2013年03月13日

●ルーベンス展「ブロガー・スペシャルナイト」@Bunkamura ザ・ミュージアム

 Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中のルーベンス展。そのブロガー・スペシャルナイトに参加しました。

注:展示会場の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

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 “ルーベンスのここがすごい!! TBS小林悠アナが宮澤学芸員に直撃取材”
 本物に囲まれて話すのはとても贅沢なこと。小声で話さないといけない。
 宮澤学芸員はルーベンスの活躍したアントワープに10年間ほど住んでおり、ガイドの仕事もしていた。
 フランドルはゲルマンとラテンの食文化の両方が入っていて、とても美味しい。豊かだからこそ奪い合いで戦場になった。
 フランダースの犬はイギリスの作家の作品なので、現地では有名ではない。けれども、日本人観光客が足跡を辿りたがるので銅像を作ってくれた。

 ルーベンスは教養豊かで、外交官のような仕事もした。
 ラテン語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、英語も話せた。
 イタリアに8年間留学した後、母親の危篤を聞いて帰国。イタリア滞在時から活躍しており、ほどなく宮廷画家になった。

 ルーベンスは人物画家。故郷に戻りアントワープに工房を開く。
 宗教改革においてカトリックが挽回を図る時期であり、「キリスト教はこんなにすごいんだぞ」ということを絵にする仕事を手がけた。教会も戦場になり、その復興もあってすごい量の注文を請ける。
 代表作としてルーブル美術館にあるメディチ家の天井画がある。とても一人では書けない。顔はルーベンスが描く。工房作でもルーベンスがチェックしており、質を保っている。人物がちゃんと描いてあるかがポイント。
 工房にはヴァン・ダイクやヨルダーンスといった、後に有名画家になる弟子もいた。

 ルーベンスは人物画家。風景に時間をかけたくなかった。動物も同様。なので専門画家と共同制作を行った。スネイデルスは狩猟画の専門家。あちらの家では死んだ動物が普通においてある。ベルギーに行ってビックリしたのは、豚の頭の半割をラップに包んで売っていること。当時の文化が分かって面白い。

 当時の庶民はルーベンスの作品を観られない。教会に行けば大きな宗教画の傑作は観られた。版画は庶民が観るための手法。ルーベンスは版画の仕上がりにも細かく注文をつけた。上から筆で修正させたものもある。
 ルーベンスは国によっては、絵画を版画にする権利を取っていた。
 ルーベンスの肖像画も大人気。それほど当時のスターだった。

 画家、教養のある人、万能の天才。家族思いの面もあり、若くして亡くなったお兄さんの子供を引き取って育てた。「眠る二人の子供」はその子達を描いたといわれている。一人目の奥さんと三人の子を、二人目の奥さんと五人の子供をもうけた。二人目の奥さんとは彼女が16、7歳のときに結婚している。若い子も一緒にいて楽しいおじさんだったのだろう。

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 イタリア美術からの着想
 右「毛皮をまとった婦人像(ティツィアーノ作品の模写)」
 小林アナが好きな絵に上げた作品。ティッツィアーノの絵を模写しつつ、ハイライトを足し、肉付きも良くしている。この絵の発展形として、後に裸に毛皮を羽織る若奥さんを描いちゃう。太陽のような健康美。

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 「ロムルスとレムスの発見」
 宮澤学芸員が特にブログで書いて欲しい絵として上げた作品。人物表現がすごい。若いときの作品なので、動物も全部自分で描いている。真ん中が空いていて視線がグルグルと動く。構図として上手い。

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 ルーベンスとアントワープの工房
 右「復活のキリスト」
 小物は弟子作?左の天使も?人物はちゃんと描いてある。
 左「ヘクトルを打ち倒すアキレス」
 宮澤学芸員リクエストその2。真ん中の戦闘シーンはルーベンスの筆。勢いがあって良い。上手い絵、惹きこまれる。

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 ルーベンスと版画制作
 「キリスト降架」
 TBSで番宣を作る際に、フランダースの犬に登場する「キリスト降架」が版画になってきていることを伝えるために、原画から版画へとフェードアウトする映像を作ろうとした。ところが実際には版画は左右が反転していて作れなかった。意外とこだわっていない?

 工房の画家たち
 アントーン・ヴァン・ダイク「悔悛のマグダラのマリア」
 小林アナが好きな絵に上げた作品その2。赤い目の水分の盛り上がり。髪の毛の艶感。本物じゃないと分からない。

 専門画家たちとの共同制作

  ルーベンスは美術史に出てきた数少ない天才の一人。彼が作った流れの先にルノワールが乗っている。豊かで力があって、彼なしにバロックは語れない。

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「ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア」
Rubens: Inspired by Italy and Established in Antwerp

会期:2013年3月9日(土)~4月21日(日)
開催期間中無休
開館時間:10:00-19:00(入館は18:30まで)
毎週金・土曜日21:00まで(入館は20:30まで)
会場:Bunkamuraザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/museum/

主催:Bunkamura、毎日新聞社、TBS
後援:外務省、イタリア大使館、オーストラリア大使館、ベルギー大使館、ベルギー・フランダース政府観光局、フランダースセンター
協賛:損保ジャパン、第一生命保険、大日本印刷、三菱商事
協力:アリタリア-イタリア航空、エールフランス航空/KLMオランダ航空
監修:中村俊春(京都大学大学院文学研究科教授)

「ルーベンス展」公式サイト
TBS「ルーベンス展」サイト

Posted by mizdesign at 2013年03月13日 23:39
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