未来都市展@森美術館
 メタボ展再訪。映像、模型、パネルを一つ一つ読み込んでいき、気がつくと5時間近くも会場に居たことにビックリ。メタボリズムを全面に謳う構成には疑問があるけれども、内容は盛り沢山でとても面白い。

 11/13
華麗なる<京蒔絵>@-三井家と象彦漆器-三井記念美術館
 伝統工芸のパトロンとしての三井家。そして華麗なる蒔絵作品の数々。明確なテーマ設定と、贅を尽くした作品が調和が美しかった。

 モーリス・ドニ@損保ジャパン東郷青児美術館

 11/16
内海聖史『シンプルなゲーム』@void+
 シンプルな制約の下、絵を間近に体験する。写真映えするグラフィックパターンのような情報とは全く異なる、色という物質の力が浮かび上がる。その場でしか体験できない美しさに魅了される。

 11/25
内海聖史『シンプルなゲーム』 ギャラリートーク「内海聖史x小金沢智」@void+
 建築が先に進んでいるのに、絵画が取り残されていないか?自分で獲得したい。何度でも獲得したい。「さくらのなかりせば」評の一行目に「美しい」と書いた。ギャラリーに入った2秒間、目だけになって欲しい。美しい形を作れば作るほど、言葉がなくなっていく。でも言葉にして解体していかないと精度が保てない。

Posted by mizdesign at 22:44 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2011年10月31日

●10月の鑑賞記録

 10/8
ドラゴンクエスト展@森アーツセンターギャラリー
 ドラクエワールドの発展を辿りながら冒険の旅を楽しむ前半。ゲーム企画書から鳥山明のキャラクターデザインまで、ドラクエ制作の舞台裏を明かす後半。そしてグッズ紹介、ラストはルイーダの酒場で飲食。ゲームのギミックを活かした展示構成が楽しい。I、IIの頃の箱絵原画の小ささに驚き。鳥山明のデザインセンスが素晴らしい。

 10/22
Be Magical ! @東京ディズニーシー
 ジブリ、ドラクエときて、いよいよホンモノの夢の国へ。LEDが光るミッキー帽子を手に入れ、ミッキーデニッシュを食べ、タワーオブテラーの落下体験、ジーニー劇場の立体映像、Be Magical ! のアトラクション、インディジョーンズの冒険を経て、ファンタズミックまで。ミッキーが魔龍を一撃で焼き尽くす容赦なさ!堪能しました。

 10/20
 京都国際マンガミュージアム
 出張の空き時間にちょっと寄り道。小学生の遠足スポットになっていてビックリ。サボリ感覚がくすぐられる立ち読み体験が懐かしい。進撃の巨人を少し読んで、その世界観に驚く。

 10/29
モダン・アート、アメリカン@国立新美術館
 印象派展に続く、名作で辿る絵画の歴史シリーズ第二弾。19世紀後半から第二次大戦後までのアメリカ絵画の歴史を辿ります。風景画からクローズアップ構図まで、オキーフが5点?まとめて観られるのが嬉しい。美しく深みのある色彩と、シンプルかつ意味ありげな構図に惹きこまれる。ホッパーの描く、一抹の寂しさを漂わせる都会の空気感も素晴らしい。エドワード・ブルース「パワー」の、マンハッタンのボリュームだけを表わす描写が、工業化エネルギーに満ちた近代を思わせる。作品個々のレベルは高いが、ボリューム的には少々もの足りない。

アールデコの館@庭園美術館
 改装休館前に駆け込み鑑賞。魚が泳ぐグリルカバー、天井から下がる果物造形の照明、ウィンターガーデンに射す光。美しい装飾と空間を堪能。さよならアールデコの館、また会う日まで。

春日の風景@根津美術館
 「春日の風景」に焦点を当てるピンポイント掘り下げ型展示。聖地「春日」を描く曼荼羅の変遷から始まり、工芸品、観光地としての春日と続く。そして「春日権現験記絵」。皇室の名宝展の時とは違う場面も展示されて、ストーリーを辿りながら観られる。根津美術館ならではの、空間性と調光性を活かした展示がステキ。

Posted by mizdesign at 23:13 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2011年09月30日

●9月の鑑賞記録

 9/3
 あこがれのヴェネチアン・グラス@サントリー美術館
 早々に再訪。光の演出性に優れた展示空間と、ガラス展示の相性が抜群に良い。それにストーリー性が加わって、鬼に金棒な展示。

 9/16
メタボリズムの未来都市展@森美術館
 守備範囲を広くとった、エンターテイナーな構成。これから始まる4連続シンポジウムと合わせて、時代の熱気を追体験するのが楽しみ!

 9/18
 メタボリズムの未来都市展シンポジウム@森美術館
 第1回「メタボリストが語るメタボリズム」
 メタボリズムの当事者たちによる、過去の回顧。いずれ劣らぬ巨匠たちが、「メタボリズム」というキーワードで一瞬結成したドリームチームな趣き。今聞かなければ、二度とはないであろう顔ぶれと内容に感激。

 第2回「メタボリズムという政治」
 メタボリズムといいながら、実際にはメタボリズム・ネクサス(メタボリズム的なもの)という括りで構成した展覧会。そのトリックと同じように、政治と大見得を切りながら、一向に盛り上がりも収斂もしない議論。そして磯崎さんによるガルシア・マルケスを引き合いに出した一喝。現代的な視点からメタボリズムとその前後の建築史の再評価を行わんとする意欲が良かった。

 9/19
三鷹の森ジブリ美術館
 待望のジブリ美術館初訪問。トトロが切符を切ってくれる偽入口から、フィルムを作る過程の展示、ねこバス、特別上映、お土産や「マンマユート」まで。ジブリワールドを満喫。レストランが意外と美味しくて良かった。井の頭公園を抜けて吉祥寺駅まで歩く立地も良かった。

Posted by mizdesign at 23:52 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2011年08月31日

●8月の鑑賞記録

 8/13
あこがれのヴェネチアン・グラス@サントリー美術館
 華麗なガラス細工の美しさを横糸に、その興隆、伝播、衰退、再生、現代へと時間軸の縦糸をつなぐ構成。技術書物、精巧な模倣作群、古典複製による復興、現代アートとしての表現。起伏のあるストーリーにぐいぐい引き込まれる。

 8/15
 立体曼荼羅展@東京国立博物館
 20分待ちで入館。6層を超える人垣にじっと並びながら、空海筆「聾瞽指帰」で自分の名前探し。立体曼荼羅は違和感を感じつつヒーローアトラクションを楽しむ。4番打者を並べた重量打線はかなり大味。人人人な印象が残りました。

 古代ギリシャ展@国立西洋美術館
 円盤投げを始めとする、究極の肉体。丁寧かつドロドロとした風俗解説。神話と俗世が混交する力の入った構成。なんかすごかった。

コクリコ坂から
 空から男の子が降って来て始まるラブストーリー。瑞々しい生活描写の中、真っ直ぐに現実を見つめる二人の視線が駆け抜ける。観たあとの清涼感が素晴らしい!ストーリーは背景に押しやって、とにかくその一点集中が潔い!

 8/21
 もてなす悦び展@三菱一号館美術館
 もてなすび再訪。ステキなポスターデザインや、cafe1894と合わせて、三菱一号館を楽しんだ。

 8/27
 GOOD DESIGN EXPO 2011
 グッドデザインアワードの二次審査会を兼ねた展覧会。意外なほどに建築関係の出品が多いが、どれもこれも同じような文章と図版が並んで、何がグッドデザインなのかピンと来ない。

第三四回 隅田川花火大会
 轟音、爆音。そして夜空に咲く大輪の華。身体全体で感じる、圧倒的な迫力。火に魅せられた。

 8/28
 東京の交通100年博@江戸東京博物館
 屋外展示された路面電車が「三丁目の夕日」そのままで、記念写真を沢山撮った。

Posted by mizdesign at 23:53 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2011年08月01日

●7月の鑑賞記録

7/2
 倉俣史朗とエットレ・ソットサス@21_21デザインサイト
 オリベッティのタイプライター、ミス・ブランチ、ラピュタ。様々な名作プロダクトの実物を観られるのが魅力。同時に、それ以上の何かがあるとは思えない。よく出来た有料ショールームのようだった。

鳳凰と獅子@サントリー美術館
 若冲「旭日鳳凰図」の送別と、永徳「唐獅子図屏風」登場へ向けてのインターミッション。獅子の脇腹と背骨の浮き彫りが気になり、雪花の上品さを再認識、山楽「唐獅子図屏風」に期待感を高め、又兵衛の鳳凰を操る皇女、一蝶の滝に打たれる獅子に首をひねる。面白い。

 7/3
 肥前磁器の華@根津美術館。伊万里、柿右衛門、鍋島
 個々の磁器の美しさと、「並べることに意味がある」と開き直って展示の美を前面に出す構成が意欲的。実用の美をガラスケースに押し込める矛盾に、上手い補助線を引いたと思う。

 7/5
 Summer Show 2011@西村画廊
 三沢厚彦。大きな額装から小さな落書きまでドローイングを多数出展。立体は猫のみ。小林孝亘。大きなマスカットと小さな新作ドローイングが2点。画面に満ちる光がステキ。町田久美。2点。ちょっと画題が変わった?カプーアも一点。

松尾高弘インタラクティブアート展@ポーラミュージアムアネックス
 Aquatic Colors。観客の動作に反応し、無数のクラゲが浮遊する幻想的な空間体験が美しい。
 White Rain。LED光の滴る「雨」の中を散策する。どちらも音楽が効果的で、とても癒される。

 7/9
恐竜展@科博
 親子連れとカップルに大人気。一番人気はもちろんティラノvsトリケラトプス。夏休み前から大入り。

鳳凰と獅子@サントリー美術館
 永徳「唐獅子図屏風」登場!設置位置の低い展示が迫力満点。屏風の巨大さ、二頭の獅子の視線が交差する濃密さ、豪華絢爛な画面作り。永徳展よりも、皇室の名宝展よりも断然良い。若冲「花鳥図押絵貼屏風」。フワフワした鳳凰の尾羽、松の枝などの筆捌きが見事!

 7/11
橋口五葉展@千葉市美術館
 五葉といえば「髪を梳ける女」の緻密な描き込みと、色気ある女性像。でも今回の展示では、意外と硬い人物スケッチが多く並ぶ。その一方で、渓流(耶麻渓)等の美しい色彩と水流描写、スケッチブックの活き活きとしたイメージも点在する。作家像を掘り下げる意欲展。

ワシントンナショナル・ギャラリー展@国立新美術館
 ギャラリーの誇る常設9点の作品は、素晴らしい存在感。中でもマネ「鉄道」はひときわ目を惹く。カサットの表情豊かな子供たちも可愛らしい。ただ全体としてはコマが足りない感じ。去年のオルセー展を期待すると肩透かし感アリ。

 7/16
三鷹天命反転住宅 見学会
 もう一つの住む形を実体験できるパビリオン。強固な立方と球形状。その中に設えられた人工楽園。

 鳳凰と獅子@サントリー美術館
 永徳「唐獅子図屏風」にお別れを。前期に若冲「旭日鳳凰図」、後期に本屏風を配することで、全期を通して楽しませていただきました。

MIDTOWN RAINBOW@ミッドタウン・ガーデン
 夜空に飛び交うレーザー光とミストが、涼を呼ぶ。鳳凰が舞うような演出がサントリーの展示と連動して感じられて好印象。ミストが子供たちに大人気で、イベント後にあちこちでバスタオルを巻いた姿が見られた。ミッドタウンの盆踊り。

 7/18
国芳展(後期)@太田記念美術館
 待ちに待ってた、猫登場。猫文字等の柔軟な発想に驚かされる。スカイツリーも登場して、国芳エンターテイメントを堪能した。

シンセシス@東京都現代美術館
 キャタリスト公開制作!そして驚きのサプライズライブ、ゆず登場!!「栄光の架橋」が響き渡る吹抜けは、現代アートが化学反応する夢空間!満足度200%を振り切る、最高にスタイリッシュ!ほんま、カッコよかった!

 7/22
鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星
 宮崎アニメの中を、エドとアルが駆け抜ける!面白かったです。

 7/23
フェルメールからのラブレター展@京都市美術館
 手紙を中心としたコミュニケーションから読み解くオランダ絵画。とはいえ、やはりホーホの中庭空間とか、ボルの右上から射す光に眼が行く。そして、フェルメール。青、赤、黄の豪華三点揃いを堪能。じっくり見られるのが嬉しい。
 とはいえ、全43点というボリュームは鳴り物入り展示としては物足りない。青衣の女の色飛び気味にも見える画面、手紙を書く女の肌部のみのソフトフォーカスも気になる。修復でバランスを崩すこともあるのだろうか。

百獣の楽園 美術にすむ動物たち@京都国立博物館
 間口を広く、娯楽性強く構成した、夏休み企画。なんだけど、そこは京博。羊は雪舟、牛は宗達、虎に至っては光琳のコミカル虎の横に、芦雪の超本気虎!解説も「生きた虎、芦雪の超絶技巧にしびれたい」とあり、もはやファンレターレベル。心底、楽しい!

 7/25
皇帝の愛したガラス@東京都庭園美術館
 レースのような「フィルグリーナ」の意匠、2Fホールに広がる枝付燭台の非常に豪華なセット。かの「もてなすび」の皇帝版ともいえる内容と、庭園の美しさにうっとり。

 7/30
常設展@東京近代美術館
 原田直次郎「騎龍観音」は東宝怪獣映画のきぐるみのようだと思う。
 石本泰博「桂」の美しさを、近代絵画の中で再発見。畳と欄間が生み出す交差線、素材ごとに面分割したような外観写真、石畳のコラージュのような質感コンポジション。

 7/31
 山口 晃アーティスト・トーク@ヴァンジ彫刻庭園美術館
 美しく着彩された「東海道 新風景」が楽しい。特にムーミン神社がお気に入り。トークは相変わらずの面白さ。画伯の巧みな話術に気持ち良く転がされて満足。

Posted by mizdesign at 05:54 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2011年06月26日

●6月の鑑賞記録

6/1
ジパング展@日本橋高島屋
 青山さんの刺繍画。黒地に銀糸がキラキラして、とても綺麗。種を明かしてもまだ不思議なアートの玉手箱。池田さんの仏陀。気が遠くなるほどの超絶細密画。その対角に三瀬さんの大迫力壁。その回りに棚田さんの不思議少女彫刻群。黄金の国に花咲く現代アート大興行。

6/4
画家たちの二十歳の原点@平塚市美術館
 二十歳前後という作画年齢を敷居にして、明治から現代までの日本絵画を通観する展示。長寿な大家から夭折の天才まで、その後の展開は様々なれど、画家のテキストには自負心が漲る。時代を超えて、一つの水平線で通観できることが何より素晴らしい。

五十嵐淳展 状態の構築@TOTOギャラリー・間
 何もない宇宙に「状態を構築」するという宣言。そして宙に浮く木軸模型を覗き込んで、その小宇宙を一つ一つ体験する。周辺条件の解説をバッサリと切り捨て、矩形システムだけを見せる。かっこいいなあ!同名本では実空間を紹介していて、二度楽しい。

 ジュングリン@池袋西武ギャラリー
 脳が発火し「意識が動く瞬間」を発見するいうコピーがスマート。アイデアを紹介するスケッチもスマート。キレイで明快な映像展示もスマート。残念なのは作品数が6点と少なめなこと。展覧会というより、有料ショーウィンドウのようだった。

6/5
ボストン美術館浮世絵名品展 錦絵の黄金時代―清長、歌麿、写楽@千葉市美術館
 写楽展と同時期に開催されたのが効果絶大。絵の見え方がぜんぜん違う。清長のスラリとした美人、歌麿の精気あるエロさ。そして写楽のライバル、豊国の上手さと鳥文斎栄之のカッチリとした構図。わずか20年に焦点を当てることで、黄金期が濃厚に感じられた。

 岡本秋暉とその師友@千葉市美術館
 柏の誇る摘水軒コレクションを中心とした展示。樹に雉がとまっていたり、鶴が脚を揃えて屈んでいたり、鶏が異様に男前だったり。特徴ある構図と、華麗な極彩色に引き込まれた。嘴や羽の一部に用いられる赤も妙にエロチックで効果的。

6/10
名和晃平-シンセシス-@東京都現代美術館
 現代アート最強のヒーローにしてヒロインが贈る、渾身の回遊型企画展。空間の変化に合わせて作品を替え、照明を替えて構成された回廊は、見応え十分。

6/12
 写楽@東京国立博物館平成館
 集客力のあるブランド「写楽」を前面に出し、写楽とその時代の浮世絵画家を紹介する超大型企画展。この展示を見ずして今年は語れない。
 出品作品のラインナップも章構成も良いけれども、音声ガイドはかなり平坦。もう一歩踏み込む執念が欲しかった。

 レンブラント 光の探求|闇の誘惑@国立西洋美術館
 馬の向き、群衆の位置といった構図の推敲。和紙、ベェラムといった素材に応じて硬く柔らかく白く黒く変化する光。それらを見比べることで、彼の創作に立ち会っている気分でドキドキ。更に若いカップルで埋まる館内のアウェイ感がすごい。観られて本当に良かった。

6/18
森と芸術@東京都庭園美術館
 驚くほどに精緻な劇場名場面点刻版画、明るい黄色が美しいゴーギャンの油彩画、想像と妄想が膨らむメルヘン画。ダイジェスト日本編のあとに美術館の庭園。多様な森の世界を紐解き、場所の利を最大限に活かした構成がとても良かった。

歌川国芳展(前期)@太田記念美術館
 猫大好きユーモアタップリの世界を観に行ったら、実は武者絵と妖怪が跳梁跋扈する江戸版少年ジャンプの世界だった。その躍動感と濃いキャラクター群に圧倒された。猫は後期。

 五十嵐淳展 状態の構築@TOTOギャラリー・間
 無から生成される状態群としての建築。かっこ良いなあ。

不滅のシンボル 鳳凰と獅子@サントリー美術館(前期)
 「第6章 よみがえる鳳凰」が圧巻。中国から輸入されたイメージが、若冲「旭日鳳凰図」に結実する!その横に上品な雪花の鳳凰。向かいの探幽屏風には鳳凰の雛、蒔絵硯箱には鳳凰の卵まで!樹下鳥獣図の目が死んだ鳥たちは思い複雑。

6/19
パウル・クレー おわらないアトリエ@東京国立近代美術館
 創作の場、技法、特別な作品。三面からクレーの創作の秘密に迫る。その意欲はジグザグと空間を折り曲げる会場構成にも一貫している。高度に練り込まれた構成は、その是非は別として、記憶に残る。

もてなす悦び展@三菱一号館美術館
 「プロローグ あさがおの間」の爽やかな美しさに心を奪われる。「ジャポニスムの茶会」の再現テーブルセットの豪華さ、ズラリと並ぶティーカップの緻密な美しさもスゴイ。特に透かし彫りのティーカップ。邸宅型美術館の面目躍如。

6/25
 大畑伸太郎 個展「生活」@ユカリアート・コンテンポラリー
 ザックリとした色面で再構築される美しい光景。イメージに合わせて変容する人物。感性が透けるような存在感にとても心惹かれる。色面の粗さが産みだす、平面と立体の融合ギミックも魅力的。もうちょっと作品が見たい。

青山悟 個展「芸術家は人生において6本の薔薇を真剣につくらねばならない」@ミヅマアートギャラリー
 あまりに精緻で、想像を絶する手間をかけた刺繍の薔薇。その存在感は、種を明かしても解析できない手品。そして遭遇する6本目。暗闇の中で感覚を失い、薔薇だけが存在する。実際に見ることでしか体験できない、時空間型展示。

 Art meets Life ~Kohei Nawa meets Seibu Shibuya~@渋谷西武
 基本的に写真パネル展示だけれども、やたらカッコイイ。さすが現代アート最強のヒーローにして、ヒロイン。

花の画家 ルドゥーテ「美花選」展@Bunkamura ザ・ミュージアム
 点刻彫版法、驚異の細密性と美麗な色彩に眼が釘付け。マドンナリリーを始め、白をあんなに美しく描くなんて感動。ピンクのロサ・ケンティフォリアを見て高島屋を連想する自分がちょっと残念。3時間でも足りない。ご利用は計画的に(>_<)。

Posted by mizdesign at 16:23 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2011年05月30日

●5月の鑑賞記録

 5月はなんといってもレンブラントと写楽の東西版画対決。そして狩野一信畢生の大作「五百羅漢」。地震を乗り越えて開催されて、本当に良かった。

5/5
アート好きによるアート好きのための図録放出回 Vol.1
 関係者の方の行動力に脱帽。楽しませていただきました。

5/7
国宝 燕子花図屏風 2011@根津美術館
 今年は小雨の中、庭園を散策。人出も少なめで燕子花を満喫。来年こそは、八橋と燕子花を並べて観たい。

5/8
香り かぐわしき名宝展(前期)@東京藝術大学大学美術館
 大きな顔に風船のような胴体の「獅子香炉」。黒いマッスを宙に浮かせた「香時計」。香りと実用の接点にとても惹かれた。 速水御舟「夜梅」。マイクロテープを貼ったような明確な幹と、黒く滲む背景のグランデーション。透ける白い花弁。激ラブ。上村松園「楚蓮香之図」。ピンクの上衣に青いストライプ。逆手に持った扇の軽やかさ。美しい。

レンブラント 光の探求/闇の誘惑@国立西洋美術館
 和紙等素材へのこだわり、版画のステート毎の大胆な変更。愛好家への需要喚起もあったろうけど、やはり全てをコントロールをしたいという強烈な欲求が作家を突き動かしたのだろう。そんな素顔を感じました。画面右上から射す光、その反対側からも補助光を当てて、ディテールは保持。柔らかな質感を産み出しつつ、画面密度も高める。あれは発明だろうか、観察に基づく発見だろうか。あるいは同時代性の産物か。とても興味を惹かれました。

5/14
写楽@東京国立博物館平成館
 写楽誕生の背景を丁寧に辿る前半、歌舞伎演目ごとに作品を見せる後半。特に蔦重の吉原細見と歌麿のコンビネーション、豊国と写楽の同題材対決は見応えあり。まさに役者は揃った!北斎展に並ぶ空前絶後展!

手塚治虫のブッダ展@東京国立博物館 本館特別5室
 音声ガイドを借りて観た。漫画と仏像を観て、とってもわっかりやすーい!コンパクトな展示なのでダイジェストだけど、物語風味で面白かった。

五百羅漢展@江戸東京博物館
 冒頭日常編の異様な密度と、色彩美と、精気漲る画面がとにかく魅力的。間近で見られる展示ケースの工夫も効果大!新勝寺の大作を照らす照明変化も効果的。一気呵成に観られる会場構成に、仕掛側の気合を感じた。

5/15
 シュルレアリスム展@国立新美術館
 法皇ブルトンの宣言から、その死まで。詩に触発された絵画、オブジェ、映像がズラリと並ぶ。詩が表現を導くのだなあと、オーディオガイドを借りてじっくり観た。教科書を淡々とめくりながら、内面世界を延々と彷徨った気分。

5/19
 NIJIMASS@ギャラリーアートポイント
 あおひーさんの個展。なぞなぞは面白いけど、モティーフとは別物に変化した作品をもっと見せて欲しかった。

5/22
あるべきようわ@資生堂ギャラリー
 地下の参道。縦の光、渦巻く手水鉢、垂直な数珠。手摺を包む白布、垂れ下がる紐、薄く天を覆う透過膜。白い回廊の突き当たりに、塔が座する厨子。左に折れて、質感を残した白染の祭壇。その上に浮かぶ、聖なるガラス。光に誘われて段を登ると、均質な光のプレートの上で透明ガラスが驚くほど多様な表情に見せる。恍惚。ふと我に帰る。何を拝んでるんだっけ?透過膜の向こうに、雑然とした天井設備が見えてくる。現実の中に神殿が重なる。段取りの美が美しい。

 夢に挑む コレクションの軌跡@サントリー美術館
 蒔絵提重、薩摩切子 船形鉢、遊楽屏風、光悦茶碗。「生活の中の美」というコンセプトと優品展示に妄想心が刺激されまくり!新収蔵品も華やかで、とても素敵だった。

Posted by mizdesign at 21:36 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2011年05月06日

●4月の鑑賞記録

4/2
江戸の人物画-姿の美、力、奇@府中市美術館 (前期)
 毎回毎回、新しい視点を開いて見せる企画力と、個人蔵を多く集めてそれらを色付ける構成力。そして観客を楽しませる仕掛けをタップリ盛り込む演出力。桜の季節に柔らかく射す光。あたたかい。

白洲正子 神と仏、自然への祈り(前期)@世田谷美術館
 白洲正子の眼を通して観る仏様たち。好奇心に満ちた平明な文章が、目の前の景色を一変する。展覧会の醍醐味を堪能。

4/7
京都 2011 清水寺-産寧坂-円山公園-祇園
 清水寺から四条まで夜桜巡り。歩くにはチョット長いかなーと思うも、桜の魅力に夢中になってあっという間。中でも円山公園の枝垂桜と花見の光景はひときわ印象的。

4/8
 屏風「親鸞」@東本願寺
 眼光鋭く何かを見据える鋭い青年として描かれる親鸞。迷い、期待、憧れ。様々な思いを抱いて繋がる人々。地震と放射能であっけなく崩れる世界に直面して、彼の生きた時代が身近に感じられる。

法然 生涯と美術@京都国立博物館
 人物像を知る資料が全然ないことを逆手にとって、絵伝として再構成された物語を辿る展示。全48巻の法然上人絵伝を主軸に、複数の別バージョン、所縁の仏像や宝物が彩を添える。ビジュアル情報豊富で、マンガを読む感じ。解説が何気に毒舌。

4/9
京都2011 醍醐寺-京都御所
 醍醐から御所へ、桜巡りその2。三宝院の枝垂れには早かったけれども、境内と宝物館は満開から散り始め。「醍醐の花見」の栄華を今に伝える庭園が素晴らしい。そして京都御所の特別公開に滑り込み。平安時代から続くその空間は、王朝タイムカプセルそのもの。

4/15
三沢厚彦 Meet The Animals-ホームルーム@京都芸術センター
 ギャラリーの白壁にスッと立つペガサス。教室の教壇に立つ白熊。和室の畳にそびえるように立つ鹿。みんなずっとそこにいたように馴染んでいる。横浜そごう、愛トリ、平塚のエントランス。僕が今まで観た中ではダントツで好きです。

4/16
もうひとつの京都-モダニズム建築から見えてくるもの-@京都工芸繊維大学 美術工芸資料館
 写真パネルと白模型で辿る、京都モダニズムの足跡。戦前の建物が、用途を替えながら今も現役な例が幾つも紹介されていて嬉しい。戦災を逃れたことも大きいのだろう。後半の主役は京都国際会館。そのあまりに異次元な存在感は、モダニズムという範疇を超越しているように思えた。

4/20
長沢芦雪 奇は新なり(前期)@ミホミュージアム
 水墨画の動物たちが魅力的。師匠譲りのかわいい狗、ボケボケた味わいの蛙、牛、蛸、仕草の細かい雀、マンガな表現で時代を跳躍する猫トラ、スヤスヤと居眠りする虎、前脚で雲海を切り裂く龍。役者は揃った、あとは紅枝垂を待つ。

親鸞展 生涯とゆかりの名宝@京都市美術館
 法然展とうって変わって、こちらは真筆がドンドン登場。仏像に絵巻物に絵画とバラエティも豊か。けれども意外と人物像は浮かび上がらない。「飛雲閣襖絵」狩野探幽「雲龍図」が観られて嬉しい。

4/23
内海聖史「さくらのなかりせば」@ギャラリエアンドウ
 緻密に描かれたピンクの点描が、桜の屏風絵のようでとても美しい。照明を落とすと夜桜の景に早変わり。「色」と「見え方」を、とても意識して作られた絵画体験。

Shuffle | シャッフル@白金アートコンプレックス
 1F/コンクリートブロックと「根来」の対比。4F/長谷川等伯「四季柳図屏風」!不動明王半跏像の新旧対比。縦に並んだギャラリー群を横断して、古今アートをシャッフル!質、アイデア、見応え。三拍子揃った傑作。

4/24
 東海道 新風景-山口晃と竹﨑和征@ヴァンジ彫刻庭園美術館
 ようやくヴァンジ初訪問。アーティスト・トークショー目当てで、初日にGO。山口さんの作品は予想通り(?)白かったけれども、大作「階段遊楽圖」が出ていたのでバランスはとれた感じ。竹﨑さんは初見。通路空間を利用しての展示なので、決して恵まれた条件ではないけれども、それでも巧みな話術と竹崎さんとの掛け合いで場を盛り上げるのは流石。色は着くのだろうか。。。

 母たちの神—比嘉康雄展@伊豆フォトミュージアム
 こちらも初訪問。シャッフルの感動覚めやらぬ、新素材研究所(杉本博司+榊田倫之)による改装空間。エントランスと展示折り返し点に坪庭を配した構成は、美しく明快。その間に展示パネルを折り畳んで押し込んだ感じ。もうちょっと広さがあれば、より杉本さんらしい空間に仕上がっただろう。

4/25
フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 @Bunkamura ザ・ミュージアム
 オランダ・フランドル絵画を五つのテーマから紹介。王侯貴族から富裕市民層へ。注文主の変化に合わせて、画題も変化。貴族を真似た画題あり、職業に因んだ画題あり。その多様性と柔軟性がとてもリアルで興味深い。さらに大航海時代を背景に、フェルメール「地理学者」を特別公開!とびきり美味しいオマケの付いた、一粒で二度美味しい展示。

Posted by mizdesign at 23:54 | Comments [0] | Trackbacks [0]

●3月の鑑賞記録

3/2
平等院鳳凰堂、鳳翔館
 浄土式庭園唯一の遺構、鳳凰堂。20年ぶりくらいの再訪。折りしも宇治関白頼道の命日だそうな。西方極楽浄土を再現した内部の壁画、運中供養菩薩。土門拳の夕景で有名な鳳凰。本当に奇跡のような建物。
 鳳翔館、初訪問。鳳凰堂の再現CG、内部壁画再現コーナー。何より運中供養菩薩様たちが楽しそう!

3/13
長沢芦雪 奇は新なり(前期)@ミホミュージアム
 まだウォーミングアップな感じ。4/19からが本番?「山姥図」は対決展で、「虎図」は名古屋城でそれぞれ観たけれども、ないとやはり寂しい。深山に桜の咲く頃にまた来たい。

薬師寺東塔
 これから解体修理に入る東塔、10年のお別れ。

3/19
若冲水墨画の世界@承天閣美術館
 館に入ると、立ち込めるお香。その匂いに癒される。鹿苑寺大書院旧障壁画。入口面とその先4部屋の全50面が勢揃い!展示の都合上、部屋順でなけれども、パズルの様に頭の中で空間をイメージしながら観るのは格別の楽しみ。若冲ファン必見!

生誕100年 岡本太郎展@東京国立近代美術館
 対決をテーマにした七番勝負。明快な構成、エネルギッシュな絵画、大きく目を見開いたパフォーマンス。一見エンターテイメントショーのような楽しい展示。個人的には太陽の塔がクライマックス。建築と対決して屋根をぶち破り、万博という場で原始を打ち出す。そして40年。大屋根は遠になく、ジェットコースターも撤去。塔は綺麗に修復されて燦然と輝く。消えたモノと残ったモノの対比が印象深かった。

3/27
建築家 白井晟一 精神と空間@パナソニック電工 汐留ミュージアム
 虚白庵の濃密な思索空間に引き込まれ、親和銀行、原爆堂。気がつけば松濤美術館。ロビーのDVD映像で実空間体験を補って、とても濃密なひと時でした。

Posted by mizdesign at 23:07 | Comments [0] | Trackbacks [0]

●2月の鑑賞記録

2/5
琳派芸術 第1部 煌めく金の世界@出光美術館
 俵屋工房を中心に、琳派の大家が客演する。伝宗達「月に秋草図屏風」の、月光に満ちて金色に輝く空間にゾクゾクした。「龍虎図」の、ゆるくドラえもん顔の虎に心を掴まれた。始祖宗達の創造性が光った。

 生誕250年 酒井抱一 -琳派の華- (前期)@畠山記念館
 一面を抱一で固め、対面は琳派大家の顔見せ。間に工芸をはさむ、手堅い構成。「四季花木図屏風」の、地色を活かした桜の幹の描写、「十二ヶ月花鳥図」の、美しい花と鳥の取合せ。抱一、萌え燃え展示。

「日本画」の前衛 1938-1949@東京国立近代美術館
 バウハウスの輸入から始まり、琳派の影響が見え隠れしつつ、様々な試み、時代の変遷を紹介して戦後の新たな出発で〆。個人的には、その因子が感じられる現代アート作品を最後に並べて、現代への継承を見たかったです。

2/6
 筆墨精神@京都国立博物館
 「今日、キョーハクする!」。典籍、名筆ザックザク。書の知識が皆無でも、意外と見応えあり。さすが京博。「山越阿弥陀図」。山より大きな阿弥陀様。その右手から伸びる五色の糸に導かれて、天国へGO!人生最期のイベントを荘厳する晴れ舞台。

 TRANS COMPLEX - 情報技術時代の絵画@京都芸術センター
 情報技術とインスタレーションの境界が揺らぐような視点が観られるのでは?と期待して訪問。実際の展示は思ったよりも堅実な印象でした。

2/7
立体曼荼羅@東寺講堂
 運慶物語序章。本編は金沢文庫で公開中!

2/9
 特別展ダ・ヴィンチ~モナリザ25の秘密~@日比谷公園
 超細密撮影+解析で浮かび上がる往時のモナリザ像は意外性があって引き込まれた。ダヴィンチ手稿の再現展示はトンデモ内容もあったけれども、以外と充実していて見応えがあった。

2/13
酒井抱一生誕250年 琳派芸術 第2部 転生する美の世界@出光美術館
 とにかく「八ツ橋図屏風」「紅白梅図屏風」のダブル大作が圧巻。酒井抱一生誕250年と銘打つだけあって、主役は抱一。抑制の効いた展示空間と相まって、とても魅力的。

イメージの手ざわり展@横浜市民ギャラリーあざみ野
 「イメージの手ざわり」をキーワードに、6組の作家の作品を展示。アートワークの展示だけでなく、作家とアートサポーターとのワークショップにも力を入れている。さらに展示室だけでなく、建物エントランスや階段にも作品が溢れ出ている。そういった手作り感、共有感、日常感を大切にした展示。

2/20
TOKYO FRONTLINE@3331 Arts Chiyoda
 アーツ千代田、初訪問。日本酒の利き酒コーナーがあるのが素敵。知り合いとバッタリ遭遇して、新聞紙のサイの前で語り合った。

 奈良美智プリントワークス@六本木ヒルズ
 奈良さんが中田隊長に力説してた。お二人を取り囲む観客で、ギャラリーが埋まってた。

 G-tokyo 2011@森アーツセンターギャラリー
 G-tokyoも初訪問。「アートを身近に」というフレーズと、差別化を図るような会場設定のギャップに戸惑った。スケジュールを詰め込みすぎて、既にグッタリ。

 分岐展@ギャラリーモモ 六本木
 「Roppongi α Art Week 2011」と称して、6つのギャラリーを巡るイベントの一環。六本木の回遊性が増えて嬉しい。

 Mancy's Art Nights@Mancy's
 浴室付き等、セレブ向け(?)カラオケボックスで繰り広げられる、アート展示即売会。奥まった会場設定と閉場間近な時間のせいか、ガラガラ。画廊スタッフの方のヒソヒソ話が反響して、観る気を削ぐ。

 Tweet Me Love, Sputniko!@EYE OF GYRE
 アーティストご本人も楽しそうにコスプレ?してて、趣味の合う友人達が集まったパーティー会場のよう。活気があって良かった。

Posted by mizdesign at 21:08 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2011年01月31日

●1月の鑑賞記録

1/2
 博物館に初もうで@東京国立博物館
 改装した漆工展示室、秋冬山水図、檜図屏風、風神雷神図屏風。話題豊富な新年企画。「古今和歌集(元永本)」の技巧を凝らしつつも上品な存在感が素晴らしかった。でも何より驚きは、「トーハク?」効果で大入り満員だったこと。新年早々、パスポートを購入するためにチケット売場でけっこう並びました。イメージ戦略による潜在顧客層の掘り起し、大成功。

1/8
 アルブレヒト・デューラー版画・素描展@西洋美術館
 Takさん企画のギャラリートーク特別版に参加させてもらい、学芸員さんの解説を聞きながら鑑賞。ドイツ絵画史におけるデューラーの位置づけから、作品の背景、見所まであっという間の1時間半でした。展示がずいぶんと違って見えました。どうもありがとうございました。

1/14
 三瀬夏之介×池田学「現代アートの衝撃波一1973年生まれの新潮流」@紀伊國屋サザンシアター
 去年の年末に観た池田学「焦点」にあまりに強く惹かれたので、トークショーにも行ってみました。なんとなく予想していましたが、何らかの論理を構築しようとする三瀬さんと、あっけらかんとした池田さんのキャラクターが噛み合わない。池田さんが三瀬さんを讃えた「いい声ですね!」が一番会場が沸いた瞬間でした。ファンのためのイベント。ツイッターTL上の絶賛の嵐がすごかった。

1/22
 特別展「運慶 -中世密教と鎌倉幕府-」@神奈川県立金沢文庫
 待ちに待った運慶展。初作の大日如来、最晩年の大威徳明王。風になびく衣装と彩色が美しい帝釈天。コンパクトかつ密度濃い展示でした。必見!金沢文庫は称名寺の境内奥。鴨、鳶、カワセミ。野鳥王国な境内散策も素敵。

Posted by mizdesign at 06:15 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2010年12月30日

●12月の鑑賞記録

12/2
カンディンスキーと青騎士@三菱一号館美術館
 カンディンスキーになる前のカンディンスキーから始まり、ミュンターと出会い、ムルナウを発見し、あのコンポジションシリーズが萌芽する。そして青騎士結成。章ごとに登場人物紹介があり、ドラマを観るような面白さのある展示でした。

12/4
 伊庭靖子個展@MA2ギャラリー
 空間に溶け込みつつしっかりとした存在感のあるマイクロワールド。意外と質感はザラザラ。

 阪本トクロウ「けだるき一日生きるだけ」@アートフロントギャラリー
 色々な阪本さんが観られてお得な展示。正面から道路を見上げた絵と、信号機の入った小品が好き。

 バウハウス・テイスト バウハウス・キッチン展@汐留ミュージアム
 見所は女性にスポットを当てた構成と、マイスターハウスのキッチン再現展示。小物入れいっぱいの作りがそれっぽい。

12/8
池田学「焦点」@ミヅマアートギャラリー
 超絶細密技巧と美しい色彩。ファンタジーと現実が混然とする世界。好青年なご本人。私的には無敵と思える内容でした。画集も購入しました。見開きクローズアップがふんだんに載っていて嬉しいです。

12/11
 トランスフォーメーション@東京都現代美術館
 マシュー・バーニーの映像を見つめる観客の異様な熱気に、新たな世界を観ました。

12/13
 「Reflections」-現代アート新鋭作家13人展-@アートポイントギャラリー
 あおひーさんの展示。確かに、そのうち来るかもしれない。と思えるくらいにレベルの高い展示でした。

12/25
開館記念特別展@ホキ美術館
 話題性のある造形と、美味しいレストランと、採算性を意識した計画。コレクションを広く見てもらいたいというオーナーの要望に見事に答えるプログラム。その分、内装グレードは抑えめ。その結果として、この立地で驚きの大入り状態。大成功だと思った。

 ギッター・コレクション展@千葉市美術館
 ゆるーい感じで、若冲?蕭伯?芦雪?と首を捻る。気楽に眺めるのが吉。

12/27
江~姫たちの戦国~内覧会@江戸東京博物館
 三人娘それぞれに章を割り振る構成が上手い。信長、秀吉、家康。激動の時代を背景に生き抜き、血を残す戦国絵巻を通して、空白の江像が浮かび上がる。最後の宮殿(くうでん)が、その存在の大きさを物語る!

12/28
山口晃展~東京旅ノ介@三越銀座
 5つの東京の景から日本橋三越へと至る、華麗なる山口商業画の世界。ガイドのお絵かきが登場して、のんびりムードの水景、あっと驚きの露電10系!エンターテイメント性の高い前半、旧作と写真でマッタリ気味の後半。楽しゅうございました。

Posted by mizdesign at 16:07 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2010年12月01日

●11月の鑑賞記録

11/3
 ULTRA003 ノヴェンバー・サイド@スパイラル
 05. 島田恒平(ギャラリー椿 / 東京)のイタ車、18. 杉田竜平(ギャラリーモモ / 東京)の緑の連作、19. 岩瀬幸子(日動コンテンポラリーアート / 東京)の一枚もの大作が良かった。ベストウォールは18に投票。オクトーバーサイドも観たかった。

その名は蔦屋重三郎@サントリー美術館
 吉原を拠点とし、そのガイドブック権益を独占する蔦重。黒地に赤のアクセントで統一された展示空間が、夜の街のエロチックさを感じさせてとても良い。経営基盤の強化、読者参加型企画で辣腕を振るう章立ても良い。後半、歌麿、写楽展はやや大味。

11/12
 建築とITのフォーラム2010 環境建築 木材会館からバイオスキンへ@木材会館
 話題作を次々に手がける山梨知彦さんの講演会。最後にホキ美術館の宣伝。内装も構造体も外装もスチール。絵はマグネットで壁に付いている。50mm径に45度首の振れるLED照明を納める。20-40灯で一枚を照らす。展示作に物故作家が一人もいない。整理された内容をアウトプットするマシーンのようだった。

11/16
山口晃 切り捨て御免トークショー@ミヅマアートギャラリー
 アートブロガー「弐代目・青い日記帳」のTakさんが主催で、「山口晃展 いのち丸」を会場にして、作家ご本人のトークショーを開催。告知手段はTwitterで、USTREAMの実況あり。「アートと人と技術が有機反応する。そんな場に立ち会えるのではないか。」というワクワク感で一杯。

11/21
至高なる風景の輝き-バルビゾンからの贈りもの@府中市美術館
 バルビゾン派の屋外写生と色彩の発見の喜びに満ちた1章。舞台を日本に移しつつ、その感動にオーバーラップする2章。人物に視点を移し、最後に集大成を見せて大団円。府中自慢の桜並木の晩秋の景も相まって、素晴らしく引き込まれる展示だった。木立、羊、麦藁、夕暮れ。叙情的なトーンを基調としながらも、さりげなく挿入されるクールベの鹿、野十郎のNY風景。その大気を切り裂くような厳しさがピリリと効いて良かった。

 ドミニク・ペロー 都市というランドスケープ@オペラシティアートギャラリー
 コンセプト、実現への置換、実現風景。会場自体をランドスケープに見立てた構成。処女作は刑務所のようだったと語るインタビュー映像が興味深い。そこからランドスケープへと鮮やかな飛翔。物質化の要は金属メッシュ。空間としてはザックリしてる。

 収蔵品展 紙の上の競演@オペラシティアートギャラリー
 伊庭さんのシルクスクリーンが3点出てます。トイレットペーパーと洗面台と椅子のクッション部のクローズアップ。純化することで豊穣さを引き出すような画面に、もう目が釘付け。MA2ギャラリーも行かなきゃ!

11/22
 ラフェエル前派からウィリアム・モリスへ@横須賀美術館
 横須賀美術館、初訪問。「海の広場」、「山の広場」、「美術館」という面構成。展示空間+レストラン+海と山という滞在型プログラム。「穴あき鉄の箱」と「ガラスの箱」の二重膜建築。東京湾と観音崎にはさまれた立地をさらに拡張する、立体回遊空間としての建築。

 ドガ展@横浜美術館
 素描を多用した構成から、ドガの観察眼が浮かび上がる。スポットを浴びるエトワールは美しいけどちっちゃい。クライマックスは「鍵穴からのぞく」裸婦の後ろ姿のオンパレード。都市の生態を生々しく描いた、浮世画家の軌跡という感じ。

11/23
LLOVE@旧代官山iスタジオ
 日本の建築家が空間を拡張するのに対して、オランダはの建築家は空間に異物化するアプローチに思えた。「泊まりたいか」という視線で観ることが新鮮でした。泊まってみたいと思ったのは302号室と307号室。泊まり方に一番興味が湧いたのが304号室。PVのように、ボールを転がしながら一晩過ごすのだろうか。

 シェル美術賞展2010@代官山ヒルサイドフォーラム
 ULTRA003で気になった小野さおりさんがグランプリに選ばれたとのことで観にいった。各作家一点ずつなので作家の世界観はそれほど感じられなかったが、全体的に若々しい雰囲気に満ちていた。

絵のなかに生きる 中・近世の風俗表現@根津美術館
 庭園の紅葉が絶景。庭園内の茶室に明かりが灯り、活気づいているのも良い。その季節に風俗画のコレクション展を仕掛ける根津美術館の企画力はとても素敵。

Posted by mizdesign at 23:21 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2010年10月30日

●6-10月の鑑賞記録

 6/6
 大皇帝稜@橿原考古学研究所附属博物館
 久々に訪れた畝傍山のふもと、時間の圧迫感を感じる立地。悠久の歴史を遡るような内容。展示空間ももう少し頑張って欲しかった。

レゾナンス共鳴 人と響き合うアート@サントリーミュージアム[天保山]
 ジャネット・カーディフの作品が圧巻。前方に海、右手にフンデルトヴァッサーの清掃工場、左手に赤字問題のWTCのある眺め。荘厳かつ美しく響き渡る宗教曲が、閉館間近な美術館の葬送曲に聴こえる。小泉明郎のフィクションに乗っ取られる過程、金氏徹平の大人気っぷりも印象的。祝祭でもコンセプト一辺倒でもなく、テーマと響き合う構成がとても魅力的。

ルノワール - 伝統と革新@国立国際美術館
 彩り豊かな肖像画から始めて、間に様々な側面を挟み、最後をイレーヌで締める綺麗にまとめた構成。X線分析は要らないので、もう少し職業装飾家としての仕事も観たかった。一番人気はもちろんイレーヌ嬢。他所の二倍は人垣が厚かった。

 6/12
 川喜田半泥子のすべて@三重県立美術館
 蛙図(自画像)が良かった。不動の稲妻ひび割れもカッコイイ。洒脱でユーモアに富んだ見立てと、我が道を行く造形が力強い。県美の箱も重厚で魅力的。反面、展示方法が平坦+作品リストがないことにガッカリ。

 田原市博物館の名品による渡辺崋山展@愛知県美術館
 人物画、草稿、手控、風景画、自筆墓表。内容は充実しているけれどもボリュームは少ない。企画展スペースの半分を使っていて、残りは所蔵品展。入館料も所蔵品展扱いで500円。

 7/11
束芋 断面の世代@国立国際美術館@国立国際美術館
 湿気と精気ある線と色彩、不条理な変容というツール。えぐられた断面を観客が覗き込むことで関係性が生まれる立体パズル構成。緻密かつ独特な束芋ワールドを満喫。ループを描くような会場構成も良い。

 ART OSAKA 2010@堂島ホテル
 湿度の高さと会場の狭さに集中力低調。帝塚山ギャラリーの部屋全体を使ったインスタレーションの思い切りの良さ、gallery 21yo-jの青い絵の清涼感、アートコートギャラリーのシーラカンスの焼き物の緻密さが印象に残った。

 印象派とモダンアート@サントリーミュージアム[天保山]
 印象派、20世紀具象、20世紀実験的美術のコンパクトな3段構成。色彩、風景、平面を「いかに捉えるか」にピントがあっていて好印象。ルドンのステンドグラスの硬質な青と赤が美しい。

 7/18
「フィギュアの系譜―土偶から海洋堂まで」、「村田蓮爾:rm drawing works」@京都国際マンガミュージアム
 老若男女がマンガに読み耽る廊下、都市の坪庭のような校庭の居心地の良さは最高。こんな施設が増えてほしい。
 「フィギュアの系譜 土偶から海洋堂まで」。他者としての人形から、自己の一部としてのコレクションアイテムへ。現在進行形のフィギュア論。マニアックな凄腕造形集団から、食玩の驚異的なクオリティでもって、世界へと飛躍するところが圧巻。
 「村田蓮爾」。丸みのある女の子の線描とメカニカルな質感、美麗な彩色にうっとり。インクジェット出力の大判イラストがメインだけれども、柔らかなタッチの鉛筆下書きもあり。鉛筆とパソコンで世界を構築するってすごい!

 小村雪岱の世界~知られざる天才画家の美意識と感性~@清水三年坂美術館

 生存のエシックス@京都国立近代美術館
 展覧会というより研究発表会。このハコはこんな用途にも使うのか。木の滑り台集合体の登頂は面白かった。

 8/4
 BASARA@スパイラルガーデン
 深く心に引っかかるイベントだった。刺青のライブ感溢れるパフォーマンスといい、作家の個人興行という舞台設定といい、ドロリとした全体を流れる感覚といい。アートとサラリと括ることに、とても抵抗がある。「BASARA」という刀でもって、アートの現状に切り込むパフォーマンスという感じだろうか。そのキレに爽快感を感じた。

 8/6
ネイチャー・センス@森美術館
 参考図書コーナーで桃山絵画展図録@京博、内藤礼写真集、成田亨「怪獣と美術」の三連冊に出会い、好きのツボを突かれすぎて悶絶した。展示では、血の滴りのようなセカンドインパクトと、空に据えた注射器が描く水紋が良かった。

マン・レイ@国立新美術館
 ニューヨーク、パリ、ロサンジェルス、そして再びニューヨーク。作家の足跡を時系列順に辿る縦糸。二箇所ある映像コーナー、技法解説、チェス盤といった創作活動の広がりを見せる横糸。ヒンヤリとした館内で20世紀前半の雰囲気に浸る気持ちの良いひととき。

 8/15
 高島野十郎と同時代作家展@柏市民ギャラリー
 蒼い夜空に煌々と光る「満月」。「からすうり」の色彩と線描と構図の競演。逆光に浮かぶ草木が美しい「山の秋」。野十郎作品をまとめて観られる、嬉しいお盆イベントでした。

 MASKS@千葉市美術館
 様々な国、地域の仮面を揃えて、その造形バリエーションを楽しみつつ、背後にある祝祭、呪術、芸能を紐解く。奄美のおおらかな造形、仮面結社の白い鉄仮面、洗練の極みの小面などなど。夏休みの自由研究のようなで面白かった。

 8/22
田中一村 新たなる全貌@千葉市美術館
 少年時代の小憎らしいほど大人びた作品から始まって、千葉での農村風景、執拗に鳥を描くスケッチ。多彩な取り組みや、中央との断絶。若冲を彷彿させる花鳥画。そして奄美へ。現代視点から再構成された一村像は、驚きと興奮に満ちている。

 8/29
江戸絵画への視線@山種美術館
 官女観菊図は照明が明るくて観やすかった。発熱の小さいLEDの恩恵なのだろうか。文晁の辛夷詩屋図の色彩はセザンヌのようで美しい。でも何より名樹散椿。うねる幹と、滝のような葉と花の生命感に見とれる。この絵と炎舞を観に、この先もこの館に通うだろう。

 ベルギー王立図書館所蔵 ブリューゲル版画の世界 @Bunkamura ザ・ミュージアム
 滑り込み鑑賞を狙って閉館1時間前に入館するも、3層の人垣の前に30分も持たずに撤退。人だけ観た気分。

 9/3-4
あいちトリエンナーレ2010 都市の祝祭@納屋橋会場、愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、長者町会場
 納屋橋会場。二つの作品が調整中。梅田さんの耳で観る光が、色彩豊かで良かった。でも音的にはやや不快。他は映像中心。もうちょっと直感的な刺激が欲しい。
 愛知芸術文化センター。宮永愛子の消失へと至る時間を刻むような詩的な美しさがダントツ。ツァイ・グオチャンの躍動溢れる大画面と大胆な画面処理も見応えあり。ズリカ・ブアブデラの光の演出が綺麗。ここでしか出会えない体験を得られて良かった。
 名古屋市美術館。オー・インファンの会期中燃えつづける線香作品が明快に面白い。ホアン・スーチエの電飾ファンとビニル袋のギミック群が蓮池を思わせて素敵。ツァイ・ミンリャンの白室、ベッド、TVの空間記号解体にさ迷う。島袋道浩の漁業美術の柔軟さとハッタリ力が楽しい。
 長者町会場のフィナーレは、西野達作品。街のスケールに対抗する巨大さ、期間限定夜間のみの仮設性、通行人が思わず見上げるイベント性。都市の祝祭に相応しい。

 9/18
日本画と洋画のはざまで@山種美術館
 第二展示室に入ると、空が目に飛び込んでくる。岸田劉生「道路と土手と塀」。異様にリアルな積石と土、強い陽射しを感じさせる電柱の影。その精気漲る画面は、近美で観たときとは全くの別物。こんなに凄い絵だったのかと、ただただ呆然と見入る。90度右を向くと、漆黒の闇。縦に落ちる光に造形された炎が静かに立ち登る。速水御舟「炎舞」。専用展示スペースで初披露。夏の空と闇。90度視線を移すだけで展開される二つの宇宙に視線は釘付け。

 9/20
アメリカ抽象絵画の巨匠 バーネット・ニューマン@川村記念美術館
 ロスコルームの低い天井と巨大な色面が生み出す圧迫感と、滲み出るように浮かび上がる色輪が良かった。ニューマン展の白い崖の間から現れる「アンナの光」も美しい。ゆったりとスペースをとり、ソファを配して、アートと対話するに観られるのが何より良かった。

上村松園(前期)@東京国立近代美術館
 ガラスケース前に1~3層の人垣。淡々と時代順に作品を並べる展示形式と相まって、実物で観るカタログのよう。構図の変遷が辿れる、花がたみのスケッチが興味深かった。人物像やアトリエといったディテールも観たかった。

ヘンリー・ムア@ブリヂストン美術館
 余分を削いで削いで削ぎ落としたテーマと、豊饒な想像力による形態の変容。その過程を示すスケッチと、その先に結実する立体。月明かりに浮かぶストーンヘンジの黒光りする存在感も良い。コンパクトだけれども見応えのある展示。

小泉淳作展@日本橋高島屋
 蓮池越しに望む本坊大広間蓮池障壁画の写真にゾクゾク。吉野、又兵衛、本坊。三態の桜の圧倒的な美しさにうっとり。「己を無にして」挑んだという、平成の一画家の率直でどこかユーモア漂う一文にふむふむ。魅力的な展示。

 9/24
 田中一村 新たなる全貌@千葉市美術館
 ちょっと肌寒い館内で、何度も登場する「秋色」の画面の暖かみが心地良い。閻魔大王の手土産は別格。館内は適度な人の入り。常にガラスケース最前線で観られた。
 延々と続く試行と変遷の日々。しかし中々成功へは結びつかない。内心忸怩たる思いもあったろう。でも展示は淡々と飽くなき追求の軌跡を追う。それは一種の漂白かもしれないが、展覧会としてはとても観やすい。スケッチ、注文品、そして濃密な色面による複層ストーリー。さよなら一村。

 10/3
モエレ沼公園
 ガラスのピラミッド 。鋭利なエッジと水平の空間対比、白塗り煉瓦と円滑面と石積の素材コントラスト。
 海の噴水。自然と幾何、大地と彫刻の競演!でも寒い。

 10/9
BIWAKO BIENNALE 2010 玉手箱 Magical World@近江八幡
 近江商人の繁栄と水郷のまちで繰り広げられる現代アートの祭典 。
 天籟宮。過去の上に立つ現代が心地良い。
 森川穣 ことのは。光の中に草木のシルエット?
 青木美歌。深海をイメージしたガラス細工のインスタレーションが美しい。

 10/16
 宮本武蔵 承伝 五輪書@羽田空港 Discovery Museum (永青文庫)
 小さなスペースだけど、黒で統一された館内が良い感じ。空港の一画なので子供達が走り回ってたけど。隣の飲食ゾーンでは500種類の名作椅子に自由に腰掛けられるので、とても楽しい。羽田に行くときはオススメ。

 10/22
円山応挙 - 空間の創造@三井記念美術館
 大乗寺襖絵の奥行を感じさせる画面が見応え十分。淀川両岸図巻は伏見、淀、男山と京阪電車に乗ってる気分。箱が小さいのでとても窮屈だけれども、予告編としては素晴らしい内容。本編はいつ?

 山田純嗣展@不忍画廊
 山田さんの展示を観るのは三回目。作家さんがおられたので、気になるところを色々と伺った。イメージが立体、写真、エッチング、ペイントと技法を重ねて獲得するリアルさ。かけた手間の分だけ、フィクションが現実に馴染んでいるようで不思議だった。

 オラファー・エリアソン@ギャラリー小柳
 21世紀美術館の展示を観ていれば、特に目新しいモノのない内容だった。

 10/24
開府400年記念名古屋城特別展「武家と玄関 虎の美術」@名古屋城天守閣2階展示室
 牧谿のタイガーマスクから始まって、海北友松の龍、山雪、探幽を経て、応挙の猫バス。その凶悪な可愛さを吸収し、本能のままに躍動する芦雪のネコトラに感極まる。トリは蕭白。ボストンの龍が観たい。予告編だけで本編を作ったような、濃密な展示だった。もうすんごい満足。

尾張徳川家の名宝 -里帰りの名品を含めて- @徳川美術館
 予想通り力尽きた。豊国祭礼図屏風の人物を覗き込んでいたら目が回った。

変革のとき 桃山@名古屋市博物館
 前半が聚楽第と天下人、中盤が南蛮屏風と輸出蒔絵、後半が光悦と焼き物。名古屋城、徳川美術館との重奏効果の下、光悦茶碗雨雲、時雨、サントリー美の南蛮屏風といった名品が並ぶ。
 聚楽第に焦点を当てるのは良かった。伏見城が大きく描かれた洛中洛外屏風も良かった。後は永徳の檜図屏風か唐獅子があればいうことなしだったけれども。。。永徳が小さな扇絵一つと言うのは、ちょっと寂しかった。日本最大のバブル期の豪華絢爛さをもう少し観たかった。

名古屋開府400年記念・ミュージアムトライアングル
 上記3館タイアップの割引企画。内容充実で満足感も高い。名古屋城の障壁画が市博物館にあったり、長篠合戦図と豊国祭礼図が徳川と市博の両方にあったり、応挙も徳川にもあったりで、展示の重なりが宝探しのようで面白かった。

 10/27
 山口晃 展「いのち丸」@ミヅマアートギャラリー
 まんまと術中にはまりました。

Posted by mizdesign at 17:28 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2010年05月31日

●5月の鑑賞記録

 5/3
国宝燕子花図屏風@根津美術館
 金地に草花のコンポジション、垣根を使った構成の切替、呉服屋内観。それらが燕子花図でピタリと像を結ぶ。さらに大胆な構図を他2点で補強。仁清の立体絵画美が彩りを添える。明快で圧倒的な美の洪水に身を任せる至福のひととき。

ルーシー・リー展@国立新美術館
 愛らしいピンク、深淵な青、透明感溢れる緑。口元を引き締める濃茶に、天に昇るスパイラル文。円熟期の華麗な世界に向けて収束するエンターテイメント。研究ノート、BBCインタビューのチャーミングな笑顔が華を添える。観客はみんな彼女のファンになるに違いない。

 アーティスト・ファイル 2010@国立新美術館
 O JUNさんの壁一面の原色系?ペイントの迫力と、斎藤ちさとさんの泡写真を覗き込む体験が印象的。全体としてはとても希薄に思える。

 六本木クロッシング 2010@森美術館
 宇治野宗輝の自動演奏マシーンが楽しい。加藤翼の共同作業の熱気が熱い。青山悟の暗闇に浮かぶメタリック刺繍が美しい。音声ガイドから流れるメッセージ性をとても強調する解説に違和感を覚えた。

 5/4
細川家の至宝@東京国立博物館平成館
 前半は細川家列伝。幽斎、忠興といった本筋、ヒロインガラシャ婦人、武人武蔵と幅広い。文武が交差する古今伝授が最高潮。後半は永青文庫名品展。春草の黒き猫に和む。テーマが拡散気味でちょっと散漫。中世から現代まで続く名家のお宝展として、思いのほか楽しめた。

 市井の山居/細川護熙展@メゾンエルメス8階フォーラム
 ガラスの水流、苔むす露地、杉板の茶室。見立てによる空間構成と各所に配された茶器、絵画。どことなく漂う脱力感。とにかく細川家当主はめちゃくちゃ楽しそうだ。

 5/5
建築はどこにあるの?@東京国立近代美術館
 中村竜治さんの、構造材を極細化して現れる霧のような存在感がすごい。中山大介さんの草原の中のピクニックイメージも素敵。インテリア的に思えるのは、パワーから繊細さへと、時代がシフトしてるのだろうか。

マネとモダン・パリ@三菱一号館美術館
 館長の愛するモネと、近代パリ大改造のダブルテーマを込めた、華々しい開館展。モリゾの黒、ブラン氏の青、ともに以前上野で観たときと全然違う。靴音が響き渡るフローリングがたまにきず。

 5/9
 等伯の足跡探訪、現代との接点、現代版利休inへうげものを含む現代アート@アートフェア京都。そして等伯展@京博へ。

 大徳寺 真珠庵、玉林院、高桐院
 飛躍の舞台かつ利休との接点、大徳寺三門。学習の足跡、曾我蛇足襖絵@真珠庵。内部と庭園が連続する空間体験@玉林院、高桐院。

 きょう・せい 第2期@京都市立芸術大学ギャラリーKCUA
 岡田真希人さんのインスタレーションがパワフルで綺麗だった。芳木真理絵さんのプリント積層作品はオープンスタジオのときの強烈な存在感を感じず。展示場所を選ぶタイプ?

 トラフ展「inside out / outside in」@radlab.
 新進気鋭建築家ユニットが、建築的手法でもって、アート、プロダクト領域を横断する。空気の器は切り込みを入れた円環紙を引っ張ることで造形する即興的な手法と、色彩が相まった美しさ。建どこ展に通じる軽やかさを感じる。

アートフェア京都@ホテルモントレ京都4階客室
 展示方法で児玉画廊、展示内容で小山登美夫ギャラリーが充実。帝塚山ギャラリーの住吉さんは一家に一台欲しい、ギャラリーMOMOの村田さんは新機軸、不忍画廊の山田さんのカエルはあまり光らなかった。でも10月の個展は楽しみ。そんなわけでとても楽しかった。

没後400年 特別展覧会 長谷川等伯@京都国立博物館
 春信期を前段、狩野派との抗争と桃山絵画の精華を中段、水墨画から松林図を後段にすえた等伯一代記。400年前の遺構を題材に現代の価値観を反映、再構築した物語。かくして等伯は現代によみがえった。

 5/16
伊藤若冲 アナザーワールド@静岡県立美術館
 若冲絵画を水墨画と色彩画の融合と捉え、水墨画を中心に構成する展示。同時代の画家や未完成の表現を織り交ぜながら、融合到達点として仙人掌群鶏図を見せる展開がカッコイイ。細密美麗彩色画から始まった現代若冲再生物語は、象と鯨図屏風発見という大イベントを挟み、アナザーサイドを経て大団円を迎えた。

又兵衛絵巻と北斎・広重風景版画の名作@MOA美術館
 浄瑠璃物語絵巻全12巻、一斉公開!息を呑むほどに華麗かつ緻密に描き込まれた邸内の様子、衣装、調度品。物語に沿って絵巻の中を旅する体験。過剰かつ圧倒的な美を満喫。

 5/29
オルセー美術館展2010 [ポスト印象派]@国立新美術館
 前半はエメラルドグリーンとスカイブルーの背景に浮かぶ、モネの光の渦、セザンヌのタッチ、ゴーギャンの色彩構成。後半は赤茶色の背景に溶け込む、ドニのミューズたち、モローのオルフェウスの凄絶な美しさ。娯楽型展示として断トツの内容と空間構成を堪能。

奈良美智展 セラミック・ワークス@小山登美夫ギャラリー
 White Riotの遠目に可愛く、近づくほどに牙剥き出しの狂気が漲る様に釘付け。森子やおたふくの下膨れた圧倒的な量感はパタリロのようだ。奈良さんの頭の中を覗き込むような幻想感と、イメージを具現化する手腕に惚れ惚れ。カワイイは凶器。

 戸谷成雄 ミニマルバロックVI@シュウゴアーツ
 チェンソーで刻まれた荒々しい造形と、板の形を残す輪郭。それらが整然と並び、静的かつ動的な独特の空間と化していた。

アニッシュ・カプーア展@SCAI THE BATHHOUSE
 一瞬で視覚を分解し、聴覚を狂わすステンレスミラーが一番。石と漆の質感の対比が美しいオブジェが二番。多彩な幻惑体験が楽しい。ロンドンのタワーが楽しみ。

 阪本トクロウ展 まなざし@ギャラリー桜の木銀座
 雲の上に広がる青空、木々のシルエット越しに霞む遠景、道路の夜景。画面に漂う空気感が好きな作家さん。今回は開放的と閉鎖的の二極に分かれた感じ。

Posted by mizdesign at 23:42 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2010年04月30日

●4月の鑑賞記録

 3.5日の休日を、アート鑑賞とマラソンに注ぎ込んだ一月でした。

4/4
 第13回四日市シティロードレース大会
 10kmを41分41秒で完走。普段のランニングより20秒/kmほど早い。でもトップは32分台。ナンデスカソレハソラデモトンデルンデスカな気分。

4/11
 吉野山 2010
 世界遺産で修験道の聖地で花見の名所。信仰と享楽が同居する、混沌とした場のエネルギーが何より魅力。私的世界最強の桜の名所。

 大遣唐使展@奈良国立博物館
 冒頭、薬師寺聖観音菩薩立像の美しい腰回りにうっとり。真備、真成にスポットを当てる導入から、超絶技巧の携帯仏、吉備大臣入唐絵巻、驚きの照夜白図、命懸けで将来された三彩。息をつかせぬ怒涛の展示に見とれた。そして舞台は長安へ。石仏十一面観音の気品ある顔立ちとスラッとした立姿、石仏如来三尊像のくびれも美しい。第二展示室は駆け足で観たけど、メインはやっぱり第一展示室。ドラマ性の高い展示がとても魅力的。

4/18
 志摩ロードパーティ ハーフマラソン2010
 1時間35分4秒で完走。暑さとアップダウンでとても苦しかったけど、沿道の声援が多くて本当に嬉しかった。景色とあわせて、記憶に残る大会でした。

 「小川芋銭と珊瑚会の画家たち」(前期)@愛知県美術館
 愛県美と茨城県美のコレクションを組合せて、芋銭の幻想画と、芋銭を取り巻く人達の作品が淡々と並ぶ。小杉未醒と川端龍子が存在感あった。企画展の後に所蔵作品展が続くのだけれども、これが粒揃いで凄い。ピカソの向かいにクリムト、横に藤田。作品の発するオーラが桁違い。最後の大鵬大茶会の再現展示にウットリ。守一、芋銭、茶道具のコラボはたまりません。若冲六歌仙図の修復が待ち遠しい。

4/24
 王者の華 牡丹@徳川美術館
 オーソドックスな美から山雪の前衛、仁清の色彩とモノトーン、瑠璃地に白抜き。徳川園の牡丹と合わせて見応え最高!

 ヤマザキマザック美術館
 5階がフランス絵画、4階がアールヌーボー家具+ガラス。無料貸出の音声ガイドを聞きながら、アートに浸る至福のひと時。サロン風の内装も落ち着く。

Posted by mizdesign at 23:25 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2010年04月04日

●2月、3月の鑑賞記録

2/7
 百草冬百種展 金沢から@百草
 BRUTUSに安藤雅信さんの自邸が載っていたので興味が湧いた。設計は中村好文さん。百草はその横にある古民家を改装したギャラリー+中村好文さん設計のカフェ。カフェで玄米コーヒー豆乳ラテ+百草のおやつをいただきました。小さいながら居心地の良い場所でした。

 山口晃 天井画@清安寺
 木地に墨の質感が素敵で、思わず長居をしてしまいました。

2/13
 睡蓮池のほとりにて モネと須田悦弘、伊藤存@大山崎山荘美術館
 須田さんの睡蓮は最高に良いです。カーペットの白砂に黒板の水盤。写り込む睡蓮。新旧の建物が刺激しあって魅力を深める空間が素晴らしい。

 京都オープンスタジオ2010 桂スタジオ、うんとこスタジオ、豆ハウス、AAS。作家さんのスタジオを展示会場として開放する意欲的な試み。VOCA展入賞者や、ギャラリーで展示をされている作家さんたちが参加されていて、とても魅力的でした。同道したlysanderさんが、iphoneをナビにして自転車で街中を疾走したのも良い思い出。

2/21
 北宋汝窯青磁 考古発掘成果展@大阪市立東洋陶磁美術館
 北宋汝窯青磁展はちょっと予習不足だった。安宅コレクションの迫力はさすが。陶片に描かれた青磁象眼文様の静かな躍動感と色彩が素敵。

 絵画の森 ゼロ年代日本の地平から@国立国際美術館
 花澤武夫「ゴールドベルク」の荒々しい緑、水流、水盤の構成がパワフル。加藤美佳「カナリア」の黒い瞳と光沢ある唇も現美で観るより素敵。池田光弘の橋の上に草原が乗る絵も幻想的で素敵。杉戸さんの幾何的な絵と、その反対側の絵の白い斜め線に惹かれる。大きく変化する00年代具象絵画の地平を探らんとする質、物量揃えた企画展。でもブースで小分けした閉鎖空間を「庭」とは呼ばないと思う。

 森川穣「確かなこと」@京都芸術センター
 時間の堆積をスリットから覗き込む。仕掛けが明快で宝探し気分が楽しい。貝殻が見つけられなかった。

2/27
 あいちアートの森 豊田プロジェクト 知覚の扉II@喜楽亭

 和風旅館のグリッド+時間の堆積と、現代アートのビビッドな感性がお互いを引き立てます。 庭には白梅と椿。

 あいちアートの森 豊田プロジェクト 知覚の扉II@豊田市美術館
 喜楽邸の時間の堆積に対して、こちらは建築家の構想力で和空間を構成。アートを通して二つの空間の共通点が鮮やかに浮かび上がる。カバコフの鏡に断片化される中庭の景色は都市のよう。歩くに合わせてピタリピタリとフレームインする景色は映画のよう。しかも周辺環境と接続している。豊田市美の空間構成は本当にすごい。

 愛知県立芸術大学
 「吉村順三展」で見ようと思って以来、幾星霜。ようやく巡礼。長大なボリュームが宙に浮く講義棟が背骨のよう。プレコン庇の外廊下を横軸に各棟が連結。リニアな構成は明快、歩行シークエンスは未消化にて退散
 
 愛知県立芸術大学卒業・修了制作展@愛知県美術館ギャラリー
 閉館30分前に飛び込んで、3秒ルール適用でサーッと観て回った。それでも目に飛び込んでくる作品があって、アートの力って凄いなと思った。油絵が面白かった。

3/6
 没後10年 小倉遊亀展@兵庫県立美術館
 才気煥発お絵かき大好き少女が、困難を乗り越え画家になるサクセスストーリー。戦後の精気溢れる女性像が素敵。長寿なところも素敵。人物画の次は静物画。陶器と花の組合せが好きなので見入ってしまった。結局2時間コースでした。

 修二会おたいまつ@東大寺二月堂
 大炎上する松明、どよめく境内、爆ぜる音、充満する煙の匂い。大迫力の炎のイベントに大満足。終了時に拍手で沸いた。

3/14
 没後400年 特別展「長谷川等伯」@東京国立博物館平成館
 一巡目。逆回り鑑賞で意外とゆっくり観られる。小品ガラスケース前は4層くらいの人混み。内容充実で観て楽しい。二巡目。大徳寺金毛閣の再現、桧原図屏風が特に良かった。三巡目。春信の精緻な筆遣いをじっくりと観る。加賀の絵仏師が上洛して狩野と競い、墨絵を極める一代記を堪能しました。

 洛中洛外図屏風 舟木本@東京国立博物館ミュージアムシアター
 期待のVRシアター。過去の京都町並俯瞰動画がいつ登場するか、今か今かと待つも、静止画中心だった。あれだけの人物を動かすわけにはいかないと分かってはいても、つい期待してしまう。

 フランク・ブラングィン展@国立西洋美術館
 オーソドックスなデザインスタイルから、強い日差しの下での鮮やかな色遣いへの変化。松方コレクションとの関わりから、共楽美術館の構想へ。練り込まれた会場構成と、共楽美術館を原寸で再現する展示方法。西美でしかできない展示を丁寧にやり遂げた、お手本のような展覧会。

 所蔵水彩・素描展-松方コレクションとその後@国立西洋美術館
 モロー水彩画の幻想的な美しさにうっとり。

 ボルゲーゼ美術館展@東京都美術館
 カラバッジョ「洗礼者ヨハネ」の鮮烈な赤が印象的。ラファエロ「一角獣を抱く貴婦人」のユニコーンはちょっと。。。ボッティチェリは印象に残ってない。。。

 VOCA展2010@上野の森美術館
 中谷ミチコの水の揺らぎのような見え方が素敵。ましもゆきの細密な書き込みも良い。

 大哺乳類展@国立科学博物館
 剥製と骨格の大物量展示は圧巻。鹿類の角のバリエーション、三大珍獣、ジャコウネズミの可愛いキャラバンまで。様々な角度から好奇心を刺激してくれます。後半のシートン動物記も絵とテキストの合わせ技が魅力的で、時間が足りないのが残念だった。

3/20
 尾張徳川家の雛まつり@徳川美術館
 等伯が参考にしたといわれる「洞庭秋月図」伝牧谿を観に出かけるも、出展されてなかった。犬人形の愛嬌のある顔立ちと、驚くほど大量の嫁入り道具のミニチュア群が印象に残った。

 植物化石-5億年の記憶-@INAXギャラリー名古屋
 石に刻印された葉脈のフィンガープリントが、美しいアートワークに見える。

3/28
 歴史を彩る 教科書に載る名品@藤田美術館
 素晴らしいコレクションは眼福の一言。曜変天目独り占め。

 マイ・フェイバリット--とある美術の検索目録/所蔵品から@京都国立近代美術館
 読み込みに少々手間がかかりますが、「観る」ことが「知的操作」のようで好奇心をかきたてられます。

Posted by mizdesign at 19:03 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2010年02月06日

●1月の鑑賞記録

ueno_20100103.jpg
 謹んで新年のご挨拶申し上げます。

1/3
 博物館に初もうで@東京国立博物館
 国宝 土偶展@東京国立博物館
 古代ガラスの発達 吹きガラスへの道@東京国立博物館
 平常展@東京国立博物館

 岸駒の虎カッコイイ!
 土偶展は空いていればカッコイイ展示なのだろう。特5はせまかった。。。
 志野茶碗の白い肌合い、正倉院宝物や宮女図の写し、古代ガラス、蜥蜴の彫刻。堪能しました。

 北大路魯山人展@日本橋高島屋
 食感を刺激する美しき器の数々は至上の眼福。焼き物、螺鈿、鉛の競演する壁画も魅力的。会場もコンパクトながら観やすい。作品リストがないことと、壁画に無造作に穿たれたネジが残念。

1/9
 柴田是真の漆×絵@三井記念美術館
 漆工芸の超絶技巧とキリリと締まった現代的なデザインセンスが、三井の古くて新しい箱にベストマッチ。絵画による世界観の広がりも素敵。エドソンコレクションの成立が近年なのがちょっとショック。

 ルイス・バラガン邸をたずねる@ワタリウム
 バラガン自邸を、オリジナル家具を使って、立体的に積み上げて再構成した感じ。光の採り入れ方も見所という解説でした。個人的には空間の広がりが感じ難くて、見辛かったです。

 DOMANI・明日展2009@国立新美術館
 伊庭靖子さんの絵画に再会できて嬉しかった。呉亜沙さんのNY留学絵日記が可愛らしい。高野浩子さんの木箱積層インスタレーションの迫力と、テラコッタ彫刻の愛らしさが素敵。個展が12個並んでいると捉えると、それぞれに魅力的。でも1x12=6な感じ。

 清方ノスタルジア@サントリー美術館
 情感豊かな画面を堪能しました。絵画と挿絵の境界ってどこにあるのだろう。

1/24
 ARTのメリーゴーランド@岐阜県立美術館
 吉本さんのタッチに和み、大巻さんに技を感じ、神戸さんの世界に浸る。けれども全体としてはタイトル負けしていると思いました。

 あいちアートの森 堀川プロジェクト
 インドアテニスクラブと東陽倉庫を観ました。空間を活かした展示形式と作家の活力の相乗効果がとても良い。

 コトホギス フジイフランソワ@名古屋タカシマヤ
 小品が良い。お茶ドウゾウ欲しかったなあ。

1/30
 オラファー・エリアソン-あなたが出会うとき@金沢21世紀美術館
 光、影、霧。空間と観客と展示が溶け合い、全体で一つの現象を作り上げる。確かに必見。ただし街中のようにザワザワしているので、光のファンタジーに陶酔しようと力むと素っ気ない。何人かで「わーきれーい」とかいいながら観ると、より楽しめる展示だと思います。

 コレクション展「Shift-揺らぎの場」@金沢21世紀美術館
 須田悦弘さんの「雑草」が観られて良かった。

 椿絵名品展-あいおい損保コレクション-@金沢21世紀美術館
 尾形光琳、岸田劉生、北大路魯山人。椿を通して名品が並ぶコレクション展。開放的なエリアソン展と180度反対の、閉鎖的なオーソドックスな展示。その落差に疲れました。

Posted by mizdesign at 20:00 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2009年12月21日

●11月12月の鑑賞記録

11/1
 若冲ワンダーランド(第4期)@MIHO MUSEUM
 4期はちょっと薄め。鳥獣花木図の色彩の美しさが印象に残る。稚拙な描写がモザイク画を意識したモノなら、若冲筆でいいかも。若冲=細密画の人にはそこが譲れないのだろう。

日蓮と法華の名宝-華ひらく京都町衆文化-@京都国立博物館
 等伯展の前振りと光悦の独演会だった。光悦の立正安国論がカッコイイ!等伯は仏画で来年をしっかりアピール。山楽の唐獅子が見られてちょっと嬉しい。

11/13
皇室の名宝-日本美の華- 2期@東京国立博物館平成館
 正倉院宝物と春日権現験記絵と蒙古襲来絵詞が観られる至福のひととき。

11/15
 大本山光明寺と浄土教美術-法然上人八百年大御忌記念-@鎌倉国宝館
 蒙古襲来絵詞に触発されて、いざ鎌倉。鎌倉国宝館の運慶。体の張りが感じられる素晴らしい造形。当麻曼陀羅のラストシーン、来迎図も素晴らしい。

内藤礼 すべての動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している@神奈川県立近代美術館 鎌倉館
 花形に並べた豆電球の回廊。ガラスの内外を行き来する空間全体を使う構成。こんなことが出来るのは内藤さんだけ!と思える素晴らしい出来!天井から垂らしたビーズの糸、風になびくレースのリボン、そっと置かれた水の入ったガラス容器。ただそれだけで空間を支配する内藤さんってすごいと思った。

12/13
躍動する魂のきらめき-日本の表現主義@松戸市立博物館
 イケメン婆羅門、異様な存在感の舞妓、生命力溢れる芋銭。アクの強い表現が並ぶ絵画彫刻。「現代の夜明け」を控えて、最後の輝きを放つ装飾性豊かな建築。併設された博物館の歴史展示、虚無僧、梨も加わって、とてもユニークな展示空間に。

12/19
 山口晃トークライブ 「年忘れ!山愚痴屋感謝祭・弐」@紀伊国屋サザンシアター
 二年ぶり二回目のトークライブ。前回よりもお笑い度倍増、脱力感強め、ブラック感も強め。聞き所は「vsアンドー箱」。エンジンのかかった後半が時間切れ気味でもったいなかった。

Posted by mizdesign at 23:18 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2009年11月02日

●10月の鑑賞記録

 10/3
 速水御舟 -日本画への挑戦-@山種美術館
 挑戦者としての側面にスポットを当てる構成に、新生山種の意欲が感じられます。ただ展示構想に箱の大きさがついていかない。名画を引いて見られないのはつらい。一連の御披露目展覧会が一段落してからが、美術サロンとしての真価を発揮しそう。

 夢と追憶の江戸 -高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展- (前期)@三井記念美術館
 重厚なガラスケースと絶品浮世絵のコラボレーション。ハイライトは第一、第二展示室。なんだけれども、陶磁器の名品を納める箱に浮世絵を並べるのはやはり違和感がある。

 古代カルタゴとローマ展 きらめく地中海文明の至宝@大丸ミュージアム
 カルタゴと聞くとハンニバルと思ってしまいますが、展示のメインはローマ都市として復興以降の遺品。モザイク画が良かった。でも最大の見所は六本木に設置されており、残念ながら足を伸ばせず。

クリムト、シーレ ウィーン世紀末展@日本橋高島屋
 保守から変革、そして近代へ。華麗なウィーンで繰り広げられる時代の大変換。さりげなくワーグナー、アドルフ・ロースといった建築家までカバーするところに絵画と建築の近さを感じ、嫉妬感を覚える。髙島屋の展覧会は本当にレベルが高い。

 10/4
 第2回 いすみ健康マラソン (ハーフマラソン)@千葉県いすみ市
 今シーズン初戦。暑さとプレシーズン期間での開催に苦しみながらも、1時間36分4秒で完走。4分35秒/kmというペースは頑張ったと思うけれども、去年よりタイムが落ちている事実を受け止めるべき。スタート前にあった瀬古俊彦さんの挨拶が漫才で面白かった。

 10/6
皇室の名宝-日本美の華- 1期 (前編)@東京国立博物館平成館
皇室の名宝-日本美の華- 1期 (後編)@東京国立博物館平成館
 待望の伊藤若冲「動植綵絵」全点公開!まさかのブロガープレビュー開催!もう狂喜乱舞です。

国宝那智瀧図と自然の造形@根津美術館
 存在感の全くないガラスに驚愕。庭園と既存建物を借景しつつ、高さにメリハリをつけた箱の構成が上手い。和とガラスの美空間。

 メアリーブレア展@東京都現代美術館
 会期延長した最終日に滑り込み。物販の行列にもうビックリ。展示室も人でいっぱい。どこからあんなに来るのだろう。異次元空間でした。

 10/10
聖地チベット展@上野の森美術館
 ギロリと目を剥く薄衣の黄金仏。蓮マンダラの開閉ギミック。千手ある千手観音。バリエーション豊かな合体仏。踊る不動が並ぶ細密タンカ。高僧の頭蓋骨を使ったカパーラ。緑、オレンジ、青とカラフルな髪の毛。現代アートのようなパワフル、カラフル、インパクト。

古代ローマ帝国の遺産@国立西洋美術館
 きめ細かな白大理石の像がゆったりと並ぶ。カリアティドはけっこう逞しい。そりゃ柱だし。ミネルヴァ、ディオニュソスも美しい。ポンペイの壁画展示から伝わる暮らしぶりに溜め息。CG再現映像の出来が出色。美しい展覧会。

 出たトコ次第のフリー・トーク 青柳館長とHASHI(橋村奉臣)@国立西洋美術館
 HASHIさんの人なつっこい語り口と笑顔。青柳館長の飲兵衛口調。少し砕けた感じが良かった。「静止画なのに時間がある」という表現で詩、絵画、建築と並べたところ。ローマで一番重い罰は名を消すこと。などなど。面白かった。

 10/11
 Tokyo Visualist Symposium@BELLSALE原宿
 鴻池さんのトーク。オペラシティー、霧島の映像と、展覧会を作る人の話。使い難い箱との格闘、自然を牛耳ることが次の課題。繊細で大胆な挑戦者。
 名和さんのトーク。系統別に整理された作品群。写真一枚で魅力を伝える語り口。「意味の解体」といった言葉もきちんと肉付け。作家兼プロデューサー。

 10/13
国宝 青不動御開帳@青蓮院門跡
 主役は庭園。巨大なクスノキが見事。青不動は炎が美しい。東博の照明で見てみたい。今回は展示でなく拝観。鐘の音色の美しさにに癒された。

生活の中の美 北大路魯山人展@何必館・京都現代美術館
 魯山人の器に古木を敷いて枝を活ける。その空間美は超絶眼福。2階の花入、水を張った手桶。5階の散らし置いた書と器。B1階の右手3品。

名和晃平展「Transcode」@ギャラリーノマル
 現象を切り取る鮮やかさは超一流。ピクセルに解体された画面、ドットの波に落ちる黒い影。大阪まで遠征した価値がありました。

 10/23
皇室の名宝-日本美の華- 1期 (夜間鑑賞)@東京国立博物館平成館
 LED照明に鮮やかに浮かび上がる「旭日鳳凰図」と「動植綵絵」は一生モノの思い出。厚盛り彩色美を極めた感のある前者。シンプルな構成から遊び心の台頭、平面構成の高密度化、そして時空間を超える立体構成へと変奏する後者。その美しさに涙が出た。

 10/24
 The Nike+ Human Race 10K
 4分17秒/kmで10km完走。前日の自己新から 3秒/km 落ちたのは残念だけれど、頑張りました。

 10/26
 Art Point Selection Ⅳ@ギャラリーアートポイント
 あおひーさんの展示。満を持しての色彩の世界。その先に想像の世界が広がる。物語性も感じられて楽しかった。イチオシは不思議版画調海岸。販売も好調だったそうで、次回が楽しみ!

 10/27
興福寺国宝特別公開2009 -お堂でみる阿修羅-@興福寺
 平日夕方鑑賞。仮金堂0分、北円堂20分の待ち時間。釈迦如来に睨みつけられ、バツ悪そうに立たされる阿修羅が見られるのは興福寺だけ!「随分とお堂を留守にしおって」という声が聞こえそうだった。北円堂は運慶一門の存在感が圧倒的。

第61回 正倉院展@奈良国立博物館
 平日夕方鑑賞。待ち時間0分、展示室に10人もいない貸切状態。聖武天皇遺愛の刀子、大仏開眼会に用いられた伎楽面に奉納品の数々。それらが往時のままに眼前にあることは、何ものにも代えがたい喜び。頑張って足を延ばして本当に良かった。名宝展2期が楽しみ。

 今月はなんといっても「皇室の名宝展」。先月の「若冲ワンダーランド」、今月の「正倉院展」をそれぞれ関連付けての1期、2期の展開は、たまらないものがあります。美の極みに触れる楽しみ。

Posted by mizdesign at 23:41 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2009年10月01日

●9月の鑑賞記録

 9月の鑑賞記録です。

 9/5
特別展「染付 藍が彩るアジアの器」@東京都国立博物館平成館
 伊万里と鍋島が良かった。水車紋大好き。平野コレクションの蜃気楼も構図と凹凸がバッチリ決まっていて良い。食卓を再現する展示も良かった。

 特別展「伊勢神宮と神々の美術」@東京都国立博物館平成館
 装飾太刀が美しかった。でも柄の上下に緋の糸で留めてあると解説にある朱鷺の羽がみつけられず。

 アジアギャラリー@表慶館
 とても観やすいダイジェスト版東洋館。

平常展@東京国立博物館本館
 浄瑠璃寺四天王にご対面!彩色が綺麗に残る美麗さに見とれた。仁清の壺の立体彩色の美しさも良い。伝雪舟の花鳥画も初対面。

 9/12
特別展「黄金の都シカン」@国立科学博物館
  「魅力的な黄金文明の遺産」+「日本人研究者の研究の軌跡」という二本立ての構成。一日ブログ記者の恩恵にあずかって、満喫しました。

トリノ・エジプト展@東京都美術館
 イビの石棺とツタンカーメン像、そして死者の書。死後の復活を願う儀式と品々が、今も強く心惹かれる。

 山口晃トークショー@丸善
 エッセー漫画「すずしろ日記」出版記念。イケメンゆるキャラ画伯の日常にクスリ。サイン会で、ファンの方々の想いの深さにビックリ。ディープな世界だ。

 ギャラリー椿コレクション展@ギャラリー椿
 桑原弘明さんの小品が良い。まとまって見られる機会がないかな。鈴木亘彦さんの作品も好き。

杉本博司「Lighting Fields」@ギャラリー小柳
 実験的技法をアートに昇華する審美眼が凄い。恐れ入りました。

 9/21
よみがえる浮世絵-うるわしき大正新版画展@江戸東京博物館
 当時の写真パネルを並べて、時代の中に新版画を位置付ける展示が良かった。橋口五葉の探究心に惹かれた。

 イタリア美術とナポレオン展@大丸ミュージアム・東京
 ボッティチェリとナポレオン一族。

 9/26
THE ハプスブルグ展@国立新美術館
 イタリア、ドイツ、スペイン、オランダと国別にブースを分け、それぞれに代表画家を擁するスケール感が素晴らしい。ヨーロッパの覇者ハプスブルグ家を実感できる。

 9/27
若冲ワンダーランド(第1期)@MIHO MUSEUM
 新発見の屏風と個人蔵をズラリと並べ、まだ知らない若冲の世界が広がります。もう絶賛。次はいつ行こうかと算段してしまう。

オクサスのほとりより@MIHO MUSEUM
 紀元前の出土品の工芸レベルの高さに唖然呆然。金色の煌めき、細工の細かさ、壮大な時間軸の流れ。ペルシア絨毯もすごい。

没後50年 北大路魯山人 美と食の巨匠が挑んだ世界@滋賀県立陶芸の森 陶芸館
 「星岡茶寮」時代の実用の器に焦点を当ててます。実際に料理を盛った写真パネルも併置して、その美味しそうなこと、この上なし。

琳派展XII 鈴木其一-江戸琳派の風雲児@細見美術館
 個人蔵と合わせて、展示の8割以上が其一筆。残りは弟子たち。クローズアップの美から、様々な肉筆、美しい小品。淋派ファン必見!

 「THE ハプスブルグ展」と「若冲ワンダーランド」が観られて幸せ。「Lighting Fields」の知覚的な驚きも良かった。

Posted by mizdesign at 23:04 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2009年09月02日

●8月の鑑賞記録

 8月の鑑賞記録です。

 8/1
 大河原邦夫のメカデザイン ガンダム、ボトムズ、ダグラム@八王子夢美術館
 時機を得た展示。見せ方にもう一工夫欲しかった。

機動戦士ガンダム30周年プロジェクト「ガンダム 緑の大地に立つ!」@お台場潮風公園
 驚異の415万人動員!阿修羅をも超える現代の偶像。

サマーウォーズ
 大家族を中心に据える話作りが良かった。

 8/16
 栄光のオランダ絵画展@ホテルオークラ東京「アスコットホール」
 「聖家族」が観られて良かった。

○花・華-日本・東洋美術に咲いた花-@大倉集古館
 縮図から牡丹図まで。探幽の幅広さ。

◎髙島屋資料館所蔵名品展(前期)@泉屋博古館分館
 奥の三枚揃い+龍子は圧巻。

○赤黒金銀緑青 前田正博の色絵@智美術館
 空間と一体になった展示が良かった。特に茶色の違い棚に色とりどりの磁器が並ぶところ。

 謎のデザイナー 小林かいちの世界@ニューオータニ美術館
 耽美+グラフィックセンス。小さなカードばかりなのが残念。

 8/22
 ルネ・ラリック 華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ@国立新美術館
 時代の変遷と並行しながら作風の変化を見せているのが良かった。全編褒めたたえる解説はイマイチ。時機に敏なプロデューサー像は平坦。

○光 松本陽子/野口里佳@国立新美術館
 野口さんの展示は、白から黒に変転する空間演出と、闇に横一列に浮かぶ「太陽」シリーズが最高。新美の無機質な白箱に映えてた。
 松本さんの展示は、ダイナミックなピンク、緑の画面が見応えあった。言葉できないタイプの作品。

○牧島如鳩展@三鷹市美術ギャラリー
 二枚の弁財天が良かった。混沌というか信仰というか、濃い展示だった。

 8/23
◎聖地寧波 日本仏教1300年の源流@奈良国立博物館新館
 五百羅漢が見所。普段の生活から、空の龍に赤いビームを放つアクションまで。人でありながら超常の力を持つ五百羅漢の、起伏に富んだ世界。

○仏教美術の名品展@奈良国立博物館本館
 室生寺金堂の十二神将がでていてラッキー。土門拳の写真で見たとおりの表情だった。

内海聖史個展 ボイジャー@eN arts
 個展三連作の最後は、アクセルを踏み込んだ構成。

○ART OSAKA 2009@堂島ホテル
 メグミオギタのベッドシーツに横たわる一角がベスト。秋の個展が楽しみ。

 堂島リバートリエンナーレ@堂島リバーフォーラム
 直感的に面白く、その意味は深い。

 8/29-30
◎大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2009
 十日町地区
 松之山地区
 松代地区
 大地に根ざした展示は必見としか言いようがない。現代美術ファンは絶対に行くべき。

Posted by mizdesign at 23:48 | Comments [4] | Trackbacks [0]

2009年07月27日

●7月の鑑賞記録

 7月の鑑賞記録です。
 7/3
SEVEN@西村画廊
 会場を闊歩する、三沢さんの犬猫に惚れ惚れ

内海聖史個展「色彩のこと」@スパイラルガーデン
 大作「色彩の下」が円形吹抜けに映える!

奇想の王国 だまし絵展@Bunkamura ザ・ミュージアム
 楽しさダントツの好企画

 7/4
写楽 幻の肉筆画@江戸東京博物館
 キャッチーなタイトルと、充実した内容

 7/5
岸田劉生展(後期)@損保ジャパン東郷青児美術館
 似顔絵だけで構成した展覧会

 万華鏡の世界展@森美術館
 会期最終日に行ったのは失敗だった

 7/18
 ゴーギャン展@東京国立近代美術館
 時に暴力的な、色彩の構成美

 所蔵作品展「近代日本の美術」(前期)@東京国立近代美術館
 4階がおすすめ!

日本の美・発見II やまと絵の譜(後期)@出光美術館
 江戸から始める構成が、親しみやすくて上手い

内海聖史展-千手-@GALERIE ANDO
 天井近くに浮かぶ、色彩の輪

鴻池朋子展 インタートラベラー 神話と遊ぶ人@東京オペラシティーアートギャラリー
 フィクション世界を往還する能力が、白い空間に炸裂する

 響きあう庭 東京オペラシティアートギャラリー収蔵品展@東京オペラシティーアートギャラリー
 伊庭さんの、クローズアップ構図の絵にはりついた

 7/19
建築家坂倉準三展 モダニズムを生きる 人間、都市、空間@神奈川県立近代美術館 鎌倉館
 存続の岐路に立つ建物で、モダニズムを問う

 美術館はぼくらの宝箱@神奈川県立美術館 鎌倉別館
 岸田劉生を訪ねて別館まで。松本俊介もたくさん

 美術の中の動物たち(前期)@鎌倉国宝館
 北斎の鷲に誘われて行ったら、後期だった

 建築家坂倉準三展 モダニズムを住む 住宅、家具、デザイン@パナソニック電工 汐留ミュージアム
 2部構成で、建築家の足跡を立体的に見せる

 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(二回目)
 マリは次作で巨大化して、ウルトラマンに変身するんじゃないかと思った

 7/25
 ル・コルビュジェと国立西洋美術館@国立西洋美術館
 世界文化遺産登録目指して、アピール中!

 常設展「中世末期から20世紀初頭にかけての西洋絵画とフランス近代彫刻」@国立西洋美術館
 嬉しい、無料鑑賞日だった!クールベがマイベスト!

 かたちは、うつる-国立西洋美術館所蔵版画展@国立西洋美術館
 テーマ別に並べることで、版画の魅力を深める

 池田光弘-漂う濃度-@シュウゴアーツ
 阪本トクロウ展@キドプレス
 佐伯洋江展@タカ・イシイギャラリー
 井上有一展@小山登美夫ギャラリー
 怒涛の清澄白河、現代アートめぐり

 7/26
コレクションの誕生、成長、変容―藝大美術館所蔵品選―@東京藝術大学美術館
 名作がズラリと並ぶ冒頭は夢見心地!

美しきアジアの玉手箱 シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展@サントリー美術館
 鹿下絵和歌絵巻は必見!

アイ・ウェイ・ウェイ展 何に因って?@森美術館
 強固なコンセプトと、職人技の造形。写真撮影可もうれしい

Posted by mizdesign at 23:53 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2009年06月30日

●6月の鑑賞記録

 6月の鑑賞記録です。
 6/6
 西野達「バレたらどうする」@ARATANIURANO
 街中のパーツが、何食わぬ顔でギャラリーにある面白さ!

 鈴木理策「WHITE」@ギャラリー小柳
 見たことのない「白」。

 日本の美と出会う-琳派・若冲・数寄の心-@日本橋高島屋
 細見コレクション大盤振る舞い!

 6/7
 日本の美術館名品展(後期)@東京都美術館
 入替が多く、新鮮な気持ちで楽しめた。

 6/14
 草間彌生展@高橋コレクション日比谷
 高橋コレクション、日比谷に進出!

 上村松園/美人画の粋@山種美術館
 松園の美人画で感動のグランドフィナーレ。次は御舟だ!

 6/20
 東京ミッドタウンツアー
 ツアーアテンダントの方が1時間かけてミッドタウンを案内してくれるツアー。料金1,500円とお値段もミッドタウン。特別な場所を観るわけではありませんが、現代アート彫刻や建物配置、モチーフ等の解説が意外と楽しい。旧防衛庁の桜の木の話も、さもありなん。

 天地人-直江兼続とその時代-@サントリー美術館
 一週間間違って、上杉本洛中洛外図屏風を見損ねた。NHK大河ドラマのプロモーションと化した4階展示にビックリ。

 「光と空間」建築の美PARTⅧ@富士フィルムスクエア
 オーソドックスな視点。

 「骨」展@21_21 DESIGN SIGHT
 旅客機のX線写真にビックリ。光るピアノも美しい。

 6/27
 タイの美しい布@千葉市美術館
 古着屋に紛れ込んだような展示。スライドが良かった。

 石井光楓-パリの青春@千葉市美術館
 水彩画のとろけるチーズのようなタッチと色彩が美味しそう。

 こんな作品あったよ@千葉市美術館
 休館前の最後の展示。地域密着な展示が良かった。

 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
 ありとあらゆる期待に応える、エンターテイメントな作り。次作が待ち遠しい。

 6/28
 MOTで見る夢@東京都現代美術館
 奈良美智、加藤美佳、名和晃平の作品が作り出す結界。

 L_B_S/名和晃平@メゾンエルメス
 ガラスブロックの幾何模様がアクリルビーズに映り込んで印象的。

Posted by mizdesign at 23:52 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2009年05月31日

●5月の鑑賞記録

 5月の鑑賞記録です。
 5/4
 「山水に遊ぶ-江戸絵画の風景250年」(後期B)@府中市美術館
 前期の若冲、後期の蘆雪。通期で蕭白。見所満載、リピーター割引の配慮も嬉しい。図録完売の盛況で大成功では?

 5/5
 「熱狂の日」音楽祭2009 No.324ベルリン古楽アカデミー@東京国際フォーラム
 「ラ・フォル・ジュルネ」デビュー!平床のホール(普段は会議室?)で演奏会という雰囲気はあまりなし。

 「日本の美・発見I 水墨画の輝き-雪舟・等伯から鉄斎まで」@出光美術館
 作品は凄いが、構成はちょっと雑?

 5/6
 「大和し美し」@千葉市美術館
 全体を通して、二人の巨匠の交流を生き生きと描き出す。段違いの構成力。

 5/22
 「ルーブル美術館展 美の宮殿の子どもたち」@国立新美術館
 ルーブル・アーカイブの魅力が詰まった展示。

 「20 Klein Dytham Architecture」@GALLERY MA
 カンバンとラウンジ。

 「手塚治虫 未来へのメッセージ」@江戸東京博物館
 ストーリーテラーであってこそ漫画家。

 5/23
 「パウルクレー東洋への旅」@千葉市美術館
 研究論文の発表会。
 雨の日に行ったら、巨大な室内置き除湿機が何台もうねりを上げていて、工場のようだった。

 「江戸浮世絵巻」@千葉市美術館
 広重の縦長の絵が良かった。
 北斎展いつかやって下さい!期待してます!

 「マークロスコ 瞑想する絵画」@川村記念美術館
 ロスコファンは狂喜し、そうでない人にとっては?
 絵よりも書簡が作家像を造形していた。

 5/29
 「neoteny japan」@上野の森美術館
 1階の池田さんと、2階の小林さん。超絶技巧と確かな世界観の確立。

 5/30
 「スタートレック」
 スピーディーで美しいジェットコースタームービー。
 カークとスポックの交流をしっかりと描いているところが秀逸。

 5/31
 「国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア」@Bunkamura ザ・ミュージアム
 イリヤ・レーピンにうっとり。一点の曇りのない幸せの形と、美青年。

 「畠山記念館名品展 –季節の書画と茶道具- 」(後期)@畠山記念館
 「林檎花図」伝趙昌。林檎シルエットに精緻な花。
 「銹絵染付笹紋茶碗」尾形乾山。堅実な印象のある乾山らしい落ち着いた色合いと造形。

 「三井家伝来 茶の湯の名品」(後期)@三井記念美術館
 楽焼、光悦、仁清。
 「六祖破経図」梁楷筆。何ともコミカルな、お経を破る老人の姿。締切に追われた漫画家が原稿と格闘しているようだ。

 「マティスの時代」@ブリヂストン美術館
 大好きなサロン型美術館。ブックレットが立派。

Posted by mizdesign at 23:46 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2009年04月30日

●4月の鑑賞記録

4月の鑑賞記録です。

4/3
「国宝 阿修羅展」@東京国立博物館平成館
 スーパーブランド「阿修羅」、東京上陸。神々しい光に浮かび上がる様は末代までの語り草。「阿弥陀三尊像(伝橘夫人念持仏)」も必見。

4/4
麻生知子「家に帰る」@Gallery Jin
 素朴で楽しい。今度は「家から出る」とかになるのかな。

「平泉~みちのくの浄土~」展@世田谷美術館
 みちのくの仏さまは強烈なインパクト。

「アートフェア東京2009」@東京国際フォーラム、TOKIA
 大畑伸太郎さんの個展は絶対に行こう。来年はどうなるのだろう。

4/5
「101TOKYO Contemporary Art Fair 2009」@UDX
 うーん、高い。

「Young Artists Japan 2009」@デジタルハリウッド
 あおひーさん、出展おめでとう。

やなぎみわ「マイ・グランドマザーズ」@東京都写真美術館
 素晴らしいエンターテイメント。

大庭大介「The Light Field」@magical ARTROOM
 さんざん迷って辿りついて、1分で出た。アートというより壁装飾に見えた。

4/18
「FRESH EXPAND」展トークショー@UBSL
 「立ち上げ」、「拡張」と来て、次は「スター誕生」となるか?

4/25
「椿会2009 Trans-Figurative」@資生堂ギャラリー
 売れっ子競演。華やかで好き。

4/26
「日本の美術名品展」@東京都美術館
 作品は粒揃いだけれども地味。「ルーブル」、「阿修羅」に割って入って、上野トライアングルを形成して欲しい。

Posted by mizdesign at 23:21 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2009年03月31日

●3月後半の鑑賞記録

3月後半の鑑賞記録です。

3/18
「東本願寺の至宝」@日本橋高島屋8階ホール
円山応挙筆の襖絵三部作。特に「老梅図」の大きく回りこむように手前に伸びてくる枝が、枯れた筆捌きと相まって空間を感じさせる。
「寛政度用材運搬図屏風」。ビックリするような巨木を滝から落とし、川を下り、大勢で担ぐ。デフォルメの効いた画面構成が楽しい。

「彫刻//新時代 Vol.3 土屋仁応展」@日本橋高島屋美術画廊X
愛らしい子山羊と花のメインビジュアルが美しい。白くコートされたお菓子みたい。

3/20
「現代美術の展望-新しい平面の作家たち VOCA展」@上野の森美術館
高木こずえ「ground」。視覚情報の豊富さで刺激する。
三瀬夏之介「J」。佐藤美術館の異形さからはずいぶんと落ち着いて、普通に「絵」。
麻生知子「家」。素朴画というフレーズが思い浮かぶ、家の断面と平面が融合した画面。谷中で開催中の個展「家に帰る」と合わせてみると面白さ倍増という趣向も楽しい。
名和晃平。平面という前提を軽やかに揺さぶるクレバーな作り。

土古里@上野バンブーガーデン店で焼肉。上野駅を見下ろすカウンター席は狭いながらも気持ち良い。上手い作り。
ueno_20090320-1.jpg

3/21
「山水に遊ぶ-江戸絵画の風景250年」(前期)@府中市美術館
視覚的に楽しい。最後の若冲は嬉しいサプライズ。双六付図録を買ってしまった。

「薩摩焼~パリと篤姫を魅了した伝統の美~」@江戸東京博物館
豪華絢爛大好き。

「生誕170年記念 -揚州周延展-」@太田記念美術館
過ぎ去りし時代を懐かしむ絵の数々に、過去のものとなりつつある浮世絵の技法そのものが重なる。江戸から明治へと浮世絵の変遷を辿ることで、浮世絵の歴史に奥行を感じた。

「ミレーとバルビゾン派の画家たち」@青山ユニマット美術館
さよならユニマット。コレクションはどこに行くのだろう。
aoyama_20090322-1.jpg

「第3回 shiseido art egg 小野耕石展 古き頃、月は水面の色を変えた」@SHIDEIDO GALLERY
インクを重ねることで生み出される1cmほどの柱(?)を無数に並べて生み出すビジュアルワーク。技法の独自性が凄いと思う。遠目にクレーの絵のようだと思った。

3/28
「掌9」@ラディウムーレントゲンヴェルケ
「手のひらに凝縮された世界」を見に行ったら、「お手頃な世界」が広がっていた。

興梠優護個展 「melting point」@CASHI
情欲と生肉。グロイ。

青木野江 「新作展」@ギャラリー・ハシモト
軽やかに天井から垂れ下がる(ように見える)鉄輪のカーテン。鉄が軽やかに変化することで空間が変容する。

山本桂輔 「起立」@小山登美夫ギャラリー
入口の花瓶(?)一つで目が釘付け。奥にチラリとのぞく巨大彫刻に引力の如く吸い寄せられる。毒々しい色彩と造形が異様な精気を放つ。アートの力を感じさせてくれる、パワフルな展示。

Holly Farrell "Home and Sea" @MEGUMI OGITA GALLERY
足ひれの黒が非常に豊かに描かれ、白いテーブルの上の白い陶器が質感豊かに登場する。存在感を大切にし、テカテカした表面処理で封をしたような絵。エルメスから程近い小さなスペースに、完成度の高い作品が並ぶ。場と絵の相性の良さを感じる。

内藤礼 「color beginning」@ギャラリー小柳
展覧会というよりもサロン。

シャネル・ピグマリオン・デイズ クラシックコンサート 「平野玲音」@CHANEL NEXUS HALL
シャネルが運営する無料コンサート。幸せな気分になれます。
「アンリ・シャルパンティエ銀座本店」にて一休み。至福の一時。
ginza_20090328-1.jpg

「アーティストファイル2009-現代の作家たち」@国立新美術館
「六本木アートナイト」の一環で、嬉しい無料開放。内容は。。。

「一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子」@サントリー美術館
スライドレクチャーの後、展覧会へ。細工の細かさと色彩に魅了される。
roppongi_20090328-1.jpg

しかし、今月最大のイベントはこれでした。
art_20090307-01.jpg

Posted by mizdesign at 00:31 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2009年03月15日

●3月前半の鑑賞記録

 3月前半の鑑賞記録です。

 3/4
 「土門拳の昭和」@日本橋三越本店 新館7階ギャラリー
 表情豊か(に見える)仏様のクローズアップと、古寺巡礼。それと対を成す、「絶対非演出」に基づくドキュメント。自分にとって写真=土門拳であることを再認識。

 「上村 松園・松篁・淳之 三代展」@日本橋高島屋8階ホール
 三代と銘打つも、存在感は圧倒的に松園。素晴らしく線の美しい美人画の数々を堪能。その一方で「花がたみ」や「焔(下絵)」といった狂気への振れ幅も堪能。実質松柏美術館の出開帳に、他所からの出品作が華を添えた形。19:00以降の入館は半額の嬉しい配慮。

 3/6
 「国宝 三井寺展(後期)」@サントリー美術館
 ついに「不動明王像(黄不動尊)」と御対面。保存状態の良さに驚くばかり。その姿を写した「不動明王立像(黄不動尊)」の出来栄えと状態の良さを改めて実感。文字通りの「秘仏開扉」に満足。大幅な展示替えに、見入ることしばしば。

 3/7
 「アジアとヨーロッパの肖像」@神奈川県立近代美術館 葉山
 海へと突き出すレストラン、振り返って山を望む中庭の建物配置が良かった。

 「山口蓬春と花鳥画の世界」@山口蓬春記念館
 吉田五十八設計による新画室が何より素晴らしい。建具枠を斜めに切り落として壁との段差を数ミリに抑える納まり、細枠木建具でフルハイトのガラス引込戸を設計する大胆さ、天井照明を埋め込んで天井と一体化する配慮、収納扉引手を上下左右全通しの目地として壁と一体化するデザイン。配慮の行き届いた設計に応える水澤工務店の技。非常に痛み易いつくりを維持管理する運営側の意欲。庭には梅が咲き、鶯がさえずる。二階の旧画室廊下からは葉山の海が臨める。時の経つのを忘れてしまう、至福のひと時。

 3/8
 「茶の湯の美 出光美術館コレクションの至宝」@栃木県立美術館
 ダイジェスト気味ながら、出光美術館の茶の湯コレクションが時代順に並ぶ。人もけっこう入っていて、固定ファンを持つ展示は強い。

 3/14
 「小杉放菴と大観-響きあう技とこころ」@出光美術館
 酒飲みおじいちゃんが描くほのぼの世界。

 「ポワレとフォルチュニィ」@東京都庭園美術館
 「夜会」というテーマに基ずく、1階の展示が見事。
 「プリーツプリーツ」の祖先のような「デルフォスドレス」を見て、ミヤケは装飾を廃したモダニズム建築のようなドレスだと思った。

 「美人画展」@松岡美術館
 松園の「春宵」が美しい。全体的にあっさりとした展示内容。展示室内も撮影可で、シャッター音があちこちで鳴っている。通路・ホールスペースにはみ出すように置かれる雛人形が、計画性の高い空間に馴染まない。美術館は成長し続けるソフトなので、空間の可変性と完成度の折り合いが難しい。

 3/15
 「伊庭靖子展」@神奈川県立近代美術館 鎌倉
 写真のような精緻な筆致と、超クローズアップ構図。水分が弾けそうなオレンジゼリー(?)の「瑞々しさ」が素晴らしい。クッションの「柔らかさ」も魅力的。名詞がなくなって、形容詞だけが残るような絵。

 「所蔵名品展 -国宝 紅白梅図屏風-」@MOA美術館
 岩佐又兵衛と紅白梅図屏風を目当てに行ったら、濃厚な仏画展示(ほとんどが重文!)に圧倒された。紅白梅図屏風はかなり傷んでいる印象。又兵衛の美麗な絵巻、洒脱な墨絵と、満足度はとても高い。

Posted by mizdesign at 23:56 | Comments [2] | Trackbacks [0]