2009年01月12日
●モネ「印象 日の出」展@名古屋市美術館
青春18切符で行く冬の名古屋・京都の旅 その1。
きっかけは大山崎山荘美術館「さて、大山崎 ~山口晃展」。いつ行こうかと考えていた頃に、モネ「印象 日の出」が名古屋に来ていることを知りました。年初めに日の出を観ようと思い立った頃に、今度は樂美術館「樂歴代 花のかんばせ」展のチラシが目に入る。「田中宗慶作 香炉釉菊文阿古陀形水指」の可愛らしい造形に、もう目が釘付け。京都まで行くなら、京都国立博物館「京都御所ゆかりの至宝 -蘇る宮廷文化の美-」展と承天閣美術館「狩野派と近世絵画 後期」展は必須でしょう。ダメ押しに樂美術館「手にふれる樂茶碗観賞会」も申し込んだ。かくして「青春18切符で行く冬の名古屋・京都の旅」と相成りました。
東京を発って7時間弱で名古屋着。真っ先に向かったのは名古屋市美術館。モネ「印象 日の出」展を観ました。
展示はモネを中心に、印象派の画家たちの作品を数点ずつ紹介します。青い仮設壁に作品が並びます。
ブータン「ダウラスの海岸と船」。解説に「空の王者」とある通りの見事な空。
ピサロ「エヌリー街道の眺め」。芝生、木立の緑で画面を大きく覆い、小さく1人の農夫。
シスレー「舟遊び」。小波立つ水辺、大きく描かれた木々と青空。静かで穏やかな時間の流れを感じさせる。
シスレー「サン=マメスのロワン運河」。前作と打って変わってテカテカした画面、生気が感じられる。
そして赤い特設スペースにモネ「印象 日の出」。背面には大きな解説パネル群。揺れる水面に映る日の出。その脇に小舟と人影。離れて観ると、とても自然な描写に感じられます。思ったよりも小さな絵ですが、意外なほど良かった。本展で唯一海外からやってきた作品。
2階に上がってルノワール「パリ郊外、セーヌ川の洗濯船」。ルノワールらしからぬ硬質なタッチ、暗い曇天ながら、生き生きとした人々。
ギヨマン「ロバンソンの散歩」。宝くじに当選して絵に没頭できた幸運な人。
そしてモネの作品が並ぶ。
「海辺の船」。勢いある青空と斜めに傾いた船のコントラスト。
「ヴェルノンの教会の眺め」。穏やかな日差し、さざ波立つ水辺に映る教会。
「チャリング・クロス橋」(メナード美術館)。霧と光を捉えるモネの眼!バラ色のトーン、輝く水面が美しい。
「睡蓮」(個人蔵)。トーンのような水面と蓮。大作のための習作のよう。
ビデオ「水の旅人」。モネの絵のモチーフとなった景色を映像で辿る。エトルタの岩、ポプラ並木、ジヴェルニーの池。実景の中の光を捉える眼、大胆で繊細な絵へと再構成する腕は素晴らしい。全35点と作品数は少な目ながら、見応えあります。特に「印象 日の出」は、さすがの存在感。
常設展 名品コレクションII
エコール・ド・パリ。アメデオ・モディリアーニ「おさげ髪の少女」。ピンクのセーターを着たおさげ髪の可愛らしい少女。こんな絵があったんだ。
岡鹿之助「魚」。点描のようなパステルタッチの描画。海老と魚を盛り、カーテンを引き分けた向こうに海が見える。ユニークな構図。
現代の美術
アンディ・ゴールズワージー「楓の紅葉による色彩線/大内山村」、「割れた小石の線/紀伊長島町」。黄色が混じった紅葉、割れ目のある小石など、少し特徴ある自然物を収集。注意深く並べることで、色彩のグランデーション、連続する線等を浮かび上がらせる。
アニッシュ・カプーア「虚空 No.3」。白壁を背に、漆黒の球が浮いている?間近で観ても不思議。
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「印象・日の出」は1994年に西美で開かれた『パリ「第1回印象派展」とその時代1874展』で観ました。意外と小さな作品だったということを憶えています。
日曜日に富士美術館に行ったところ、モネが一枚も出ていませんでした。多分、名古屋出張だったのかな・・・。
とら様>
こんにちは。
出品リストによると、富士美術館からはモネ「海辺の船」、シスレー「牧草地の牛、ルーヴシエンヌ」、モリゾ「テラスにて」が出品されています。
富士美術館の展示も良さそうですね。近いうちに足を運ぼうと思っています。