2013年04月02日

●円山応挙展(後期)@愛知県美術館

 愛知県美術館で開催中の「円山応挙展 -江戸時代絵画 真の実力者-」も後期に入りました。いよいよ「藤花図屏風」が登場する初日に再訪しました。(前期の感想はこちら。)

 春休みのせいか午前中から人出が多く、ガラスケース前は二重の人垣で盛況。特に「眼鏡絵」は観るのに少々気合いが必要です。
 「松に孔雀図襖」。明けの青みある光が徐々に強くなって、孔雀の青味、松の緑味が感じられる。やがて日が暮れて赤みが増す中、孔雀は墨の黒に戻り、暗転する。そして再び日が昇る。調光がスムーズになって、これだけでも再訪する価値あり。朝夕12時間ほどの光の変化を3分に凝縮した調光は、言い換えると240倍速早送り。その体験は愛県美でしか体験できない点が最大のポイントかも。重要文化財とコラボレーションする、もの凄く贅沢なインスタレーション展示。
 「藤花図屏風」。通路の奥に見えて期待が高まる。ただ近づくと「ん?」と思う。根津美術館で観た時の、輝かんばかりの金地に薄墨が這い、花房の精緻な描写に見入った時と少し違う。展示ケースの奥行の制限か、上下にある照明の光が回りきらず、中ほどがちょっと暗い。同じく金地の「富士巻狩図屏風」は違和感ないので、「藤花図屏風」固有の問題かも。多分、薄墨が影に溶け込み気味で、その効果が幾分か減じられたのかと。

 京博の「狩野山楽・山雪展」を観た後だと、虎の描写やカワイイ系描写に時系列的な奥行きが増します。会期も残すところあと2週間。必見の後期展示です。

Posted by mizdesign at 2013年04月02日 23:01
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