2017年05月01日
●特別展「快慶」@奈良国立博物館
奈良国立博物館で開催中の特別展「快慶 日本人を魅了した仏のかたち」を観ました。
私は京都で生まれ大阪で育ち、奈良に親戚がいたので、「東大寺 南大門 仁王像」は何十回と観てきた景色です。その造像の指揮を執った運慶と快慶の名はその一部。何度かまとまった展示を観る機会のあった運慶に比べて、快慶は不思議とその機会がなく、今回は待望の展覧会です。
第1章 後白河院との出会い
入って左手に快慶最古の作例《弥勒菩薩立像》、右手に醍醐寺《弥勒菩薩座像》。若き日の作例と言いつつ、金泥の肌に截金紋様も残る状態の良さは、仏様が顕現したよう。
妙法院《後白河法皇像》。絵巻マニアに続き、こちらでも大活躍。
悲田院《阿弥陀如来座像》。薄衣をまとう、柔らかな造形に見惚れる。
勝龍寺《菩薩立像》。若々しくはりのある体躯に、思わず「美しい」と声がでる。
清水寺《千手観音坐像》。奥院の秘仏だそうで、こんなところにも快慶。
第2章 飛躍の舞台へ-東大寺再興-
浄土寺《重源上人坐像》。俊乗堂像のうつし。上手い。
金剛峰寺《広目天、多聞天》。東大寺大仏殿四天王像のひな型か。極端に下を見下ろす視線は説得力あり。
東大寺《僧形八幡神坐像》。あまりに精気があり、おそろしい。
第4章 勧進の形-結縁合力による造像-
遺迎院《阿弥陀如来立像》。1万2千人の結縁で造られた像。権力だけでなく、新興宗教とも結びつく。運慶の工房と合わせれば、クラーナハを思わせる。
八葉蓮華寺《阿弥陀如来立像》。大阪と奈良の県境にある快慶像。手広い。
第5章 御願を担う-朝廷・門跡寺院の造像-
第6章 霊像の再生-長谷寺本尊再興-
最大の後ろ盾、重源を失ってなお、快慶の活躍は続く。
長谷寺《十一面観音像》は失われたが、その同材を用いた長快《十一面観音立像》から、その姿が偲ばれる。
あまりに素晴らしくて見惚れているうちに、あっという間に閉館。2時間でギリギリ、あと30分欲しかった。
展示室を出ると、東大寺南大門仁王像の原寸大タペストリーがお出迎え。快慶展は東大寺へと続きます。
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