2009年05月24日

●マーク・ロスコ展@川村記念美術館

 川村記念美術館で開催中の「マーク・ロスコ展」を観ました。シーグラム壁画15点が一同に会する大型企画巡回展。

 常設はいつもと同じなので軽く流して、メインのロスコ展へ。小さく絞った入口を入ると、白壁に一点掛けられた「深紅に黒帯」が空間に緊張感をもたらします。裏手に回ると、画家とテート美術館館長との書簡。自分の作品のみが恒久的に展示される空間を切望する画家の心情が綴られます。傲慢で繊細。名声を手に入れ、投機の手段ではなく、自作の真の理解者を求める者の心の叫び。そしてメインの展示室へ。

 作品位置が意外と高い。そして作品間はピッチリと詰めて密な配置。レストランを想定していたからかなと思いながら、その深紅の壁面から浮かび上がる濃淡とその先に広がる世界を待ちます。けれども、待てど暮らせど没入していかない。ザワザワと話し声の絶えない場内は、体育館の片隅で井戸端話を聞いている気分。さっきまでの緊張感はどこに行ったんだろう?不思議に思って見回すと、床の色が妙に明るいことも気になりだします。床が明るいと焦点がぼけて、展示空間には向かないと思う。特にロスコのような、他者の介入を極度に嫌う場合は。前室の落ち着いた色から、わざわざ切り替えるメリットってあるのだろうか。

 これだけの鳴り物入り企画がこの有様では、あまりに口惜しい。人の少ない時間帯での再訪を期して、今回は早々に退散しました。

Posted by mizdesign at 2009年05月24日 21:24
トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mizdesign.com/mt/mt-tb.cgi/783

コメント
コメントしてください




保存しますか?