2011年02月12日
●「日本画」の前衛 1938-1949@東京国立近代美術館
東京国立近代美術館で開催中の「「日本画」の前衛 1938-1949」を観ました。
I. 「日本画」前衛の登場
山崎隆「象」。大胆な形態と色彩のコンポジション。
山岡良文「シュパンヌンク・袋戸棚小襖」。前衛美術を自らの生活空間に用いた、興味深い作品。写真、CG、模型等で、山岡邸の様子をもう少し見たかった。
II. 前衛集団「歴程美術協会」の軌跡
船田玉樹「花の夕」。大画面に広がる写実的な樹形と荒々しいピンクのドット。まるで西洋から輸入したバウハウス的感覚と、日本で培われた琳派的感覚の融合のように見えて、ドキドキした。
丸木位里「馬(部分)」。素材、描法といった根底から前衛にアプローチする。ものすごい説得力と地力を感じた。
III. 「洋画」との交錯、「日本画と洋画」のはざまに
靉光「ライオン」。靉光展以来、久しぶりに観る「あの眼」。独特の造型感覚が、本展の中でも異様な存在感を放つ。
IV. 戦禍の記憶
山崎隆「歴史」。ダイナミックで荒々しい自然と、直線的で無機的な人工物の対峙。ひるがえる旗の意図がよく分からなかったけれども、自由と対極にあるということなのだろう。
V. 戦後の再生、「パンリアル」結成への道
山崎隆「神仙」。前章に登場した同名作との相違から、時代の変化がうかがえる。強烈な赤い色彩と、エネルギーの奔流のような自然。
バウハウスの輸入から始まり、琳派の影響が見え隠れしつつ、様々な試み、時代の変遷を紹介して戦後の新たな出発で〆。新たな異形世界への旅立ちは迫力がありますが、そこで物語が閉じている感もあります。個人的には、その因子が感じられる現代アート作品を最後に並べて、現代への継承を見たかったです。
本展は1999年に京都国立近代美術館で開催された「日本の前衛 Art into Life 1900-1940」の続編だそうです。展覧会の構成力で定評のある京近美らしく、本展も非常に資料的価値が高くかつ、興味を喚起する内容でした。記憶に残る展覧会として、必見だと思います。
東京展は2月13日で終了しますが、その後、広島県立美術館(2/22~3/27)へと巡回します。
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