2018年12月04日
●聴講メモ [EaR Talk SCRAMBLE] 「設計」と「施工」の現在 NY/Boston 調査報告会
[EaR Talk SCRAMBLE] 「設計」と「施工」の現在 NY/Boston 調査報告会の聴講メモです。
「設計者主導のデザインビルド」という小笠原 正豊さん (@masatoyo_san) のツイートを見て興味が湧いた。
日本は施工者主導のDBが伸びていると言われているので、そのカウンターのような視点が新鮮。話を聞いてみたいと思ったときに、報告会があったので参加。
私はアトリエ事務所に勤めて、今は施工会社にいるので、「設計」と「施工」の話はとても興味深い。更に舞台がNew York とBoston とのことで、最先端の話が聴けそうで興味津々。
■小笠原さんの経歴紹介
「アメリカが分業がしっかりできている、日本は施工者と一緒に造っていく」という話はよく聞く。
「Decision Maker がいて、設計者がいる。設計者にはArchitect やEngineerや情報、専門家が含まれる」。このくだりは、とても好奇心が湧いた。「えっ、Architectって全てを統べるんじゃないの?」とか、「AI化が進んだらDecision Maker しか必要ないのでは?」とか。
「設計者」を英語で言うとどんなイメージですかと質問。設計と施工が分離する前とか、Designerとか。そんな回答で、Designerってそんなに偉いイメージなんだ!と思ったり。Architectって昔からある職能だと思っていたので、かなり意外。
「役割・責任の明確化が成功する協働へと繋がる」は同意。
「アメリカのBIMは標準化が進んでいる、日本はこの点で遅れている」というのは、なるほど。「日本はゴムの反発力」は上手い言い方だと思う。
■報告編
SITUがNavy Yard に工房を構えているというのは、90年代にPratt に通って、閉鎖されたNavy Yard 周辺をウロウロ歩いた身には、隔世の感。ついでにPratt が進出するそうで、さらにびっくり。時代が変化するって面白い。
NADAA。工事入札価格を抑えるために、波打つ天井のモックアップを設計事務所が作るという話は、その行動力と資金力にビックリ。その分設計料も高いと聞いて、設計事務所の職能の定義が既に少し違う気もする。どのフェーズで作るのかと質問した人がいて、専門的な視点と思った。
Gluck+。「Architects led design build」。「設計者主導と施工者主導の概念的な違いは?」と聞いてみて、「似てる」と言われて、「でもArchitects led なんでしょ」と更に聞いた気がする。「どちらが契約主体か」といった人がいて、なるほどと思う。
Kalin Associates。LEED project 等のSpec writing を手掛ける。Spec writer が減少しているというのが意外。実施図と仕様書をBIMでIntegrate というのは図式的なイメージは湧くけれども、実際は波のように押し寄せる変化みたいなものかしらと思う。
Autodesk BUILD Space。デザインとモノがシームレスにつながる感じ。溶ける感じ?日本にもできるかもとのことで楽しみ。RevitとInsightによるEcotect Analysis を初期に使うという話は、フロントエンド化が進む時勢にのってる。
MASS Design。リーマンショック後で仕事もないし、設計事務所ってもうからないから、NPOでもやっていける。ルワンダに施工会社を設立するとか、いきなりBIMとか。
見聞記も、設計者の職能の話も、とても興味深かったです。やはり、実際に体験したこと、ヒアリングしたことを聞くのは、単にネットで情報を得る以上に色々と感じるところがあります。どうもありがとうございました。