2009年03月22日

●薩摩焼~パリと篤姫を魅了した伝統の美~@江戸東京博物館

 江戸東京博物館で本日まで開催中の「薩摩焼~パリと篤姫を魅了した伝統の美」を観ました。終了日前日に駆け込み。土曜日の夜は19:30まで開館という配慮が嬉しいです。

 プロローグ
 薩摩焼といいながら、なぜかセーブル焼がドーンと登場して戸惑う。解説パネルに拠ると、日仏交流を記念して2007年にフランスで「薩摩焼パリ伝統美展」が開催され、本展はその出品作を中心に紹介とのこと。

 第1章 豪華絢爛な薩摩焼<世界に雄飛>
 「色絵牡丹籬図花瓶」。花瓶の円筒形下部を籬(まがき)で覆い、その中に牡丹や梅を生けるように描く。豪華絢爛な色絵の美しさと、形態を活かした意匠配置が相まって非常に華やか。個人的に本展イチオシ。
 「色絵龍文唐子三脚香炉」。唐子三人が香炉をかつぎ、その上で一人の唐子が踊る。脚と持ち手を唐子に置き換えた装飾性の高い作品。唐子衣装の細やかな龍文は溜め息が出るほどに精緻。
 「色絵金彩象形香炉」。こちらは象の上に唐子がゾロゾロ。
 「富士・藤・孔雀図大花瓶」。その名の通り、三面に富士山、藤花、孔雀を描いた大花瓶。残念ながら展示で観られるのは孔雀面のみで、あとの二面は小さな写真で紹介。他の面も見たかった。
 悦を尽くした細工の数々は、観る時間がいくらあっても足りないほど。

 第2章 茶道具の薩摩<重厚な味の茶道具>
 厚塗り釉薬の豪快さが印象的。

 第3章 「白薩摩」と「黒薩摩」<殿様と庶民のやきもの>
 白い素地に細かな「貫入」が入る、ガラス質表面の柔らかな美しさ!
 「天璋院御用 薩摩 磯御庭焼 錦手獅子香炉」。きめ細かな貫入とクリーム色の地色が奏でる、柔らかで清楚な味わい。脚の獅子顔、取っ手の白獅子も愛らしい。
 「天璋院御用 薩摩 磯御庭焼 錦手狗」。ガラス質の肌を持つ、可愛らしい子犬。
 「天璋院御用 錦手秋草文竹形文鎮 磯御庭焼」。竹形に秋草文を施した、美しい実用品。
 天璋院御用品の清楚な美しさにウットリしたその横に並ぶのは、島津斉彬の手による和歌、絵画、陶器。その多種多芸さにビックリ。

 第4章、エピローグを経て、現代の薩摩焼の展示へと続きます。

 出品作の質の高さは素晴らしく、見応え十分です。個人的には第1章の豪著な薩摩焼が見られて満足です。その一方で、「フランスとの交流」、「篤姫」、「過去と現在」とテーマが盛り沢山なのは、構成が不明瞭になってむしろマイナスでは?

Posted by mizdesign at 2009年03月22日 09:28
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