2010年05月03日
●国宝燕子花図屏風@根津美術館
初夏の風が気持ち良いGWの中日、根津美術館で開催中の「国宝燕子花図屏風」を観ました。新・根津美術館開館から半年、満を持しての開催です。10分弱の待ち時間を経て入館、まずは庭園へ。水面に映りこむ新緑と青空、それをローアングルで捉える視点設定。都市の超一等地で観る絶景は、夢幻の如し。
弘仁亭の燕子花は満開。季節に祝福されるように館内へと戻ります。
第一展示室
冒頭は宗達工房が2双。華やかに「燕子花」以前の草花図屏風を解説します。
「四季草花図屏風」「伊年」印。金地に細密な草花描写、下地が透けるような着色。
「夏秋草図屏風」「伊年」印。流れるような草花のコンポジションが登場。
「色絵山寺図茶壺」野々村仁清。華麗なる立体絵画の美が、平面美の洪水に彩を添えます。
「桜下蹴鞠図屏風」。公家たちが優雅に蹴鞠を興じる右隻、主を待つ従者たちを活き活きと描写する左隻。斜めに垣根を挿入する場面転換、両手を突き上げるポーズ、大胆な画面構成。
「誰が袖図屏風」。様々な色彩、柄が並ぶ、呉服屋内観。その様はデザインの宝庫のよう。
そして真打ち登場!
「燕子花図屏風」尾形光琳。大胆に省略された金地に緑と青、LED照明に浮かび上がる花びらの書き分け。燕子花の咲く季節、金地に草花のコンポジション、大胆かつリズミカルな画面構成、そのセンスを育んだ生活環境。それら断片がピタリと像を結ぶ構成は圧巻。
その横に光琳屏風が2双。
「夏草図屏風」尾形光琳。リズミカルな配置が「燕子花図屏風」から連続する。描写は細密へと変奏する。
「白楽天図屏風」尾形光琳。大きく反る船形が、大胆さを旨とする光琳らしい。
第二展示室
光琳の周辺と継承者たち。
「夏秋渓流図屏風」鈴木其一。極端な単純化と細密描写の混交、金線で縁取られた波、スケール感の混乱。それらが生み出す独特の魅力に満ちた世界。それは同時に、近代デザインへの橋渡し。
圧倒的な美の洪水に浸る至福のひととき!かくして根津美術館が名実ともに新生しました。建築、庭園、作品が一体となった、素晴らしい再生劇でした。
参考:以前に本ブログに掲載したエントリー
「燕子花図と藤花図」2006/05/08。閉館前最後の展覧会の様子です。
「新・根津美術館」2009/10/07。根津美術館、新創開館の様子です。
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