2009年10月06日
●皇室の名宝-日本美の華- 1期 (後編)@東京国立博物館平成館
「皇室の名宝-日本美の華- 1期」のブロガープレビュー後編です。前編はこちら。
注:画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
第2章 近代の宮殿装飾と帝室技芸員
後半の華は工芸品。当代最高の技と素材で作り出される奇跡の業の数々は、瞬く間も惜しいほどの眼福。
川之邊一朝ほか「菊蒔絵螺鈿棚」。違い棚に施された、高蒔絵と螺鈿による菊花と小鳥紋様。細やかな花弁に螺鈿を施し、その輪郭は金で抜く。また反対に、輪郭のみを螺鈿で抜く。まさに超絶技巧。豪華な金地に、螺鈿がクルリクルリと七色の輝きを放つ様は、空から羽が舞い降りる様。こんなに美しいモノを見たことがありません。
並河靖之「七宝四季花鳥図花瓶」。漆黒の闇に浮かび上がる、桜のピンクと紅葉の青。その間を飛び交う小鳥たち。絞り込まれた照明が絶大な効果を発揮して、神々しいまでに美しい。
大連窯業株式会社「菊桐鳳凰文ガラス花瓶」。大きなクリスタル・ガラスに刻まれた菊桐鳳凰の祝賀図案は、その大きさと相まって貫禄十分。存在感と透明感が共存する不思議な世界。
海野勝珉「蘭陵王置物」越しに、川端玉堂「四時ノ名勝」を望む。工芸技術の精華と、四季の景の共演。あまりにも贅沢なひととき。
そして絵画に回帰。
鏑木清方「讃春」。皇居前広場で寛ぐ富裕層の女学生と、隅田川で船暮らしの母子の対比。そして両者に等しく春が訪れる。
上村松園「雪月花」。ふっくらとした顔立ちの松園美人が、散り行く桜の花びらを受け止め、観月を楽しみ、御簾を巻き上げて雪を眺めます。最後は女性らしい柔らかな感性で〆。
「皇室の名宝」の題名に相応しい、全編が見所の、異様に密度の濃い展示でした。しかも2期は全点展示替、正倉院宝物も登場して、更にヒートアップ!「平螺鈿背円鏡」の細工の美しさは、図録を見るだけで悶絶モノです。
最後にお題。「もし1点だけ持って帰れるならどれにするか? どこに飾りたいか?」。私の答えは「菊蒔絵螺鈿棚」、ベッドも机もダイニングに押し込んで、寝室に飾ります。家具でありながら空間を感じさせる「違い棚」が大好きです。超絶技巧の極みのような高蒔絵と螺鈿の競演にメロメロです。
今回のブロガープレビューの機会を与えてくださった関係者の方々に、厚く御礼申し上げます。
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? 「皇室の名宝 - 日本美の華」(第一期) 東京国立博物館(プレビュー) from はろるど・わーど
東京国立博物館・平成館(台東区上野公園13-9)
「御即位20年記念 特別展『皇室の名宝 - 日本美の華』」(第一期)
第1期:10/6-11/3(第2期:11... [続きを読む]
展示としては後半部も華があって良かったですよね。
ガラスに七宝も美しかったです。
>「菊蒔絵螺鈿棚」、ベッドも机もダイニングに押し込んで、寝室に飾ります。
そうきましたか!
贅沢な空間になりそうです。
はろるど様>
こんばんは。
美しさにおいては、一生モノの展示だったと思います。
螺鈿大好きなのです。
ごぶさたです。
すばらしかった。
特に、近世ものの状態の良さには驚きました。
結局、2度行っちゃいました。
初めてです。
では、また。
ベンゼン様>
こんにちは。
安土桃山から江戸、近代へと。
美の精華と思える作品がズラリと並ぶ、豪華な展覧会でした。