2013年07月06日
●プーシキン美術館展 夜間特別観覧会@横浜美術館
横浜美術館で開催中の「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」。その夜間特別観覧会に参加しました。
□ミニレクチャー
講師:松永 真太郎 (主任学芸員)
本来は2年前に開催予定だった。
作品がロシアを出発する4日前に東日本大震災及び原発事故が起こり中止になった。
準備が95%終わっていたので、1年後でも2年後でも開催したいという関係者の努力により、今回の開催となった。
プーシキン美術館は65万点のコレクションを持つ。
フランス文化に憧れ続けたロシア王侯貴族、裕福な市民によって収集された。
今回は選りすぐりの66点で構成。47点が日本初公開。
人物画を多く選んだので、描き方の変遷にも注目してもらいたい。
※本エントリーに使用している会場写真は、夜間特別内覧会の為、特別に許可がおりました
□夜間特別内覧会
第1章 17-18世紀―古典主義、ロココ
ニコラ・プッサン「アモリびとを打ち破るヨシュア」。
旧約聖書を題材に、ダイナミックな構成と重厚な描写に惹き込まれます。
フランソワ・ブーシェ「ユピテルとカリスト」。
ローマ神話を題材に、甘く官能的な美に酔います。
第2章 19世紀前半-新古典主義、ロマン主義、自然主義
ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル「聖杯の前の聖母」。
素晴らしく美しい聖母と、厳格な三角形構図。輪郭をぼかした聖母の神々しさは圧巻。
第3章 19世紀後半―印象主義、ポスト印象主義
クロード・モネ「陽だまりのライラック」。
神々の細密描写の世界から、光の点描の世界へ。人の目に映る自然の姿が劇的に変化します。
ピエール=オーギュスト・ルノワール「ジャンヌ・サマリーの肖像」。
ピンクの背景に荒々しいタッチの描写。しかし、そこに確かに微笑む彼女が息づいています。時間の流れを塗り込めたような作品。
第4章 20世紀―フォービズム、キュビズム、エコール・ド・パリ
パブロ・ピカソ「マジョルカ島の女」。
的確な人物描写と美しい青。
アンリ・マティス「カラー、アイリス、ミモザ」。
美しく大胆な色彩と構成。
展覧会は4部構成。17世紀から20世紀までを通観します。
また、コレクション形成の礎となった王侯貴族・富裕市民コレクターにも焦点を当てます。
古典主義から20世紀まで、人物の描き方(捉え方)の変遷を辿る縦糸と、コレクションの成り立ちを辿る横糸から成る構成。「観る」楽しみと「通観する」楽しみの一粒で二度美味しいグリコ型展示です。
□開催概要
朝日新聞創刊135周年記念・テレビ朝日開局55周年記念
プーシキン美術館展 フランス絵画300年
Masterpieces of French Paintings from the State Pushkin Museum of Fine Arts, Moscow
会期:2013年7月6日(土)~9月16日(月・祝)
会場:横浜美術館(横浜市西区みなとみらい)
http://www.yaf.or.jp/yma/index.php
主催:横浜美術館、朝日新聞社、テレビ朝日、プーシキン美術館、ロシア連邦文化省
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mizdesign.com/mt/mt-tb.cgi/1010