2017年03月31日
●大英自然史博物館展@国立科学博物館
国立科学博物館で開催中の大英自然史博物館展を観ました。
会期初頭から平日でも整理券配布しているとのことで、金曜日の夜間開館を狙って出かけました。雨の夜だったせいもあってか、待ち時間なく入館。音声ガイドも借りて、準備万端。
序章 自然界の至宝~博物館への招待~
ブラシュカ(父子)によるガラス模型。生物が生きていた時の色彩を保存するために作られた、ガラス製のタコの模型。
自然史博物館って何?という観客の疑問に、大判の鳥の絵、呪われた宝石、交尾中に化石化した三葉虫、キリンの頭の剝製といったインパクトある至宝の品々が並びます。
1章 大英自然史博物館の設立
古代エジプトのネコのミイラ。博物館設立の立役者を時系列順に紹介。医師であったり王であったり、地位と財力を持ち、博物品収集に情熱を燃やした人々。その多岐多彩に渡る収集品は、リチャード・オーウェンの働きかけにより、大英自然史博物館の創建へと結実。そのオーウェンの収集物の一つ。
2章 自然史博物館を貫く精神
ウィリアム・スミス『イングランドとウェールズ及びスコットランドの一部の地層の描写図』、『ウィルトシャーの地質図』。蒸気機関の発明により、石炭需要が飛躍的に増加した時代。地層の新旧関係や化石に基づいた地層の対比により作成された、世界初の地質図。その画期的な成果にもかかわらず、下層階級出身のスミスは不遇の時代を過ごす。
ダーウィン『種の起源』手稿 本能についての章の1ページ。裕福な家庭に生まれ、生涯定職に就かず、博物学に興味を持つ。若き日のビーグル号航海で得た成果の数々。種の始まりに関するライバル、アルフレッド・ウォレスからの手紙。そして、進化論”種の起源”の発表。
始祖鳥。種の起源発表後わずか2年後に発見された、最古の鳥類化石。『恐竜と鳥類が進化的につながっている』とする進化論の中心的存在。後に石の中に頭の化石が埋もれていることが発見され、羽毛をめぐる議論も含めて、現代においてもキーストーン的役割を果たす。
3章 探検がもたらした至宝
裸子植物の葉化石グロッソプテリス。悲劇の南極探検隊スコット隊の標本採集成果の一つ。大陸移動の証拠かつ、南極がかつては緑で覆われていたことを物語る。
4章 私たちの周りの多様な世界
コガシラクワガタ、ツノをもったハエ、プラチナコガネ、ミイロタテハ。偉大な発見の歴史は3章で一区切り。4章は身の回りの世界に目を向けます。金属のような光沢を放つ、プラチナコガネ等、昆虫の数々。
サーベルタイガー。絶滅した種の化石、剥製等。異様に大きな犬歯が特徴のサーベルタイガー。
5章 これからの自然史博物館
マントルの捕獲石。地球の表皮:地殻の奥のマントルの捕獲石。世界の秘密に迫るアプローチの一つ、地球そのものの物性解明の手掛かり。
世界が秘密に満ちていた時代に、その秘密を解き明かさんと挑んだ先人たちの挑戦と成果の記録。そして、その挑戦はこれからも続く。
来客層は、子供連れとカップルと個人が1/3づつといった感じ。特に目立つのは、目を輝かせる子供たち。そこが、さすが科博の展示と思いました。
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