2009年07月26日
●コレクションの誕生、成長、変容―藝大美術館所蔵品選―@東京藝術大学美術館
東京藝術大学美術館で開催中の「コレクションの誕生、成長、変容―藝大美術館所蔵品選―」を観ました。こちらとこちらで絶賛エントリーを読んで、楽しみにしていた展示です。
「岩石」狩野芳崖。技の極みを追求するような岩と木のみの描写。右隣に並ぶ「悲母観音」の作り込まれた画面との対比で、異質感が映えます。掴みはバッチリ。
「白雲紅樹」橋本雅邦。奥深い岩山に流れる水、紅樹、青樹の彩り。左隣の絶作「悲母観音」の仕上を託された雅邦の大作。この並び方が上手い。
「伊香保の沼」松岡永丘。沼に足を浸し髪を振り乱して、悲しみの表情を浮かべる女性。情感豊かな描写に引き込まれる。
「序の舞」上村松園。揺るぎない線描と、扇をくるりと返した刹那の美。帯の色彩も素晴らしい。松園の美学と、瞬間の緊張感が両立する名作。
「一葉」鏑木清方。精緻に描きこまれた、淡く美しい画面。
冒頭からここまで、名作が一気呵成に並ぶ様は圧巻。何度も往復しました。そして振り返ると。。。
「群仙図屏風」曾我蕭白。妖しく微笑む西王母、怪鳥と化した鳳凰。背景の梅(?)といい、あきれるほど上手い。
名作群と蕭白の間に「絵因果経」(国宝!)、「繍仏裂」を挟む展示は、至福の空間。時が経つのを忘れます。
「百鬼夜行絵巻」。ユーモア溢れるタッチで描かれる、怪物たちの宴。
「華炎」津田政廣。蓮の花に頭を寄せる天女。その形と赤い色彩が炎のようで見蕩れる。
「金錯狩猟文銅筒」。細かな金細工が照明に浮かび上がる。古典と近代のコラボレーションにメロメロ。
会場を移して西洋画コレクション。
「靴屋の親爺」原田直次郎。先日見た「騎龍観音」が記憶に新しい画家の留学時代の作品。確かな画力と、背景にある試行の時代を思う。
「黄泉比良坂」青木繁。頭を抱えて逃げるイザナギと、地の底へひきずりこまんと手を伸ばすイザナギ。緑のパステル地に塗り込められた女性群像が、神秘と怪奇の世界に誘う。
「ティヴォリ、ヴィラ・デステの池」藤島武二。この絵も見覚えあり。近美で観たのか?両館コレクションが呼応するようで面白い。
素晴らしい密度と美しさに圧倒されました。冒頭の展示は必見です!
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? 「コレクションの誕生、成長、変容 - 藝大美術館所蔵品選 - 」 東京藝術大学大学美術館 from はろるど・わーど
東京藝術大学大学美術館(台東区上野公園12-8)
「コレクションの誕生、成長、変容 - 藝大美術館所蔵品選 - 」
7/4-8/16
美術館の開館10周年... [続きを読む]
こんばんは。昨日は急にお呼出して失礼しました。ですが色々とお話出来て愉しかったです。
さてさてこの展示、ミズさんをして圧倒と仰るにも納得の内容でした。冒頭の展示室、数点だけでも30分は見ていたかもしれません。また松岡や原田など、これまであまり意識してこなかった画家に名品があるのも嬉しいところでした。
今年最高の美術館所蔵品展かもしれませんね。
はろるど様>
こんにちは。
昨日はありがとうございました。
本当に「美に酔う」ひと時でした。
「収集」だけでなく、「生産」する術を持つところが藝大らしくて良かったです。
初めてコメントします。
伊香保の沼・序の舞・靴屋の親爺と気に入りました。
騎龍観音も先日観ておおーっと。
特に伊香保の沼は良かったです。
では、また。
ベンゼン様>
日本画の豪華ラインナップは圧巻でしたね。
眼福でした。