2009年04月03日
●興福寺創建1300年記念「国宝 阿修羅展」@東京国立博物館
上野の東京国立博物館で先日から始まった興福寺創建1300年記念「国宝 阿修羅展」を観ました。混雑必至の展示なので、金曜日の夜間開館を利用。花見客で賑わう公園を突っ切り、一目散に平成館を目指しました。
第1章 興福寺創建と中金堂鎮壇具
待ち時間なしで入館。館内は意外と空いているというか、ガラスケースの前に一重の人垣。小品が並ぶので、二列目では見えないところもあり。その場合は少し止まって、一列目の切れ目を待ちます。玉を下からライトアップしている展示が綺麗。
第2章 国宝 阿修羅とその世界
「阿弥陀三尊像及び厨子(伝橘夫人念持仏)」。ここから本編。素晴らしい照明セッティングで、虚空に浮かび上がる三尊像の美しさに息を呑む。細い支柱で支えられた像の浮遊感を、神々しいまでの静溢さで満たします。
「華原磬」。獅子の背に生える幹(?)に絡みあいながら銅鑼を包む四頭の龍。メリハリの効いた造形。
そして八部衆、十大弟子像が並ぶ大部屋へ。国宝館で何度も観ましたが、揃って観るのは初めてです。右に十大弟子、左に八部衆が並ぶので、見比べる楽しさもあります。禁欲的な造形の十大弟子に対して、八部衆はかぶり物や鳥顔など造形的に賑やかです。美男ばかりが並ぶわけではなく、そこらへんにいる大人子供に衣装を着せて、ポーズをつけたような親しみやすさを感じます。適度なデフォルメが効いてます。
「沙羯羅立像」。頭に蛇を巻く、幼な顔の像。老若揃ってます。
「乾闥婆立像」。目を細めてちょっと照れる感じがリアル。
「畢婆迦羅立像」。髭面のおっちゃん。こんな人いるよねー。獅子の被り物をしているけれども、後頭部は髪が造形されている。
「鳩槃荼立像」。目がとび出て、口が大きい。くちびる厚し。
「迦楼羅立像」。異形の鳥人。でも、他の八部衆と馴染んで見える。敵を取り込んで味方に転じるのはヒーローモノの王道だよね。
そして阿修羅の部屋へ。毎度お馴染み、スロープで上がって降りて、ぐるりと回る動線。
「阿修羅像」。本展最大の見所、360度阿修羅鑑賞。素晴らしいライディングに浮かび上がる、三面六臂の天平の美青年は本当に美しい。六本の腕が虚空に舞う独特の空間性は必見。二つの異なる顔がシルエットで浮かび上がる後姿も美しい。ここのみ3重の人垣。それでも観るのが困難なほどではなし。
第3章 中金堂再建と仏像
人間的な八部衆、十大弟子像と打って変わって、肉付きが良い仏様がズラリと並ぶ。ベルトを締めるお腹がちょっときつそう。躍動感を感じさせるポーズと衣装表現は、慶派仏師の面目躍如。巨大像が見下ろす様は、庇護というより威嚇に近い。
第4章 バーチャルリアリティ映像「よみがえる興福寺中金堂」「阿修羅像」
前半は今回の出開帳の目的であろう「中金堂」の再現映像。周辺の地形、建物まで再現して、鳥の視点で鳥瞰する映像が面白い。観光バスまで作ってある。往時の再現でなく、現代に蘇る「中金堂」なわけですね。そして堂内へ。データ量の関係か、堂内はガランドウでの表示。さっき見た仏様が光り輝くシーンも観たかった。再び鳥瞰視点に戻って、中門と回廊を再現。中庭化された空間構成が明確になって、「公園」から「境内」へと雰囲気が一変した。ここまで再建できると良いのに。
後半は阿修羅像の映像。映像技術のデモのようで、すごいけれども面白くない。実物の神々しさを観たあとにこの映像は不要では?
個人的に本展の見所は二つ。「阿弥陀三尊像(伝橘夫人念持仏)」と「阿修羅像」です。素晴らしいライティングに浮かび上がる神々しい世界は必見。360度阿修羅は観るのに時間がかかりますので、余裕を持って出かけることをお勧めします。
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mizdesignさんこんばんは。早速のTBをありがとうございました。三尊像からしてノックアウトでしたね。あの美しさは本展示中でも一番でした。
>庇護というより威嚇
いきなり仏像が大きくなって少し驚きました。鎌倉のそれはまさに武士の逞しさですよね。
>この映像は不要
会場外での映像と同じものを見せるというのはどうかなとも思いました。
はろるど様>
仏さまの美しさは文句なしですね。
最後のVRは中金堂に巨像が並ぶ様で終わった方が良かったと思います。
データー量の制約でああなったのでしょうか。