2010年07月18日
●「フィギュアの系譜―土偶から海洋堂まで」、「村田蓮爾:rm drawing works」@京都国際マンガミュージアム
京都国際マンガミュージアムで開催中の「フィギュアの系譜―土偶から海洋堂まで」、「村田蓮爾:rm drawing works」を観ました。
小学校を改装した館内はマンガがいっぱい。教室の壁面や廊下に置かれた椅子に腰掛けて、様々な年齢層の人たちがマンガを読み耽っています。さらにマンガは人工芝の校庭にも持ち出し可で、校庭で気持ち良さそうに読書する人たちの様は「都市の坪庭」のようです。懐かしくて居心地の良い空間。こんな施設が増えてほしいです。私はというと、松本大洋「ピンポン」の4、5巻を手にとって読みました。レトロな描線とシンプルなストーリーラインに乗って繰り広げられる、時速140kmの超高速な試合描写が熱い。
「フィギュアの系譜-土偶から海洋堂まで」。他者としての人形から、自己の一部としてのコレクションアイテムへの変貌を通観します。現在進行形の歴史なので、論としては荒いと感じますが、土偶と海洋堂フィギュアを一つの線上に並べるビジュアルインパクトが面白い。海洋堂がマニアックな凄腕造形集団から、食玩の驚異的なクオリティでもって世界へと飛躍するところが圧巻。一つの食玩に50もの彩色工程があったりして、その手間と「おまけ」として作ってしまうコスト破壊っぷりは驚き。良くも悪くも歴史は前へ進んで戻らない。
「村田蓮爾:rm drawing works」。丸みのある線描の女の子と、質感豊かなメカニック、美麗な彩色にうっとり。インクジェット出力の大判イラストがメインだけれども、柔らかなタッチの鉛筆下書きもあり。鉛筆とパソコンで世界を構築するってすごい!
2010年07月11日
●束芋 断面の世代@国立国際美術館
国立国際美術館で開催中の「束芋 断面の世代」展を観ました。ジメジメした天気と不整形なオブジェも展示にマッチしてる?
1.団地層
クッションに横たわって、天井のスクリーンを見上げる。団地の外観が透けて、個々の領域が詰め込まれた断面が浮かび上がる。そしてその内臓物がポロポロと降ってくる。
2.団断
上から見下ろし、中間が抉れた形のスクリーン。寝室、居間、玄関、浴室、共用廊下。視点が移動しながら、各室で不可思議な現象が現れる。鳩が飛び込み、血塗れのシーツのある寝室。モニターから水が溢れ、キノコが生える居間。冷蔵庫に消える男性、トイレで洗顔する女性。浴槽に溺れる女性、洗濯機から回転しながら登場する女性。共用廊下を介して個々の領域が繋がる。レトロチックな彩色とカビの生えそうな独特の質感。
3.悪人
女性の髪が切れた電話線へと変貌。湿気と精気ある線描と、その中身の変質が、不思議な世界観を作り出す。
4.油断髪
女性の前髪が、スクリーンとなり、人型となる。変幻自在な線と、賑やかな音楽による人生劇場。
5.ちぎれちぎれ
雲が流れる空と、空が鏡に映りこむ地。その間に、手術台のような円筒に横たわる人物。両界が繋がり、空を流れる事象が手術台へと移動し、バラバラになった人物の破片が空へと落ちてゆく。全体を見渡そうと前へと進むと空が見えない。
6.BLOW
足元から湧き上がる水泡、水面下の骨格。水面を超えると同時に変質して肉付けされ、花が咲く。観客を包み込むようなスクリーン配置が、臨場感=触感を高める。
暗くした会場内を足元灯で誘導し、円を描くように配された作品を巡る。ちょっと分かり難いけれども、工夫のある動線計画も良かった。
艶やかな線描と、湿り気のある色彩。「断面」という立体的な舞台装置。空いていることと相まって、一つ一つの作品とじっくりと対話できて良かったです。
2010年07月04日
●京橋界隈2010 歩いて探すアート
京橋といえば東京駅と銀座の間に位置し、銀座に次ぐ画廊の密集するエリアです。とはいえビジネス街の側面が強いのか、週末はひっそりとした印象があります。その京橋で「京橋界隈2010 歩いて探すアート」というイベントが7/9(金)-17(土)まで開催されます。ホームページにはMAPも掲載されていて、画廊の所在が一目瞭然です。
また初日の金曜日は20:00まで開廊とのことで、平日の夜にMAP片手にアートめぐりと街歩きが楽しめるのが嬉しいです。さらに会期中は各美術展・画廊が独自のおもてなしを企画するとのことで、この点も楽しみです。本イベント参加ギャラリーである「ギャラリー椿」は、以前にlysanderさんに案内していただいて行ったことがありますが、再訪したくなる魅力的なギャラリーでした。東京駅周辺のアートめぐりスポットを拡張する良い機会になりそうです。