2009年01月08日
●ランドスケープ 柴田敏雄展@東京都写真美術館
東京都写真美術館で開催中の「ランドスケープ 柴田敏雄展」を観ました。メインビジュアルの、赤い鉄骨フレームと背景の霧に霞む緑の対比が印象的です。
展示は近作である「color」から「night」の小部屋を挟み、旧作「B&W」の順。
「color」
「青森県黒石市」。抽象絵画のような構成。
「高知県土佐郡大川村」。橋を抱え込む朱の鉄骨フレームが鳥居のよう。霧に霞む深山に淡い影を落とす。
「岩手県和賀郡西和賀町」。ダイナミックなコンクリートの造形と同時に、足場や作業員といった細々としたディテールを捉える構成。
「福島県福島市飯坂町」。2種類の緑と白地。
「愛媛県松山市」。段々の先に放水のアクセント、RCの滑らかな面と凸凹面の対比。
「愛媛県今治市」。枯色に溶け込むコンクリートの護岸。
「茨城県日立市十王町」。泥の濁流が描く絵画。
「night」
夜、そして高速道路。人影がないけれども活動している世界。
「B&W」
「静岡県榛原郡本川根町」。より鋭利に、謎めいた断片を切り取る。
「バートレットダム、マリコパ郡アリゾナ州」。神殿のよう。
自然の中に刻まれた人の痕跡を、あるがままに受け入れ、感性鋭く捉える前半。不要部を切り捨て、より鋭利的かつ恣意的に切り取る後半。これまでの変遷を辿るならば、過去から現在へと並べる方が分かりやすいと思います。現在から過去へとさかのぼる構成にしたのは何故だろう?写すというよりも、イメージを構築する手段としての写真展に思えました。
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最新作から過去作の順にしたのは、
回顧展形式にしたくなかったからだそうです。
まず、最新作で現在の活動を知ってもらい、
興味を持ってもらって過去作をみてもらいたかったとご本人がおっしゃっておられました。
meme様>
こんばんは。
現役の写真家として、とても真っ当な意図ですね。とても納得がいきました。どうもありがとうございます。