2010年09月05日
●あいちトリエンナーレ2010 都市の祝祭
名古屋市で開催中の「あいちトリエンナーレ2010 都市の祝祭」を観ました。近接した四つの主会場を中心に繰り広げられる、現代アートの祭典です。
納屋橋会場
金曜日の夕方遅くに名古屋入り。週末は20:00まで開場とのことなので、夕涼みのつもりで納屋橋まで足を伸ばしました。実際には熱気と無風状態でネットリとしたサウナ状態。全9作品となっていますが、楊福東と孫原+彭禹の作品が調整中、ボリス・シャルマッツの作品は別チケットとのことで、6作品のみ鑑賞。
梅田宏明の耳で観る光が、色彩豊かで良かった。でも音的にはやや不快。
他は映像中心。もうちょっと直感的な刺激が欲しい。
愛知芸術文化センター
翌日は見事な晴天、灼熱の空。
10階。
蔡國強の躍動溢れる大画面。メイキング映像の炎上する画面処理の迫力と相まって見応えあり。
三沢厚彦+豊嶋秀樹のアニマルズと空間装置の共演。タマネギの皮を剥くような空間構成は工夫を感じるけれども、会場が混むと見辛い。アニマルズのパワーを削いでる感じ。
8階。
ズリカ・ブアブデラのネオンサイン、スピーカーと照明オブジェ。光の演出が綺麗。
宮永愛子の塩の柱、ナフタリンの鍵と靴。消失へと至る時間を刻むような詩的な空間はダントツの美しさ。ここでしか出会えない体験に出会えて良かった。
MAMCツアー御一行が館内を闊歩していて、妙に目立っていた。
名古屋市美術館
オー・インファンの線香作品。巨大な蚊取線香のような外観と、会期中燃え続けるイベント性が明快で面白い。
黄世傑のPC用電飾ファンとビニール袋を組み合わせたギミック群。オバケ屋敷のようなチープさと、蓮池を思わせる聖的空間性が共存していて素敵。
蔡明亮の白室、ベッド、TV。記号のような三点セットが徐々に解体されてゆく。
島袋道浩の漁業美術。漁業の島で見つけた塗りかけの壁、斜面の利用、様々な色彩。それらの発見を嬉々と作品に盛り込んでゆく、その柔軟さとハッタリ力が楽しい。
長者町会場
ATカフェでアイスコーヒーを飲んで一休み。コーヒーカキ氷も食べてみたかった。
整然としたハコモノ閲覧から一転して、長者町では街中に点在するアートワークをマップ片手に宝探しします。
ジュー・チュンリン@長者町繊維卸会館のストップ・アニメーション。長者町を舞台に、ビニール袋たちが活躍する冒険譚。失われゆく町の記憶がフィルムに定着する。
浅井祐介@長者町繊維卸会館の泥で描いた壁画。空間をベツモノに作り変える、泥絵の力。赤坂サカスで観た記憶が蘇える。
トーチカ@エルメ長者町の立体映像。展示会場を舞台に、コマ撮りアニメとペンライトで描かれたキャラクターが融合した映像。高さ、位置の異なる覗き穴から覗くと、それぞれの角度からの映像が観られる。不思議なリアリティを持った空間演出。
渡辺英司@スターネットジャパンビル。図鑑から切り抜いた蝶が、ビッシリと室内を埋める。その緻密な作業と生々しい存在感が、強烈なビジュアルインパクトを生む。越後妻有トリエンナーレの福武ハウス2009で観たので、少々新鮮味に欠けた。
西野達@伏見ビル(仮称)更地の、夜空に煌々と光る「愛」のサイン。街のスケールに対抗する巨大さ、期間限定夜間のみの仮設性、通行人が思わず見上げるイベント性。毎回違った驚きを見せてくれる旺盛なサービス精神が凄いと思う。
四つの主会場を駆け足で回って思ったのは、「二つのハコモノと、失われゆく景色の中の回遊」。
終始気になったのは、「都市の祝祭 Arts and Cities」というテーマ。Citiesと銘打ちながら、実質は伏見-栄間での局地開催。巨大な車道で島状に分断される歩行者空間に対して、特に問題提起をするようにも見えない。コンパクトかつバラエティ豊かな展示は、既視感を感じる部分もけっこうありました。
今回はパフォーミング・アーツを観ていないので、会期中にもう一度再訪したいです。