2009年01月22日
●内海聖史「十方視野」@ラディウムーレントゲンヴェルケ
馬喰町のラディウムーレントゲンヴェルケで開催中の内海聖史「十方視野」を観ました。
去年観た「風景ルルル」出展作を、ギャラリースペースにあわせて再構成した展示です。前回はコの字型のガラスショーケースに上下から光を当て、影をぼかして壁面とカンバスの余白を一体化するようなセッティングでした。今回は2層に渡る空間の壁面に作品を直付けし、天井に白熱電球を露出させます。点光源の指向性が強い影となって現れ、赤味かかった光がカンバスの白と壁の白を差別化します。また階段がある分、空間に線が増えます。例えて言うと、前者が「お澄まし展示」、後者が「アットホーム展示」。場が変わると、作品が作り出す世界も変わるところが面白いところです。
じっと見ているとそんな差異は意識から消えて、絵自体の強さと連作の美に没入してゆきます。青、緑、赤。それらのドットの大きさ、密度を通して距離感が生まれ、その先に様々な風景が見えてきます。そしてそれらが並ぶことで動きが生まれ、風景が変化し始めます。同じ空間を体験しても、その先に見るイメージは人によって違う。その誘発装置として、とても優れた展示だと思います。
実のところ、「とっつきやすい事がアートワークとして優れていること」になるかは分からないです。また「絵画を空間もしくは体験として捉えること」も同様。ただ、こういったことを考えることは大切だと思います。
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? 内海聖史「十方視野」 from 弐代目・青い日記帳
ラディウムーレントゲンヴェルケで開催中の
内海聖史「十方視野」(ジッポウシヤ)展に行って来ました。
(内海さんのブログ「色彩の下)
ギャラリー... [続きを読む]
? 内海聖史展『十方視野』(ラディウム) from 徒然と(美術と本と映画好き...)
というわけで内海聖史さんの個展のオープニングにお邪魔してきま
した...
今回の展示は静岡県立美術館で開催された『風景ルルル』に出品し
た作品を再構成したもの... [続きを読む]
Tak様>
こんにちは。
上手い!座布団一枚。
図録をジッと見ていたのですが、やはり良いなと思うのは売れてますね。
lysander様>
こんにちは。
絵として観るのと、空間として観るのと違うのか同じなのかちょっと考えるところがありました。