2013年11月20日
●ターナー展「ブロガーイベントwith スペシャルトーク」@東京都美術館
東京都美術館で開催中の「ターナー展」。その「ブロガーイベントwith スペシャルトーク」に参加しました。
□トークショー
スペシャルゲスト
・鈴木芳雄さん (元BRUTUS副編集長 フリーランス編集者、美術ジャーナリスト 愛知県立芸術大学客員教授)
・結城昌子さん (アートディレクター、エッセイスト)
・司会 朝日新聞 担当者の方
司:平日4千人、休日6千人、これまでに16万人の方に観ていただいた。
結:若い頃から晩年まで一気に観れる。目のご馳走。良い絵を観ると、目がニコニコする。初めてターナーを観たのはパリ。ものすごい大きなターナー展で満員電車状態の中、一つも見逃すまいと観た。観た後で気分が悪くなって、何でだろうと考えた。空気にも表情がある。動いている。ターナーの空気があまりにも動いていて、ターナー酔いしたと思った。
鈴:初めて観たのはロンドンのテートギャラリー。イギリス人が一番自慢する画家という印象。今回、彼の画業を通して観られるのは貴重。
結:「遊んでアーティスト」という連載でターナーを取り上げたら、一番多くの応募作があって驚いた。
鈴:本展の交通広告を担当させてもらった。作品トリミング自由、文字載せ自由でコピーライター冥利に尽きる。
司:今回はおそらく美術館で初めての「街コン」も開催。若い人にも美術館にきてもらいたい。
□自由内覧
注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影されたものです。
展示はLBF、1F、2Fの3フロアに渡る全10章から成り、時系列順にターナーの画業を紹介します。
I.初期|BEGINNINGS
「ターナーの自画像」。親の営む理髪店の店頭で数シリングで水彩画を販売されたといったエピソードを交えつつ、初期作品を紹介。
II.崇高の追求|IN PURSUIT OF THE SUBLIME
「グリゾン州の雪崩」(左)。26歳でロイヤル・アカデミー正会員となり、早くも後世のターナーのイメージに連なる、絵になる構図、光の表現が登場。さらにあえてデフォルメすることで、自然の荒々しさ、恐怖感を追求する。
「トゥイード川と湖」スケッチブック。絵画だけでなく、ターナーが実際に使用したスケッチブック、絵具(VI章に展示)等を合わせて展示することで、絵画制作の臨場感が伝わります。
エスカレーターで1Fに上がると、作品のトーンが一段と華やかに。
IV.イタリア|ITALY
「レグルス」(左)。空間を満たし、画面を覆い尽さんばかりの光。危ういバランスを見事に制御して、大気と光の世界が広がる。
VI.色彩と雰囲気をめぐる実験|EXPERIMENTS WITH COLOUR AND MOOD
画家の実験的試みを紹介。「えっ、これも公開するの?」という画家の苦笑いが見えるよう。
「三つの海景」。前衛的な三つの景の重なり。研究に余念のない画家の視線。
2Fに上がると、いよいよ展示はクライマックス。
X.晩年の作品|THE FINAL YEARS
大気と光が溶け合い、色彩の鮮やかさ増す画面。
「平和-水葬」(中)。色彩鮮やかな周辺作と対照的に、黒い船体を中心に据える異色作。当時は酷評に晒されたというアグレッシブさが、現代の目に映えます。
見応えある大作がズラリと並び、創作の息遣いを感じられる絵の具、スケッチブック。実験的表現といった舞台裏も合わせて公開。ターナーの画業を初期から晩年まで通して通観できる、またとない機会です。
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