2015年02月10日
●熱海ツアーその3 特別展「燕子花と紅白梅 光琳アート 光琳と現代美術」@MOA美術館
尾形光琳没後300年を記念して、「燕子花図屏風」と「紅白梅図屏風」が並び立つ!会期はそれぞれの所蔵元で、1か月づつ。メインテーマは同じですが、展示構成は全く異なります。1ヶ月なんてあっという間。会期最初の週末に、いざMOA美術館へ。
注:展示室の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
□光琳の名品
会場に入ると、「燕子花図屏風」と「紅白梅図屏風」が向かい合います。両作品が一堂に会するのは56年ぶりとのことで、まさに歴史的邂逅。
須田悦弘「梅」。「紅白梅図屏風」の足元に、絵からこぼれたように梅の花。実は現代アート作家、須田悦弘さんの木彫作品です。普通に見過ごしそうで油断できません。
□光琳100年忌
時代が100年下ります。酒井抱一が光琳100年忌に際して編纂した「光琳百図」所載の作品中心に構成。私淑でつながる琳派ならではの時系列。
□光琳200年忌
時代がさらに100年下ります。光琳200年忌は三越呉服店が中心となって開催。「光琳画聖二百年忌記念 光琳図録」に掲載された作品が並びます。時代を超えて愛され続ける尾形光琳と、その仕掛側の変化も興味深いです。
□光琳を現代に生かす
時代はさらに下って、近代へ。日本美術院を中心に、光琳芸術の影響がうかがわれる近代現代作家の絵画工芸を紹介。個人的には神坂雪花、福田平八郎の一角に釘付けです。
神坂雪花「杜若図屏風」。琳派の意匠を継承しつつ、装飾性を高める。
福田平八郎「花菖蒲」、「漣」。「燕子花」の面的構成を、斜め上方から捉える構図、波の煌きのみを描くフレーミング。大胆な取り組みと、画面から感じられる静けさに惹き込まれます。
□現代アート
そして300年忌は現代アートとの邂逅。日本美術を基盤に、世界的に活躍する現代アーティストの作品が並びます。時代を超えて、現代にもこれほどの影響を及ぼす光琳アートの凄さを再認識。
杉本博「月下紅白梅図」。本展のために撮り下ろしたプラチナ・パラディウム・プリント作品。階調表現豊かな手法だそうです。一目見て、画面から匂い立つような芳香が感じられる様は圧巻。白黒画面を月下に例える見立ても素晴らしい。
会田誠「美しい旗」、「群娘図'97」。離れて観たときの画面の美しさと、近づいて観たときの世俗性及び題材とのギャップ。その両面性が会田絵画の魅力。構図的な関連性は明白、風俗性はどうなんだ?と思いつつも、視覚的に楽しいので結果オーライという感じ。
「燕子花図屏風」と「紅白梅図屏風」。個別には何度も観、その度に思い描いた両雄並び立つ眺め。その夢が眼前に。感無量です。正直なところ、向かい合わせでなく横並べで観たいところですが、夢の続きは根津美術館へと持ち越します。会期は短いですが、必見の展示です。
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