2018年08月16日
●特別展「縄文―1万年の美の鼓動」@東京国立博物館
上野の東京国立博物館 平成館で開催中の特別展「縄文―1万年の美の鼓動」を観ました。
第1章 暮らしの美
縄文時代は、旧石器時代が終わった紀元前1万3千年前からおよそ1万年間続いた時代。えっ、1万年?弥生時代から現代までが5千年だから、その倍もあるやん。狩猟生活から農耕生活に変化するのにそんなに長い時間がかかったの?というわけで、今更ながら縄文時代の長さにびっくり。
草創期の微隆起線文土器。始まりは素朴な縄の文様。
漆塗彩文鉢形土器。漆がこんなに昔から使われていたとは知りませんでした。
大きな土製耳飾を、随分大きなイヤリングと思ったら、耳たぶに埋め込んで使ったとの解説を読んでビックリ。重そう。
貝輪形土製品。貝輪の装身具は分かるけど、それをさらに土で模した装身具?重いし脆そう。内陸部で海のない地域の人が、貝輪に憧れて作ったのだろうか。
漆塗櫛。漆で固めた櫛。漆万能。
什器、装身具等、現代の価値観から縄文を見返すのが新鮮。
第2章 美のうねり
片口付深鉢型土器。外面を、みっちりと文様で埋め尽くす。
深鉢型土器。土器上端部のうねりと、円型の立上り。エスカレートする造形。
技術革新の停滞と、表現方法の過剰化。
第3章 美の競演
同時代の世界の土器との比較。
彩陶鉢。中国の彩色文様の美しさ。
無文壺。メソポタミアの薄くシャープな造形。
農耕文化、鉄器の発明等、縄文の一歩先を行っている。
第4章 縄文美の最たるもの
火焔型土器。縄文文化のアイコンの一つ。大きくうねるようなダイナミックな造形。
土偶 縄文の女神。横から見た大きくうねりのある造形、角型+横紋が独特の脚部。国宝土偶の中でも、飛び抜けてスタイリッシュ。
縄文国宝オールスターズ。確かに独特の造形かつバリエーションに富んでいて魅力的。これらの「美」は、あたりまえだけれども、後世の研究者が発見した後付けのモノ。造られた当時は「美」という概念はあったのだろうか。縄文時代は「文字」が発明されなかったので、形から想像することしかできない。それが技術の長い停滞と、過剰とも思える独自造形の発展につながったのかと妄想。
第5章 祈りの美、祈りの形
遮光器土偶。縄文時代のアイコンの一つ。全身を覆うような文様と、独特のプロポーション、巨大なゴーグル、頭飾り?。時代を超えたような造形感覚。
人形装飾付有孔鍔付土器。外側に貼りついた人形が可愛い。
第6章 新たにつむがれる美
近代作家による「縄文」の発見。
遺跡等の博物学的視点をスパッと切り、6点の国宝縄文土器を中心に、美に絞った構成が意欲的。