2009年09月29日
●没後50年 北大路魯山人 美と食の巨匠が挑んだ世界@滋賀県立陶芸の森 陶芸館
滋賀県立陶芸の森 陶芸館で開催中の、「没後50年 北大路魯山人 美と食の巨人が挑んだ世界」を観ました。陶芸作品を中心に、書、絵画、篆刻、漆芸約230点を並べて、魯山人の世界を回顧します。ふくやま美術館、いわき市美術館、北海道立帯広美術館と巡回した展示の巡回展ですが、前2館は約250点とあるので、規模が少し小さめのようです。その分、入館料もお値頃。作品リストは館内、HP上共に用意されていないので、参考までに帯広美術館の作品リストをリンクしておきます。
入口を入ると、魯山人の自画像が迎えてくれます。ユーモアに富んだ筆遣いが大胆。そして陶芸作品がズラリと並びます。
色絵椿文大鉢。本展のキービジュアルになっている大鉢。器の内外に描いた色とりどりの椿の花と葉が、薄黄土色の地に映える。大きくて使うのが大変そうと思ったら、茶碗サイズのものも展示してあります。
織部鱗文俎板鉢。大きな平鉢。上辺に引いた緑が美しい。
金彩雲錦大鉢。川辺に桜と紅葉を描いた図柄。器の内側に金を薄塗りして、金色の雲を表現した大鉢。桃山絵画のような華やかさ。
鳥かすみ網文扇面鉢。扇を開いた形がとても好きな、織部の鉢。
色絵糸巻平向付。縦横のストライプ模様が可愛らしい、6枚組の向付。
本展では、魯山人が総料理長兼顧問を務めた会員制高級料亭「星岡茶寮」で実際に使われた器や調度品を特集展示しています。器と並べて、往時の料理を実際に器に盛り付けた写真パネルを並べているのですが、これがとても美味しそうで流石と唸る出来栄えです。器と料理が奏でる「実用の美」を、遺憾なく発揮しています。この点が最大の見所だと思います。
織部鱗文俎板鉢。大きな平鉢に盛り付けられた、海老と寿司。舌が蕩けそうな味覚が伝わってきます。
酒器類もお酒の旨さにのどがなります。
さらに絵画、書、篆刻、漆芸と展示が続きます。
今年のお花見は星岡茶寮へ。「星岡茶寮」花見会の案内原画。楽しげな雰囲気が伝わる、即興的な線描と淡い色遣い。
赤絵鉢之図。細い線描に赤が映える。
魯山人の世界を堪能しました。また、魯山人の没後50年を記念しての展覧会が京都の何必館、島根の足立美術館でも平行して開催されています。その人気の高さがうかがえます。
2009年09月27日
●若冲ワンダーランド(第1期)@MIHO MUSEUM
MIHO MUSEUMで開催中の「若冲ワンダーランド(第1期)」を観ました。千葉に住む身にとって、滋賀の山奥はあまりに遠い。でも観たいものは観たいと一念発起、始発ののぞみに飛び乗り、友人に最寄り駅から車で拾ってもらうという幸運に恵まれて、開館前に無事到着。山はホンノリ紅葉に染まり始めています。この時点で40-50人ほどの方々が開館を待っていました。
そして開館!柔らかな日差しに満ちる桃源郷を、一路北館へ。待ちに待った対面のとき。
第1章 プロフィール
若冲唯一の書簡の写真パネルを冒頭に配し、若冲像を巡る文献が並びます。かの有名な「平安人物志」(京都府立総合資料館)もあり、文字による若冲像に親しみが湧きます。素麺好きだったんだ!
第2章 版画
「乗興舟」京都国立博物館。淀川下りの眺めを、黒地に白の大胆な画面で描く。版画は一場面しか展示されていないものの、全編を写真パネルで展示してあるのが親切。版木(個人蔵)が数年間、濡れ縁の下張りに使われたというエピソードにビックリ。
「玄圃搖華」個人蔵。物販コーナーのコットンバッグはこの絵柄。迷わず購入しました。
「花鳥版画」平木浮世絵美術館。オレンジの色味が美しい。欲しいー!
3章 動植綵絵への道 法度(ルール)の中に新意を出す
「紫陽花白鶏図」個人蔵。お馴染みの、レースのように細密な羽の描写。ところがどっこい、その質感は油絵のように立体的。図録では全く再現されないので、観るしかない。
「月夜白梅図」個人蔵。月夜の如く黒いブースに絞り込んだ照明、浮かび上がる白梅。神秘的な世界観は、空間演出に優れたここならでは。
「旭日松鶴図」摘水軒記念文化振興財団。千葉県柏市の旧家、寺島家が所蔵する名品。作品収集で力尽きて、今は千葉市美術館に寄託されております。箱作って下さい!
4章 若冲ワンダーランド ユーモアとリアリティのカクテル
「出山釈迦図」個人蔵。同じ構図で墨画と絹本着色が並びます。筋目書きが冴えるモノクロ画のほうが好きです。
「蛙図」個人蔵。大きくへの字に口を閉じた表情がユーモアたっぷり。左右から覗く目もチャーミング。
「雨竜図」個人蔵。身体を大きく旋回させ画面から大きくはみ出す構図が大胆。そして口をクワッと開く!コミカルな表情がたまりません。筋目書きのウロコ表現も細かい。
「蟹・牡丹図衝立」個人蔵。墨の濃淡で、蟹の甲羅の硬さが伝わってくる。裏面は風に吹かれる牡丹。あんな大柄な花を、なぜわざわざ歪めるのか?チャレンジャーな絵。
「菊図」個人蔵。ぼかし表現による菊の花の表現が見事。黒く鋭角で力強い線は川?シュールな画面構成は、名画「菊花流水図」へとつながる。
5章 若冲をめぐる人々
「売茶翁像」個人蔵。顔だけリアルに描き、衣服は墨の勢いある省略画法。さすがの若冲も尊敬する翁の顔だけはユーモアで包めなかったのか?
6章 象と鯨図屏風
「象と鯨図屏風」MIHO MUSEUM。まさかの新発見、初公開!海と陸の巨大哺乳類が対面する大胆な構図、六曲一双の大画面、そしてパオーンと鼻を振り上げる白象と潮を吹く鯨というユーモア溢れる描写。もうたまりません!修復の成果か状態も良好。対面できて本当に嬉しい。象の耳がちょっと浮いてる気もしつつ、今後の研究に期待します。
7章 ワンダーランドの共住者たち
「老松図屏風」与謝蕪村(個人蔵)。77年ぶりに公開という金地に墨で描かれた松。今回は右隻のみ。2期が左隻でしょう。じらします。
「富士三保図屏風」円山応挙(千葉市美術館)。千葉市美術館が誇る、応挙の大作。照明が良いので、とても映えます。
8章 面白い物好き
最後は盛大に、壁一面に石峰寺の五百羅漢を写します。若冲晩年の世界観に包まれてフィナーレ。
展示数は多くないものの、見応えは十分。これまで知らなかった新しい若冲ワールドが広がります。「皇室の名宝展」の「動植綵絵」と合わせてみれば、空前絶後のスーパー若冲ワールドが完成します。必見!
さよならMIHO MUSEUM、また来る日まで。
レセプション棟のレストランで遅いお昼。無農薬栽培の野菜が美味しい!
2009年09月17日
●平常展@東京国立博物館本館
平成館で二つの企画展を観たあと、本館の平常展へ。
「四天王立像 広目天」浄瑠璃寺。何よりこの像が観たかった。九体阿弥陀堂唯一の遺構として知られる浄瑠璃寺に伝わる四天王像の一体。火焔を背負い、右下を見下ろす迫力ある顔立ち。平安時代後期を代表する美しい造形。
そして彩色の保存状態がとても良いのが見所。裾にぶら下げた鈴、緑と赤の彩色に金の縁取り。もう、うっとり。
仁清の大壷。空間に平面絵画を描きこむ迫力に見蕩れる。
龍の螺鈿細工。色とりどりの螺鈿を細かく貼り込んだ細工が美しい。
伝雪舟の花鳥画。えっ、雪舟の花鳥画?伝がつけば何でもありな気がする。じっくりと観た。
メカフグ。これで黒船撃退は難しかろう。。。
表慶館アジアギャラリーを駆け足で見て、東博漬けの一日を終了。混んでて見難かった企画展よりも、落ち着いて観られる常設展の方が圧倒的に良かった。
2009年09月15日
●染付 藍が彩るアジアの器@東京都国立博物館平成館
東京都国立博物館平成館で開催された特別展「染付 藍が彩るアジアの器」を観ました。会期終了前日に滑り込み。染付という技法を主題に、14世紀から江戸時代までの時間軸を縦糸に、中国・朝鮮・日本・ベトナムの場所軸を横糸にとって磁器を通観する展示です。
8 伊万里と鍋島の染付
「染付兔形皿」伊万里。小皿面に、大胆にクローズアップした兔の図案。その面分割に合わせて起伏をつけ、細やかな体毛まで再現した技術の極み。美しい。
「染付鳳凰牡丹唐草文扇形蓋物」伊万里。扇子をモチーフにした外形、大きく盛り上がる上面。豪華で優美な造形と装飾。さすが、サントリー美術館の所蔵品!
「青磁染付水車図大皿」鍋島。大好きな水車紋!大胆に水平分割された画面、画面ごとに切り替わる色彩。さらに大きな水車がランダムに配されて、画面に大きく変化を与える。それらが静寂さが漂う画面に凍結されたように並ぶ。
「染付蓮鷺文三足皿」鍋島。淡いトーンの背景、岩場に佇む三者三様の鷺。薄くむらなく塗る「濃染め」という技法だそうです。
11 伊万里染付大皿-平野耕輔コレクション-
「染付網目文大皿」伊万里。白地に網目文の、シンプルで爽やかな図案。刺身を盛ったら美味しそー。
「染付蜃気楼図稜花大皿」伊万里。蜃気楼とは、大蛤が吐き出す気から生まれる世界。その図案を、白磁ベースに染付の夢描写で描き出す。現実と夢幻が逆転しそうな錯覚を覚える。
12 染付の美を活かす
染付のある生活風景の再現展示。涼やかで見た目も美しい食卓に、食も進みそう。
2009年09月14日
●杉本博司「Lighting Fields」@ギャラリー小柳
ギャラリー小柳で開催中の杉本博司「Lighting Fields」を観ました。
大きな黒い画面に写しこまれた、動物の肌のような、植物の繊維のような質面のクローズアップ。その部分部分から小さな爪のような突起が顔を出し、白いスパークが刻まれています。その様は、嵐の荒れ狂う風景のようであり、宇宙の暗闇を旅する宇宙船のようでもあります。とても緻密な画面なのに何が写っているのか分からず、観れば観るほどイメージが広がります。
何を撮ったのだろう?何を見ているのだろう?その答えはカウンターに置かれたA3二つ折りのチラシに書かれています。なんと、様々な物質を介しての放電現象を、カメラを使わず直接フィルムに定着させているそうです。タイトル通り、「放電場」です。
カウンターに置いてある「歴史の歴史」展のカタログをめくって見ると、放電場を左に、仏像を右に並べたページが目に止まります。実験的な手法でありながら、卓越した審美眼を通すことで、優れた美術品へと高める「放電場」。同じフィルターを通して選ばれた古美術。異なる時間軸上にある作品が並び立つ様は、ゾクゾクするような気持ち良さがあります。「歴史の歴史」展を見逃したのは痛かったですが、「Lighting Fields」は10/10までやってます。オススメします!
2009年09月13日
●トリノ・エジプト展@東京都美術館
夏休みといえば、古代へのロマン!「シカン展」の次は、東京都美術館で開催中の「トリノ・エジプト展」を観ました。前者が「未知への誘い」ならば、後者は「約束された感動」です。
館内は物凄い人で、小品の展示は5-6層の人垣。とても観るという感じではありません。久々に体験する、「大型展に湧く都美」です。大物展示だけに絞って、人ごみの中を掻き分けて進みました。
第2章 彫像ギャラリー
というわけで、ここが本展のハイライト。
ライオン頭のセメクト女神立像。柔らかな体の線、ピッタリと持つ杖がキュート、頭には曲線が美しいライオン像。その可愛らしさとはうらはらに、恐ろしい火を吐く女神を抱いた、王の威厳を示す像らしい。でもニャーンって鳴きそう。
イビの石製人型棺の蓋。
両手で大剣をしっかりと握り締めた、本展のキービジュアル。顔の造形も威厳と人間味が感じられます。全身を覆う象形文字も装飾のようで美しい。実は財宝を管理する役人の棺と知ってビックリ。王でも貴族でもなく、役人。往時の栄華と技術の高さに驚くばかりです。
アメン神とツタンカーメン王の像。歴史上から抹消された悲劇の青年王、ツタンカーメン。その左には、彼が唯一神として信仰したアメン神。王なるファラオを小さく、その信仰の対象を大きく作る造形からも、王の敬虔な姿勢が伺えます。日本人好みのサイドストーリーと、美しい砂岩造形が合わさった二重奏が美しいです。彼の名を刻んだ銘が書き換えられているというエピソードも、悲劇性を高めます。
第3章 祈りの軌跡
死者の書。パピルスに描かれた死後の世界。それは、母なるナイルへの復活の道。
永遠の願い「不老不死」。死後の復活を願って、続々と作られるミイラ。内臓を取り出し、別保存として来世での復活に備える。オシリス神信仰と復活を絡めた展示と解説が、とても腑に落ちます。死後の復活を願う儀式と品々が、今も強く心惹かれます。
2009年09月12日
●特別展「黄金の都シカン」@国立科学博物館
上野の国立科学博物館で開催中の特別展「黄金の都シカン」を観ました。今回はこちらの告知で知った「一日ブログ記者」に応募して鑑賞しました。「取材(鑑賞)日は自由に設定可!会場内撮影OK!特典多数!」のとてもありがたい企画です。
題材は科学博物館お得意の「南米ペルー文明の遺産」。今回は「インカ」、「ナスカ」といったメジャーどころに比べると知名度が低い「シカン」を取り上げます。日本人の研究者が30年かけて発掘調査を続け、その全貌を解き明かしてきたという解説と、夏休みの季節特有の探究心の高まりがあわさって、古代へのロマンが掻き立てられます。
注:画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
プロローグ 考古学の世界へようこそ!
考古学の先達の紹介から、本展の主役の1人である島田教授の紹介。そして最後に発掘道具と発掘品の綿密なスケッチ。壁面には大量の発掘現場写真パネル。この地道な努力の積み重ねが、土に埋もれた古代文明を蘇らせる。ようこそ、シカンの世界へ!
ロロ神殿を中心とする発掘現場周辺の模型。往時のピラミッド(透明プラスチックで造形された部分)は朽ち果てつつも、何度もの調査(小さな紙片が置かれた窪み部分)の繰り返しと、その出土品の解析を経て、失われた文明が姿を現します。何台もの液晶モニターから映像が流れ、立体的にその過程が再現されています。
第1部 シカンを掘る!考古学者の挑戦
そして本編。修復を施した出土品による、「黄金文明の遺産」。本展のキービジュアルに用いられている「シカン黄金大仮面」がドーンと登場します。「月の宮殿」を意味する「シカン」に因んで、黒地に白い三日月をモチーフにした展示スペースもスマート。女性埋葬者も登場して、シカン文明を巡る謎解きが続きます。
第2部 シカン文化の世界とインカ帝国の源流
大物出土品のデモンストレーションの次は、「宗教、交易、卓越した技術、人々の生活、環境条件、社会構造」の6つの側面から、文化を読み解いてゆきます。赤い布地を背景に煌く黄金が、とても魅惑的です。その美しさに魅せられ、自ずからその文明について、もっと知りたい!という欲求が湧いてきます。
刺繍の出土品。キャラの可愛さになんとも惹かれます。たとえ往時とは意味合いが全く違うとしても、現代の文脈で魅力を持つことは素晴らしいことだと思います。
「黄金の御輿」。階層構造の頂点に立つであろう人物に相応しい、豪華で精緻な造形。
「魅力的な黄金文明の遺産」+「日本人研究者の研究の軌跡」という二本立ての構成は、親近感と古代への憧れが重なって、とても魅力的です。また、「一日記者」という企画も展示を観る視点が変わって面白いです。このような機会を設けて下さった関係者の方々に深く感謝いたします。
2009年09月02日
●8月の鑑賞記録
8月の鑑賞記録です。
8/1
大河原邦夫のメカデザイン ガンダム、ボトムズ、ダグラム@八王子夢美術館
時機を得た展示。見せ方にもう一工夫欲しかった。
◎機動戦士ガンダム30周年プロジェクト「ガンダム 緑の大地に立つ!」@お台場潮風公園
驚異の415万人動員!阿修羅をも超える現代の偶像。
○サマーウォーズ
大家族を中心に据える話作りが良かった。
8/16
栄光のオランダ絵画展@ホテルオークラ東京「アスコットホール」
「聖家族」が観られて良かった。
○花・華-日本・東洋美術に咲いた花-@大倉集古館
縮図から牡丹図まで。探幽の幅広さ。
◎髙島屋資料館所蔵名品展(前期)@泉屋博古館分館
奥の三枚揃い+龍子は圧巻。
○赤黒金銀緑青 前田正博の色絵@智美術館
空間と一体になった展示が良かった。特に茶色の違い棚に色とりどりの磁器が並ぶところ。
謎のデザイナー 小林かいちの世界@ニューオータニ美術館
耽美+グラフィックセンス。小さなカードばかりなのが残念。
8/22
ルネ・ラリック 華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ@国立新美術館
時代の変遷と並行しながら作風の変化を見せているのが良かった。全編褒めたたえる解説はイマイチ。時機に敏なプロデューサー像は平坦。
○光 松本陽子/野口里佳@国立新美術館
野口さんの展示は、白から黒に変転する空間演出と、闇に横一列に浮かぶ「太陽」シリーズが最高。新美の無機質な白箱に映えてた。
松本さんの展示は、ダイナミックなピンク、緑の画面が見応えあった。言葉できないタイプの作品。
○牧島如鳩展@三鷹市美術ギャラリー
二枚の弁財天が良かった。混沌というか信仰というか、濃い展示だった。
8/23
◎聖地寧波 日本仏教1300年の源流@奈良国立博物館新館
五百羅漢が見所。普段の生活から、空の龍に赤いビームを放つアクションまで。人でありながら超常の力を持つ五百羅漢の、起伏に富んだ世界。
○仏教美術の名品展@奈良国立博物館本館
室生寺金堂の十二神将がでていてラッキー。土門拳の写真で見たとおりの表情だった。
○内海聖史個展 ボイジャー@eN arts
個展三連作の最後は、アクセルを踏み込んだ構成。
○ART OSAKA 2009@堂島ホテル
メグミオギタのベッドシーツに横たわる一角がベスト。秋の個展が楽しみ。
堂島リバートリエンナーレ@堂島リバーフォーラム
直感的に面白く、その意味は深い。
8/29-30
◎大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2009
十日町地区
松之山地区
松代地区
大地に根ざした展示は必見としか言いようがない。現代美術ファンは絶対に行くべき。
2009年09月01日
●大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2009 (松代編)
150 草間彌生「花咲ける妻有」。山村の自然に負けない、原色に水玉のうねり。生命力溢れる造形が、周囲と同化している。
147 イリヤ&エミリヤ・カバコフ「棚田」。農舞台に置かれた文字盤越しに、棚田に置かれたオブジェを眺める仕掛けが、視点場と対象物を強く意識させる。とても美しい作品。
147 MVRDV「まつだい雪国農耕文化村センター「農舞台」」。大胆な造形の老人ホームで有名な、オランダの建築家ユニット「MVRDV」の日本初作品。4本足で建物を持ち上げるアイデアが非常にユニーク。現象を先に設定してその実現のためにフレームを組むという順序が、3 ドミニク・ペロー「バタフライパビリオン」と似ている。
農舞台内部の 147 河口龍夫「関係-黒板の教室」は、机、椅子、床まで黒板色に揃えていて、まるで黒板の中に入ったよう。机の天板を開けると、中には情報端末。その内容は意外と普通。
近くに配置されている 149 小沢剛「かまぼこ型倉庫プロジェクト・かまぼこ画廊」は、周辺地域に沢山建っているかまぼこ型駐車場の形を取り入れている。大小様々な大きさの箱を並べることで、視覚的に地域に馴染みつつも新鮮味がある。山口晃作の箱は、外まで展示が溢れている。ビーダマ転がし?
157 岩井亜希子×大場陽子「サウンド・パーク」。ロープに跨り、ターザン気分で奏でる楽器。身体を使ったダイナミックな動作が、とても楽しい。
156 パスカル・マルティン・タイユー「リバース・シティ」。宙に吊られた巨大鉛筆群が大迫力。色とりどりの鉛筆にはそれぞれ国名と国旗が書かれているが、題名のリバース・シティの意味は分からなかった。
162 大岩オスカール「かかしプロジェクト」。田んぼに点在する赤い人形の胸に、モデルとなった人たちの居住エリアと名前。当人たちの影のような人形が、妙に存在感がある。
38 福武ハウス2009。38-4 森弘治「質問のワークショップ/3つの行為」@ヒロミヨシイ。教室の清掃をイベントに仕上げる視点がユニーク。丁度掃除が始まって、ワクワクしながら観た。38-7 渡辺英司「蝶瞰図-福武ハウスインスタレーション」@ケンジタキギャラリー。図鑑から切り取った紙の蝶たちが、天井にビッシリと止まっている。その様が妙に生々しい。38-10 ヘレン・ファン・ミーネ「Pool of Tears」@ギャラリー小柳。楽譜を並べる台に置かれた、少女たちの写真。音楽室を活かした展示が美しい。
33 田島征三「鉢&田島征三・絵本と木の実の美術館」。最後の在校生たちを主人公にした、廃校を舞台にした物語。屋外の獅子おどしと連動して動くオブジェから始まり、廊下、教室でお化けと出会い、さらには屋外へと続く。カラフルに彩色された流木によるオブジェがユーモラス。「廃校」という現実を、未来あるものと捉える視点が暖かい。学校の死を淡々と葬送する「最後の教室」と対照的。心情的に前者を応援したくなるが、現実は後者かなと思う。
「廃屋・廃校トリエンナーレ」という噂どおりの内容でした。それに加えて「胞衣 みしゃぐち」と「サウンド・パーク」が良かった。それと温泉!アートと温泉で癒されました。