2009年02月23日
●都市を仕掛ける建築 ディーナー&ディーナーの試み@東京オペラシティアートギャラリー
東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「都市を仕掛ける建築 ディーナー&ディーナーの試み」展を観ました。
セクション1 模型/写真
入口でハンドブックを手渡され、展示室へ。木でカッチリと作られた模型が並び、その傍らに配置図。壁面には写真パネルが掛けられています。説明は一切なく、プロジェクトを識別するための数字とアルファベットイニシャルのみが示されます。
そのサインを手掛りにハンドブックをめくり、プロジェクトの概要を探し当てます。床に置かれた配置図から周辺環境のパターンを読み込み、1/1000スケールで統一された模型から空間を思い浮かべます。そして壁面に掲げられた写真パネルを通して建物に入り込み、中から外を見、外から建物を見返して、内外の関係性を確認します。
絞り込まれた情報をつなぎ合わせることで全体像を読み解く仕掛けは、知的な宝探しをするようでとてもスリリングです。
684 VOG。既存の建物と合わさって、中央広場を形作る計画。
691 CBN。工業地帯の建物ボリュームを尊重することで、その場所の個性と独自性を継承する再開発計画。
731 FRI。大きな街路ブロックの内側に、小さな、自由に行き来できる複数の中庭。
その過程を通して、都市と対話を重ねる建築家の真摯な姿勢が浮かび上がります。
セクション2 コンペティション
大きな木地のテーブルの上に、白い図面集が並ぶ。それらを開いて、建築家の思想に触れる。密度が薄く感じられてイマイチ。
セクション3 スライド/フィルム
上映映像「継承と変容」に登場する「場所と機能の調停」というフレーズが良かった。カーテンで会場を柔らかく分節する操作も心地良い。
セクション4 実施図面/サンプル
都市を読み解くことから始まる物語が、図面、サンプルを経て実現する。その終盤のエピソード。オーソドックスな形態、素材を使うせいか、前半のスリルに比べると物足りなく思えました。
全体を一つの物語として作りこんだ、とても良く出来た展示だと思います。
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こんばんは
先日はありがとうございました。
お目にかかれて嬉しかったです。
この展覧会、チラシを見つつどうしようかと考えておりましたが、記事を読んでやはり行くべきだと自分に囁いております。
藤森照信や武満徹の展覧会もここで開催されましたが、どちらもレベルが高かったので、今回も期待できそうですね。
記事からゆくと、模型がやはり一番面白そうな感じがしました。
Tak様>
こんにちは。
一見断片的に思える内容が、ハンドブックを介して有機的に繋がり、全体を通して「発想から完成まで」のストーリーを語るところがミソかと思います。
ちょっと手間がかかりますが、良く練られています。
遊行七恵様>
こんにちは。
先日はありがとうございました。
エンターテイナーな藤森展とはちょっと毛色が違いますが、レベルは高いと思います。
模型は1/1000なので、ディテールでなく、都市と建物の関係性に重点を置いています。
頭をこね繰り返しながら見るのが楽しい展示です
よね、これ。疲れますが、苦笑。
彼ら親子の言いたい事が伝わる展示だと思います。
しかし、建築に興味ない人が見たらどうなのか?
とはちょっと思いましたが。
KIN様>
こんにちは。
ちょっと手間ですが、理解が深まる方法だと思いました。
パネルの解説文は読む端から抜けていってしまうのですが、この方法だと文章の読み込みが深くなる気がします。
情報の取捨選択が徹底しているので、建築を読み込まなくても、規律あるインスタレーションに見えると思います。
オーソドックスな建築と、意外とアクロバティックな都市へのアプローチの対比が良かったです。