2013年04月23日
●「国宝 大神社展」ブロガー内覧会@東京国立博物館 平成館 その1
上野の東京国立博物館平成館で開催中の「国宝 大神社展」。そのブロガー内覧会に参加しました。
※会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
普段は社殿の奥に秘蔵され、見ることの出来ない神像と伝世の名品。
選りすぐりの名宝が一堂に会する驚きの展示。
奥を透かしながら蛇行する動線が期待を高めます。
第1章 古神宝
神々がお召しになった服飾・調度・武具類がズラリと並びます。
衣類のように傷みやすいものが、南北朝時代からほぼ完品として伝わっていることにビックリ。
第2章 祀りのはじまり
考古研究員 井上洋一氏のギャラリートーク 前編
何故考古品を出すのか?文字のない時代に、我々の先祖が何をどう考えていたのかを知るため。
旧石器時代から並べたかったが、却下された。
信仰思想を辿れるのは縄文時代から。思想の背景として狩猟採集中心なことが大切。多くの恵みが自分の下に集まりますようにという祈り。万物に精霊が宿る。
ところが、弥生時代に入って、自然を変えること=農耕を覚える。自然への挑戦。同時に自然への恐れも忘れない。豊穣、子孫繁栄を祈る。
古墳時代に入って古代国家が形成され、国家の神祀りが始まる。
ここまでが序。
山の神、海の神。山は信仰の対象。恵みと同時に噴火等の災いをもたらす。災いを避けるために祀りを展開。遠くから遥拝する。
石、岩は堅固=永遠。神が住まう思想は縄文時代からか?
「山ノ神遺跡出土品」。臼と杵で米を脱穀、篩にかけて、柄杓で水を入れて醸す。お酒造りを再現。酒と山ノ神の関連。
「子持勾玉」。勾玉の霊力をパワーアップ?
「金銅製心葉型杏葉」。唐草模様に鳥人。国家繁栄のため安全なる海上交通を願って、神に捧げる。
第3章 神社の風景
壁面にズラリと曼荼羅、絵巻を並べ、通路部は島型ガラスケース、透過スクリーンで見え隠れする存在感を演出。
第4章 祭りのにぎわい
「日吉山王祇園祭礼図屏風」伝土佐光茂。祭りといえば、この屏風。屏風の優品を多数擁するサントリー美術館コレクションの中でもひときわ記憶に残ります。今回は上野まで出張展示。
「沃懸地螺鈿金銅装御輿」和歌山・鞆淵八幡神社。国宝の御輿。1228年に岩清水八幡宮から奉送されたとあるので、実に800年近く前の祭りを直に伝えるタイムカプセル。
第5章 伝世の名品
「直刀 黒漆平文太刀」茨城・鹿島神宮。
長大な直刀のボリュームと、シャープな背景照明の対比が美しい。
「七支刀」奈良・石上神宮
考古研究員 井上洋一氏のギャラリートーク 後編
教科書でお馴染みの「あの刀」。名前は忘れても、他に類を見ない独特の形態は見覚えがあるはず。
ご神体にも匹敵するその重要性ゆえに、実物はおろか、複製が公開されることも滅多にない。
なぜ横向きに展示しているのか?実は三つ目の枝あたりで折れており、傷んでいる部分に負担をかけないため。
金象嵌で61文字書かれているが、どう読むかの統一見解はまだない。大意は
「太和4年の吉日に上質の鉄を用いて造った。
この刀は多くの敵兵を退ける力があり、侯王にふさわしい。
未だこのような刀は百済にはなかった。
百済王・・・倭王のために造り、後世に伝えられるように。」
当時の複雑な東アジアの情勢が伺える。
5/6までの展示予定だったが、所蔵先の好意により5/12まで延長された。この貴重な機会をお見逃しなく!
その2に続きます。
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