2017年10月31日
●2017年10月の鑑賞記録
10/1
窓学10周年記念 窓展「窓から見える世界」@スパイラル
吹抜けに設置されたレアンドロ・エルリッヒ《Window and Ladder - Too Late to Ask for Help》はとても見栄えする。
それ以外はギミック倒れな感じで、「ニッチな視点から掘り下げて、面白さの鉱脈に至る」ことを期待させるけれども、そこまでは到達しなかったように思えた。
10/4
驚異の超絶技巧!@三井記念美術館
2014年開催の「超絶技巧!明治工芸の粋」に現代アートを加えた続編。自在置物の動画も増えて、パワーアップ!なのだけれども、明治vs現代を期待しすぎて少々肩透かし。冒頭と終盤に現代も並べて、本編はあくまで明治。前回との重複作もあり、鮮度は落ちる。
10/7
〇特別展「運慶」@東京国立博物館
運慶仏&その後継仏を一堂に集めたall about UNKEI 展。ひたすら像を林立させる割り切りの良さが素敵。口をへの字に結ぶ不動様や表情豊かな十二神将。可愛らしい鹿に犬。出前一丁&廊下に立ってなさい罰ゲーム的な鬼。既に4重人垣状態で落ち着いて観ることは叶いませんが、夜店をそぞろ歩くような楽しさに満ちた展示は必見。
10/15
〇日本の家展@東京国立近代美術館
1945年以降の建築と暮らしを13の系譜で辿る。正確には、序章的3章と、建築家が時々の社会と向き合い設計した住宅を、批評的視点から分類する10章の2段構成。中身は建築雑誌のダイジェストのようで、系譜というほどでは?と思える。新規映像が良かった。
系譜3. プロトタイプと大量生産。建築家とメーカーの結論として、建築家がつくるべきは「批評性を持つ特殊解」としつつ、箱の家と無印良品の関係を追記する。建築家のアイデアがマスプロダクトに反映されて一矢報いた?上手く使われてる?そこが気になる
系譜8. 感覚的な空間/中山英之 O邸。ジオラマのような模型とイメージスケッチの数々。どんなシーンを作ろうか、ワクワクする気持ちが伝わってくる。プロセスを楽しむプレゼンが上手。
系譜9. 町家:まちをつくる家/安藤忠雄 住吉の長屋。の向こうに、系譜10.すきまの再構築/西沢立衛 森山邸。見る分には素晴らしいが、住むのは大変そう。でも、それが豊かさに繋がるのかも。
系譜11. さまざまな軽さ/長谷川豪 経堂の住宅。外観のシンプルかつ厳格さと、意外に柔軟に暮らす映像の対比が良かった。
◎安藤忠雄展@国立新美術館
新美開館10周年を記念した、初の建築展。オーディオガイドも安藤さんで、光の教会の原寸再現等、サービス精神満点。人の入りも上々。内容は、バブル期にセゾン美術館等でバンバン開催された安藤展のアップデート版+超スパルタな部分をサラッと流した感じ。図面が最大の見所。
10/22
パリ♡グラフィック展@三菱一号館美術館
19世紀末パリ、版画・ポスターがアートへと発展する。その軌跡を、ファン・ゴッホ美術館と三菱一号館美術館のコレクションを通して辿る。当時の音楽を流し、ロートレック、ヴュイヤール、ヴァロットンらの作品を観つつ、当時のパリを散策するような前半展示が素敵。ボナールのファクシミリ本を、ページをめくって鑑賞できるのも良い。
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