2012年11月26日
●11月の鑑賞記録
11/7
◎美術にぶるっ!@東京国立近代美術館 夜間特別観覧会
リニューアル近美お披露目展内覧会。スタイリッシュに再構成された名品コーナー。3F日本画コーナーのスツールが素敵。畳コーナーのまま実現して欲しかった。マイベストは福田平八郎「雨」。でも、第二部冒頭の原爆の瓦礫の焼け野原の映像で鑑賞気分は吹っ飛ぶ。先日出張で東北に行った際に見た、建物二階外壁に残る津波の跡が思い起こされて、言葉を失って見入る。
11/10
○日本の1970年代 1968-1982@埼玉県立近代美術館
「美術にぶるっ!第2部 実験場1950s」と合わせたように、こちらは1968-82を回顧。陰鬱な時代を抜けて明るい未来を示唆するように、1982年の広告で幕引き。その先にくるバブルとその崩壊、更にリーマンショック、東日本大震災をリアルタイムで経験した世代にとっては、なんとも複雑な気持ちを抱かせる展示。
11/11
◎須田悦弘展 公開制作@千葉市美術館
絶巧な木彫りの草花と、それを用いた空間インスタレーション。観るものを魅了して放さない須田さんの、待ちに待った個展。さらに公開制作。7階の江戸絵画の展示ケースも秀逸。
11/16
◎会田誠展 天才でごめんなさい 内覧会@森美術館
すごい人出。展示も過去の代表作から始まり、多方面への広がりを経て、渾身の新作、そして18禁部屋まで。個展とは思えない過剰なまでの濃密さに圧倒されました。
11/17
○山口晃 養林庵書院奉納襖絵@平等院
死者を乗せて極楽浄土へ向かう汽車。山口メカ細密描写!車窓から覗く、細かく書き分けられた乗客達。次の面に広がる洛中洛外図!京都駅から三途の川へと旅立つ人々。京博の横にそびえる方広寺大仏殿。画面右下には梅小路機関車庫のターンテーブルが!大満足! 外は見事な紅葉!
山口晃展 ~山口晃と申します 老若男女ご覧あれ~@美術館「えき」KYOTO
旧作絵画+挿絵+速筆壁画による、山口画伯関西顔見世展。超緻密に書き込まれた画面情報の濃厚さと、クスッとさせるセンスが心地良い。一方で、新作は挿絵原画中心なので少々もの足りない。期待の「Tokio山水」は、目で見る限り加筆なし。
◎ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q@TOHOシネマズ六本木ヒルズ
トップをねらえ2が始まったと思ったら、ナディアになって、ようやくQ。と思ったら、え、えー、えええっー!となって、あっという間に終劇。何が何やら。パンフレットを求める長蛇の列に並びつつ同行者に怒られた。
11/18
◎須田悦弘展 講演会@千葉市美術館
ようやく完成した須田展の図録をパラパラと見る。内容は千葉市美の展示風景+インタビュー+これまでの作品ダイジェスト。講演会はこの図録内容に沿った内容。黒い光沢表紙は指紋が付き易いけど、工芸的な趣があってカッコイイ。
11/23
◎第2回 図録放出会@BoConcept 新宿
「どうしてこの図録を持っていないのだろう。」と自然に手が伸びてしまう。世紀の展覧会「大琳派展」、4回観た「鳳凰と獅子」、ボスに振り回される解説が印象に残る「安宅英一の眼」の3冊購入。関係者の方々の熱意と軽やかなフットワークに尊敬と感謝。
11/24
坂田和實の40年@松濤美術館
布、貨幣、紙箱、木机等小道具が、古美術商の眼を通して同元化されて一同に会する。その強引な括りからくる違和感と、一見すると何か分からない品々を作品リストを手に読み解いていく快感。個性強い松濤の箱との取り合わせは、異種格闘技のよう。
棚田康司展@練馬区立美術館
細身で艶やかな人物彫刻が特徴的な棚田さんの作歴を、時系列に沿って4期に分けて分類。初期から近作まで、混在して展示。作風の変化を実体験できるのが魅力。スケッチと製作初期段階の木材も合わせて展示しているのも親切。
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