2009年03月15日
●3月前半の鑑賞記録
3月前半の鑑賞記録です。
3/4
「土門拳の昭和」@日本橋三越本店 新館7階ギャラリー
表情豊か(に見える)仏様のクローズアップと、古寺巡礼。それと対を成す、「絶対非演出」に基づくドキュメント。自分にとって写真=土門拳であることを再認識。
「上村 松園・松篁・淳之 三代展」@日本橋高島屋8階ホール
三代と銘打つも、存在感は圧倒的に松園。素晴らしく線の美しい美人画の数々を堪能。その一方で「花がたみ」や「焔(下絵)」といった狂気への振れ幅も堪能。実質松柏美術館の出開帳に、他所からの出品作が華を添えた形。19:00以降の入館は半額の嬉しい配慮。
3/6
「国宝 三井寺展(後期)」@サントリー美術館
ついに「不動明王像(黄不動尊)」と御対面。保存状態の良さに驚くばかり。その姿を写した「不動明王立像(黄不動尊)」の出来栄えと状態の良さを改めて実感。文字通りの「秘仏開扉」に満足。大幅な展示替えに、見入ることしばしば。
3/7
「アジアとヨーロッパの肖像」@神奈川県立近代美術館 葉山
海へと突き出すレストラン、振り返って山を望む中庭の建物配置が良かった。
「山口蓬春と花鳥画の世界」@山口蓬春記念館
吉田五十八設計による新画室が何より素晴らしい。建具枠を斜めに切り落として壁との段差を数ミリに抑える納まり、細枠木建具でフルハイトのガラス引込戸を設計する大胆さ、天井照明を埋め込んで天井と一体化する配慮、収納扉引手を上下左右全通しの目地として壁と一体化するデザイン。配慮の行き届いた設計に応える水澤工務店の技。非常に痛み易いつくりを維持管理する運営側の意欲。庭には梅が咲き、鶯がさえずる。二階の旧画室廊下からは葉山の海が臨める。時の経つのを忘れてしまう、至福のひと時。
3/8
「茶の湯の美 出光美術館コレクションの至宝」@栃木県立美術館
ダイジェスト気味ながら、出光美術館の茶の湯コレクションが時代順に並ぶ。人もけっこう入っていて、固定ファンを持つ展示は強い。
3/14
「小杉放菴と大観-響きあう技とこころ」@出光美術館
酒飲みおじいちゃんが描くほのぼの世界。
「ポワレとフォルチュニィ」@東京都庭園美術館
「夜会」というテーマに基ずく、1階の展示が見事。
「プリーツプリーツ」の祖先のような「デルフォスドレス」を見て、ミヤケは装飾を廃したモダニズム建築のようなドレスだと思った。
「美人画展」@松岡美術館
松園の「春宵」が美しい。全体的にあっさりとした展示内容。展示室内も撮影可で、シャッター音があちこちで鳴っている。通路・ホールスペースにはみ出すように置かれる雛人形が、計画性の高い空間に馴染まない。美術館は成長し続けるソフトなので、空間の可変性と完成度の折り合いが難しい。
3/15
「伊庭靖子展」@神奈川県立近代美術館 鎌倉
写真のような精緻な筆致と、超クローズアップ構図。水分が弾けそうなオレンジゼリー(?)の「瑞々しさ」が素晴らしい。クッションの「柔らかさ」も魅力的。名詞がなくなって、形容詞だけが残るような絵。
「所蔵名品展 -国宝 紅白梅図屏風-」@MOA美術館
岩佐又兵衛と紅白梅図屏風を目当てに行ったら、濃厚な仏画展示(ほとんどが重文!)に圧倒された。紅白梅図屏風はかなり傷んでいる印象。又兵衛の美麗な絵巻、洒脱な墨絵と、満足度はとても高い。
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東京都庭園美術館の展示はいかがだったでしょうか。内藤廣事務所が展示計画をやられたと聞きました。
知人から招待券をいただいたので、月末近くに行く予定です。
佐藤K様>
こんにちは。
内藤事務所がてがけたのは、コンセプト作りだと思います。一階の配置計画はなかなか良いです。展示品の見せ方であって、何かを建築するわけではありませんが。
展示は女性の方が圧倒的に熱心に観ておられます。