2009年03月08日
●「土門拳の昭和」@日本橋三越本店
日本橋三越本店新館7階ギャラリーで開催された生誕100年記念写真展「土門拳の昭和」を観ました。
土門拳の写真は、個人的にとても思い入れがあります。まず思い浮かぶのが、女人高野「室生寺」。深山の金堂の大屋根に白雪が積もった、とても美しい画。そして随筆集「死ぬことと生きること(正・続)」。それまで「筑豊のこどもたち」の、痛いほどに現実を直視する視線が辛かったのですが、上記随筆集の柔らかな語り口に触れてからは子供たちの生き生きとした表情に魅力を感じるようになりました。
展示冒頭に子供たちの写真が一枚、そしてモノクロの室生寺が東京します。十二神将をはじめ、仏様の表情がとても豊かで魅力的。クローズアップとライティングで、一瞬を抉り取るような感じ。
戦後に至り、「ヒロシマ」、「筑豊のこどもたち」が並ぶ。絶対非演出を唱えるこの頃から、「鬼の目」と称される視線が明確になったと思います。
「風貌」シリーズ。クローズアップの迫力と、どこか漂うユーモア。後半は舞台的になってゆくが、梅原龍三郎の椅子を叩きつけたというエピソードはとても印象に残ります。
そして「古寺巡礼」。鉄の質感が生々しい「飛鳥大仏」の杏仁形の眼も良いですが、金色に煌く「救世観音」の妖しさは圧倒的。フラッシュを焚いて撮ったのでしょうが、秘仏に対して不遜と思う一方で、記憶に残る名画だと思います。室生寺の扱いのぞんざいさが不満ですが、それをのぞけばとても良い展示でした。
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こんばんは。
救世観音、あやしく見えましたか。
私には、普通のおっさんのように見えました。
それがかえってあやしいかもしれません。
一村雨様>
こんにちは。
阿修羅や法隆寺四天王像もそうですが、往時の再現画像で見ると、仏様っておっさんでイメージ狂いますね。
救世観音は保存状態が良い上に金色に輝くので、違和感が積み重なって「怪しく」見えた分もあると思います。