2009年01月31日
●特別展「妙心寺」(前期)@東京国立博物館
上野の東京国立博物館平成館で開催中の特別展「妙心寺」を観ました。
第2章:妙心寺の開創-花園法皇の帰依-
「花園法皇坐像」。数珠を握る左手に躍動感。不敵な容貌は獰猛な肉食動物を思わせる。
「山水楼閣人物図螺鈿引戸」。美しい螺鈿細工。
第4章:禅の空間1-唐絵と中世水墨画-
「菊唐草文玳瑁螺鈿合子」。金銀オレンジの色彩豊富で細やかな細工。
「瀟湘八景図」狩野元信筆。一枚目、迫り出す山とその中腹にある山村。二枚目、深山の奥の寺院と川の流れ。三枚目、モコモコした山と水辺の人物。四枚目、吹雪く雪山。どれも上手い。4枚しか出てませんが、あと4枚あるのでしょうか?
「梵鐘」。飛鳥時代の名鐘。とはいえ鐘。ゴーン。
第6章:妙心寺と大檀越-繁栄の礎-
「快川紹喜像」。龍、菊紋、牡丹(?)等の豊かな色彩と微細な紋で埋め尽くされた衣装。「「心頭滅却すれば火も自ずから涼し」と辞世の句を残して入寂」という解説を読んでビックリ。僧というより戦国武将のようなエピソード。
「豊臣棄丸坐像」、「小型武具」、「玩具船」。頭ちっちゃい坐像、赤ちゃん用武具に豪華なオモチャ。秀吉の愛情と落胆が伝わる品々。
「福島正則像」曾我蕭白筆。眼をギロリと見開き、口をへの字に結ぶ。こんな絵を描いてモデルの機嫌を損ねたりしないのだろうか。
「細川昭元婦人像」。面長の美人。赤白水平ストライプ+金地に草花+白帯の衣装が綺麗。
「春日局坐像」。白顔に窪んだ眼窩、凛とした姿勢。怖い。
「瑠璃天蓋」。白、緑、黄のコントラスト。照明が効果的。
第7章:近世の禅風-白隠登場-
「雲居希膺墨蹟 法語」。踊る墨蹟、水清月現心浄佛現。読み易い!
「自画像」白隠慧鶴筆。大きく開いた眼にM字口。
「大吽一声」して世を去ったというエピソード。
「達磨像」。逆S字の大胆さ。
「鼠師槌子図」。可愛い。赤ら顔の鍾馗(?)、笑っちゃうほど頭の長い老人、鼠がウロウロ、天女も舞う。可愛く楽しい。
「白隠慧鶴墨蹟 寿字円頓章」。
「寿」曼荼羅。「寿」の軍団が押し寄せる分かり易さ。
「白隠慧鶴墨蹟 偈」。常念観世音菩薩のながーい常の縦線。
第8章:禅の空間2-近世障屏画のかがやき-
「四季花鳥図 霊雲院方丈障壁画のうち」狩野元信筆。羽を広げ尾羽を捻る小鳥、首を折り畳む鶴。ユニークな描画。
「楼閣人物螺鈿座屏」伊勢屋直七作。波の円弧状細線、岩の細長ストライプパターンなど、職人芸の極みのような微小細工。人物は分割せずに大面のまま螺鈿貼付して対比させる。
「枯木猿候図」長谷川等伯筆。枝、蔓の線描、猿のフサフサ体毛。
「龍虎図屏風」狩野山楽筆。大胆な斜め線と同心円の空、雲の合間から頭を出す龍の大きな眼、うねる幹。右斜め上を見上げる虎、縞模様に細筆で描かれた毛並。風が吹き荒れ雷鳴轟く豪壮かつ雄大な描画は、永徳の後継者の面目躍如!
「老梅図襖 旧天祥院障壁画」狩野山雪筆。巨樹が天を衝き、地を這い、画面狭しとのたうち回る。伝統という基盤をぶち抜くが如く突き出る木々、枝々。
驚くべき禅師の行動力、厚い帰依、江戸絵画の奇才の腕の冴え。そして素朴画のチャンピオン、白隠。ただの寺宝公開に留まらない、幅の広さと面白さ!前半を飛ばし気味に観ても、軽く2時間はかかります。
東博本館で「異端(踏絵)」小林古径筆、「形見の直垂(虫干図)」川村清雄筆を駆け足で観てお昼へ。
レストラン ラコールでお昼。ラコール風 牛鍋セット。熱々の鍋に、甘いシロップのかかったカステラが美味しかったです。
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? 「特別展 妙心寺」 東京国立博物館(その1・速報『江戸絵画』) from はろるど・わーど
東京国立博物館・平成館(台東区上野公園13-9)
「特別展 妙心寺 - 京が伝える禅の名宝 - 」
1/20-3/1
本日より上野の国立博物館で始まってい... [続きを読む]
こんばんは。半分江戸絵画展のようになっていたのがまた嬉しかったです。お寺には怒られてしまいそうですが、後半は本当に見応え満点でした。山雪の単独の回顧展、いつかはきっと見たいです。
>ラコール風 牛鍋セット
ラコールにこのような和食まであったとは…。
あたたまりそうですね。
はろるど様>
こんにちは。
単なる寺宝公開とは一線を画す面白さですね。
全国に広がるネットワークや、分かり易い教えのための素朴画(?)や書という構成も興味深かったです。
牛鍋は福沢諭吉展の特別メニューだそうです。