2011年05月30日

●5月の鑑賞記録

 5月はなんといってもレンブラントと写楽の東西版画対決。そして狩野一信畢生の大作「五百羅漢」。地震を乗り越えて開催されて、本当に良かった。

5/5
アート好きによるアート好きのための図録放出回 Vol.1
 関係者の方の行動力に脱帽。楽しませていただきました。

5/7
国宝 燕子花図屏風 2011@根津美術館
 今年は小雨の中、庭園を散策。人出も少なめで燕子花を満喫。来年こそは、八橋と燕子花を並べて観たい。

5/8
香り かぐわしき名宝展(前期)@東京藝術大学大学美術館
 大きな顔に風船のような胴体の「獅子香炉」。黒いマッスを宙に浮かせた「香時計」。香りと実用の接点にとても惹かれた。 速水御舟「夜梅」。マイクロテープを貼ったような明確な幹と、黒く滲む背景のグランデーション。透ける白い花弁。激ラブ。上村松園「楚蓮香之図」。ピンクの上衣に青いストライプ。逆手に持った扇の軽やかさ。美しい。

レンブラント 光の探求/闇の誘惑@国立西洋美術館
 和紙等素材へのこだわり、版画のステート毎の大胆な変更。愛好家への需要喚起もあったろうけど、やはり全てをコントロールをしたいという強烈な欲求が作家を突き動かしたのだろう。そんな素顔を感じました。画面右上から射す光、その反対側からも補助光を当てて、ディテールは保持。柔らかな質感を産み出しつつ、画面密度も高める。あれは発明だろうか、観察に基づく発見だろうか。あるいは同時代性の産物か。とても興味を惹かれました。

5/14
写楽@東京国立博物館平成館
 写楽誕生の背景を丁寧に辿る前半、歌舞伎演目ごとに作品を見せる後半。特に蔦重の吉原細見と歌麿のコンビネーション、豊国と写楽の同題材対決は見応えあり。まさに役者は揃った!北斎展に並ぶ空前絶後展!

手塚治虫のブッダ展@東京国立博物館 本館特別5室
 音声ガイドを借りて観た。漫画と仏像を観て、とってもわっかりやすーい!コンパクトな展示なのでダイジェストだけど、物語風味で面白かった。

五百羅漢展@江戸東京博物館
 冒頭日常編の異様な密度と、色彩美と、精気漲る画面がとにかく魅力的。間近で見られる展示ケースの工夫も効果大!新勝寺の大作を照らす照明変化も効果的。一気呵成に観られる会場構成に、仕掛側の気合を感じた。

5/15
 シュルレアリスム展@国立新美術館
 法皇ブルトンの宣言から、その死まで。詩に触発された絵画、オブジェ、映像がズラリと並ぶ。詩が表現を導くのだなあと、オーディオガイドを借りてじっくり観た。教科書を淡々とめくりながら、内面世界を延々と彷徨った気分。

5/19
 NIJIMASS@ギャラリーアートポイント
 あおひーさんの個展。なぞなぞは面白いけど、モティーフとは別物に変化した作品をもっと見せて欲しかった。

5/22
あるべきようわ@資生堂ギャラリー
 地下の参道。縦の光、渦巻く手水鉢、垂直な数珠。手摺を包む白布、垂れ下がる紐、薄く天を覆う透過膜。白い回廊の突き当たりに、塔が座する厨子。左に折れて、質感を残した白染の祭壇。その上に浮かぶ、聖なるガラス。光に誘われて段を登ると、均質な光のプレートの上で透明ガラスが驚くほど多様な表情に見せる。恍惚。ふと我に帰る。何を拝んでるんだっけ?透過膜の向こうに、雑然とした天井設備が見えてくる。現実の中に神殿が重なる。段取りの美が美しい。

 夢に挑む コレクションの軌跡@サントリー美術館
 蒔絵提重、薩摩切子 船形鉢、遊楽屏風、光悦茶碗。「生活の中の美」というコンセプトと優品展示に妄想心が刺激されまくり!新収蔵品も華やかで、とても素敵だった。

Posted by mizdesign at 21:36 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2011年05月16日

●写楽@東京国立博物館平成館

ueno_20110515-01.jpg
 上野の東京国立博物館平成館で開催中の特別展「写楽」を観ました。

写楽以前の役者絵
 写楽の描く浮世絵の題材は歌舞伎。そのルーツとなる出雲の阿国から、役者絵の誕生、そして写楽へ。師宣、北斎、清長、歌麿。オールスター出演で、その歴史を50年単位でダイジェスト紹介。
 菱川師宣「歌舞伎図屏風」。浮世絵展と銘打ちながら、屏風をドドーンと並べて、視覚的にも意表をつく。風俗図屏風が好きなので、これだけでも楽しめる。

写楽を生み出した蔦屋重三郎
 写楽を生み出したのはプロデューサー。去年のサントリー美術館での展示も記憶に新しい、仕掛人「蔦重」にスポットライトを当てる。プロデューサー戦略がクローズアップされる、現代に合わせた構成。
 「吉原細見 寛政6年版」。蔦重の始まり、吉原ガイドブック。その袖に忍ばせるのに程よいサイズが、吉原巡りを楽しんだであろう当時を思わせてリアル。
 喜多川歌麿「当時全盛美人揃 越前屋内唐土 あやの をりの。細見で見た名前が、歌麿の浮世絵で登場!「これが評判の美人かい!一枚おくれ。」と、飛ぶように売れたことだろう。
 喜多川歌麿「歌撰恋之部 物思恋」「歌撰恋之部 深く忍恋」。フランスギメ美術館が誇る、紫、ピンクが鮮明に残る歌麿浮世絵の名品。往時の画面の美しさに溜め息。

写楽とライバルたち
 出版界不況の中、自信の大首絵を携えて颯爽と登場する写楽。同時期に活躍した他の浮世絵師、歌川豊国、勝川春英等の作品と並べて展示することで、その特徴を浮き彫りにする。歌舞伎演目ごとに整理して並べてあるので、そのストーリーを踏まえて各絵師の描写を見比べられるのがとても親切。
 前半の主役は写楽。役者自身の特徴を捉え、見得きりポーズもキッチリ決めた大胆な大首絵はとても目立つ。
 東州斎写楽「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」「初代市川男女蔵の奴一平」。「恋女房染分手綱」で対決する二人を、二枚組構図で表現。ロビーで上映されている再現映像も分かりやすくて、理解が深まる。凄い迫力。人気のほどが想像できる。
 後半になると写楽は姿を消して、歌川豊国が躍進する。長寿命=絵師の実力とすると、時代を背負ったのは豊国。そこに閃光の如く登場して、数枚の名作を以って歴史に名を残し、あっという間に舞台から消えたのが写楽。
 「あっ、これは活きが良い」「これは女形なのにオッサンすぎてひどい」「豊国もなかなか似てるねえ」。往時の賑わいに紛れ込んで絵を見比べ、お気に入りを探す。作品をズラリと揃える本展ならではの贅沢なひと時。

写楽の全貌
 そして本編。時系列順に4期に分けて、写楽作品の全貌を示す。さらに歌舞伎演目ごとに細分化し、演目内の人物関係を1分にまとめた映像で紹介。人物相関が分かると、絵を観る視点がグググッとミーハー方向に深まる。もう気分は話題の歌舞伎演目の開幕を待ちきれずに、役者ブロマイドを眺めながらあれやこれやと想像をめぐらす町人の気分。同時に、あっという間に魅力を失う画風に、急速に興味を失う。

写楽の残影
 他絵師の浮世絵に描き込まれた写楽画、取り込まれた見得きりポーズを並べて、写楽の影響がうかがえる浮世絵を紹介。でも、一番の残影は、現代でもこうして繰り返し開かれる大回顧展だなあと思う。一瞬が永遠になる「写楽」という現象。

 写楽展といえば、1995年に東武美術館で開催された「大写楽展」が記憶に残っています。バブル残滓の残る時期の開館記念展ということで、ずいぶんと力の入った展示でした。主催は今回と同じくNHK、NHKプロモーション。今回が前回と比べてとても優れているのは、丁寧な解説と見せる工夫だと思います。写楽登場の前史を、題材、生産システムの2面から解き明かし、さらにライバルたちの作品と並列展示することで時代の空気を再現。その上で作品相互の関係を簡潔に解説しつつ「写楽」を紹介。当時の雰囲気にタイムスリップしながら浮世絵に夢中になるひとときは、数多くの優品を揃えた本展だけが成し得る体験でしょう。まさに「役者は揃った」。2005年の「北斎展」と並ぶ空前絶後の展覧会だと思います。

Posted by mizdesign at 23:46 | Comments [0] | Trackbacks [5]

2011年05月07日

●アート好きによるアート好きのための図録放出回 Vol.1

akasaka_20110505-01.jpg
 5/5に赤坂「壌 泡組」で開催された「アート好きによるアート好きのための図録放出会 Vol.1」に出かけました。

 公式サイト:アート好きによるアート好きのための図録放出回 Vol.1

 organizer:
 弐代目・青い日記帳 artcircle:図録放出会 Vol.1
 What's up, Luke ? 「アート好きによるアート好きのための図録放出会」ご報告
 and more

 開催趣旨(公式ページより引用):
----引用 ここから----
 きっかけは3月11日に発生した東日本大震災でした
床から天井まで積み上げていた図録は雪崩落ち、表紙が折れてしまったものもありました

アートを一層身近に感じることのできる図録たち(アートブック全般)ですが
もう何年も本棚で眠っている本もある、ということに久々に気づかされました

わたしたちの生活は、もっとシンプルに、もっと身軽にできるような気がするのです

大切に保存していた、重みのある美しい図録たち
もしかしたら、もっとこの本たちを大切にそばにおいてくれる人がいるかもしれない
さらには、一冊の本を通じて同じ興味をもった人と人がつながるきっかけが作れたら


G.W.の5月5日、赤坂のお店を借りて、数時間ですが「図録放出会」を行うことにしました

今回は店内に置ける数だけの図録を、手元に取って眺めてもらい、
それらを欲しいと思っていただけた方へ「販売」をします
気持ちで結構ですので、その場で相当のお値段をご自身で決めてください

図録と引き換えにいただいた売上は
すべて東日本大震災の義援金として寄付させていただきます
----引用 ここまで----


 日頃御世話になっているアートブロガーさんの行動力への驚嘆、開催趣旨への共感、そして色々な人と図録に出会えるかもという好奇心。早々に参加表明して、この日を楽しみにしていました。

 参加者も図録提供できるとのことなので、数冊持参して赤坂へ。開場30分遅れで到着したときには、もう大入満員御礼状態。1階のスタンディングバーで景気をつけて、2階会場へ。眼光鋭く品定めをする方々の脇を失礼して奥に進むと、パッと眼に入る図録が。「あっ、あれは京博三部作の第一部「雪舟展」の図録!」と思わず手に取る。と、すかさず奥から声がかかる。「雪舟だったらこれもオススメ!」。よく通る声で解説していただき、「岡山が良いのを持ってるんだよね」とか「山水長巻みてみたいですね」とか少し雑談をして、そちらも購入することに。「親切な人だなあ」と思っていたら、その方がフクヘンさんだとあとで知りました。すごいテンション。

 1階に下りてお酒を飲みつつ知り合いのブロガーの方たちと雑談していたら、なんかお宝ザクザク抱えた感じの某zaikabouさんが到着したので、思わず2階について行く。気になっていた「杉本博司展@森美」図録と、6回も観に行きつつ何故か買い漏らしていた「コルビュジェ展@森美」図録をリリース&キャッチ。気がつけば、来場時よりも荷物が1.5倍増し。あとは1階で雑談をして適当なところで帰ろうと思っていたら、気がつけば閉会まで5時間以上も飲んだり食べたりしていました。色々な方とお話しできて楽しかったです。

 ちなみに、放出された図録は400冊以上。来場者は150人以上。そして売り上げは総額¥260,700円!だそうです。これらは全額、東日本大震災の義援金として寄付されるそうです。関係者の方々、お手伝いされた方々、本当にお疲れ様でした。
akasaka_20110505-02.jpg

Posted by mizdesign at 18:55 | Comments [0] | Trackbacks [1]

2011年05月06日

●4月の鑑賞記録

4/2
江戸の人物画-姿の美、力、奇@府中市美術館 (前期)
 毎回毎回、新しい視点を開いて見せる企画力と、個人蔵を多く集めてそれらを色付ける構成力。そして観客を楽しませる仕掛けをタップリ盛り込む演出力。桜の季節に柔らかく射す光。あたたかい。

白洲正子 神と仏、自然への祈り(前期)@世田谷美術館
 白洲正子の眼を通して観る仏様たち。好奇心に満ちた平明な文章が、目の前の景色を一変する。展覧会の醍醐味を堪能。

4/7
京都 2011 清水寺-産寧坂-円山公園-祇園
 清水寺から四条まで夜桜巡り。歩くにはチョット長いかなーと思うも、桜の魅力に夢中になってあっという間。中でも円山公園の枝垂桜と花見の光景はひときわ印象的。

4/8
 屏風「親鸞」@東本願寺
 眼光鋭く何かを見据える鋭い青年として描かれる親鸞。迷い、期待、憧れ。様々な思いを抱いて繋がる人々。地震と放射能であっけなく崩れる世界に直面して、彼の生きた時代が身近に感じられる。

法然 生涯と美術@京都国立博物館
 人物像を知る資料が全然ないことを逆手にとって、絵伝として再構成された物語を辿る展示。全48巻の法然上人絵伝を主軸に、複数の別バージョン、所縁の仏像や宝物が彩を添える。ビジュアル情報豊富で、マンガを読む感じ。解説が何気に毒舌。

4/9
京都2011 醍醐寺-京都御所
 醍醐から御所へ、桜巡りその2。三宝院の枝垂れには早かったけれども、境内と宝物館は満開から散り始め。「醍醐の花見」の栄華を今に伝える庭園が素晴らしい。そして京都御所の特別公開に滑り込み。平安時代から続くその空間は、王朝タイムカプセルそのもの。

4/15
三沢厚彦 Meet The Animals-ホームルーム@京都芸術センター
 ギャラリーの白壁にスッと立つペガサス。教室の教壇に立つ白熊。和室の畳にそびえるように立つ鹿。みんなずっとそこにいたように馴染んでいる。横浜そごう、愛トリ、平塚のエントランス。僕が今まで観た中ではダントツで好きです。

4/16
もうひとつの京都-モダニズム建築から見えてくるもの-@京都工芸繊維大学 美術工芸資料館
 写真パネルと白模型で辿る、京都モダニズムの足跡。戦前の建物が、用途を替えながら今も現役な例が幾つも紹介されていて嬉しい。戦災を逃れたことも大きいのだろう。後半の主役は京都国際会館。そのあまりに異次元な存在感は、モダニズムという範疇を超越しているように思えた。

4/20
長沢芦雪 奇は新なり(前期)@ミホミュージアム
 水墨画の動物たちが魅力的。師匠譲りのかわいい狗、ボケボケた味わいの蛙、牛、蛸、仕草の細かい雀、マンガな表現で時代を跳躍する猫トラ、スヤスヤと居眠りする虎、前脚で雲海を切り裂く龍。役者は揃った、あとは紅枝垂を待つ。

親鸞展 生涯とゆかりの名宝@京都市美術館
 法然展とうって変わって、こちらは真筆がドンドン登場。仏像に絵巻物に絵画とバラエティも豊か。けれども意外と人物像は浮かび上がらない。「飛雲閣襖絵」狩野探幽「雲龍図」が観られて嬉しい。

4/23
内海聖史「さくらのなかりせば」@ギャラリエアンドウ
 緻密に描かれたピンクの点描が、桜の屏風絵のようでとても美しい。照明を落とすと夜桜の景に早変わり。「色」と「見え方」を、とても意識して作られた絵画体験。

Shuffle | シャッフル@白金アートコンプレックス
 1F/コンクリートブロックと「根来」の対比。4F/長谷川等伯「四季柳図屏風」!不動明王半跏像の新旧対比。縦に並んだギャラリー群を横断して、古今アートをシャッフル!質、アイデア、見応え。三拍子揃った傑作。

4/24
 東海道 新風景-山口晃と竹﨑和征@ヴァンジ彫刻庭園美術館
 ようやくヴァンジ初訪問。アーティスト・トークショー目当てで、初日にGO。山口さんの作品は予想通り(?)白かったけれども、大作「階段遊楽圖」が出ていたのでバランスはとれた感じ。竹﨑さんは初見。通路空間を利用しての展示なので、決して恵まれた条件ではないけれども、それでも巧みな話術と竹崎さんとの掛け合いで場を盛り上げるのは流石。色は着くのだろうか。。。

 母たちの神—比嘉康雄展@伊豆フォトミュージアム
 こちらも初訪問。シャッフルの感動覚めやらぬ、新素材研究所(杉本博司+榊田倫之)による改装空間。エントランスと展示折り返し点に坪庭を配した構成は、美しく明快。その間に展示パネルを折り畳んで押し込んだ感じ。もうちょっと広さがあれば、より杉本さんらしい空間に仕上がっただろう。

4/25
フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 @Bunkamura ザ・ミュージアム
 オランダ・フランドル絵画を五つのテーマから紹介。王侯貴族から富裕市民層へ。注文主の変化に合わせて、画題も変化。貴族を真似た画題あり、職業に因んだ画題あり。その多様性と柔軟性がとてもリアルで興味深い。さらに大航海時代を背景に、フェルメール「地理学者」を特別公開!とびきり美味しいオマケの付いた、一粒で二度美味しい展示。

Posted by mizdesign at 23:54 | Comments [0] | Trackbacks [0]

●3月の鑑賞記録

3/2
平等院鳳凰堂、鳳翔館
 浄土式庭園唯一の遺構、鳳凰堂。20年ぶりくらいの再訪。折りしも宇治関白頼道の命日だそうな。西方極楽浄土を再現した内部の壁画、運中供養菩薩。土門拳の夕景で有名な鳳凰。本当に奇跡のような建物。
 鳳翔館、初訪問。鳳凰堂の再現CG、内部壁画再現コーナー。何より運中供養菩薩様たちが楽しそう!

3/13
長沢芦雪 奇は新なり(前期)@ミホミュージアム
 まだウォーミングアップな感じ。4/19からが本番?「山姥図」は対決展で、「虎図」は名古屋城でそれぞれ観たけれども、ないとやはり寂しい。深山に桜の咲く頃にまた来たい。

薬師寺東塔
 これから解体修理に入る東塔、10年のお別れ。

3/19
若冲水墨画の世界@承天閣美術館
 館に入ると、立ち込めるお香。その匂いに癒される。鹿苑寺大書院旧障壁画。入口面とその先4部屋の全50面が勢揃い!展示の都合上、部屋順でなけれども、パズルの様に頭の中で空間をイメージしながら観るのは格別の楽しみ。若冲ファン必見!

生誕100年 岡本太郎展@東京国立近代美術館
 対決をテーマにした七番勝負。明快な構成、エネルギッシュな絵画、大きく目を見開いたパフォーマンス。一見エンターテイメントショーのような楽しい展示。個人的には太陽の塔がクライマックス。建築と対決して屋根をぶち破り、万博という場で原始を打ち出す。そして40年。大屋根は遠になく、ジェットコースターも撤去。塔は綺麗に修復されて燦然と輝く。消えたモノと残ったモノの対比が印象深かった。

3/27
建築家 白井晟一 精神と空間@パナソニック電工 汐留ミュージアム
 虚白庵の濃密な思索空間に引き込まれ、親和銀行、原爆堂。気がつけば松濤美術館。ロビーのDVD映像で実空間体験を補って、とても濃密なひと時でした。

Posted by mizdesign at 23:07 | Comments [0] | Trackbacks [0]

●2月の鑑賞記録

2/5
琳派芸術 第1部 煌めく金の世界@出光美術館
 俵屋工房を中心に、琳派の大家が客演する。伝宗達「月に秋草図屏風」の、月光に満ちて金色に輝く空間にゾクゾクした。「龍虎図」の、ゆるくドラえもん顔の虎に心を掴まれた。始祖宗達の創造性が光った。

 生誕250年 酒井抱一 -琳派の華- (前期)@畠山記念館
 一面を抱一で固め、対面は琳派大家の顔見せ。間に工芸をはさむ、手堅い構成。「四季花木図屏風」の、地色を活かした桜の幹の描写、「十二ヶ月花鳥図」の、美しい花と鳥の取合せ。抱一、萌え燃え展示。

「日本画」の前衛 1938-1949@東京国立近代美術館
 バウハウスの輸入から始まり、琳派の影響が見え隠れしつつ、様々な試み、時代の変遷を紹介して戦後の新たな出発で〆。個人的には、その因子が感じられる現代アート作品を最後に並べて、現代への継承を見たかったです。

2/6
 筆墨精神@京都国立博物館
 「今日、キョーハクする!」。典籍、名筆ザックザク。書の知識が皆無でも、意外と見応えあり。さすが京博。「山越阿弥陀図」。山より大きな阿弥陀様。その右手から伸びる五色の糸に導かれて、天国へGO!人生最期のイベントを荘厳する晴れ舞台。

 TRANS COMPLEX - 情報技術時代の絵画@京都芸術センター
 情報技術とインスタレーションの境界が揺らぐような視点が観られるのでは?と期待して訪問。実際の展示は思ったよりも堅実な印象でした。

2/7
立体曼荼羅@東寺講堂
 運慶物語序章。本編は金沢文庫で公開中!

2/9
 特別展ダ・ヴィンチ~モナリザ25の秘密~@日比谷公園
 超細密撮影+解析で浮かび上がる往時のモナリザ像は意外性があって引き込まれた。ダヴィンチ手稿の再現展示はトンデモ内容もあったけれども、以外と充実していて見応えがあった。

2/13
酒井抱一生誕250年 琳派芸術 第2部 転生する美の世界@出光美術館
 とにかく「八ツ橋図屏風」「紅白梅図屏風」のダブル大作が圧巻。酒井抱一生誕250年と銘打つだけあって、主役は抱一。抑制の効いた展示空間と相まって、とても魅力的。

イメージの手ざわり展@横浜市民ギャラリーあざみ野
 「イメージの手ざわり」をキーワードに、6組の作家の作品を展示。アートワークの展示だけでなく、作家とアートサポーターとのワークショップにも力を入れている。さらに展示室だけでなく、建物エントランスや階段にも作品が溢れ出ている。そういった手作り感、共有感、日常感を大切にした展示。

2/20
TOKYO FRONTLINE@3331 Arts Chiyoda
 アーツ千代田、初訪問。日本酒の利き酒コーナーがあるのが素敵。知り合いとバッタリ遭遇して、新聞紙のサイの前で語り合った。

 奈良美智プリントワークス@六本木ヒルズ
 奈良さんが中田隊長に力説してた。お二人を取り囲む観客で、ギャラリーが埋まってた。

 G-tokyo 2011@森アーツセンターギャラリー
 G-tokyoも初訪問。「アートを身近に」というフレーズと、差別化を図るような会場設定のギャップに戸惑った。スケジュールを詰め込みすぎて、既にグッタリ。

 分岐展@ギャラリーモモ 六本木
 「Roppongi α Art Week 2011」と称して、6つのギャラリーを巡るイベントの一環。六本木の回遊性が増えて嬉しい。

 Mancy's Art Nights@Mancy's
 浴室付き等、セレブ向け(?)カラオケボックスで繰り広げられる、アート展示即売会。奥まった会場設定と閉場間近な時間のせいか、ガラガラ。画廊スタッフの方のヒソヒソ話が反響して、観る気を削ぐ。

 Tweet Me Love, Sputniko!@EYE OF GYRE
 アーティストご本人も楽しそうにコスプレ?してて、趣味の合う友人達が集まったパーティー会場のよう。活気があって良かった。

Posted by mizdesign at 21:08 | Comments [0] | Trackbacks [0]