2013年02月09日
●ここに、建築は、可能か@TOTOギャラリー・間
TOTOギャラリー・間で開催中の「ここに、建築は、可能か」を観ました。
「第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」出展に際して、コミッショナー伊東豊雄氏が設定したテーマが「ここに、建築は、可能か」。氏の呼びかけにより3人の建築家-乾久美子氏、平田晃久氏、藤本壮介氏-と、一人の写真家-畠山直哉氏-がこの課題に取り組みます。その過程で作られた膨大な数のスタディ模型が本展3Fの主役です。
プロセス1 [~2012年1月26日]:初期の建設候補地「大隅仮設団地」に対する提案
手法的な模索に終始して、きっかけが掴めない感じ。
プロセス2 [2012年1月27日~2月26日]:2012年1月27日、建設地が「高田町大石」に決定してからの提案。丸太を使った案に収斂していく
ザックリとした模型でイメージを掴む想像力の豊かさと、色々な可能性を模型によってシュミレーションしてゆく手数の多さが印象的。ラフな杉丸太を何本も建てて屋根をドーンと持ち上げる模型は「一つのイメージを共有した瞬間!」と言う感じが伝わってくる気がします。背景に貼られた畠山さん撮影の現地写真も、構想と実空間をオーバーラップさせる媒体として効果的。
プロセス3 [2012年2月27日~]:丸太柱案が決定してからの提案。最終案までさらに議論が続く
建築と通して一つのストーリーを貫徹しようと、積み上げられる検討の数々。
最終案模型[縮尺:1/10]
素材、デザイン、仕上げ等を直に切ったり貼ったりしながら最終決定。三人の意見集約がスムーズだったのも、ここに至る意見交換の賜物だろうと思わせます。背後に並ぶおよそ120点のスタディ模型と添えられたコメントの数々が雄弁に語ります。
中庭にある「杉丸太による構築物」を眺めながら4Fへ。
陸前高田市出身の写真家・畠山直哉氏が撮影した写真による、陸前高田の「みんなの家」のプロセスと、津波被害を受ける前/後の同市の記録展示
上棟式でテラスから餅を振る舞う建築家たちの晴れ晴れとした笑顔が印象的。
本展だけを観ると、「「第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」において「金獅子賞」を受賞した展示」の凱旋展示です。コミッショナー伊東豊雄さんの著書「あの日からの建築」においては、「みんなの家」は「つくること」と「住むこと」の境界をなくそうとする試みであること、さらに行動の原点にとして「建築家は本当に必要とされているのか」という問いかけがでてきます。東日本大震災後の建築に位置づけとして、視野広く捉えたいテーマです。
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