2015年11月07日

●鴻池朋子個展「根源的暴力」@神奈川県民ホールギャラリー

 神奈川県民ホールギャラリーで開催中の鴻池朋子個展「根源的暴力」を観ました。

 鴻池朋子といえば、溢れんばかりのイメージを「童話」というフォーマットに落とし込み、2D、3Dを問わず超高精度で出力する、驚くほど制作能力の高い作家というイメージを持っています。2009年にオペラシティで開催された「インタートラベラー展」はその集大成のような内容で、圧倒されました。以降は足が遠のいていましたが、久々の個展体験に期待が高鳴ります。

 タイトルは「根源的暴力」。童話的フィクションとはおおよそ正反対の、生々しく野性的な響きです。冒頭は一度アートから遠ざかり、再び回帰してきた作家のモノローグ。そして他者との対話を通して立脚点を見いだし、創作活動へとつなげていく作品群。フィクション性は薄れ、よりシンプルに、より深く心に届いてくるように感じられます。
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 圧巻は最終展示室。本展で多用される皮をつないだ表現が巨大化して展示室壁面を覆い、その下部に設けられた裂け目をくぐって入室します。そして振り返り、皮に施されたドローイングと対面します。天井の高い室内には階段が設けられ、様々な高さ、位置から巨大ドローイングを鑑賞することが出来ます。室内各所に設けられた展示を観つつ、壁画のようなドローイングと向かい合い言葉を失います。

 まずは観る。その価値がある展示だと思います。

Posted by mizdesign at 2015年11月07日 22:40
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