2011年06月13日

●名和晃平-シンセシス-@東京都現代美術館

 東京都現代美術館で開催中の「名和晃平-シンセシス-」を観ました。
 2年前に「Tokyo Visualist Symposium」で名和さんのトークを聞きしました。スライドを映しながら、制作動機と手法を簡潔かつ明快に話す内容がとても魅力的でした。以来、名和さんの作品は御本人のトークと合わせて観るのが一番だと思っています。
 去年、現美での個展開催がアナウンスされて以来、楽しみにしていました。そして今回運良く、プレス向け内覧会に参加することができました。メモ書き程度ですが、以下にその内容をまとめます。
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 記者会見
 美術館で初の個展
 ここでの開催が決まって、一年と一週間しかない。過去の作品と合わせて見せることも考えたが、作品のほとんどが海外にあることもあり難しい。そこで、空間に合った体験を作りたいと考えた。プランはどんどん変わっていった。

 挑戦したかったこと
 プロジェクトが舞い込んでは、ここに落とし込む。頭の中にここの図面を入れて取り組んだ。KDDI IIDAのコンセプトモデル、プサンビエンナーレ、バングラディッシュビエンナーレ、SCAI、渋谷西武、ゆずミュージックビデオ、ステージデザインなど。3Dデジタルデバイス、コンピューター制御の彫刻を作れるようになった。韓国の野外彫刻に取り組んでいる。
 スタイル、表現方法は固定されていない。今回の展示を通して、やりたいことが見えてくる。

 展示ついて
 12のゾーンを移り変わっていく。何順回っても新しいものが見えてくる。光、形態、身体スケール。是非ぐるぐる回って欲しい。
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 プレスツアー
 注:会場内の画像はプレス内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。

 1.Catalyst
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 ドローイング。どこまでも広がっていく。会期が終わったらどうする?

 2.PRISM(プリズム)
 tokyo_20110610-02.jpg
 情報が移ろってゆく。

 3.Beads(ビーズ)
tokyo_20110610-04.jpg
 インターネットでモチーフを収集、彫刻フォーマットに置き換える。本当にモノがあることがどういうことか。

 4.Throne(玉座)
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 資本主義に繰り返し消費されるモノを垂直に重ねた玉座。

 5.Polygon(多面体)
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 モデルを3Dスキャンしてポリゴンデータを作成、解像度を下げる。ポーズ、サイズは同じだが、生物が情報化。

 6.Villus(ヴィラス)
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 展示がPolygonの部屋に貫入。青い光の中で、白い照明がピンクに見える。

 7.Drawing、8.Glue
tokyo_20110610-09.jpg
 細胞をボリュームの中で均等に配置。前者はGlueを上から見て、時間軸に沿ってあらわす。

 9.Scum(スカム)
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 あく、くず。肥大化、にぶく。ノープラン。どうしようもない怖いところに踏み込んだ。

 10.Manifold(マニホールド)
tokyo_20110610-11.jpg
 巨大彫刻。手に負えないくらいに巨大化したモノに、身一つで立ち会う怖さ。

 このあとにMovie、Liquidと展示は続きますが、ツアーはここまで。
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 感想
 はじめは何が見えているのか意識が追いつかず、ただ不思議な現象の数珠繋ぎに見えました。それが周回を重ねるにつれてその素材、仕掛けが見えてきて、気がつけば会場を5周ほどしていました。
 視覚を幻惑するプリズム、華麗なビーズ、グレーの世界のスローン、巨人たちが林立するポリゴン、その空間に貫入するヴィラス、平面-立体の変位が美しいグルー、見るからに無計画なスカム。空間の変化に合わせて作品を替え、照明を替えて構成された回廊は、とても見応えがあります。

tokyo_20110610-13.jpg
 最後に「11.Movie」の影に現れる色彩の美しさを通過して周回完了。
 本当に魅力的な展示でした。

Posted by mizdesign at 2011年06月13日 06:15
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