2009年08月23日
●内海聖史個展「ボイジャー」@eN arts
eN arts で開催中の内海聖史個展「ボイジャー」を観ました。こちらで大いに刺激を受けて、京都遠征を決意しました。
八坂神社脇の日本家屋が続く通りを歩いていくと、大きなガラス面を組み込んだモダンなファサードが現れます。画面の中には「色彩の下」。ちょっと入り方が分かり難い、大きな開き戸を引いて(ステンレス金物にグレーでPULLと書いてある)中へ。
入口周辺には、小品を並べたシリーズが幾つか並びます。特に丸い球体にドット彩色を施した「コロナ」シリーズに目が行きます。アイスクリームに色とりどりのチップスをまぶしたようで、とても美味しそう。
左手奥に和室。床の間には、小さな点をラフな線でつないだ掛軸と、器の中をドットで埋めた茶器「魚眼」が置かれています。平面と立体の組み合わせで見せる構成が新鮮。
入口に戻って奥に進むと、大作「背景の象徴」が左手から大きくカーブを描いて奥へと続きます。天井高のない空間一杯に広がる色彩の点描は、壁と一体となって空間を圧迫するほどの迫力。画面に沿って歩くと階段に至り、地階へと続きます。
暗幕の奥は闇。徐々に目が慣れてくると、赤い画面に一部緑が載った「吽」が浮かび上がってきます。徐々に空間の輪郭と色彩が浮かび上がってくる時間がとても印象的です。さらに目を凝らしても細部をうかがえないライティングが絶妙。ディテールが消失することで、面としての存在感が浮かび上がります。
折り返して、再度「背景の象徴」の前に。以前にも増して、溢れんばかりに精気づく色彩の点描が迫ってきます。緑に青に紫。マスカットに巨峰にデラウェア。R状にカーブした画面にも慣れてきて、壁面から跳ねだしてきそうな葡萄の大群をじっと眺めます。とても横長な画面は、上下の余白をトリミングされたこともあって、時間軸上を変化する3次元的な経験に思えてます。
非常に特徴のあるギャラリー空間を活かした展示は、2次元絵画と3次元空間との関わりを意欲的に掘り下げていて見応えがあります。スパイラルの「色彩の下」が「完成形」とすれば、こちらは「新たな実験」。特にR形状画面を取り入れることで、展示全体を一つの時間軸に取り込むような経験を感じさせたところが印象に残りました。
ギャラリーには内海さんがおられて、色々とお聞きできたことも良かった。R形状画面を取り入れたいきさつ、地下展示についての話、画面を通して見えるイメージ、「確信」を持った展示と「解体中」の今回などなど。なぜかはろるどさんと間違われて可笑しかった。
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というわけで、内海さんの個展を観るために京都に行ってきました....
内海さんと言えば、大小のドットの作品。今年もスパイラルの大き
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京都・奈良・大阪楽しかったですか?
続報期待しています!
このギャラリーは凄いです。
何しろオープニングはあの伊庭さんだったそうです。
内海さんがいらっしゃったのは超ラッキーでしたね★
meme様>
続報がなくて申し訳ないです。
すでに堂島ビエンナーレ行かれたのですね。
あっちよりも、アートフェア大阪の方が楽しめました。。。