2018年12月29日

●キーワード2018

 今年のアート・建築・街関連を三つのキーワードで振り返ってみます。(過去ログはこちら)

固定観念を更新する
 日本美術では、「京の刀@京都国立博物館」。国立博物館がSNSゲームとコラボ展示を行う。そしてそれに人が入る。刀1本観るの50分待ちに耐えられず、いつもと違う観客層で埋まる館内に相当なアウェイ感を感じつつも、貴重な体験でした。
 西洋美術では、「ムンク展@東京都美術館」。彼の作品を系統立てて観ることで、彼の精神世界に触れるよう。「叫び」の印象から精神異常的な面が強いと思っていたけれども、結構売れっ子だったようだし、絵画からは色彩的な魅力が感じられて、作家像が大きく変わりました。
 同じく西洋美術から、「ショーメ展@三菱一号館美術館」。宝飾品の繊細な美しさを時系列に沿って見せつつ、プロモーションも兼ねる。そしてリピーターを生む。立地と箱を活かした上手い企画。
 そして、アートブログ「青い日記帳」のTakさんによる「いちばんやさしい美術鑑賞」出版。美術ファンが美術のすそ野を広げる本を出版。そして売れてる。「好き」が高じて「価値を創造」したところが素晴らしい。

作品と向かい合う
 興行と展示鑑賞はちょっと違うのでは?と感じることが多いので、1対1で作品と向き合える展覧会に惹かれます。
 日本美術では、「横山崋山@東京ステーションギャラリー」。30mにも渡る《祇園祭礼図巻》を全巻展示する等、「作品とじっくりと向かい合って欲しい」という、展示する側の気合を感じました。
 西洋美術では、「フィリップス・コレクション展@三菱一号館美術館」。小割の展示室、暖炉等の設え、珠玉のコレクション、静謐さ。これらが調和した、素晴らしい鑑賞体験でした。
 現代美術では、「内藤礼 明るい地上には あなたの姿が見える@水戸芸術館現代美術ギャラリー」。はじめはあまりに何もないように見えて焦るほど。慣れるにつれ、光、風、水を感じ始め、気がつけばすっかり引き込まれる。

あるべき未来をアプトプットする
 プロダクトでは「もしかする未来 工学×デザイン@国立新美術館」。 カーボンプレート、チタン、呼吸するように収縮するオブジェ。何より、目を輝かせる子供たち。
 建築では「田根剛|未来の記憶@TOTOギャラリー・間」「田根剛|未来の記憶@東京オペラシティアートギャラリー」「CITIZEN ”We Celebrate Time” 100周年展@スパイラルガーデン」の田根三部作。彼の提示するビジョンは作品であって、世界を構築するシステムとしての建築とは感じられないけれども、とのかくこの露出ラッシュは凄い。
 でもやっぱり建築では「Louvre Abu Dhabi by Jean Nouvel」。鉄とアルミの8層ネット屋根から光が射し、時間とともに移ろう体験は本当に素晴らしい。「企画展:humanity in a new light」も、展示空間と合わせて見応え十分。

Posted by mizdesign at 15:06 | Comments [0] | Trackbacks [0]