2009年02月25日
●国宝 三井寺展@サントリー美術館
サントリー美術館で開催中の「国宝 三井寺展」を観ました。天台寺門宗総本山園城寺「三井寺」の秘仏を一挙大公開。4期に分かれる会期の2期目になんとか滑り込み。
秘仏開扉
本展のキーワード「秘仏開扉」。展示品は一ヶ所にまとまっているわけでなく、章立てに合わせて分散配置。作品リストと観る順序がバラバラなのが玉に瑕。
智証大師坐像(御骨大師)。生前の智証大師の姿を写し、お骨を収めたと伝わる像。中興の祖としての存在感と、密教の妖しさを感じます。
智証大師坐像(中尊大師)。髭剃り後の青い部分まで再現。
不動明王像(黄不動尊)。4本の指で大地をしっかりと掴み、左手にロープ、右手に剣を掲げる。牙のある口元、ガラスの入った眼、精悍な顔つきと美しい彩色。
新羅明神坐像。横長垂目の赤地眼、三角に尖った冠、ヒョロヒョロの指。目の端から耳へと続く横顔のラインが美しい。明らかに他の仏像と異なる造形の異国の神。
如意輪観音菩薩坐像。左手で頬杖をつき、右手を台座に置いて寛ぐ。その一方で宝珠、蓮花、車輪型宝具など色々と手に持ち、頭に巨大な冠を戴せて慌しい。会場の都合か小さなガラスケースに納められ、ケース越しに対面の観覧者の方たちの顔が視界に入る。やれやれなんとも慌しいことよと呟きが聞こえそう。
第一章 智証大師円珍、第二章 円珍ゆかりの仏たち
三井寺中興の祖「円珍」の足跡を、数多くのエピソードとその伝世物で辿る。オールアバウト「円珍」。
第三章 不死鳥の寺の歴史と遺宝
尊勝曼荼羅図。画面中央の金の満月が綺麗。下部の三日月と三角形が幾何学的なインパクトを与える。
十一面観音菩薩立像。一木造、四頭身。背を丸め右足を休める姿勢。安定感あるプロポーションに巨大な冠を載せ、長い手で世界を救うぞという意思を感じる。
千手観音菩薩立像。五頭身のずんぐりプロポーション、一本の木から削り出したという安定感。一本で25の世界を救うという手が40本で千手。
獅子。胸を張って立つ凛々しい姿勢、美しい彩色。小さいながら密度の高い造形。
阿弥陀如来立像。柔らかな造形と7-8頭身のプロポーションが美しい。繊細で変化に富む彫り。
騎獅文珠菩薩懸仏。四角い獅子が可愛い。
それにしても、争乱の多いお寺という印象。
第四章 信仰の広がり
熊野垂迹曼荼羅図。赤い花弁に人物を描く、緻密な八様蓮華型曼荼羅。
第五章 勧学院障壁画と狩野光信
三階に下りて、吹抜けから障壁画の展示が始まる。天井が高いので、障壁画本来の水平に視線が延びる空間性が狂う。
南禅寺本坊大方丈障壁画 梅に錦鶏図。画面中央に迫り出す梅の枝が生命感。
出品作の質は高く、作品を収める器も綺麗。その一方で、会場の印象は仏様のバックステージツアーのよう。
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? 「国宝 三井寺展」 from 弐代目・青い日記帳
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智証大師帰朝1150年、狩野光信没後400年 特別展「国宝 三井寺展」に行って来ました。
昨年12月14日まで大阪市... [続きを読む]
こんばんは。
今日後期(3期)を拝見してきました。
黄不動の平安時代に描かれた秘仏が登場。
会場内は混雑。東博でやったら
また違った感じ受けたでしょうね。
Tak様>
こんにちは。
第四期を観てきました。
不動尊の状態の良さに驚きました。展示も大幅に入れ替わってますね。
最後の応挙だけは「?」でしたが。