2011年07月24日
●9hours @京都寺町
7月下旬の金曜日、仕事で京都に出張しました。せっかくの週末なので、高いデザイン性が話題を呼んだカプセルホテル「9hours」に泊まってみました。開業が2009年12月なので、それから1年半。開店景気も落ち着いて、平常営業へと移行した頃でしょう。
四条寺町の八坂神社御旅所。囃子の音が流れ、祇園祭の熱気が漂います。
その脇を入ってほどなくひっそりと、9hoursはあります。サインはシンプルかつ最小限、ガラス戸の向こうの白空間に下駄箱がズラリと並びます。そしていかにも蛇足っぽい白い自販機。中のラウンジにも自販機が設置され、当初は無料だったミネラルウォーターは100円になっていました。コツコツ稼いで収益性向上という現実との接点なのでしょう。
下駄箱の奥が受付、さらにその奥がラウンジ。複数の機能を白いアイランド配置でスッキリまとめるデザイン。スタッフがアルバイトの方なのか、応対はマニュアルを空で読んでる感じ。ここから先はフロア単位で男女別に分かれます。エレベーターも別。
男性は9階まで上がって、ロッカーに荷物を入れて室内着に着替えます。その奥に洗面所、シャワーブース、浴槽。ロッカー通路で誰かが荷物整理を始めると、途端にその一角は通行止め状態。このあたりは従来のカプセルホテルと同じ。でも間仕切りを極力なくし、ガラスを多用して広がりを感じさせます。壁面一面に設えた棚がガランとしていて寂しい。以前はバスタオルやアメニティを並べていたみたいですが、今は一切なし。タオルとアメニティは1回分がロッカーの中に入れてあります。
シャワーブースの入口は施錠可。脱衣、シャワー、浴槽通路間に二枚のガラス仕切り。少々狭いけれど、機能は満たします。やっぱり浴槽があるのがうれしい。内側からは施錠できないので、ロッカーの鍵を脱衣スペースに置いて行くと少々不安です。普通の腕輪式にしてくれると良かったのに。
下のフロアに下りて、カプセル入り。暗い通路に、ボンヤリとした黄色い光で満ちたカプセルが行燈のよう。必要な明るさは確保しつつ、とても落ち着きます。携帯電話の充電はカプセル内のコンセントで行うので、携帯はカプセル内に持って入ります。ただし通話はラウンジで。カプセル奥上部にある「室内環境システム」に起床時間をセットすると、照明が徐々に暗くなって就寝。空調が効いた室内はとても快適です。
起床時間が近づくと、照明が徐々に明るくなり目が覚めます。その目覚めの気持ち良いこと!眠りの深さ、目覚めの自然さの賜物でしょう。9階に上がって着替えて朝ランへ。四条河原町から七条通まで南下して、京都駅から烏丸通を御苑まで北上。苑内を一周して、丸太町通から賀茂川へ。川沿いに四条まで南下して、寺町まで戻る。途中、清水寺、大文字、納涼床等が見えて、情緒満点!受付でバスタオルを借りて、再度9階へ。シャワーを浴びて、着替えて、ラウンジで水分補給してチェックアウト。
「眠りの拠点、スリーピング・ハブ」というコンセプトを練り上げ、具現化した空間は素晴らしい完成度。目覚めたときの気持ち良さは最高!新しい滞在の形に触れたと思える。
その一方で、デザイン先行で詰め切れなかったところは現在進行で調整中。価格帯は抑えて、コスト節減+サービスの有料化で収益モデルを調整。キャンペーンを打って、ユーザー層の拡大と、存在の周知を図っている感じ。
是非とも、眠りの質は維持しつつ、新しい都市インフラとして定着して欲しいと思います。
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