2011年04月12日
●京都 2011 清水寺-産寧坂-円山公園-祇園
仕事で関西へ出張した夕方、桜を観に出かけました。
京都駅から市バス206系統に乗り、五条坂で下車。まずは清水寺へ。鮮やかな朱の建物と、ライトアップされた桜。
斜面を覆う桜と、その上に浮かぶ大舞台。その向こうに京都タワーを中心とした京都市街が広がります。桜色の雲の上を歩くような、フワフワした夢心地。
産寧坂を通って四条のほうへ。春の闇に紛れて出歩く人影がロマンチック。
八坂の塔と月。ライトアップされてシルエットが夜空に浮かび上がる。神秘的な演出。
八坂神社を経て、突如視界が明るく開ける。満開の桜の樹の下で、光に満ちて繰り広げられる宴。心を丸ごと持っていかれるような、魔力と活気に満ちたハレの世界。その熱気が心地いい。
円山公園の枝垂桜。あんなに巨大な樹に、よくもこれだけ花が咲くものだ。大きく頭をもたげた龍のように見える。その周囲は記念撮影をする人で一杯。
その周辺で炊かれるかがり火が、野趣を盛り上げる。パチパチと燃える火は、暖かさと自然の厳しさの現れ。心の奥底まで響きます。
祇園白川の夜景。桜、水面、窓辺に写る人影。辺り一帯は記念撮影会場と化していて、舞妓さんを連れて歩いてる人もいたり。なんか怪しげで良い。
清水寺から四条まで夜桜巡りをしてみました。歩くにはチョット長いかなーと思いましたが、桜の魅力に夢中になってあっという間でした。中でも円山公園の枝垂桜と花見の光景はひときわ印象的でした。
2010年04月11日
●吉野山 2010
桜の見頃もあっという間に終盤。過ぎ行く季節を追いかけて、吉野山まで足を伸ばしました。
近鉄吉野駅から下千本の桜を眺めながら、ロープウェイ千本口駅近くまで登った辺り。散り始めた桜の下に、レジャーシート。斜面を活かした花見会場。
黒門、銅の鳥居を越えて、金峯山寺蔵王堂へ。ちょうど花供懺法会・花供会式の大名行列に行き当たり、境内は身動きできない人出。奥殿で開催中の鈴木理策写真展「SAKURA」を観ました。写真の舞台での凱旋開催ということでものすごく期待して行ったのだけれども、実際には離れのような新しいお堂の片隅でひっそりと展示されていてかなり肩透かし。写真は確かに美しいのだけれども、修験道の聖地と俗世の享楽が混在するカオスな場のエネルギーに存在が霞む。
中千本の絶景ポイント、吉水神社「一目千本」の眺め。右手奥の頂が、これから目指す上千本。
あちらこちらの眺望ポイントを楽しみながら、上千本を登って行きます。手前と奥に咲く桜が作り出す、遠近感豊かな色彩が美しい。
水分神社近くの、上千本絶景ポイントからの見下ろし。桜のフレームの中央左に、蔵王堂の大屋根。時間の都合で今回はここで折り返し。
下千本のヒラヒラと舞う花びらの中を、名残りを惜しみつつ下山。桜を堪能しました。
おまけ。20年前に観た吉野山です→「吉野山 1990」
2010年03月08日
●修二会おたいまつ@東大寺二月堂
修二会@東大寺二月堂。
おたいまつ1時間前。すでに境内は身動きできないほどの人出。
19時消灯。しばらくして左手登り廊をおたいまつが登ってゆくのが見える。どよめく境内。
ドーン、ドーンという足音の後に、おたいまつが廊下を疾走!木造のお堂が燃えないかと心配するほどの大火力!大歓声!
降り注ぐ火の粉に、一年の無病息災を祈る。
欄干に据えたおたいまつが爆ぜる!充満する煙の匂い。大迫力の炎のイベントに大満足。終了時に拍手で沸いた。
2008年03月31日
●花見 2008
3月最後の週末は花見。今年は桜の開花が早く、タイミングばっちり。
まずは韓国料理で腹ごしらえ。突き出しの皿数の多さ、チヂミの大きさと安さ、焼肉の美味さ、キュウリ漬けジンロの清涼感、作りすぎたと出してくれたビビンバ。食べて飲んで、大満足。
そして、桜の花咲く川沿いの道を歩きます。
満開の桜、そのわりに少ない人出。落ち着いて桜が見られる、ありがたいスポット。
両岸に桜、川にはカモメが舞います。海が近いから?
一昨年、去年と2年続けてお邪魔している川沿いのお家に、今年もお邪魔します。飲んで食べて時おりバルコニーから桜を眺めて。心ゆくまで春の休日を堪能。
一段落したところでケーキと紅茶。この後さらに2時間ほどお邪魔して、おいとま。
どうもありがとうございました。御世話になりっぱなしで申し訳ないです。
2007年04月18日
●八重桜@目黒川
花見の季節も過ぎた、肌寒い日。ふと眺めれば、濃いピンクの帯が。そういえば、八重桜の季節でした。下向きに花の咲く八重桜は、曇天の日こそ見頃。
振り返ってみれば、早咲きから始まって、ソメイヨシノ、そして八重と。川沿いに一月半も桜を観ています。すごいじゃないか目黒川!
一番良かったのは、満開の夜桜。飲み屋が集まる川沿いの通りを、缶ビール片手に夜桜見物の人々が往く。密接な距離感がポイント。再開発が進行中で、来年はどんな景色になっているのでしょうか。。。
2007年04月02日
●花見
昨日は桜の見えるお宅にお邪魔して、花見をしました。やはりこれが一番楽しい。
夕方4時頃。下草の緑が美しい、絵に描いたような春の小川の眺め。7分咲きから満開へ。
夕方7時頃、宴もたけなわ。日が落ちて川は闇に沈み、提灯の灯りに桜並木が浮かびます。
夜9時半頃、日曜美術館のダ・ヴィンチ展特集を見終えて窓の外を見る。2階から1階へ移動したので、先ほどは見下ろした桜が、今度は目の前に。桜並木に面した立地ならではの醍醐味。
気がつけば、11時。あっという間の7時間(!)でした。どうもありがとうございました。
2007年03月31日
●桜@新宿御苑
昨日の天気は小雨のち快晴、その後天気は崩れる見込み。桜を観るならここが山と、万障繰り合わせて新宿御苑へ。桜は早くも散り始め。ビル街の都市熱の影響?
平地に咲く桜としては最高の一つと思える、イギリス風景式庭園の桜。巨木が並び咲く景色は壮観、花見客の人気も一番です。
千駄ヶ谷門付近の空を覆う桜。千鳥ヶ淵が花のトンネルなら、こちらは花天井。桜の花を透かして覗く空は、一際美しいです。
旧御涼亭からの眺め。屏風状に切り取られた風景は、応挙の風景画を思わせます。
桜を満喫した後、中の池に向かう傾斜地にて寝転ぶ。地を背に見上げる空は、最高に気持ち良いです。
2007年03月30日
●桜@千鳥ヶ淵
昨晩はひょんなことから竹橋へ。さらに足を伸ばして千鳥ヶ淵へ。
桜の開花が予想以上に進んでいて、5分咲き間近という感じ。
千鳥ヶ淵といえば、空を覆う花のトンネル。派手なライトアップは賛否両論ありそうですが、その美しさは圧巻です。「桜の花の下には・・・」の一節を思い出さずにはいられません。
そして水辺。水辺の近さも、大きく張り出す桜の枝ぶりも文句なし。完璧な桜の名所。人出の多さは如何ともしがたいですが、それも名所ゆえ。
さらに斜面。流れ落ちるように咲く桜の花は、日本画そのままの景色。高齢化が進むソメイヨシノの、速やかな再生を願わずにはいられません。
2007年03月29日
●桜@目黒川
駅を出ると、そこは桜色の世界でした。
前日まで蕾膨らむ程度だった桜の花が、春の陽気で一気に開花して3分咲き程度に。唐突に現れた桜色の世界に心を持っていかれて、気がつけば足が90度向きを変えて川沿いを散策していました。
建物が立ち並び日当たりの悪い目黒川は、水量も桜の木も今一つに思えます。しかし、心地良い陽気と、流れる水と、空に舞う桜色のコンボは強烈で、考えるよりも早く心を鷲掴みにされます。春と桜に敏感に反応する心は、四季の変化に恵まれた日本ならではと思います。
桜の上に顔を出す、安藤忠雄建築研究所設計による「MELROSE」。1984年竣工なので築23年くらい。RC打放しの外壁は、塗り替えたらしいですが汚れが目立ちます。RC打放しの意匠はけっこう短命かもしれません。
夜桜。桜を眺めながら飲むお酒は最高に美味しそうです。
2007年03月02日
●早咲き桜
中目黒にある、早咲き桜スポットです。
既に葉桜。
今年の桜は開花が早そうです。
2006年04月05日
●不忍池雨中之桜 1991
桜の季節も後半。今日から4日連続で外での打合せが続きます。上手く時間が空いたらどこかに寄ろうと準備はしてありますが、さてどうでしょう。
浮世絵の視点から見る「今」の七回目です(一、二、三、四、五、六)。上野公園で面影を探した時の一枚です。日付は1991年4月6日。今だと背景にタワーが聳えているでしょうか。
2006年04月03日
●花見日和
昨日はお誘いいただいて、桜の良く見えるお宅にお邪魔しました。川辺の桜を見下ろす好立地で、風雨の影響を受けず、喧騒とも無縁なとても居心地の良い場所です。飲んで食べてじっくりと話し込んで、とても楽しい時間を過ごしました。
始まったのはまだ明るい時間。小川沿いに桜並木が続き、水辺の緑が映えます。
宴もたけなわな頃、桜を見下ろしたところです。手を伸ばすと届きそうです。
2006年03月31日
●千鳥ヶ淵緑道 八分咲き
昨日は夕方遅くまで現場で打合せでした。帰路寄り道して、千鳥ヶ淵緑道を歩きました。ライトアップされた夜桜の眺めは、信じられないくらいに美しいです。花冷えの寒さをものともせず、人波も凄かったです。
靖国通りから千鳥ヶ淵緑道を眺めています。100mほど先の角を曲がれば緑道入口です。行列に並んでゆっくり進みながら、土手沿いの夜桜に期待が膨らみます。
緑道から対岸斜面の桜を眺めています。水面に流れ落ちる滝の如く桜が咲いています。絵から抜け出してきたような幻想的な眺めです。
見上げれば、桜の花が天井のように空に浮いています。夢か幻かと思うくらいに美しいです。
2006年03月29日
●新宿御苑 五分咲き
今日は午前役所、午後現場でした。お昼と移動時間を組み合わせて新宿御苑に寄りました。広大な敷地に多種多様な桜の数々。閉園時間が早いので夜桜は観られませんが、お酒禁止なので酒臭さがなく、日中の花見には最適のスポットです。
芝生に桜。賑やかなハレの場です。
水辺に桜。風が止む瞬間を待って、三脚の列が並んでいます。
空に桜。桜並木を見上げて歩くと、春だなと実感します。
一時間ほどの散歩でした。満開まであと数日。来週は散ってるんだろうなあ。
2006年03月24日
●上野の早春賦
「上野の早春賦」という小冊子が上野の観光案内所等で無料配布されています。「東京のオペラの森2006」というイベントの開催記念号で、半分はそのイベント関連記事、残り半分は上野の観光案内が載っています。全編オールカラーの魅力的な記事で埋め尽くされた内容は必見です。中でも「のだめカンタービレ 番外編」が面白いです。見開き2ページの中で、原作と同じノリの登場人物たちが持ち前のパワーでオペラを身近に感じさせてくれます。情報発信は工夫次第でいくらでも魅力的になるという好例だと思います。
上野の早春賦と東京国立博物館の年間パスポートです。上野マニア度が高まってきました。
上野公園入口の大寒桜は満開を過ぎて散り始めています。あと一週間くらいで桜の季節到来です。
2006年03月16日
●桜咲き初め in 上野
上野公園を通りかかったら、もう桜が咲いていました。このペースだと3月のうちに満開を迎えそうです。もうしばらく忙しい時期が続くのでちょっと待ってくれー、と思いつつも心がしばし春モードになります。少し微熱を帯びて浮かれる感じが楽しいです。
2006年03月11日
●與喜天満宮 1992
昨晩から花粉症が一気に本格化しました。目のかゆさ、鼻づまり(不意に鼻水)、喉の渇き。今年はひょっとして。。。という期待はあっさりと裏切られ、もはや年中行事の一つです。そんな行事、いつでも打ち切り大歓迎ですが!
梅というと紅梅、白梅。その印象的な場面を紹介します。花の寺として有名な奈良県の長谷寺のすぐ近くにある、與喜天満宮の参道です。光と影のコントラストの中、紅白が綺麗に浮かび上がっていました。日付は1992年2月5日です。
2006年03月08日
●湯島天神 1991
暖かくなってきました、梅真っ盛りらしいです。梅といえば天神様、都内の天神様といえば湯島天神です。今日の帰路は湯島を通るので、帰りに寄れるかな?と思ったら遅くなったので残念ながら素通りしました。代わりに写真庫からピックアップ。日付は1991年3月5日です。広くない境内にたくさんの梅の木があって、箱庭のようでした。
2006年01月10日
●法隆寺 1989
初雪が降りました。冬の景色の三回目です(一回目、二回目)。
法隆寺西院伽藍は現存する世界最古の木造建築群として有名です。またその再建、非再建を巡っての論争も有名です。607年に創建され、670年の大火で焼失、710年頃に再建されたという説が有力ですが、疑問点も残っています。そして聖徳太子一族の歴史ミステリーの舞台でもあります。
中門越しに五重塔を眺めています。観光写真でおなじみの構図ですが、霧が立ち込めると様相が一変します。すぐそこにあるのに見えない。奥行の喪失が現実感を失わせ、空想の余白が広がります。日付は1989年12月23日。一回目の法起寺と同じ日です。
2005年12月07日
●法起寺 1989
法隆寺で有名な斑鳩には、斑鳩三塔と呼ばれる三つの塔があります。そのうちの一つ、法起寺の塔は現存最古の三重塔で、飛鳥様式を今に伝える貴重な遺構です。
奈良に行った際に、早起きして斑鳩を散策しました。あいにくの濃霧で、お寺の前に立っても塔が見えずにびっくり。しばらく待っていると少しづつ霧が薄くなって塔と堂のシルエットが浮かびました。絵のような現実に「自然現象ってすごいな」と感動しました。日付は1989年12月23日。「建物」から「景観」へと興味が広がるきっかけとなりました。
2005年12月01日
●室生寺 1992
12月になりました。暖冬といいつつも、朝夕の冷え込みが厳しくなってきます。気分がキュッと締まるので、考え事をするのに良い季節だと思います。そんなわけで冬の景色をいくつか紹介します。
「景観の構造」(樋口忠彦著 技報堂)によると、室生の地は「八葉蓮華型」に分類されます。深山の奥、山に囲まれた地形を仏教の理想郷に見立てる訳です。同型に高野山が上げられており、女性に門戸を開いたことから「女人高野」と称されるのも説得力のある話です。写真家土門拳さんが雪景を撮ろうと仮病を使って入院するエピソードも有名です。
そんな室生寺が観たくて、冬の奈良に出かけました。日付は1992年2月5日。地元の民宿に前泊して、早朝の散歩に出かけたときの景色です。霜が降りて白くなった、太鼓橋の踏板と表門の屋根。真言密教の道場らしい厳しくも美しい瞬間でした。金堂、五重塔と廻ったところで空が明るくなり、あっという間に霜は消えました。
2005年07月13日
●西郷山公園夏之富士 1996
「代官山フォトコンテスト」に応募しようと思って、仕事の合間にステキ探しをしました。下の写真がそのときの応募作です。撮影日は1996年8月15日。台風が過ぎて今日なら富士山が見えるだろうとあたりをつけて西郷山公園まで出かけました。以前紹介した構図の方が稜線が綺麗なのですが、このときは街中を歩いて見える点にこだわっています。
上の写真はめでたく入選し、「代官山ステキ発見マップ」に掲載されました。下の写真はその発展形である「代官山ステキガイドブック 2000年版」の1ページです。4年ぶりに「夏之富士」に再会できてちょっと嬉しかったです。
2005年07月12日
●代官山ステキ発見
1996年に「代官山フォトコンテスト」という企画がありました。同潤会代官山アパートの解体をきっかけに始まった、「代官山ステキ発見」活動の一環です。この活動は発展を続け、今では「代官山ホームページ」という形で代官山の街情報を発信、蓄積、交流する場となっています。ブランドイメージに恵まれ、文化的な蓄積を築き上げてきた代官山にとっても、同潤会の消失は大きな事件だったのだと改めて思います。
写真はフォトコンテストで選ばれた107点の写真と撮影地点地図をセットにした「代官山ステキ発見マップ」です。自分の知らない代官山が色々と見られて面白かったです。
同潤会アパートを写した写真も多く掲載されています。今見ると、けっこう忘れていることが多いことに気づきました。ちょっと前のことだと思っていましたが、時の経つのは早いです。
2005年06月15日
●亀戸天神境内 1991
浮世絵の視点から見る「今」の六回目です(一回目、二回目、三回目、四回目、五回目)。
亀戸天神社の創建は1662年。広重の「名所江戸百景」にも登場する藤の名所です。境内は戦後の再建だそうですが、今でも藤まつりの頃は多くの人で賑わいます。六回目にしてようやく江戸時代から続く名所の登場です。日付は1991年4月27日です。
太鼓橋の円弧を中心に配して、手前に藤、奥に遊興客を見せる構図は今も健在で、広重の画と今の風景を比較することで、広重の視点と脚色の手法が想像できます。今回の例だと、太鼓橋を巨大化して画面分割のフレームとすることで、藤、遊興客、境内を一枚画に再構成したのでしょう。縦に2倍くらいスケールアップしている感じです。冷静に考えると、水面から10mほど立ち上がる橋って相当怖いです。大胆な構図の取り方は、広重の北斎研究の成果なのでしょうか。
2005年06月09日
●明治神宮御苑花菖蒲之頃 1991
浮世絵の視点から見る「今」の五回目です(一回目、二回目、三回目、四回目)。
明治神宮御苑は、江戸時代は加藤家、井伊家の下屋敷の庭園だったそうです。花菖蒲が植えられたのは明治30年なので、この風景も江戸時代にはありませんでした。今回紹介する三つの場面は、「移ろいの風景論」(小林亨著 鹿島出版会)の中で、五感を用いて体験する移ろい景観の体験場の代表例として登場します。日付は1991年6月20日。本の元になった論文を読んで興味を持ち、体験に行きました。余談ですが、先に紹介した青山アパートメントはこの後に訪れています。徒歩10分の素敵なタイムトリップでした。
奥にあるのが隔雲亭です。以下、「移ろいの景観論」からの引用です。「開け放たれた戸口から雨線・草木の濡れ(視覚)、外気(触覚、嗅覚)、屋根の雨音(聴覚)が体験される。建物内で婦人が茶を飲んでいる。五感的体験の稀な例である。」(引用終わり)
東屋へと向かいます。以下、引用です。「傘をさしながら東屋へ向かう。視覚的体験にとともに、雨による濡れと雨音などが体験されている。」(引用終わり)
この写真は、本の中の写真よりも引いた構図になっています。画面中央に橋を配しての画面分割は、少し浮世絵を意識したのだと思います。
以下、引用です。「aの状態から移動し、濡れと傘をさす行為から開放されて視覚的体験を楽しむ。この種の景観体験の典型が雨宿りである。」(引用終わり)。文中のaは前の写真を指します。
2005年05月15日
●上野東照宮牡丹之頃 1991
GWも明けたというのに寒い日が続きます。もはや異常気象ではなく、四季そのものが変化しているのかもしれません。浮世絵の視点から見る「今」の四回目です(一回目、二回目、三回目)。
上野東照宮ぼたん苑の開苑は1980年。歴史は浅いのですが、簾、笠、遠景の塔といった小道具を上手く使って、昔からあったかのような雰囲気を演出しています。日付は1991年4月29日です。
塔と笠を一枚に納めた画です。バラバラの角度で並ぶ笠が面白かった。
牡丹と笠。笠を観ていると何だか楽しげに思えてきませんか?
2005年05月12日
●根津神社躑躅祭之頃 1991
浮世絵の視点から見る「今」の三回目です(一回目、二回目)。
斜面に咲く躑躅が艶やかで美しいです。鬱蒼とした緑の中にあるように見えますが、実際には周辺を建物に囲まれています。傾斜を活かした箱庭形式で、開発の中にありながら自然景観を上手く演出した例だと思います。日付は1991年4月29日。観るぞ、撮るぞという気持ちが強すぎてあまり好きな画ではなかったのですが、このあと何度か観にいった中で一番綺麗でした。やはり気合も大切みたいです。
雨に濡れる石畳、斜めに構えた鳥居、傘をさして行き交う人。自分の中の「広重」に忠実な一枚です。
斜面に色とりどりの躑躅が咲き誇ります。公園や垣根で見る躑躅とは全くの別世界が広がります。
2005年05月10日
●代官山富士之景 1999
浮世絵の視点から見る「今」の二枚目です。一枚目はこちら。
東京には「かつて富士山が見えた」という場所が多くありますが、代官山には今でも見える場所がいくつかあります。街中から富士山が見える光景は、それだけで江戸と今が地続きであることを強く感じさせてくれます。
写真はヒルサイドテラスB棟から撮っています。仕事の関係で昔の勤め先に通っていました。日付は1999年3月22日。手前の瓦屋根は旧朝倉邸(当時は渋谷会議所)です。ヒルサイドテラスのA・B棟が完成したのは1969年。当時は周辺に瓦屋根の家並みが残っていたそうですが、今ではすっかり建て変わり、ここが最後の大屋根ではないでしょうか。
同じ場所から撮った夕景です。高雄の山並みの上にスッと立ち上がる富士山のシルエットはとても美しいです。空気の澄んだ日にしか見えませんが、それでけでありがたみがあります。日付は1999年2月4日。右側の木が育ってきて年々見えにくくなっていましたが、今はどうなっているのだろう。
2005年05月06日
●新宿中央公園雨中之桜 1991
浮世絵と同じ視点で今を観るとどんな感じだろうと思って、それに相応しい場面を探し歩いた時期があります。14年くらい前の「今」なので、すでに過去のことですが。
一つ目はちょっと変わった取り合せから。新宿中央公園で、桜の季節に霧の立ち込める中、都庁舎を眺めています。合成した方が早いんじゃないかと思うような場面ですが、雨のぱらつく中でかけました。日付は1991年4月5日。レトロSFっぽい?
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2005年05月04日
●桜が創った「日本」 -ソメイヨシノ起源への旅- (佐藤俊樹著 岩波新書)
ピンクの小山に浮かれた頃、こちらにお邪魔してソメイヨシノを巡る諸説を交わし、実際はどうなんだと思った際に本屋で見かけた一冊です。私にしては珍しくタイトル買いしました。
文献や絵画の分析を通して、桜にまつわる様々なキーワードを網羅しつつソメイヨシノの広がる過程を探る前半はとても面白く読みました。「ピンク一色に染まる桜のイメージが先にあり、それを体現したのがソメイヨシノではないか」という大胆な仮説が提示されるあたりで期待感は最高潮です。ところが後半に入って、「歴史は創られる論」が前面に出てくるあたりから興味が薄れました。ここらへんが著者の方の専門分野なのかもしれませんが、主役は桜のままにして欲しかったです。文体に混乱があることも影響したかもしれません。
桜を鑑賞する上での良い副読本だと思いますが、個人的にはタイトル負けしていると思いました。
2005年04月14日
●新緑の上野公園
出張の帰りに上野に寄って、「ベルリンの至宝展」を鑑賞しました。ギリシャ、ローマ、エジプト、メソポタミアといった古代文明を網羅し、ラファエロやボッティチェリといった中世の名品を散りばめ、モネ等の近代美術へと至るその内容は、世界史をジェットコースターに乗って体験するようで眩暈を覚えるほどでした。見ごたえあります。一週間前のピンクの屋外宴会場とは打って変わって、目に沁みるほどの新緑と建物の対比も美しいです。久々に文化拠点としての上野公園を堪能しました。
東京文化会館の打放しコンクリートを背景に、新緑が映えます。
国立西洋美術館の幾何学的なボリュームを背景に、青空に伸びる曲線が引き立ちます。
2005年04月12日
●吉野山 1990
桜に浮かれた日々の締めとして、私が日本一の桜の名所だと思っている吉野山の写真を掲載しておきます。日付は1990年4月3日となっているので、もう15年も前の写真です。当時は景観をテーマに卒論を書きたいと思い、あちこちフィールドワークに行っていました。ひらたくいうと旅行ばかりしていたということです。
吉野山の桜は下から上に四つに分けられ、それぞれ下の千本、中の千本、上の千本、奥の千本と呼ばれています。下から順に開花してゆき、だいたい一ヶ月かけて桜が上へ上へと咲き上がります。中の千本が満開の頃が観光の最盛期で、その様は桜の花の絨毯の上を歩くようだといわれています。普通桜は見上げて楽しむわけですが、「上を歩く」と表現されるところが吉野山らしいです。
中の千本でも有数の観桜スポット、吉水神社あたりからの眺めです。一目千本と呼ばれていますが、その名のとおり斜面一面に咲く桜を見渡せます。
中の千本の遊歩道です。向かいあった斜面の中を遊歩道が通っているので、手前と奥に桜が楽しめます。どこでも花見気分が味わえます。
上の千本の七曲り坂より中の千本を見下ろした眺めです。吉野山でいちばん有名な構図でしょう。霧が立ちこめる様を見たかったので、小雨の中をウキウキしながら登りました。一枚目の写真の上部右手に桜の列が蛇行しているのが見えますが、ここはその最頂部です。見上げても良し、見下ろしても良し、斜面を歩いても良しが吉野の名所たる由縁だと思います。
2005年04月07日
●桜紀行 2005
昨日からの晴天続きで、桜の開花はあっという間に5分を超えて7分咲きという感じです。ちょうど出張の日だったので、ちょっと寄り道をしました。
昼下りの東海道線。あっちもこっちもさくら、さくら。ポカポカ陽気で車内は昼寝ムード一色です。
出張の用件完了!で、とりあえずパチリ。記念撮影の行列ができていました。
花見といえば、上野公園。この時期は屋外宴会場と化しています。清水観音堂の舞台からパチリ。広重の浮世絵にもでてくるこのお堂は、江戸と現在を直接繋ぐ歴史スポットの一つです。
最寄駅を出てパチリ。地元の夜桜もなかなかです。