2013年12月29日
●キーワード2013
今年のアート・建築・街関連を三つのキーワードで振り返ってみます。(過去ログはこちら)
今年は諸事情により、5月以降は展覧会に出かける機会が大幅に減りました。
そのせいか、感想軸もかなりあやふや。そんな一年でした。
□『更新する』
これまで定説だと思っていた事柄が、緻密な調査と大胆な構成で上書きされる。知的好奇心が刺激される醍醐味。
・「狩野山楽・山雪@京都国立博物館」
山楽・山雪絵画の濃厚な美を全面に押し出し、その背景を2007年「狩野永徳展」からの継承と若冲・応挙・蕭白への前ふりで構成する。ビジュアルとストーリー性のダブルインパクトに圧倒されました。
・「円山応挙展@愛知県美術館」(前期)、(後期)
江戸絵画の変革者「円山応挙」の立ち位置を明確にしつつ、大乗寺襖絵の自然光再現展示でその絵画世界の実体験にも迫る。両面構成がピタリと決まった満足度の高い展示でした。
・「夏目漱石の美術世界展@東京藝術大学大学美術館」
作家の目を通して、当時の世界をのぞく。その一端を実感できるポイントが何箇所かあって、引き込まれました。その企画力に脱帽。
□『横断する』
アート・建築・街等の領域を横断するイベント、展示が今まで以上に意欲的に開催された一年でした。それを手放しで喜ぶか、安易な手段として使われすぎかは気になるところ。
・「OpenSky3.0@3331Arts Chiyoda」
ナウシカから発した飛翔装置を真面目に作ってしまう発想と行動力とその成果に大興奮。
・「吉岡徳仁-クリスタライズ@東京都現代美術館」
徳仁ブランド+素材+詩的ストーリー=すごい。と同時に警戒心も感じます。
・「アントニオ・ロペス展@Bunkamura ザ・ミュージアム」
眼に映るイメージをカンバスに映し出す。その魔術的な魅力。
・「山口晃展 付り澱エンナーレ~老若男女ご覧あれ~@横浜そごう美術館」
展覧会二つ(一つは未見。。。)に文学で小林秀雄賞受賞、トークショーで引っ張りだこと、とどまるところを知らない山口晃画伯の大活躍。
・ここに、建築は、可能か@TOTOギャラリー・間
伊東豊雄「あの日からの建築」を読むことで、本展の感想は一層深く。建築は災害復旧時に何ができるのか?社会と建築の関係に取り組む記録。
□『エンターテイメントする』
今年は「プロジェクションマッピング」、「4K映像」といった新技術を取り込んで、エンターテイメント性を高める試みが多くありました。技術的な凄さに感嘆する一方で、話題づくりに都合の良い飛び道具という面も感じもしました。
・「京都 洛中洛外図と障壁画の美@東京国立博物館 平成館」
「京都でも見ることのできない京都」を殺し文句に、「洛中洛外図屏風」勢揃いを始め、作品も技術も総動員。ただ実際に観るとガランとしていて空虚な感じがしました。
・「天上の舞 飛天の美@サントリー美術館」
演出性に優れた箱で観る、飛天の歴史と平等院「雲中供養菩薩」。模刻像と結縁できる配慮が嬉しい。間近で観る飛天像の活き活きとした表情も観て楽しい。
・デザインあ展@21_21 DESIGN SIGHT
デザインは楽しい。観て楽しい、遊んで楽しい。
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こんにちは。毎年恒例、ミズさんならではの切り口、楽しく拝見しました。
企画の漱石、エンターテイメントの京都。語り草になるかもしれませんね。
>「山口晃展 付り澱エンナーレ~老若男女ご覧あれ~@横浜そごう美術館
館林へも是非!
今年もお世話になりました。それでは良いお年をお迎え下さいね。
はろるど様>
年明け早々に館林行ってきました。
やはり美術館で観た方が落ち着いて良いですね。
本年も宜しくお願いします!