2013年03月31日
●狩野山楽・山雪@京都国立博物館
第1章 京狩野の祖、山楽
山楽「松鷹図襖」。始まりは永徳「檜図屏風」との対比から。画面中央に巨大な幹が座し、双翼に枝が渦巻状に広がる構成から、両者の関係は明らか。2007年の「狩野永徳展」から6年。その正統続編がいよいよ開幕。
山楽「龍虎図屏風」。「妙心寺屏風」も勢揃い。雲海からニュッと顔を出す龍。斜め線と渦の雲海表現が、後の幾何構成を予感させる。振り返りつつ吼える虎は本物の虎!猫じゃない。牙や歯の描写も細密。豹が雌虎役なのはご愛嬌。
木村香雪「狩野山楽像」。四角く重量感のある面立ちと不敵な眼差し。豊臣から徳川へと移る乱世を生き延びた執念としたたかさを想像させる。
第2章 山楽から山雪へ
山雪筆、山楽監修という位置づけで観る、天球院襖絵。実に22年ぶりの展覧会出品。
山雪/山楽「朝顔図襖」。竹を束ねた垣の精緻な描写、水平垂直な線で平面に空間を畳み込む構成。金地を背に、朝顔の優美な曲線と色彩と絡み合う構図が重奏的で美しい。
山雪/山楽「梅花遊禽図襖」。後の「老梅図襖」へとつながる梅の幹の描写。いよいよ濃厚な京狩野が立ち上がる!
第3章 山雪の造形実験 I - 花鳥と走獣
木村香雪「狩野山雪像」。卵形の輪郭に、神経質そうな目線。学究肌という解説に合点がいく。派の隆盛は江戸狩野に譲っても、その絵の技量はスゴイ。
山雪「雪中白鷺図」。墨絵も上手い。解説の名調子も楽しい。
山雪「龍虎図」。寄り目のちょっと頼りない龍は、蕭白の元ネタを思わせる。前脚を揃えた虎は、カワイイ系の先駆け。(この絵の虎じゃなかったかも。。。)
山雪「竹虎図杉戸絵」。チョコンとたたずむ、カワイイ系虎。剥落が残念。応挙は観る機会があったのだろうか。
第4章 山雪、海外からの里帰り作品と関連作
山雪「老梅図襖」。巨大な幹がググッと鋭角に捻じ曲がりつつ画面を這う。画面上部で幹が画面からはみ出し、一度下に降りて、再びスッと立ち上がる。その凝縮された空間と漲る力感に圧倒される。50年ぶりに「群仙図襖」と表裏合わせて公開というコンセプトのために、展示空間が少々狭い。
山雪「長恨歌図巻」。色彩のあまりの美しさにビックリ。下から照明を当てているように浮かび上がる。解説によると裏彩色とのこと。精緻に描き込まれた人物、建物。驚くほどの保存状態の良さ。上下巻同時展示が嬉しい。ガラスケースに張り付いて、食い入るように観ました(初日夕方なせいか、他に人がいなかった)。超絶のオススメ作品。眼福。
第5章 山雪の造形実験 II - 山水・名所・人物
第6章 山雪と儒教・仏教
第7章 山雪の造形実験 III - 飾りと人の営み
第8章 極みの山雪ワールド
最後にドドンと濃い作品を並べる、駄目押し構成。
山雪「蘭亭曲水図屏風」。山雪お得意の平面内をジグザグに流れる水流に沿って、詩を読む人、食べ物を引き上げる子供たちなど様々な点景が連続する。
山雪「雪汀水禽図屏風」。画面に全体に広がる波紋の立体感と色合いが素晴らしい。工芸品のよう。
こんなに凄い絵師がいたのか!全編見所のものすごい展示。京都限定39日間、行くしかない!
そして特別展示館の右側には、いよいよ新平常展示館が立ち上がってきました。来年春の開館が待ち遠しいです。
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歴史的な展覧会だったと思います。偶然に関西滞在の日だったので、東京から見に行けてラッキーでした。レポは3回に分けて書きました。最終回分をTBします。
とら様>僕も降って湧いた出張に絡めての京博でしたが、行ってビックリのスゴイ展示でした。眼福でした。