2011年03月20日
●長沢芦雪 奇は新なり(前期)@ミホミュージアム
滋賀県にあるミホミュージアムで開催中の「長沢芦雪 奇は新なり」(前期)を観ました。
ミュージアムへのアプローチは、別世界へと誘うトンネル。今回は歩いてテクテク。
エントランスホールの先に広がるのは、一枚の絵としての空間装置。
そして北館2Fへと至ります。「長沢芦雪 奇は新なり」。音声ガイドを借りて、観る気満々。
第1章 温故知新・円山応挙に学ぶ
「松本又三郎宛書簡」。末尾に即興で描かれた男女。寛ぎつつ酒を飲むのは芦雪、お酌をするのは旅館の女中さん。楽しそう。
第2章 南紀くだる
人物像を軽くなぞったと思ったら、舞台は南紀へ。展開はやっ。
「牡丹孔雀図」。千人を超える応挙門弟の中でも、一、二を争うといわれた腕前!横構図は何度か観たけれども、縦構図は初めてで新鮮。
「七福神図」。釣りをしたり、大盃で酒を飲んだり。楽しげな七福神ご一行様。
第3章 大画面を好む
「蓬莱山図」。二年前に府中市美で観て以来の再見。砂浜に松林を大きくとった構図、浜を行く亀の行列、空を飛ぶ鶴の編隊、騎乗する仙人。記憶に残る作品。
「蹲る虎図」。うずくまった虎を正面から捉えた構図。大きな体と小さな顔、丸々とした輪郭線と眼を吊り上げ牙を剥く表情の対比。ユーモア漂う作品。
第4章 奇は新なり
本展タイトルを冠したコーナー。期待が膨らむ。
「群猿図屏風」。右隻は墨を垂らした岩山に腰掛けて下を睨む白猿。左隻は5匹の戯れる猿たち。左右の白黒、硬軟反転の視覚遊戯がとても効果的。
「唐子遊図屏風」。本展の子供向けガイドを務める唐子たちの元絵。鬼ごっこ(?)を興じたり、少し離れて遊んだり。可愛らしくも複雑なお年頃。
「竹に月図」。極端な縦長構図に、竹とぼかした月。現代アートのような切れ味。
第5章 芦雪をめぐる人々
第6章 迫力ある作品
第7章 奇想横溢
「白象黒牛図屏風」。プライス展以来の再見。若冲「象鯨図屏風」と対比した解説に、彼らの同時代性を感じる。象に烏、牛に子犬の取り合わせが可愛らしい。
第8章 多彩な表現
第9章 方寸五百羅漢
「方寸五百羅漢」。
本展の目玉、視覚遊戯の極致!わずか3.1cm四方に描かれた羅漢と動物たち。その描画道具と推定される天眼鏡も合わせて展示。解説を読んで、「あっ、虎がいる!」、「白象がいる!」とひとしきり。でもちっちゃい。
そして出口。あれ、ネコ虎は?山姥は?と思ったら、両者とももう少し先から展示でした。まだ冬季休館から目覚めたばかり、ウォーミングアップの段階です。
現代を席巻する「江戸絵画 奇想ブーム」。その立役者:若冲から、天才:芦雪へのバトンタッチなるか?その期待を胸に、再訪を期します。
南館1F、B1F。ルーバー越しの柔らかな光が空間を満たす。丸鋼のスペースフレームが効いてる。
時間の都合で「隼頭神像」のみを鑑賞。骨は銀、肉は金、髪はまことのラピスラズリ。溜め息。
Back to 現世。また来る日まで。
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