2009年06月19日
●恋する西洋美術史
池上英洋「恋する西洋美術史」を読みました。扉をめくると、熱烈に口づけを交わす男女の図版が次々と表れます。その官能的な美しさは、絵画というよりもHな本のようで、周囲の視線が気になって本を閉じてしまうほどです。
強烈なイントロダクションに引き込まれて、描かれた「愛」の世界へ。
章構成は以下のとおり。
第一章 恋する画家たち
第二章 愛の神話
第三章 愛のかけひき
第四章 結婚-誓われた愛
第五章 秘められた愛
第六章 禁じられた愛
第七章 愛の終わり
西洋絵画を題材に、様々な愛の形を紹介します。作者の視線はその甘い誘惑に溺れることなく、残酷な結末にたじろぐことなく、客観的に(少々冷酷に)読み解いてゆきます。絵画が描かれた時代と現代とのモラルのギャップや、神々や画家たちの愛ゆえの盲目を浮き彫りにすることで、絵画を血肉の通った物語へと変換します。
文庫本なので深みはありませんが、西洋美術史「愛」のカタログとして一読の価値ありな一冊だと思います。
Posted by mizdesign at 2009年06月19日 21:49
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