2010年04月30日
●4月の鑑賞記録
3.5日の休日を、アート鑑賞とマラソンに注ぎ込んだ一月でした。
4/4
第13回四日市シティロードレース大会
10kmを41分41秒で完走。普段のランニングより20秒/kmほど早い。でもトップは32分台。ナンデスカソレハソラデモトンデルンデスカな気分。
4/11
吉野山 2010
世界遺産で修験道の聖地で花見の名所。信仰と享楽が同居する、混沌とした場のエネルギーが何より魅力。私的世界最強の桜の名所。
大遣唐使展@奈良国立博物館
冒頭、薬師寺聖観音菩薩立像の美しい腰回りにうっとり。真備、真成にスポットを当てる導入から、超絶技巧の携帯仏、吉備大臣入唐絵巻、驚きの照夜白図、命懸けで将来された三彩。息をつかせぬ怒涛の展示に見とれた。そして舞台は長安へ。石仏十一面観音の気品ある顔立ちとスラッとした立姿、石仏如来三尊像のくびれも美しい。第二展示室は駆け足で観たけど、メインはやっぱり第一展示室。ドラマ性の高い展示がとても魅力的。
4/18
志摩ロードパーティ ハーフマラソン2010
1時間35分4秒で完走。暑さとアップダウンでとても苦しかったけど、沿道の声援が多くて本当に嬉しかった。景色とあわせて、記憶に残る大会でした。
「小川芋銭と珊瑚会の画家たち」(前期)@愛知県美術館
愛県美と茨城県美のコレクションを組合せて、芋銭の幻想画と、芋銭を取り巻く人達の作品が淡々と並ぶ。小杉未醒と川端龍子が存在感あった。企画展の後に所蔵作品展が続くのだけれども、これが粒揃いで凄い。ピカソの向かいにクリムト、横に藤田。作品の発するオーラが桁違い。最後の大鵬大茶会の再現展示にウットリ。守一、芋銭、茶道具のコラボはたまりません。若冲六歌仙図の修復が待ち遠しい。
4/24
王者の華 牡丹@徳川美術館
オーソドックスな美から山雪の前衛、仁清の色彩とモノトーン、瑠璃地に白抜き。徳川園の牡丹と合わせて見応え最高!
ヤマザキマザック美術館
5階がフランス絵画、4階がアールヌーボー家具+ガラス。無料貸出の音声ガイドを聞きながら、アートに浸る至福のひと時。サロン風の内装も落ち着く。
2010年04月20日
●小川芋銭と珊瑚会の画家たち(前期)@愛知県美術館
愛知県美術館で開催中の「小川芋銭と珊瑚会の画家たち」(前期)を観ました。会期は4/9-5/23ですが、愛知県美術館がtwitter上で「小川芋銭展、4/25までが前期、4/27からが後期で、20点強が展示替えとなります。」とつぶやいているのを見て、急いで出かけました。
章立ては【彰技堂】【漫画と挿絵】【珊瑚会】【水魅山妖】【自然と田園】【俳句と俳画】の全六章。愛知県美術館の木村定三コレクションと茨城県立美術館のコレクションを組み合わせて、小川芋銭と彼を取り巻く画家たちの作品を紹介します。前半は芋銭を取り巻く画家たちの紹介、後半は芋銭の幻想画がメイン。必ずしも章立てに沿って作品が並ぶわけではないので、一周目は予習のつもりでぐるりと周り、二周目は気になる作品をじっくりと観ました。
【彰技堂】。芋銭が絵画を習った画塾。ここで芋銭は西洋画の素養を養いました。設立者「国沢新九郎」、後継者であり芋銭の指導も行った「本田綿吉郎」等の作品を紹介。
【珊瑚会】。平福百穂を中心に、池田栄治、小川芋銭、小川千甕、川端龍子、鶴田吾郎、名取春仙、山村耕花の八名によって結成された日本画制作を中心とした小団体。また芋銭の友人である小杉未醒(放庵)も紹介。川端龍子は一点のみながら、土と麦(?)の茎を描いた生気溢れる画面に惹きつけられる。また小杉未醒のほのぼのかつ品のある線描も魅力的。河童に扮した芋銭が未醒に河童講釈する絵もユーモアがあって楽しい。
【水魅山妖】。芋銭の代名詞、幻想妖怪画の代表作がズラリと並びます。
「若葉に蒸さるる木精」。本展のメインビジュアル、頬杖をつく河童、人面鳥(?)、天狗などなど魑魅魍魎が淡い色調の画面を跋扈する。
「水虎と其眷属」。水の渦から現れる長髪の河童、その周りで戯れる眷属たち。表情豊かな描写に、現代に通じるユーモアのセンスを感じる。
「山彦の谷」。点々で描かれる林の奥深く、両手を挙げて仁王立ちする山の精、木に腰掛ける山の精。そのカエルのような頭部、三つ指の手に異世界を感じつつも妙に存在感がある印象に残る絵。
カッパや妖怪たちを「人間と自然の媒体者」と捉える視点が、牛久沼のほとりで農業を営みながら絵を描いた芋銭の世界に奥行きと説得力を与えます。同時に淡々とガラスケースの中に作品を並べる展示構成は、やや単調に思えます。また作品リストがないのも残念。芋銭の魅力を現代において再発見する絶好の機会なので、見せ方にもう一工夫あればと感じました。
2010年04月18日
●志摩ロードパーティ ハーフマラソン2010
春の寒波も幾分和らいだ晴天の下、「志摩ロードパーティ ハーフマラソン2010」を走りました。アップダウンの多いコース設定と暑さを考慮して、記録よりも風光明媚な眺望を楽しもう。とはいえ4分30秒/kmのペースは守りたい。というのが大まかな目標。
11:00号砲とともにスタート。走り出すと「行けるところまで行こう!」という気持ちが先立って、オーバーペース気味でパールロードシーサイドラインを北上。延々と続く上りを、「下を向いて顎を引く(ゲストランナーの森脇健児さんがスタート前の挨拶でアドバイスしていた)」ことを実践して黙々と進んでいきます。下りに入るとさらにスピードアップ。東に広がる眺望を楽しんでいるうちに5kmの折り返し点を過ぎます。オーバーペースなりになんとかなるかなと思った矢先、わき腹に痛みがはしって一気にグダグダに。
ペースを落として痛みを抑えながら、走り続けます。痛みと暑さと上りで苦しむも、沿道の給水ポイントからの大きな声援に力づけられます。10kmを越えてようやく上りがなくなり、伊雑ノ浦沿いの眺望コースを走ります。15kmを越えると痛みもおさまって、ようやくレースに集中できるようになりました。
17kmから19kmまで再度上り坂が続いて、足どりはヘロヘロ。でも周りも同じ。最後の2kmは多少持ち直してゴール。記録はグロスで1時間35分4秒。男子の部エントリー2,671人で212位。目標から30秒ほど遅れましたが、完走できて良かったです。沿道の声援に力をもらったことと、風景。二つを合わせて、記憶に残る大会になりました。
2010年04月12日
●大遣唐使展@奈良国立博物館
吉野山を後にして奈良に移動、奈良国立博物館で開催中の「大遣唐使展」を観ました。
第一部 波濤を越えた日中交流
観音菩薩立像と聖観音菩薩立像。気品ある顔立ちに写実的なプロポーションと薄い着衣表現。美しいお腹周り。
井真成墓誌。その才を惜しむ文章が胸を打つ。
諸尊仏龕。空海が将来したと伝わる、超絶技巧の携帯仏。その小ささ、細工の細かさ、25体もの仏様が詰まった密度に目が釘付け!
吉備大臣入唐絵巻。本展の主役。遣唐使を足がかりに出世を極めた吉備真備を主人公に、帰国の夢を果たせず唐に骨を埋めた阿倍仲麻呂をサブキャラに据えた英雄譚。次々に降りかかる難題の対処法が意外と姑息で共感が湧く。第一巻と第四巻の公開。
照夜白図。驚きの墨絵。ぼかし画の上手さと保存状態の良さに目が釘付け。
三彩花文枕、三彩枕。遣唐使が命がけで将来した三彩の品々。その美しさのみならず、伝来の背景を知ることで作品に対する親しみが湧いた
真備、真成にスポットを当てる導入から、超絶技巧の携帯仏、吉備大臣入唐絵巻、驚きの照夜白図、命懸けで将来された三彩。息をつかせぬ怒涛の展示に見とれた。
第二部 国際都市長安と唐代宮廷文化
如来三尊像。左右菩薩の腰のくびれが、本展冒頭の観音菩薩立像を思い起こさせる。両者の共通点に大陸の最新モードを移入、吸収昇華する熱意を感じます。
十一面観音立像。気品ある顔立ちに、スラリとした直立姿勢に見蕩れた。思いがけず閉館30分前の鐘が鳴って慌てた。
第三部、第四部、第七部 ドキュメント遣唐使
第二会場に移って、遣唐使縁の品々を展観。駆け足鑑賞になったのがもったいなかった。
第五部。正倉院の時代 宝物の源流と奈良朝の工芸品
正倉院宝物は去年じっくりと観たので、今回は軽く流した。
第二展示室は駆け足で観たけれど、メインはやはり第一展示室。ドラマ性の高い展示がとても魅力的。意外と空いているので、じっくりと観られます!
2010年04月11日
●吉野山 2010
桜の見頃もあっという間に終盤。過ぎ行く季節を追いかけて、吉野山まで足を伸ばしました。
近鉄吉野駅から下千本の桜を眺めながら、ロープウェイ千本口駅近くまで登った辺り。散り始めた桜の下に、レジャーシート。斜面を活かした花見会場。
黒門、銅の鳥居を越えて、金峯山寺蔵王堂へ。ちょうど花供懺法会・花供会式の大名行列に行き当たり、境内は身動きできない人出。奥殿で開催中の鈴木理策写真展「SAKURA」を観ました。写真の舞台での凱旋開催ということでものすごく期待して行ったのだけれども、実際には離れのような新しいお堂の片隅でひっそりと展示されていてかなり肩透かし。写真は確かに美しいのだけれども、修験道の聖地と俗世の享楽が混在するカオスな場のエネルギーに存在が霞む。
中千本の絶景ポイント、吉水神社「一目千本」の眺め。右手奥の頂が、これから目指す上千本。
あちらこちらの眺望ポイントを楽しみながら、上千本を登って行きます。手前と奥に咲く桜が作り出す、遠近感豊かな色彩が美しい。
水分神社近くの、上千本絶景ポイントからの見下ろし。桜のフレームの中央左に、蔵王堂の大屋根。時間の都合で今回はここで折り返し。
下千本のヒラヒラと舞う花びらの中を、名残りを惜しみつつ下山。桜を堪能しました。
おまけ。20年前に観た吉野山です→「吉野山 1990」
2010年04月05日
●第13回四日市シティロードレース大会
花見シーズン真っ盛りの週末、第13回四日市シティロードレース大会(10km)を走りました。天候は曇り時々晴れ。オフシーズンの大会なので桜を観ながら良い汗をかこうという魂胆。
スタート及びゴールは中央緑地内の陸上競技場。やはりこういう場所に立つと意識が高揚してきて気持ち良い。8:55号砲とともにスタート。競技場内はコース幅がないので、しばらくは歩くのと同じペース。道路に出てようやく走り出す。
本町通りを北上する前半は、ペースを心持ち早めにして、ベースタイムの向上を意識します。折り返した辺りで息切れしたので、三滝通りを南下する後半は、ペースを若干抑えて桜並木を眺めます。中央緑地に戻り、競技場のトラックを周回してあっという間にゴール。
記録はグロスで41分41秒。エントリー1854名で202位。ネットタイムは不明ですが、手元のNike+だと4分6秒/kmのペースでした。先週末のランニングが4分25秒/kmだったので、20秒/kmほどペースアップしました。思ったよりも早かったです。今後は4分/kmを切るペースで走ることが目標になります。
2010年04月04日
●2月、3月の鑑賞記録
2/7
百草冬百種展 金沢から@百草
BRUTUSに安藤雅信さんの自邸が載っていたので興味が湧いた。設計は中村好文さん。百草はその横にある古民家を改装したギャラリー+中村好文さん設計のカフェ。カフェで玄米コーヒー豆乳ラテ+百草のおやつをいただきました。小さいながら居心地の良い場所でした。
山口晃 天井画@清安寺
木地に墨の質感が素敵で、思わず長居をしてしまいました。
2/13
睡蓮池のほとりにて モネと須田悦弘、伊藤存@大山崎山荘美術館
須田さんの睡蓮は最高に良いです。カーペットの白砂に黒板の水盤。写り込む睡蓮。新旧の建物が刺激しあって魅力を深める空間が素晴らしい。
京都オープンスタジオ2010 桂スタジオ、うんとこスタジオ、豆ハウス、AAS。作家さんのスタジオを展示会場として開放する意欲的な試み。VOCA展入賞者や、ギャラリーで展示をされている作家さんたちが参加されていて、とても魅力的でした。同道したlysanderさんが、iphoneをナビにして自転車で街中を疾走したのも良い思い出。
2/21
北宋汝窯青磁 考古発掘成果展@大阪市立東洋陶磁美術館
北宋汝窯青磁展はちょっと予習不足だった。安宅コレクションの迫力はさすが。陶片に描かれた青磁象眼文様の静かな躍動感と色彩が素敵。
絵画の森 ゼロ年代日本の地平から@国立国際美術館
花澤武夫「ゴールドベルク」の荒々しい緑、水流、水盤の構成がパワフル。加藤美佳「カナリア」の黒い瞳と光沢ある唇も現美で観るより素敵。池田光弘の橋の上に草原が乗る絵も幻想的で素敵。杉戸さんの幾何的な絵と、その反対側の絵の白い斜め線に惹かれる。大きく変化する00年代具象絵画の地平を探らんとする質、物量揃えた企画展。でもブースで小分けした閉鎖空間を「庭」とは呼ばないと思う。
森川穣「確かなこと」@京都芸術センター
時間の堆積をスリットから覗き込む。仕掛けが明快で宝探し気分が楽しい。貝殻が見つけられなかった。
2/27
あいちアートの森 豊田プロジェクト 知覚の扉II@喜楽亭
和風旅館のグリッド+時間の堆積と、現代アートのビビッドな感性がお互いを引き立てます。 庭には白梅と椿。
あいちアートの森 豊田プロジェクト 知覚の扉II@豊田市美術館
喜楽邸の時間の堆積に対して、こちらは建築家の構想力で和空間を構成。アートを通して二つの空間の共通点が鮮やかに浮かび上がる。カバコフの鏡に断片化される中庭の景色は都市のよう。歩くに合わせてピタリピタリとフレームインする景色は映画のよう。しかも周辺環境と接続している。豊田市美の空間構成は本当にすごい。
愛知県立芸術大学
「吉村順三展」で見ようと思って以来、幾星霜。ようやく巡礼。長大なボリュームが宙に浮く講義棟が背骨のよう。プレコン庇の外廊下を横軸に各棟が連結。リニアな構成は明快、歩行シークエンスは未消化にて退散
愛知県立芸術大学卒業・修了制作展@愛知県美術館ギャラリー
閉館30分前に飛び込んで、3秒ルール適用でサーッと観て回った。それでも目に飛び込んでくる作品があって、アートの力って凄いなと思った。油絵が面白かった。
3/6
没後10年 小倉遊亀展@兵庫県立美術館
才気煥発お絵かき大好き少女が、困難を乗り越え画家になるサクセスストーリー。戦後の精気溢れる女性像が素敵。長寿なところも素敵。人物画の次は静物画。陶器と花の組合せが好きなので見入ってしまった。結局2時間コースでした。
修二会おたいまつ@東大寺二月堂
大炎上する松明、どよめく境内、爆ぜる音、充満する煙の匂い。大迫力の炎のイベントに大満足。終了時に拍手で沸いた。
3/14
没後400年 特別展「長谷川等伯」@東京国立博物館平成館
一巡目。逆回り鑑賞で意外とゆっくり観られる。小品ガラスケース前は4層くらいの人混み。内容充実で観て楽しい。二巡目。大徳寺金毛閣の再現、桧原図屏風が特に良かった。三巡目。春信の精緻な筆遣いをじっくりと観る。加賀の絵仏師が上洛して狩野と競い、墨絵を極める一代記を堪能しました。
洛中洛外図屏風 舟木本@東京国立博物館ミュージアムシアター
期待のVRシアター。過去の京都町並俯瞰動画がいつ登場するか、今か今かと待つも、静止画中心だった。あれだけの人物を動かすわけにはいかないと分かってはいても、つい期待してしまう。
フランク・ブラングィン展@国立西洋美術館
オーソドックスなデザインスタイルから、強い日差しの下での鮮やかな色遣いへの変化。松方コレクションとの関わりから、共楽美術館の構想へ。練り込まれた会場構成と、共楽美術館を原寸で再現する展示方法。西美でしかできない展示を丁寧にやり遂げた、お手本のような展覧会。
所蔵水彩・素描展-松方コレクションとその後@国立西洋美術館
モロー水彩画の幻想的な美しさにうっとり。
ボルゲーゼ美術館展@東京都美術館
カラバッジョ「洗礼者ヨハネ」の鮮烈な赤が印象的。ラファエロ「一角獣を抱く貴婦人」のユニコーンはちょっと。。。ボッティチェリは印象に残ってない。。。
VOCA展2010@上野の森美術館
中谷ミチコの水の揺らぎのような見え方が素敵。ましもゆきの細密な書き込みも良い。
大哺乳類展@国立科学博物館
剥製と骨格の大物量展示は圧巻。鹿類の角のバリエーション、三大珍獣、ジャコウネズミの可愛いキャラバンまで。様々な角度から好奇心を刺激してくれます。後半のシートン動物記も絵とテキストの合わせ技が魅力的で、時間が足りないのが残念だった。
3/20
尾張徳川家の雛まつり@徳川美術館
等伯が参考にしたといわれる「洞庭秋月図」伝牧谿を観に出かけるも、出展されてなかった。犬人形の愛嬌のある顔立ちと、驚くほど大量の嫁入り道具のミニチュア群が印象に残った。
植物化石-5億年の記憶-@INAXギャラリー名古屋
石に刻印された葉脈のフィンガープリントが、美しいアートワークに見える。
3/28
歴史を彩る 教科書に載る名品@藤田美術館
素晴らしいコレクションは眼福の一言。曜変天目独り占め。
マイ・フェイバリット--とある美術の検索目録/所蔵品から@京都国立近代美術館
読み込みに少々手間がかかりますが、「観る」ことが「知的操作」のようで好奇心をかきたてられます。