2011年07月26日

●百獣の楽園 美術にすむ動物たち@京都国立博物館

 今年の夏は美術館が動物園に!山種美術館横須賀美術館京都国立博物館の3館が同時期に、動物を切り口にした展示を開催します。古典から現代アート、平面から立体。各館の特色を活かした多彩な展示がとても楽しみです。

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 京都国立博物館で開催中の「百獣の楽園 美術にすむ動物たち」を観ました。

 第1室
 京博動物園の開幕。
 まずは羊。倣梁楷黄初平図 雪舟等楊筆。いきなり雪舟!
 そして牛。牛図 俵屋宗達筆。続いて宗達!たらしこみの技法が冴える!
 振り返れば駱駝。三彩駱駝。唐三彩の名品で立体も抜かりなし!

 第2室
 猿。
 猿蟹図 雪村周継筆。目がクリクリして可愛い!イタズラ心に満ちた瞳。
 猿蟹図 伊藤若冲筆。意外なところで若冲!刷毛目の猿の毛、水気ある蟹の甲。芸が冴える。
 猿図絵馬 森狙仙筆。猿といえばこの人!毛の描写が見事。

 第3室
 犬!キョーアクなまでに可愛い。
 加彩婦女 犬を抱く。ふくよかな婦人の造形が美しい。
 嵯峨人形 犬。チョコンと座る愛らしさ、首を回すと尻尾が動くギミック!首に巻いたマフラーもキュート。
 獅子・狛犬。角がないのが獅子、あるのが狛犬。へー。前足をチョコンと出したスタイルは、湛慶によって編み出された。へー。
 百犬図 伊藤若冲筆。はっきりいって可愛くないけど、細密な書き込みが見せる!

 栗鼠。黒漆葡萄栗鼠螺鈿箔絵卓。葡萄に見え隠れする栗鼠がかわえーのう。かわえーのう。

 兔。銀製兎形水滴 葵紋蒔絵卦算并硯のうち。将軍家ご子息使用のお習字道具。耳をチョコンと傾ける姿が愛らしい。往時の白い状態も見てみたい。

 猫!
 南泉斬猫図屏風 海北友松筆。斬られた猫が見つからない。。。
 惺々狂斎画帖 河鍋暁斎筆。大猫に驚く二人が良い味出してる。

 第4室
 小さな生きもの。虫。蛙。
 蚤図扇面 長沢芦雪筆。画は蚤だけの大胆さ。蚤の脚の繊毛まで描く超細密描写。
 朝顔に蛙図襖 長沢芦雪筆。画面いっぱいにヒョロヒョロと伸びる朝顔の蔓。それを見上げる二匹の蛙の活き活きとしたポーズが素晴らしい。
 ひねった角度から剛速球を投げ込む、芦雪の構想力と画力が冴える!

 第5室
 鹿。
 楓鹿図屏風 長沢芦雪筆。師円山応挙「双鹿図屏風」と並べて、師弟対決。毛の描写の違いに注目あれ。芦雪、ものすごい優遇されっぷり。

 中央室
 鳥。
 群鶏図障壁画 伊藤若冲筆。楕円の胴に流麗な尾羽。多彩なポーズと羽模様。お馴染みの、技のデパート。
 四季花鳥図 狩野元信筆。狩野派二代目の大作。雄大な滝、うねる松、白地画面に彩色された鳥達。「松の幹に止まる鳥たちに踏みつけられた哀れな虫(ハチか?)は必見!!」と悪ノリする解説も絶好調。
 花鳥図押絵貼屏風 狩野永徳筆。狩野派御曹司、永徳!あの唐獅子図屏風の永徳、二十歳の頃の作品に思いがけず出会えて感涙。
 鳥類図巻 狩野派。狩野派のネタ帳。種類豊富、細密によく書き込まれている。一門繁栄の立役者。
 百鳥文様打掛。前面背面に99羽、裏地に鶴を描いて百羽。お見事!背面肩口に大きく描かれた鳳凰が美しい。尾羽はもちろんハート型。

 第6室
 虎!
 竹虎図 尾形光琳筆。フン!とちょっと拗ねた表情とポーズが楽しい。
 虎図 長沢芦雪筆。芦雪の超本気虎!リアルでカッコイイ。解説も「生きた虎、芦雪の超絶技巧にしびれたい」とあり、もはやファンレターレベル。某ロセツ展よりも充実しているのでは?

 第10室
 霊獣。
 雲龍図屏風 円山応挙筆。最後は応挙の大作で締め。

 間口を広く、娯楽性強く構成した、夏休み企画。なのですが、そこは京博。ゆるい縛りを良いことに、個性豊かな個人蔵をこれでもかと押し込んでます。えっ、あの作家がこんなの描いてるの?あれとこれ並べちゃうんだ!という新鮮な驚きの連続は、心底楽しい!

Posted by mizdesign at 23:42 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2011年07月24日

●9hours @京都寺町

 7月下旬の金曜日、仕事で京都に出張しました。せっかくの週末なので、高いデザイン性が話題を呼んだカプセルホテル「9hours」に泊まってみました。開業が2009年12月なので、それから1年半。開店景気も落ち着いて、平常営業へと移行した頃でしょう。

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 四条寺町の八坂神社御旅所。囃子の音が流れ、祇園祭の熱気が漂います。

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 その脇を入ってほどなくひっそりと、9hoursはあります。サインはシンプルかつ最小限、ガラス戸の向こうの白空間に下駄箱がズラリと並びます。そしていかにも蛇足っぽい白い自販機。中のラウンジにも自販機が設置され、当初は無料だったミネラルウォーターは100円になっていました。コツコツ稼いで収益性向上という現実との接点なのでしょう。

 下駄箱の奥が受付、さらにその奥がラウンジ。複数の機能を白いアイランド配置でスッキリまとめるデザイン。スタッフがアルバイトの方なのか、応対はマニュアルを空で読んでる感じ。ここから先はフロア単位で男女別に分かれます。エレベーターも別。

 男性は9階まで上がって、ロッカーに荷物を入れて室内着に着替えます。その奥に洗面所、シャワーブース、浴槽。ロッカー通路で誰かが荷物整理を始めると、途端にその一角は通行止め状態。このあたりは従来のカプセルホテルと同じ。でも間仕切りを極力なくし、ガラスを多用して広がりを感じさせます。壁面一面に設えた棚がガランとしていて寂しい。以前はバスタオルやアメニティを並べていたみたいですが、今は一切なし。タオルとアメニティは1回分がロッカーの中に入れてあります。

 シャワーブースの入口は施錠可。脱衣、シャワー、浴槽通路間に二枚のガラス仕切り。少々狭いけれど、機能は満たします。やっぱり浴槽があるのがうれしい。内側からは施錠できないので、ロッカーの鍵を脱衣スペースに置いて行くと少々不安です。普通の腕輪式にしてくれると良かったのに。

 下のフロアに下りて、カプセル入り。暗い通路に、ボンヤリとした黄色い光で満ちたカプセルが行燈のよう。必要な明るさは確保しつつ、とても落ち着きます。携帯電話の充電はカプセル内のコンセントで行うので、携帯はカプセル内に持って入ります。ただし通話はラウンジで。カプセル奥上部にある「室内環境システム」に起床時間をセットすると、照明が徐々に暗くなって就寝。空調が効いた室内はとても快適です。

 起床時間が近づくと、照明が徐々に明るくなり目が覚めます。その目覚めの気持ち良いこと!眠りの深さ、目覚めの自然さの賜物でしょう。9階に上がって着替えて朝ランへ。四条河原町から七条通まで南下して、京都駅から烏丸通を御苑まで北上。苑内を一周して、丸太町通から賀茂川へ。川沿いに四条まで南下して、寺町まで戻る。途中、清水寺、大文字、納涼床等が見えて、情緒満点!受付でバスタオルを借りて、再度9階へ。シャワーを浴びて、着替えて、ラウンジで水分補給してチェックアウト。

 「眠りの拠点、スリーピング・ハブ」というコンセプトを練り上げ、具現化した空間は素晴らしい完成度。目覚めたときの気持ち良さは最高!新しい滞在の形に触れたと思える。
 その一方で、デザイン先行で詰め切れなかったところは現在進行で調整中。価格帯は抑えて、コスト節減+サービスの有料化で収益モデルを調整。キャンペーンを打って、ユーザー層の拡大と、存在の周知を図っている感じ。
 是非とも、眠りの質は維持しつつ、新しい都市インフラとして定着して欲しいと思います。

Posted by mizdesign at 10:57 | Comments [0] | Trackbacks [0]