2009年07月19日

●「日本の美・発見II やまと絵の譜」@出光美術館

 出光美術館で開催中の「日本の美II やまと絵の譜」を観ました。「やまと絵」の厳密な定義にこだわるのではなく、そのときそのときに「やまと絵」として楽しんできた作品を見ていって、今に繋がるイメージを探そうよという企画です。

 第一章 「うつつ」をうつす-「やまと絵」と浮世絵
 「野々宮図」岩佐又兵衛。胸を反らせたポーズが江戸離れしていてステキ。
 「在原業平図」岩佐又兵衛。いつも座して描かれる業平を、あえて立たせる着眼点。常に新しいところを目指す、売れっ子絵師が眼に浮かびます。
 「四季日待図巻」英一蝶。夜を徹して日の出を待つドンチャン騒ぎの様子。浮世の楽しみを描いてこそ「やまと絵」。流刑の際に描いたという解説を読んでしんみり。
 「凧揚げ図」英一蝶。細く絞った画面が生み出す上昇感と、たわんだ糸が生み出す余力。豊かな発想力が楽しい。
 「江戸名所図屏風」筆者不詳。町の賑わいが仔細に描かれていて、観て楽しい。庶民が圧倒的に主役なところが、さすが江戸。

 第二章 「物語」をうつす-「やまと絵」絵巻の諸相
 時代を巻き戻して、素朴な描写から美しい彩色画面まで、絵巻がズラズラ。絵巻の体裁上場面替えが多く、一部しか見られないのが残念。

 第三章 「自然」をうつす-「やまと絵」屏風とその展開
 「日月四季花鳥図屏風」筆者不詳。花鳥画でありながら、原始の世界に迷い込んだような力強さ。本展の顔に相応しい。

 「うつつ」、「物語」、「自然」。明快なテーマ設定と、出光が誇る名品の数々に囲まれる至福のひと時。絵にうつるモノが自然ならば内海さん、物語ならば鴻池さんといった方々の絵も「やまと絵」と呼ぶだろうか?最後に今に生きる自分へ問いかけて終わり。素敵な展示をありがとうございました。

Posted by mizdesign at 2009年07月19日 17:34
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Tracked on 2009年07月19日 21:19

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Tracked on 2009年07月19日 21:23
コメント

こんばんは。今回のやまと絵展は本当に良かったですよね。
これを見ることで俄然、自分の中での一蝶についての関心がヒートアップしました。
秋の板橋にも期待したいです!

Posted by はろるど at 2009年07月19日 21:23

はろるど様>
こんにちは。
コメントが久しぶりで申し訳ありません。
大らかで楽しい展示でした。
一蝶の躍進は若冲と並んで、天心が切り捨てた美の復権とも捉えられますね。

Posted by mizdesign at 2009年07月28日 01:36
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