2013年04月30日
●4月の鑑賞記録
4/2
円山応挙展(後期)@愛知県美術館
松に孔雀図襖。明けの青みある光が徐々に強くなって、孔雀の青味、松の緑味が感じられる。やがて日が暮れて赤みが増す中、孔雀は墨の黒に戻り、暗転する。そして再び日が昇る。調光がスムーズになって、これだけでも再訪する価値あり。
4/7
ルーベンス展@@Bunkamura ザ・ミュージアム
2回目の鑑賞。画家として政治家として父親としての成功物語に溜息。
奇跡のクラーク・コレクション展@三菱一号館美術館
2回目の鑑賞。粒揃いな色彩の共演。
4/13
○牧野邦夫展内覧会@練馬区立美術館
人や動物の幻視で埋め尽くされた世界を背景に、自画像、邪保、裸婦像といった題材が繰り返し描かれる。強烈な自己愛と内面世界への執心が画面に横溢する。特に二階の黒壁コーナーは濃い。
4/19
○【木材会館、ホキ美術館、ソニーシティ大崎を通して考えたこと】山梨知彦@日本建築家協会(JIA)建築家クラブ金曜の会 トークイベント
見事に満席の場内。「今、建築を生み出す技術に変革が起きようとしている」という前説。デジタルトレーシングペーパー=BIMを駆使して、パラメーターを切り捨てることなく設計する手法論から展開される近作3作の紹介。刺激に富んだ内容でした。
4/20
江戸の女子力@太田記念美術館
江戸時代でも女性は化粧•買い物、化粧•買い物。浮世絵の中で反物を広げて嬉しそうな顔をしている女性達は現代の原宿にいる買い物客の女性と同じですね。
4/23
◎「国宝 大神社展」ブロガー内覧会@東京国立博物館
その1、 その2→ 。神の成り立ちから、名宝、神像のオンパレードまで。何はともあれ上野にGo!
4/27
○貴婦人と一角獣展@新美術館
巨大なタピスリー6点を中心に据えた潔い構成。神秘的な貴婦人と一角獣とライオン、濃密な画面に点在するアクセサリー、小動物たちも楽しい。
○LOVE展@森美術館
アーデル・アービディーン「愛を確実にする52の方法」のインストールを試みました。うーん…OSが違うみたいです。
2013年04月24日
●「国宝 大神社展」ブロガー内覧会@東京国立博物館 平成館 その2
その1からの続きです。
※会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
第6章 神々の姿
彫刻史研究員 丸山士郎氏のギャラリートーク
「獅子・狛犬」滋賀・若松神社。狛犬がお出迎え。
「隋身立像」岡山・高野神社。矢をつがえる像と、弓をひく像。腕まくりをする姿に人間らしさが感じられるところが、仏像との違い。
「女神坐像」京都・松尾大社。神像の最初期は9世紀。吉祥天だがこわい顔つき。肌は白く塗った後があり女性らしさの表現も。
「男神坐像」京都・松尾大社。名前の分かる貴重な例。怖い顔。服装は当時の貴族。髭を一本一本書いている。人間みたいだけれども人間ではない神々しさを表す。
「女神坐像」京都・東寺。のぺーっとして目や眉も細い。人間と同じ肉体を持つ。
「男神坐像(伝武内宿禰)」京都・東寺。上半身裸なのは、以前は衣服を着せていたのでは?
10世紀に入ると大きな像が作られなくなる。拝殿の中に祀られるようになり、寺院のお堂に比べて建物が小さいので、像も小型化した?
神像は衣のひだを作らない。目を表さない。簡潔な表現。
「男神坐像」京都・大将軍八神社。金色で神を表す珍しい例。
「武装神坐像」京都・大将軍八神社。たれ目。人間をモデルにした表現。
「童子形坐像」京都・岩清水八幡宮。子供形の像も作られた。
「武装神坐像」奈良・勝手神社。平安時代の甲冑を忠実に写す。貴重な資料。
「男神坐像」「女神坐像」「童子坐像」広島・南宮神社。像が定型化した時代だが、皺の表現で年齢差を表す。非常にユニーク。
「小丹生之明神 和加佐国比古神(男神坐像)(女神坐像)」福井・若狭神宮寺。鎌倉時代に入って、非常に写実的な表現。
神の成り立ちから、名宝、神像のオンパレードまで。普段見られない部分をギュウギュウに凝縮した世紀の展示です。おそらく二度と観る機会はないと思うので、何はともあれ上野に出かけることをオススメします。
2013年04月23日
●「国宝 大神社展」ブロガー内覧会@東京国立博物館 平成館 その1
上野の東京国立博物館平成館で開催中の「国宝 大神社展」。そのブロガー内覧会に参加しました。
※会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
普段は社殿の奥に秘蔵され、見ることの出来ない神像と伝世の名品。
選りすぐりの名宝が一堂に会する驚きの展示。
奥を透かしながら蛇行する動線が期待を高めます。
第1章 古神宝
神々がお召しになった服飾・調度・武具類がズラリと並びます。
衣類のように傷みやすいものが、南北朝時代からほぼ完品として伝わっていることにビックリ。
第2章 祀りのはじまり
考古研究員 井上洋一氏のギャラリートーク 前編
何故考古品を出すのか?文字のない時代に、我々の先祖が何をどう考えていたのかを知るため。
旧石器時代から並べたかったが、却下された。
信仰思想を辿れるのは縄文時代から。思想の背景として狩猟採集中心なことが大切。多くの恵みが自分の下に集まりますようにという祈り。万物に精霊が宿る。
ところが、弥生時代に入って、自然を変えること=農耕を覚える。自然への挑戦。同時に自然への恐れも忘れない。豊穣、子孫繁栄を祈る。
古墳時代に入って古代国家が形成され、国家の神祀りが始まる。
ここまでが序。
山の神、海の神。山は信仰の対象。恵みと同時に噴火等の災いをもたらす。災いを避けるために祀りを展開。遠くから遥拝する。
石、岩は堅固=永遠。神が住まう思想は縄文時代からか?
「山ノ神遺跡出土品」。臼と杵で米を脱穀、篩にかけて、柄杓で水を入れて醸す。お酒造りを再現。酒と山ノ神の関連。
「子持勾玉」。勾玉の霊力をパワーアップ?
「金銅製心葉型杏葉」。唐草模様に鳥人。国家繁栄のため安全なる海上交通を願って、神に捧げる。
第3章 神社の風景
壁面にズラリと曼荼羅、絵巻を並べ、通路部は島型ガラスケース、透過スクリーンで見え隠れする存在感を演出。
第4章 祭りのにぎわい
「日吉山王祇園祭礼図屏風」伝土佐光茂。祭りといえば、この屏風。屏風の優品を多数擁するサントリー美術館コレクションの中でもひときわ記憶に残ります。今回は上野まで出張展示。
「沃懸地螺鈿金銅装御輿」和歌山・鞆淵八幡神社。国宝の御輿。1228年に岩清水八幡宮から奉送されたとあるので、実に800年近く前の祭りを直に伝えるタイムカプセル。
第5章 伝世の名品
「直刀 黒漆平文太刀」茨城・鹿島神宮。
長大な直刀のボリュームと、シャープな背景照明の対比が美しい。
「七支刀」奈良・石上神宮
考古研究員 井上洋一氏のギャラリートーク 後編
教科書でお馴染みの「あの刀」。名前は忘れても、他に類を見ない独特の形態は見覚えがあるはず。
ご神体にも匹敵するその重要性ゆえに、実物はおろか、複製が公開されることも滅多にない。
なぜ横向きに展示しているのか?実は三つ目の枝あたりで折れており、傷んでいる部分に負担をかけないため。
金象嵌で61文字書かれているが、どう読むかの統一見解はまだない。大意は
「太和4年の吉日に上質の鉄を用いて造った。
この刀は多くの敵兵を退ける力があり、侯王にふさわしい。
未だこのような刀は百済にはなかった。
百済王・・・倭王のために造り、後世に伝えられるように。」
当時の複雑な東アジアの情勢が伺える。
5/6までの展示予定だったが、所蔵先の好意により5/12まで延長された。この貴重な機会をお見逃しなく!
その2に続きます。
2013年04月02日
●円山応挙展(後期)@愛知県美術館
愛知県美術館で開催中の「円山応挙展 -江戸時代絵画 真の実力者-」も後期に入りました。いよいよ「藤花図屏風」が登場する初日に再訪しました。(前期の感想はこちら。)
春休みのせいか午前中から人出が多く、ガラスケース前は二重の人垣で盛況。特に「眼鏡絵」は観るのに少々気合いが必要です。
「松に孔雀図襖」。明けの青みある光が徐々に強くなって、孔雀の青味、松の緑味が感じられる。やがて日が暮れて赤みが増す中、孔雀は墨の黒に戻り、暗転する。そして再び日が昇る。調光がスムーズになって、これだけでも再訪する価値あり。朝夕12時間ほどの光の変化を3分に凝縮した調光は、言い換えると240倍速早送り。その体験は愛県美でしか体験できない点が最大のポイントかも。重要文化財とコラボレーションする、もの凄く贅沢なインスタレーション展示。
「藤花図屏風」。通路の奥に見えて期待が高まる。ただ近づくと「ん?」と思う。根津美術館で観た時の、輝かんばかりの金地に薄墨が這い、花房の精緻な描写に見入った時と少し違う。展示ケースの奥行の制限か、上下にある照明の光が回りきらず、中ほどがちょっと暗い。同じく金地の「富士巻狩図屏風」は違和感ないので、「藤花図屏風」固有の問題かも。多分、薄墨が影に溶け込み気味で、その効果が幾分か減じられたのかと。
京博の「狩野山楽・山雪展」を観た後だと、虎の描写やカワイイ系描写に時系列的な奥行きが増します。会期も残すところあと2週間。必見の後期展示です。
2013年04月01日
●4月の桜 清水寺-円山公園-賀茂川-京都御苑
明けて4月1日の朝。満開の桜を追いかけて、朝の京都をランニング。
茶碗坂を再度上って清水寺へ。すでにけっこうな数の観光客。境内から眺める京都市街。
産寧坂を抜けて丸山公園へ。昨晩の喧騒と打って変わって静かな朝。おじさんたちがラジオ体操中。
四条から丸太町まで賀茂川沿いに移動。阿国歌舞伎もこの辺で興行したのだろうか。
京都御苑をぐるりと一周。宿舎に戻って、新年度初日が始まります。