2009年09月14日

●杉本博司「Lighting Fields」@ギャラリー小柳

 ギャラリー小柳で開催中の杉本博司「Lighting Fields」を観ました。

 大きな黒い画面に写しこまれた、動物の肌のような、植物の繊維のような質面のクローズアップ。その部分部分から小さな爪のような突起が顔を出し、白いスパークが刻まれています。その様は、嵐の荒れ狂う風景のようであり、宇宙の暗闇を旅する宇宙船のようでもあります。とても緻密な画面なのに何が写っているのか分からず、観れば観るほどイメージが広がります。

 何を撮ったのだろう?何を見ているのだろう?その答えはカウンターに置かれたA3二つ折りのチラシに書かれています。なんと、様々な物質を介しての放電現象を、カメラを使わず直接フィルムに定着させているそうです。タイトル通り、「放電場」です。

 カウンターに置いてある「歴史の歴史」展のカタログをめくって見ると、放電場を左に、仏像を右に並べたページが目に止まります。実験的な手法でありながら、卓越した審美眼を通すことで、優れた美術品へと高める「放電場」。同じフィルターを通して選ばれた古美術。異なる時間軸上にある作品が並び立つ様は、ゾクゾクするような気持ち良さがあります。「歴史の歴史」展を見逃したのは痛かったですが、「Lighting Fields」は10/10までやってます。オススメします!

Posted by mizdesign at 2009年09月14日 23:08
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金沢21世紀美術館の展示が気になりつつも行けなかったので、絶対にこちらには伺おうと思っていました。 圧巻でした! もうこれだけのテクニックと見せ方を持ってる... [続きを読む]

Tracked on 2009年09月20日 22:06
コメント

こんばんは。
フィルムに直接という手法に驚きました。
やられた!という感じです。

Posted by あおひー at 2009年09月20日 22:07

あおひー様>
こんばんは。
実験的技法をアートに昇華する鑑識眼は本当に凄いと思いました。

Posted by mizdesign at 2009年09月28日 20:11
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