2013年01月29日
●1月の鑑賞記録
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博物館に初もうで@東京国立博物館 本館
2年ぶりに松林図屏風登場も、あまりの人出でまともに見られず。
◎東洋館リニューアルオープン@東京国立博物館 東洋館
曲線平面のガラスケースがとても意欲的。展示品の向こうにさらに空間が広がりつつ、とても観やすい。闇に浮かび上がる仏様の美しさに見惚れる。
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はつ春 山愚痴屋感謝祭@代官山ヒルサイドプラザ
180人の会場がしっかりと埋まる、さすがの人気。トークも安心の面白さ。絵解きクイズの正解者には画伯の直筆お年玉がもらえるとあって頑張って考えたけれども、分からず。画伯の駄洒落センスは意外と難しい。
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0号の世界展 -WINTER- @いつき美術画廊
荒木愛「蜜柑」。0号を縦に三点並べて展示。上から、黒地に上から見た蜜柑をポンと一つ、白地に複数の蜜柑がコロコロ、同左の反転。上の作品は、日の丸のようなシンボリックな構図と、蜜柑のデコボコした質感の組合せが面白い。輪郭を縁取る金色が、日輪の揺らめきのよう。真ん中の作品は、動きを感じさせる構図、間が面白い。その一方で、個々の蜜柑のラフな形態とボコボコした質感表現の組み合わせが平坦的に見える。
絵具の起伏と質感、金色の縁取り。印刷や画像では伝わらないモノとしての存在感。画面が小さい分カンバスの厚さが強調され、さながら立体作品のよう。
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WEBイベント 2013年美術展を語る
WEB会議システムを用いて、出演者、視聴者双方向で美術展について語ろうという企画。いつも御世話になっているTakさん、はろるどさんが出演されて、新年早々お二人のご活躍っぷりを拝見。回線状態が今一つで何度か再ログインしましたが、実験的なイベントとしては十分機能していたと思います。お疲れ様でした!今後の発展にも期待。
EVANGERION 100.0@パルコミュージアム
これまで発売されたEVAグッズ、コラボ企画が時系列順に並び、最後にQ予告編。そして物販ブース。EVA展覧会でなく、EVAグッズ物販展。コアなグッズファン以外は有料企画として見る価値なしでは?
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◎白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ@Bunkamura ザ・ミュージアム
一万点以上の書画を遺したといわれる白隠慧鶴。その中から大作を中心に、選りすぐりの100余点を集めた展示。ユーモア溢れる画面に親しみ、賛に込められた意の深さに少し触れて、見応え十分。
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○MAMCナイト 会田誠 スペシャルギャラリートーク with 鶴田真由
鶴田真由さんの質問に会田誠さんが答えながら、展示を見て回る形式。好奇心に眼をクリクリッとさせながら低い声で質問する鶴田さんに、タジタジしながら答える会田さん。終盤の大作展示部屋で「題材は嫌いなはずなのに、絵としてみるととても美しく見える」という鶴田さんの締めに深くうなずきました。終始姿勢がとても美しかったです。
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弥田俊男設計建築事務所オープンハウス「五角形の小さな接骨院」
弥田俊男設計建築事務所による内覧会。ラジアータパインの内装、斜めに切り上がる間仕切りと五角形プランとの呼応。木造二階建の改装でも、けっこうできるものだと感銘。
○エル・グレコ展@東京都美術館
クライマックスの大作「無原罪のお宿り」が圧巻。少ししゃがんで見上げると、飛翔する天使の羽、見上げる聖母、光の中の鳩、祝福する天上の天使たちが、劇的な空間を作り出す。天井がもう少し高いとさらに良かった。最後の「無原罪のお宿り」は例外として、他は男性と女性とで表情の書き方がだいぶ違うように見えました。男性はマッチョでも老人でも眼はクリクリとして可愛らしい。女性は蝋人形のような…。
2013年01月27日
●弥田俊男設計建築事務所オープンハウス「五角形の小さな接骨院」
弥田俊男設計建築事務所オープンハウス「五角形の小さな接骨院」に行ってきました。木造2階建ての貸しビルの1階を改装。シンプルのまとめたデザインで、建物が本来持っていた美しさを引き出す。
五角形平面のコンパクトな空間に、待合室、治療室、スタッフ諸室を配置。立面はラジアータパイン材の美しい色味と木目パターンを基調に、部分的に間仕切材が斜めに切り上がって五角形プランとの呼応。天井高さを微妙に変えることで、既設建屋のSUS柱、梁をも全体ストーリーに組み込む。木造二階建の改装でも、けっこうできるものだと感銘を受けました。
ものすごく多忙な中でも、ストーリー性を付与し、アウトプットしていく即興対応力とスピードがすごいなと思います。
2013年01月21日
●白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ@Bunkamura ザ・ミュージアム
Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ」を観ました。Bunkamura ザ・ミュージアムでは珍しい、日本美術の展覧会。
出山釈迦
「隻履達磨」。紅白横ストライプの壁面を丸く刳り貫いた入口の奥に、頭でっかち、チョコンと片手に履を持った達磨さんの幽霊がお出迎え。
観音
「蓮池観音」。体を横にして頬杖をつき、胡坐(?)を組んで寛ぐ観音様。絹地に蓮の彩色が美しい。画面右手の文字は「衆生を救うはずの菩薩が俗世を離れた別世界にやって来て、骨休めしているとはいかがなものか」という意味だそうで、ユーモアたっぷりに叱責。
「地獄極楽変相図」。上部でノンビリ寛ぐ仏様、中ほどで過労死しそうなくらいセッセと働く閻魔様、閻魔様をぐるりと取り囲む地獄の数々。閻魔様の中間管理職っぽいポジションが、笑いと悲哀を誘う。
達磨
「横向き半身達磨」。ほぼ全面濃い墨で描かれた画面と、ギョロリと上を向く視線。強い意欲と、内包する不安が伝わってくるよう。
半身達磨。赤い僧衣に黒く細いまつ毛、薄墨で縁取りした瞳。「直指人心、見性成仏」の賛。ずいぶんと柔らかくなった表情と、ゆとりある色彩。
大燈国師
「大燈国師」。蕭白を思わせる人物描写。
布袋
「すたすた坊主」。満面の笑顔で手に笹と桶を持ち、代参する坊主。「すたすた」という音が画面から伝わってくるよう。
「布袋吹於福」。キセルを手にした布袋様と、煙から現れるお福。体をくの字に曲げてお腹を突き出す布袋様の脱力ポーズも決まってる。ユーモアタップリの画面と、殿様が絹を持参して絵を請うたというエピソードの組み合わせも面白い。
戯画
「渡唐天神」。南無天満大自在天神のむりやり当て字感が楽しい。
「一富士二鷹三茄子」。富士と茄子は分かるとして、鷹はどこだと探してしまいました。
墨蹟
「百寿福禄寿」。画面中心の寿老人が、セッセと「イノチナガシ」と描き続ける百寿図。ちょっとした機転に、とても親しみが沸く白隠マジック。
一万点以上の書画を遺したといわれる白隠慧鶴。その中から大作を中心に、選りすぐりの100余点を集めた展示。ユーモア溢れる画面に親しみ、賛に込められた意の深さに少し触れて、見応え十分です。
2013年01月20日
●第37回サンスポ千葉マリンマラソン
快晴に恵まれた1月の第三日曜日。「第37回サンスポ千葉マリンマラソン」を走りました。8~10℃という気温と日照を考慮して、服装は長袖と半袖Tシャツの重ね着+短パン+手袋+帽子の組み合わせ。ナビゲーションは、耳掛けフック型イヤホンとiPhone (Nike+GPS&RunKeeper) の組み合わせ。エネルギーサプライは、走る前にスーパーヴァーム(参加受付時にもらった試供品)、10km地点でピットインリキッド、ゴール後にザパスアクアホエインプロテイン100(これも試供品)の組み合わせで挑みます。目標は7kmを29分で走って、1時間27分を切ること。
9:55号砲。ものすごい人で、しばらく身動きできないほど。46秒後にスタートラインを通過。1kmの通過タイムは4分47秒。このままでは29分/7kmのペースに乗らないので、ペースアップ。体はけっこう軽く、人もようやくばらけてきたので、快調に進みます。7kmの第1折り返し点を28分11秒で通過。良いペース。
第1折り返し点を過ぎると、けっこう強い向かい風が吹きつけます。陽射しがあるのと乾燥しているので、第1給水所で給水。さらに10kmの第2給水所をピットインリキッドでエネルギーを補給しながら通過。タイムは40分15秒。10.5kmの第2折り返し点を折り返すと、その先は向かい風の中を走ります。ここからが本番。
11kmを過ぎた辺りで、高橋尚子さんが登場!タッチを交わしてテンション上がる!絶対自己ベストを更新するんだ!13kmあたりで脚にピクピクっと軽い痙攣が出始めます。脚が持ちますようにと念じながら、余裕を持って走っている方の後についてペース維持を図ります。稲毛海浜公園の蛇行コースに入って、ひとまず向かい風から解放されてホッと一息。再び直線コースに戻って、残り3.5km。さあ行くぞ!という気持ちと裏腹に、足が攣る間隔がドンドン短くなって、ペースダウン。そのままゴール。
タイムは1時間27分20秒。ネットタイムは1時間26分36秒。一般ハーフ男子の部10445人中213位でした。昨秋に出した自己ベストに1分7秒届きませんでした。思うように練習できなかったわりには良い記録でしたが、足が攣って体力的に余力を残してしまったのが残念。向かい風に対して、知らず知らずのうちに力みすぎたのかも知れません。
快晴、強風の気象条件でのレースは初めてだったので、良い経験になりました。
計測地点 スプリット ラップ
Start 00:00:44
05km 00:20:50 0:20:06
10km 00:40:52 0:20:02
15km 01:01:12 0:20:20
20km 01:22:32 0:21:20
Finish 01:27:20 0:04:48
2013年01月06日
●はつ春 山愚痴屋感謝祭@代官山ヒルサイドプラザ
代官山ヒルサイドプラザ/地下ホールで開催された、「はつ春 山愚痴屋感謝祭」を観ました。昨年後半に、平等院養林庵書院襖絵奉納、画集「山口晃 大画面作品集」及び画論「ヘンな日本美術史」刊行と活躍が続く画家 山口晃さんによる新春トークライブです。トークの上手さに定評のある氏のトークイベントは毎回満員御礼。今回も和やかにスタート。
一、新春 絵解き
後ろの白壁に墨が滲まないか冷や冷やしながら、絵解きクイズ。正解者には画伯直筆のイラスト入りお年玉がもらえるとあって、みな真剣。でも画伯の駄洒落センスはけっこう難しい。
まずはウォーミングアップ。口をすぼめて「すっ」、イカが逆立ちして「カイ」、釣りで閲覧者数グングンの「釣り」。
小説の大家が書けなかった「あの二マス」を振り返る。
「書」、背中にコンニャクを当てられて「うひっ」、水木兄貴がマジンガーZを熱唱「ゼッー!」。
キスがひっくり返った「スキ」、乳母車に乗っている大五郎が「チャン」。
仮面ライダーがキック「トウッ!」、怪人がのけぞって「キョエー!」、悪の首領がまたやられおってと「キッ!」。
大差のついた試合「点差」、イデのゲージが輝く「イデ」、驚異の五面筆箱「五面」、スペースシャトルはNASA「ナサ」、胃袋「イ」。
一、刊行記念トーク
ユーモア(少々ブラックテイスト)たっぷりに画集と画論執筆時のエピソードを披露。
画論は話をいただいて4~5年かかった。担当の方は怒りもせず、待って下さった。そういうのが一番怖い。
催促の電話に3回に2回は居留守を使って、残り1回は心の準備をしてなるべく重苦しい口調で対応した。
若冲で有名な佐藤先生は、絵描きの画論は良くないとおっしゃる。身近にひきつけすぎるので。
画論で紹介した絵を全点掲載して欲しいと読者アンケートにあったが、けっこう絵の使用料が高い。一番高かったのが伊勢物語で、10万円近い。定価が上がってしまうので代わりに書いてくださいと言われて、挿し絵を描いた。
画論はおかげさまで売れ行き好調で、はや4刷。今回のトークイベントのチラシに画集、画論どちらのビジュアルを先に載せるかは、担当の方がジャンケンして決めた。
画集の帯に「寄稿 ジョン・カーペンター」とあるが、「遊星からの物体X」の監督の方ではなく、メトロポリタン美術館キュレーターの方。米国アマースト大学で作品が展示された際に渡米して会った。ついでにトークショーもやったけれども、観客のリアクションに励まされた。
トークで何を話しているかリサーチしてみた。鴻池朋子は質問に答える形式で単元を区切っている、青山悟はスライドを上手く使っている。みんな自分の作品のことを話す。自分は作品のことを話すのが苦手。自分語りが苦手で、バカ話しにシフトした初心を思い出した。
一、お客様からの質問コーナー
Q.エルメスの東京俯瞰図は長い宿題でしょうか?
A.になっちゃいました。火が灯っているうちに描かないと描けないタイプ。サイズは又兵衛の洛中洛外図屏風と同じ大きさ。
Q.肖像画美人画等人物画を手がけることはお考えですか?
A.描いてみたい。現代美術、洋画、デザインどこからも孤児な感じ。美人画をどう理屈をつけて展示するか。描いたときに初めて見た気がする。鼻の美しさ、嫌らしさとか。
Q.会田誠さんとけんかしたことはありますか?
A.特になし。そもそもそんなに会う機会がない。社会に事件が起こったときに、あの人はどう思うか、意見を聞きたいと思う。見立ての正確さ。
Q.新年の抱負を。
A.桐生の芭蕉に行ってきました。目標は目の前いにいただいた宿題をこなしていく。未だに絵を描いている気がしない。日本でのうのうと絵を描けるよう地ならしをしていきたい。語りえないところを語っていきたい。西洋と戦っていきたい。
2013年01月02日
●東京国立博物館 東洋館リニューアルオープン
新年早々、東京国立博物館に出かけました。まずは本館にて開催中の新春恒例イベント、「博物館に初もうで」へ。例年にないもの凄い人出で、長谷川等伯「松林図屏風」、尾形光琳「風神雷神図屏風」等目玉展示をチラ見して早々に退散。
続いて、今年の見所「東洋館リニューアルオープン」へ。
耐震改修+展示ケースの低反射ガラス化+LED照明導入+動線改修を完了。曲線のガラスケースの向こうに広がる展示空間が美しい!
展示物手前に配されたタバコ程度の大きさの銀柱に仕込まれた間接照明が効果抜群。主照明の影を適度に抑えて、展示物が宙に浮かぶように見えます。
闇に浮かぶ仏頭。東博の常設展が一段とパワーアップしました。